
同じ思いをしている人は多いみたいですな。
視線をそらせるしかないのだけれど安全上問題があります。
当記事の前編ではライトの進化の歴史からなんで眩しいのかをまとめました。
別の切り口で書いた後編もあります。
対向車のライトがまぶしいのだ

ゆえに対向車の多い都市部の夜間走行はあんまりしたくないというのが本音ですな。
※郊外は獣とかそれ以外の見てはいけない何かを見そうなのでやっぱり夜間走行はしたくないですがね。
対向車のライトが眩しい場合、
現実問題として視線をそらせて対向車が行き過ぎるのを待つしかないのですよねえ。
短時間でも視線を前方からそらせ続けるのは危ないのでワタクシは苦手なんですよ。
ロータスヨーロッパのように車高が低い車だと眩しく感じる時間が長いし。
※ハンドルを1センチ切ったら隣の車線に行くくらい過敏だし。
もちろん、
相手に文句言っても通じないし。

ジムニーシエラ。
オプションでLEDプロジェクターライトが選べる。
このライトってラパンSSと共通な気がするのでラパンSSもLEDプロジェクターライト化できるってこと?
多分やらんけど。
対向車のライトを眩しく感じるのは「ヘッドライトの進化の歴史と関係があるっぽい。」のです。
もちろんそれ以外の理由もあるのですが追々後編で書くとして、
まず前編ではライトの形状や歴史の話をしましょう。
ヘッドライトの歴史(電球の時代)

ヘッドランプはシールドビーム、ハロゲンバルブ、HIDと進化して今ではLEDが当たり前になりつつあります。
ライトの進化が眩しさに大きく影響していると思われます。
昔(と言っても30年位前)のクルマのヘッドライトはシールドビームという形式でした。
シールドビームというのはヘッドライトレンズが電球と一体になっているのですよ。
電極がヘッドライトレンズの後ろ側から直で生えている奴です。
※既に見たことない人が多いかもしれませんが、初代ユーノスロードスターはシールドビームだったのだぞ。
いわゆる電球切れが起こって発光部のフィラメントが溶断するとレンズごと交換するというある意味バブリーな仕様ですが大して明るくはないのです。
※そうそうZ1-Rの純正ヘッドライトもシールドビームですよ。
次第にヘッドライトはレンズと電球部(バルブ)が分割できる別体式になります。
最初のバルブは電球そのものでした。
※2007年式の当倶楽部にあるKTM125EXCは古いベスパなどに使われているのと同じ電球方式。
初めて見たぜ。
次第にバルブに「ハロゲンガス。」が封入され、明るく長寿命になります。
※厳密にいうとシールドビームでもハロゲンガス入りは存在したのですが。

ハロゲンバルブ。
安売りのヘッドライトバルブは光量でないよ。
ワタクシは多少高くても小糸製作所のハロゲンバルブを選びます。
測定すれば安売りバルブがいかに暗いかわかりますよ。
これがいわゆる「ハロゲンバルブ。」と呼ばれ、ヘッドライト界を震撼させました。
もちろん、高性能なので一気に普及しました。
80年代のバイクブームの時は既にこの形式が一般的でしたな。
この頃は、ライトを明るくするために、ちょっと黄色かかってる高効率で明るい と言われてたけど車検に通らない ゴールドバルブなんてのも流行りました。
※H4規格のゴールドバルブは6000円(まだ消費税もなかったくらいの頃)だったのを覚えています。
バイクブーム時にはヘッドライトのレンズ自体を変更するのも流行りました。
CIBIEとかHELLAとかMARCHALとかね。
※上野のバイク街では レンズカットが海外仕様のままなので車検に通らない ライトボディ関連商品をたくさん取り扱ってましたねえ(笑)
ライトボディの進化と言えば、
割と近年になりますがハロゲンバルブの光をレンズ内の複数のミラーで複雑に反射せるマルチリフレクター方式も流行りました。
※車もバイクもマルチリフレクターにすると顔つきが一気に変わっちゃう。旧miniに付けるとミラジーノに見える暗い表情が変わるね。

ラパンSS。まぶしくない。
マルチリフレクタライト。
正面から見るとキラキラしてて綺麗。
そして、レンズカットがないのも特徴。
こんな感じでヘッドライト界では「ハロゲンバルブ。」が主流となり、そのまま長期政権になったのでした。
ヘッドライトの歴史(進化中の時代)

それでも、さらに激しくヘッドライトは進化します。
次第に光源を電球に頼らない方式になっていきます。
ヘッドライトには色々な方式が模索され消えていくものもありました。
なかでもプロジェクターランプは車やバイクの顔つきをはっきりと変えました。
プロジェクターランプ
光を狙った位置にレンズで拡散する方式です。
丸っこくて小型でデザイン性が高い。
実は初期のLED式でないプロジェクターランプはあんまり明るくなかったのですよ。
FZR400RRとかフェアレディZ32とかに採用されててカッコよかったけど明るさ的な性能はイマイチでした。
かっこいいのでLamborghiniディアブロの後期型にはZ32のライトユニットそのものが使われてましたな。
※ライトボディのNISSANというロゴを削ってた、という噂は本当?

