
バンパークリップ、樹脂リベットともいわれますな。
何という名称なのかイマイチよくわかりませんが車の樹脂部品などを固定するのに使われています。
これ、ものすごい種類とバリエーションがあるのですよ。
昔はカウルやバンパーなどはネジ止めだった

バイクのカウルを抑えながらネジを止めるのは結構大変でしたし、ネジ穴が割れたりしたものです。
かつてバイクのカウルはネジ止めでした。
しかも何か所も止まっています。
隠しネジや爪的なものもあって力任せにカウルを外すと割れちゃったりしましたな。
いじり壊しというやつです。
※当時、RG-γのフロントカウルの代金は原付より高かったので壊すとみんな青くなったもんです。
そんなリスクを負いながら、
昔のバイク小僧どもは何度も何度もネジを外してカウルを外して整備をしたのです。
※ワタクシがカウルが嫌いなのはこれが原因。面倒くさくてやってられないのよ。
そうそう。
昔は車の外装部品もネジ止めでした。
国産車はまだマシでしたが鉄板ビスで外装を固定してる車種も少なくなかったのです。
※ワタクシは旧miniのフロントグリルが鉄板ビスで適当に固定してあるのを見て本気でびっくりしたものです。
そんな刷り込みがあるので、
未だに車やバイクの外装品はネジというかボルト止めのほうが安心感があります。
当時はそれしかパーツを固定する手段がなかったんだろうし、
部品固定に必要な加工精度も結構適当だったのでボルトで固定したんだろうしねえ。
ただし。
最近の車やバイクの外装の多くはネジ止めではないのです。
樹脂製の「プッシュリベット。」というパーツが多用されています。
※それと合わせて隠し爪的なパーツ自体の加工による固定が一般的です。
「こんなので大丈夫なんか?」
そう思うことありません?
現在の外装固定は「プッシュリベット。」が主流になった

外装の固定には従来の金属ネジも使われていますが応力的に負荷が高い箇所に限られているようです。
外装の負荷が低い箇所の固定は金属ネジから軒並み「プッシュリベット。」に置き換わっています。
「プッシュリベット。」というのは、
樹脂のリベットの頭部分を文字通り手で押し込むことで末端が広がって2枚の板状のパーツを固定する樹脂パーツです。
単体では大した強度はなさそうで頼りないのですが、
お手軽で軽量で安いので 最近の国産・外車にかかわらず、外装パーツの固定に多用されています。
従来の金属リベットと違って永久結合ではなく、
頭部分の溝にマイナスドライバを突っ込んでをこじ開けるようにすると外れるものもあります。
※プラスドライバで回して外すタイプもあり。
初期の「プッシュリベット。」は内装の固定とか強度的にはどうでもいいような箇所の固定に使われてたのですが、
最近はカウルやバンパーの強度がかからないような箇所の固定は今ではすっかり「プッシュリベット。」ですな。
※強度が必要な個所は数か所が金属ネジ止めではあるものの。
車のホイールハウスの内側などにもよく見かけます。
※強度的に大丈夫なんですかねえ。100km/hで走行中に外れたら嫌だな。
主にコストダウンという理由があるのでしょうがその使われる範囲がどんどん広がってるように思えます。
最近の車は燃費競争とコスト削減でmg単位で重量を削ってるという話も聞くし。
確かに 外さなければ 工具要らずだし、軽いし、作業性も高いし、
「プッシュリベット。」自体は製造コストが安そうなのでメーカーがこぞって使いたがるのもわかります。
※でもなんだか安っぽいのは否めない。
自分で整備しない人にとってはどうでもいいことですが、
なんだかいいことづくめな気もします。
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ちなみに・・
「プッシュリベット。」にはいろんな種類がありまして。
イマイチ規格が不明確でもあるのですが基本的には頭の径と軸の径と長さで決まるようです。
大物を固定するには軸径が太いものみたいです。
メーカーにもよりますが、
車によく使われてるのは6mmから7mm程度の軸径のものっぽい。
当倶楽部では7mm径のSUZUKIやTOYOTA向けのモノをたくさんストックしてあります。
良く調べずに太い軸径の「プッシュリベット。」を買ったけどイマイチ使い道がなくてデッドストックになってたりします。
※ものすごい種類があるので勘で買わずに、ちゃんと調べてから買ったほうがいいです。
「プッシュリベット。」には多種多様なサイズや種類があるのです。
汎用品ならまだしも、
特殊なサイズや用途だと入手に苦労することもあるようです。

