
その後はキックアームがおりません。
エンジンの焼き付きを心配したのですがその兆候は見当たらず。
何らかのトラブルがエンジン腰下で起きているようなのです。
エンジン腰下の右側を分解してみる

まずはキックアームがついている右側のカバーを外すことにします。
キックアームのギアの破損を疑ったからです。
こんな記事もあります▼
エンジンの右側を先に分解したのは、
「キックアームが下りないのはスターター系のギアが粉砕して噛みこんでいるため。」
と想定したためです。
KDX125SRのエンジンの右側カバーの裏には
などが格納されています。
8mm頭の6mmネジという当時は珍しいボルトでエンジンの構成パーツを固定しているのが特徴的なKDX125SRです。
KTMなどでは少しでも軽量化するため、ボルトの頭を小型化すると聞いたことがありますが国産バイクでは珍しいと思います。
※金かかったこった設計ですがホームセンターなどで同サイズの代替ボルトを探すのはむつかしい気がします。
サクサクと8mmのT型レンチを使ってボルトを外していきます。
もちろん、メガネレンチなども併用しますが、
狭いところのボルトはT型レンチを使うと作業効率が上がりますな。
※安物のT型レンチは先端のソケット部が大きくて使い勝手がよくないものもあります。
メガネレンチが整備の基本なのは揺るぎませんが、
T型レンチの効率を一度知っちゃうとメガネレンチだけの世界には戻れませんなぁ。
で。
マニュアルに沿って作業して無事に右側のカバーが外れました。
が。
各部のギアには全く損傷が見られません。
むしろ、35年前のエンジンの内部にしては綺麗なもんです。
※エンジン下部の入り組んだ個所にスラッジがたまってたので分解清掃の価値はあったと思いたい。

KDX125SR2号機のエンジンキックアーム部。

KDX125SR2号機のエンジンK.I.P.Sコントロール部。
クラッチは意外と減ってないのでこのまま再利用できそうです。
むしろピンシャンしています。
外装のボロさから諦めてましたがエンジン右側内部の状態は結構良いじゃんか。
ギアの辺摩耗は少ないし、クラッチへ減ってないし。
冷却水路のゴムパッキンは交換したほうがいいかもしれませんが、まだ張りがある状態です。
※メーカー欠品なら再利用かなぁ。
そんなわけでエンジンの右側に格納されているものについては問題なさそうに見えます。
キックアームが物理的に下りない、みたいな大きなトラブルが起こる原因はわかりやすいものです。
何かが明らかに目に見える範囲で壊れているハズなのです。
今回、右側の内部については何事もないと判断しましたが、そのまま組み直せるわけではありません。
エンジン右側のカバーを再度組みなおすためにはカバーとエンジン本体の間のガスケットが必要です。
右カバー内部にはミッションオイルが溜まってるのでガスケットに問題があるとオイルが漏れまくります。
ミッションオイルなのでそれほどダメージはないとはいえ、エンジンからオイルが垂れてるのは気分がいいものではありません。
エンジンをバラしちゃっていますが、KDX125SRのエンジン関係のガスケットは現時点で手に入るんですかねえ。
最悪、ガスケットシートから自分で切り出すしかないですなぁ。
※ウォーターポンプ周りも分解しちゃったのでここのガスケットも必須ですし。
複雑な形状のガスケットを自作するのは結構難しいんだよねえ。
ちなみに・・
ガスケットは分解するごとに極力新品を使いたいです。
ガスケットの再利用をすると不要なトラブルを招くリスクが高まるからです。
その1で書いたワタクシのRZ250レストア時のウォーターハンマー現象は、
明らかにシリンダーヘッドガスケットを再利用したから起きた現象です。
下手すりゃエンジン壊してました。
ガスケットをケチったばかりにエンジンを壊す事態になりかねません。
↑これが最悪の事態。
ガスケットは見た目に問題がなくても再利用すると
歪みや折れ、欠けなどでエンジンオイルは普通に漏れることがあります。
目に見えないようなガスケットのほんの少しの凹凸でもオイルはにじんできます。
液体が隙間から浸透する能力をなめてはいけません。
ガスケットというのは金属同士を接合させたときの極わずかな隙間を埋めるためのものです。
ガスケット自ら凹んで変形して隙間を埋めています。
※ゆえに金属の加工精度の低い昔のガスケットは厚く作られています。コルク製とかもある。
金属同士の接合面のわずかな隙間はガスケット自体の変形で埋まるのです。
ただし。
ガスケット素材は次第に劣化して硬化します。
この際、張り付いた金属同士をはがすとガスケットは毛羽だったり剥がれたり折れたり切れたりするのです。
ココから容赦なくオイルや冷却水などの液体が漏れるということになります。
旧車はパーツが出ないため、液体ガスケットだけで対処するようなレストアも聞きますが、
再度ばらしたときに絶対後悔するのでやめたほうが無難です。
※それに液体ガスケットを均等に塗布するのは結構難しいです。液体ガスケットの余分がエンジン内部でオイル経路をふさいだとかシャレになりません。
実際、プロの旧車の整備でもそういうのをたまに見かけるんですが。
※旧車をバイク屋に預けるとそういうことになりがち。
液体ガスケットはガスケットシートの固定用に薄ーく塗る程度ならいいのですが、
ガスケットシートの代わりに使うような作業はなんだかねえ。
エンジン腰下の左側を分解してみる