Z32。
実際、ワタクシが乗ってたフェアレディZ32(ガンメタ)のヘッドライトはフォグの方が明るいというレベルでしたし。
※プロジェクターランプが明るくなったのはLEDプロジェクターになってからです。
プロジェクター方式はハロゲンライトのようにレンズの奥にあるリフレクターに頼らないので省スペースです。
デザイン性が高いし量産効果で安価になったため、最近はLEDプロジェクターランプを採用する車やバイクが増えています。
プロジェクターランプの登場により、ヘッドライトは配光特性は変ります。
プロジェクターランプはレンズでスポット的に配光できるので狙ったところだけを明るく出来るようになりました。
ハロゲンランプ方式のようにリフレクターで光を集めた配光では、狙った所の周辺も多少明るくなるのです。
※視界の広範囲が薄らぼんやり周りが明るい、という状態。
リフレクター方式では周辺にも光は散って非効率かもしれないけれど、スポットで配光されるプロジェクターランプより眩しさを感じにくいらしいのです。
要するに、
ヘッドライトが照らす範囲がスポットになり、明暗の境界がはっきりさせることで一層明るさを感じさせてるということです。
ヘッドライトは「配光機能を強化したことで光の照射範囲が明確になるように進化。」してきた歴史があるのです。
ヘッドライトにさらなる明るさを求める人類

大革命というか衝撃だったのは「HIDシステム。」の登場です。
2000年代に入るとキセノンバルブ、ディスチャージランプとも呼ばれる放電型のHIDヘッドランプが次々と純正採用されるようになります。
これにより、ヘッドライトはより一層明るく白くなっていくのです。
初めて見た時、
「うわマジか。」
と思ったくらいハロゲンバルブとは明るさが段違いでした。
※暗闇だと光の筋がわかるのではじめ見た時はソーラレイっぽいと思った。
この頃はハロゲンバルブも高効率を求めて白く明るいバルブがや色温度の高い青みかかった光が既に主流でしたね。
かつての電球色はすっかり過去の遺物になりつつありました。。
※ご家庭用電球ではあえて配色でそんな色味にすることはあるけれど古臭いイメージがあったのは確かです。
眩しさの原因には、
という要素もあるのです。
格安HIDキットが出回った
「明るいHIDヘッドライトがいいものだ。」
という風潮が広まり始めるとそれを追うようにハロゲンランプ仕様のヘッドライトをHIDにする後付けのキットが売られ始めます。
2000年代、ネットショップすごい勢いで後付けHIDキットが売られてましたな。
従来のハロゲン式ライトにHIDランプキットを取り付けて、光量アップを図るユーザーが増えたのでした。
※まあマニアの類ですが。
HIDシステムはライト裏にスペース的な余裕があれば割と簡単に装備出来たのです。
※構造上、光源となるバーナーに長さがあるのでスペースが必要でした。
ハイ/ローの切り替えも変な仕組みでバーナー自体が動く奴もあったりしたので余計スペースが必要でした。
※初期や安いHIDキットはハイ/ローもないものがありましたな。
後付けのHIDランプキットが普及していくに従い、激安の商品も出回るようになりました。
次第に安売り合戦になり、原付からデカいバイク迄、後付けのHIDキットを組んでるバイクが増えたものです。
※説明書が中華の国の言語の奴は激安でした。 品質の低さとバーナーの寿命の短さは特筆ものでしたが 数千円からありました。
ハロゲンバルブ用のライトユニットに大光量のHIDライトを組み込むと、夜間の視界は当然明るくなります。
が。
ヘッドライトボディをそのまま使う後付けHIDキットでは、
本来ピンポイントで光軸周辺を照らすハズのHIDの光をライトボディのリフレクターで反射するため、まぶしい光が周辺へ拡散するんですよ。
これは周りの車やバイクにとってすさまじく眩しいのです。
本来、ライトユニットに手を加えたら光軸調整するのが基本なのですが、調整までやってる人は多くなかったのです。
当然車検は通りません。
※というか後付けの激安HIDユニットでは光軸だか光量だかが引っかかって、車検に通らないと言われていました。
でも、
原付とかなら車検もない訳で、やりたい放題だったのでした。
※あの頃HIDキットつけてたバイクは今どこに行ったんだろうねえ・・。
ちなみに・・
HIDキットが出回ってた頃、ワタクシ達はメチャメチャ林道走行にハマってた時期でして。
HIDヘッドライトを組んだオフ車を先頭に夜の林道を走りまわったりしてたのです。
※バカですな。
実際、夜間の林道ではHIDシステムを組んだオフ車が大活躍でした。
林道には電灯とかの人工的な光がほぼないので真っ暗闇の中です。
そんな中で白く強い光は超目立つんですよ。
真っ暗な林道ではハロゲンバルブでもスゲエ遠くからでも見えるんですよ、ヘッドライトが(笑)
HIDだとより一層良く見えます。
仲間内のオフ車に装備されたHIDは非常に羨ましかったのですが、
バッテリーレスで安定した電力供給ができず、ライト裏スペースがほとんどないワタクシのDT200WRにはどうやってもHIDキットを搭載できず、悔しい思いをしたものです。
でも。
オフロード走行で不具合を起こす激安中華HIDが続出しまして。
電灯なんて半径3㎞以内に一本もないような林道の漆黒の闇の中でまさかの無灯火というシャレにならない状態に(笑)
※走行中にHIDが壊れて夜間の林道の漆黒さにビビり、林道でクマにおびえながら明るくなるまで過ごしたK君。元気かね?夜の林道に単独で行くからだ。
今思えばアホですな。昼間走ればいいじゃんね。
ま、ワタクシ達も若かったということです。
LEDの時代

光量と配光特性のコントロールが可能になったわけです。
これで夜間の視界はかつてないほど明瞭になりました。
でもさらにヘッドライトは進化するのです。
そうこう言ってるうちにヘッドライトはHIDからLEDへと進化します。
あれだけ異性を風靡したHIDはすっかり影を潜め、LED全盛になっています。
鳴り物入りで主導権を握ったように見えたHIDシステムですが政権を取った期間は意外と短いのです。
※この時期の車のCMではHIDシステムを売りにしてるものが大変多かったんですがね。
HIDは明るくてよかったのですが、LEDではさらに省電力かつHIDよりも点灯が早く、スペース的に無駄がないといいことずくめです。
※LEDはダイオードに電気を供給することで発光するのでバルブやバーナーがないからね。
LEDで発光すると光は拡散せず直進するため、かなり狭い範囲しか照らせないという特性があります。
ゆえに、
LEDはヘッドライトには不向きと言われていました。
でもプロジェクターランプのレンズと組み合わせることでおおむね解決します。
プロジェクターランプのレンズを使えばLED単体よりはるかに広範囲で思った場所に配光することができるのでした♪

GSX-8S。
ライト自体が小型で軽量でいろんなデザインに対応できるようになるので大人気。

カローラ。
車はヘッドライトで印象が変わるよね。
ワタクシ的にはカローラは安くあってほしかった。
※すんごい高いのね、カローラ。
これが2023年時点のヘッドライトのトレンドです。
LEDヘッドライトは大量生産であっという間に安価になったようで急速に広まりました。
車だけでなくバイクにも搭載されるようになりましたな。
しかも、ヘッドライトだけでなく、メーターランプなども軒並み省電力、省スペース、軽量、コスト安なLEDになりました。
↑今ココ。
ちなみに・・
ワタクシの91年式DT200WRのメーターはオーバーヒート警告灯がLEDです。エッヘン♪

DT200WRのメーター。
文字盤がオレンジなのでオレンジ色にカスタムしたセロー225Wに流用しています。

DT200Rのメーター。
オドメーターが2500kmくらいの時に譲り受けました♪
ちゃんとスピード警告LED点きます♪
同年式のKDX125SRの水温警告灯もLEDです♪
当時はLEDなんて呼ばれてなく、マニュアルには「ダイオード。」と書いてあります。
しかも、
「当時発光ダイオード(LED)は赤色しかなかった。」
のでした。
これも時代ということなのです。
そうそう。
87年式のHONDA VT250FHにはLEDは一個も使われていません。
同年代のYAMAHA DT200R(DT200WRの先代)はスピード警告灯がLEDでオーバーヒート警告灯が普通の電球です。
ということは、
この頃にLEDが次第に一般的になっていき、メーカーによって使ったり使わなかったりしてた過渡期ということですな。
そこから30年後にはアナログメーターを探す方が大変になってしまうのです。
こういう考察、面白いでしょ。
・・面白くない?アレ?おかしいな。
前半まとめ