ならば左側を分解してみます。
それでだめならエンジンをセンターで割ってクランクまで取り出す所存です。
左側には発電系と点火タイミングのピックアップコイルが含まれています。
特殊工具を使ってローターを固定して、
エアインパクトレンチで17mmのナットを回してローターの固定をフリーにします。

KDX125SR2号機のエンジン。
こういうことです。
エンジン整備台はとりあえず木材で組んでみました。
ローターは力ずくでは外れないので、
これまた別の特殊工具を使ってエンジンから分離します。
※KDX125SR1号機でやってるので特殊工具は当倶楽部ガレージに既存でした。この手の工具は10年に一度くらいしか使わない。
で。
ここでキックアームが下りない理由が判明しましたよ。
ローターの裏にある発電系のコイルを固定する2本の6mm皿の+ネジが浮いています。
コイルが固定プレートごと浮いて、回転するローターに引っかかってキックアームがが下りなかった、ということですな。
※無理やりキックしてたらコイルが粉砕してた可能性があるので分解して正解ですな。

KDX125SR2号機のエンジンコイル固定ねじ1。

KDX125SR2号機のエンジンコイル固定ねじ2。
2本のネジは両方とも浮いていていてコイルが固定されていません。
ローターを外した時点でクランクは普通に動くようになりました♪
原因がわかってホッとしました。
とりあえず、
エンジン腰下のセンターを割ることはせずに済みそうです。
あーここかぁ。
なんというか既視感があるのです。
というのも、
ワタクシはKDX125SR1号機で今回と同じ現象を見たことがあったのですよ。

KDX125SR2号機のエンジンコイル。
これが外部のローターと接触しててキックが下りなかった、ということです。
ちなみに・・
KDX125SRの左側のエンジンカバーは樹脂製です。
この部分が金属じゃなくて樹脂なのかは疑問に思うことがあるのですが、
せめて汚れ防止の塗装くらいしてほしいもんですな。
というのも、
安っぽい梨地みたいな樹脂の表面に汚れがしみ込んで全然取れないのです。
なので現存しているKDX125SRの右カバーはたいてい汚いです。
※色を塗る以外、どうしようもないです。
で。
裏側はさらに謎で。
カバーの表から4本の+ネジで裏側に鉄板が固定されています。
恐らく転倒時に発電系を守るための対策であろうと思われます。
この鉄板は粘度が高く流動性のあるコールタールみたいなものでさらに固定されています。
これを下手に触ると手について非常に汚くなります。
この鉄板が緩んで発電系内部で暴れまわれば確実に発電しなくなるので対策としてはいいのかも知れませんな。
※その場しのぎという話もあるけど。
KもしかしてKX125がそういう作りだったのかもしれませんが、
DX125SRの原チャリクオリティはこういうところにも散見されるのです。
※あまりに汚れて作業のテンションが下がるんで2号機はカバーの裏のコールタールを上からシリコンで固めちゃいました。
とにかくKDX125SRの樹脂部品は全体的に安っぽいのよ。
経年劣化すると全くオイルの染みが取れなくなります。
コストカットなんだろうねえ・・。
これ、設計ミスじゃないの?