明るくはっきりくっきり指向性を持たせた進化の結果、対向車から見ると眩しいということなんですよ。
確かに色々な技術の進歩と数々の試行錯誤の結果、ヘッドライトはここ数十年で昼いものと新しいものでは比べ物にならないくらい明るくなりました。
運転する側から見れば夜間の視界確保という意味では大光量で強い光を放つ方がいに決まっています。
明るいライトは素晴らしくありがたいものです。
が。
人間の目は電球のように薄らぼんやり全体が明るいより、
HIDやLEDのようにスポットでくっきり明るい方が眩しく感じるんですよ。
そして、
人間の目はいわゆる電球のオレンジがかった色より、
HIDやLEDの白や青白い光は強く明るさを感じるのです。
このようなHIDやLEDの明るくはっきりくっきり指向性を持たせた特性のヘッドライトを装備した車が対向車として来るのです。
そりゃ眩しいに決まっています。
ただし、
「大光量で指向性の強いヘッドライトを装備している車を運転しているドライバーからは対向車の眩しさはわかりづらい。」
のです。
本来の光量より大幅に明るくなったヘッドライトは自分の視界が確保できてることだけでありがたがり、
現実的には対向車の眩しさを誘発していることに気が回ってないドライバーやライダーがすごく多いということなのです。
要するに「相手がまぶしくても自分にはわからない。」のです。

VT250FH。
ハロゲンバルブですが割と大きいライトなのでリフレクタも大きくてかなり明るいです。
樹脂レンズですが、35年経ってもあんまり曇ってないのはなぜなんだろ?
※たぶん樹脂の素材の違いなんだろうけど。
明るすぎるヘッドライトというのは問題だと思うんですがね。
※現状では明るすぎるライトを規制する法案はないのです。
前編は「眩しさを感じる理由をライトの進化の歴史。」という観点で書きました。
後編は「眩しさを感じる理由を人間の特性。」という観点で書いてみます。
ちなみに・・
ヘッドライトはLEDやプロジェクターに限らず、前方を照らす以上ある程度の指向性がある光なわけです。
指向性というかヘッドライトの光の焦点を「光軸。」と言います。
車検の際はしっかりチェックされ、落とされる可能性が極めて高いのが光軸です。
本来真正面よりちょっと左よりであるはずの光軸がズレて、対向車を照らしている車は結構いますね。
光軸は結構簡単にズレちゃうんですよ。
例えば、
ロービームで運転しているとしても、
後ろに人や荷物が乗って前上がりになった状態になるだけで対向車からはハイビームっぽくなって眩しく見えたりするのです。
※バブル時代の高級車には光軸の高さ調整用のダイヤルがあったりしたものです。
ヘッドライトの設置位置が高く、サスペンションの長いミニバンとかワンボックスとかだとさらに顕著に現れます。
そもそもデカい車はライトの位置高すぎです。
流行りのSUVやワンボックスなんてのはまさに典型です。
せめて信号待ちでヘッドライト点灯したまま、車高低い車の後ろに付くなよ、と思いますが運転してる人に実感はないのです。
※そのうちトラブルになるよ。
そして。
車をちょっとぶつけただけでも光軸は変ります。
ライト周辺に限らず、車をコツンとぶつけただけで指向性がある光の向きが変割る可能性があるということです。

フェラーリBB。ザ・スーパーカーとでもいういで立ちです。
リトラクタブルライトを開け閉めしただけで光軸は変るとも言われます。
光軸調整とか大変そう・・。
ズレた光軸で対向車方面を照らしている車はかなり多いのです。
さらに。
タイヤの空気圧でも光軸は変ります。
サスペンションの状態でも光軸は変るんです。
路面の凹凸を乗り越える時ももちろん光軸は変わります。
大光量のヘッドライトを装備するのであれば、光軸調整くらいしてくれないと迷惑なのですが、
実際にそれに気が付かずに乗ってるドライバーがすんごく多いんですよ。
公道はこういった無頓着な人が平気で人を殺せる道具である車を運転しているのです。
そして、
対向車のまぶしいヘッドライトの直撃を食らったドライバーが運転する車が自分に真っすぐに突っ込んでくる可能性もあるのです。
何度も当ブログでは書いていますが、車やバイクを運転する際には真剣に自己防衛しないと危ないんですよ。
スマホいじりながら運転なんてまったくもって論外です。
※それでも任意保険には絶対入っておいた方がいいです。人生台無しにします。