発電系のコイルがエンジンから浮き上がってローターに引っかかってたからです。
なんだそれは?
ほかの車種では聞いたことないぞ。
でもワタクシは経験があるのです。
KDX125SRの1号機で。
発電コイルの固定が緩んでエンジン内部で暴れる。
実はジェネレーターのコイルがエンジンから浮くトラブルはKDX125SR1号機でも経験があるのです。
この時は近所の林道から出た直後にガラガラ言い出したので大事を取ってエンジンを切って軽トラで回収したのです。
今回はキックが下りなくなりましたが前回はキックは下りました。
とはいえ、大事を取って正解でした。
※コイルが粉砕したりしたらさらに大ごとになるので。
こんなトラブルはほかのバイクでは聞いたことがありませんが、
KDX125SRではメジャーなトラブルなのかもしれませんな。
前回、1号機でコイルの固定が緩んだ時はワタクシのネジの締め付けトルクが緩かったとして納得したのです。
要するにワタクシのミスが原因ということです。
※こういうことがあると自分自身を全く信じられなくなりますな。
が。
異なる2台の個体に搭載されたエンジンで同じ現象が起きた、となれば話は別です。
「これって設計ミスじゃないの?」
ってことです。
コイルのプレートを固定するネジはただの+の皿ネジで確かに締め付けトルク管理は難しいです。
かといって、
エンジンの熱があるのでネジロック材は使えないし、
物理的なスペースの問題があるので各種緩み止めワッシャーなども使えません。
コイルのプレートには皿ネジの頭が面一になるように溝が彫られてるので締め付けトルク管理がしやすい代替ボルトも使えない。
したがって、この部分には有効な緩み止め対策ができないんですよ。
※そもそもこういう箇所に+の皿ネジを使うかね?
で、だ。
少しでも緩み止めになる方法をいろいろ考えました。
純正では20mmの+皿ネジ(ネジ部は15mm)でコイルのプレートをエンジンに固定してあります。
この部分、どうやら25mmの+皿ネジも許容するくらいエンジンのネジ山が深く掘られています。
幸いネジ山は だいぶ 生きています。
というわけで。
近所のホームセンターでステンレス製25mmの皿ネジを調達して、
純正より5mm長いネジを使って少しでも緩み止めにするということにします。
3本入りで250円です。
これで固定がまともにできれば安いものです。
これに 熱で無駄になる可能性が高いので気休めですが ネジロック剤を塗布して固定することにします。
コイルの固定方法はともかく、コイル自体ののダメージが気になります。
エンジン内部で動いてキックアームを踏めないくらいガッツリずれたコイルがノーダメージとは思えません。
見た目は大丈夫そうですが電気は見えませんからねえ。
無事ならラッキーということです。
マニュアルによればコイルの稼働状況のチェックは、
エンジン始動後に行うことになってるので二度手間かもしれませんが一度組んでからのチェックとしたいのですが、
面倒くさいため この際なので勉強がてらコイル単体でチェックする方法も模索することにしてみますかね。
この辺はあんまり知識がないのよ。
※Z1-Rの時もジェネレータ全とっかえで対処したし。
コイルがダメだった場合、新品はすでに欠品なので中古パーツ探しから始めねばなりません。
そうなると面倒くせえな。
※心が折れかかっています。
ちゃんと動く予備のエンジンを誰か譲ってくれないかな。
※車体丸ごとなら口説き落とせそうな人の心当たりはあるのですが3号機は要らないなぁ。
まとめ

最初からエンジンの左側を開ければ瞬時に分かったのにねえ(´;ω;`)
キックアーム関係だと思ったんだから仕方ない。
ワタクシの誤診ってやつです。
とりあえず。
キックアームが踏めない原因が分かりました。
理由がわっただけで対処はこれからせねばなりません。
対処っていってもコイルがダメになってるならパーツ探しから始めねばばなりません。
長丁場になる気配がしますな。
まさかエンジン内部で発電機のコイルが踊ってるとは思いもしませんでした。
※ワタクシの経験だけで2回目なので結構そこら中で発生してるんじゃなかろうか。
この話、ネットで検索しても出てこないんだよねえ。
ワタクシにだけ起きる全くの偶然ですかねえ?
まあ、いい。

DT200WR。
ほっとしたし、パーツがないとこれ以上作業は進まないので北アルプスが綺麗に見える秘密スポット迄散歩に行きました♪
GWから梅雨に入るまでの間は山が本当にきれいに見えるのよ。
これだけで長野に移住して良かったと毎年思います。
ともあれ。
とりあえず、クランクとかの大物が原因でなくてよかった。
↑こうなると諦めムードが一気に高まる。
何とか再び路上復帰させられそうな目途は立ちました。
ガスケットとかシール類の入手ができれば半日もあれば組みあがるのですが恐らくほとんどが欠品でしょうなぁ。
※パーツが入手できない場合はまたしばらく作業はストップになります。

セロー225W。
コレも知る人ぞ知る北アルプス展望スポット。
こんなにきれいに北アルプスが見えるのに当然のようにだーれもいない♪
意外と軽症っぽいので 数多いKDX125SRの数多い盲腸の一つである 粉砕しているドライブスプロケットガードのステーを金属硬化パテで作ってみようと思います。
※オマケパーツではあるのですがブーツのすぐ内側でスプロケがぶんぶん回ってるのは怖いのよ。
そうは言ってもとっととエンジンくみ上げないとガレージにエンジンパーツが散乱してるのはいただけない。
だいぶガレージのものを断捨離したのに意味がなくなります。
KDX125SRは1号機で全バラして組んだ経験があるのでメカ的な興味は薄いため、それほど執着はないとはいえ、
短い長野のバイクシーズンを有効に使いたいので精力的にエンジンを直して少しでも早くガレージを片付けようと思います。
とはいえ。
車検(普通車×1、軽自動車×2、バイク×2)、税金、任意保険、自賠責と出費が続くので全然予算がないのも確かなのです。
当ブログは爪に火を点すような赤貧の中で書いています。
マジで金にならないブログを書く時間があればバイトしたいくらいなのです。
こんな儲からないブログなんてやめて、投げ銭でももらえるメディアに移ろうかと真剣に考えることもあるのです。
ついでに 町内会の役員の仕事も増えたので 休日の暇もないのです(´;ω;`)
マジで勘弁してほしいわ。
※本気で農家のお手伝いして日銭を稼がねばならないかもしれないくらい貧乏です。