ストックしておいても損はない
そうそう。
大昔の「プッシュリベット。」は中心の軸部が金属の釘だったりします。
押し込んで樹脂部を広げて固定するのは基本形は変わりませんが、今よりはるかに細くてちゃちいです。
ロータスヨーロッパの純正シートの背面部に皮を固定するのに使われています。
※ロータスヨーロッパは スーパーカー扱いされることもありますが 作りはものすごく適当でちゃいちいです。
またアルミ製の「プッシュリベット。」もあるようです。
アルミの特性上、一度結束した後、外したら変形して使えなくなと思うけれどねえ。
※高価ですが強度はなさそうなので見栄え重視用ってことですかね?
便利だがデメリットも多い

劣化からか、自然となくなってることが多い気がします。
ネジやボルトと違って「プッシュリベット。」にはあんまり汎用性はありません。
あくまでも、
「工具不使用で平面同士が接触するそれほど強度が必要でない複数のパーツを固定する。」
ことに特化しているように見えます。
ゆえに。
ネジやボルトのように
「プッシュリベット。」は上手くやらないと一度外すと使い物にならなくなります。
所詮、柔らかい樹脂なので無理やり取付られちゃうのですよ。
※同形状でも劣悪な樹脂製だと劣化スピードが段違いだったりしますしねえ。

劣化したプッシュリベット。
ひん曲がってよじれて途中で折れてる。
一度折れたり、削れたり変形したりすると「プッシュリベット。」での固定度合いは確実に甘くなります。
それに。
何度もつけ外しすると固定部の軸そのものが摩耗してガバガバになります。
こうなると風圧や振動でパーツ同士が動いたりします。
どこかにストレスがかかるのは明白。
いつ外れてもおかしくないので危険です。
※「プッシュリベット。」に限らず、パーツの固定は少しでも浮いてたり動くようならパーツ同士を固定している意味はなくなります。
10年も乗ってるような車だと、どこかしらの「プッシュリベット。」がなくなってるのは普通です。
走行中の異音の正体が「プッシュリベット。」の脱落によるパーツの共振だったなんてことも良く効く話なのです。
※走行中のビビり音が発生する原因がプッシュリベットのガタだったりします。
「プッシュリベット。」を外す必要のある何らかの整備の後で、
しばらくしたら「プッシュリベット。」自体がなくなってた、なんてことは本当によくあるのです。
※プロに依頼しても良くあることですよ。プロとはいえ、ちょとした整備なら普通だと「プッシュリベット。」を新品にしてくれません。
そもそも。
などの制約があるようです。
はっきり言うと。
金属製のネジで固定されるような強度の必要な個所に「プッシュリベット。」を使うのは難しいと言いうことです。
逆に。
「プッシュリベット。」で固定されてた箇所を金属製のネジに置き換える場合も問題があります。
その箇所は柔らかい樹脂の「プッシュリベット。」で固定することが前提で設計されているのでその箇所の強度はあんまりないのです。
無理に金属のネジで固定しようとするとパーツを破損することがあります。
ゆえに。
装着してた「プッシュリベット。」がなくなった場合、
タイラップなどで仮固定しておき、速やかに同形状の「プッシュリベット。」を入手して補修するのがベストです。
下手に金属製のネジで固定しようとすれば、パーツが割れたり欠けたりするリスクが伴いますよ。
※おそらく、ちょっとした締め加減で樹脂パーツは割れちゃうはずです。
要するに。
「プッシュリベット。」を使用している箇所は「プッシュリベット。」でしか固定できないように設計されてるので金属製ネジを使うのはリスクを伴うということです。
「プッシュリベット。」は一瞬便利そうに見えますが、
逆になんだか面倒くさい気がしてきますな。
自分で整備しない人には関係ないのかもしれませんがね。
ちなみに・・
「プッシュリベット。」の特性の一つは、樹脂なので金属で固定するより適当な柔軟性を得られるということもあります。
というのは。
車やバイクの外装は速度を出すと結構振動するのです。
金属製のネジでがっつり固定しちゃうと逃げがなくてパーツ自体が割れ多利ひびが入ったりすることもありますが、
樹脂製の柔らかい「プッシュリベット。」なら多少の許容範囲があるので割れにくいらしいのですよ。
※カウルより先にプッシュリベットが潰れるので。
バイクのカウルや車のバンパー、ホイールハウスの裏側などは風の抵抗をもろに受けます。
多少動いても割れないことを想定してるのかもしれません。
※これらはパーツ自体も柔らかいので適当に歪むしね。
走行時にパーツが動く分、
放っておくと「プッシュリベット。」の樹脂が削られて痩せて脱落しやすいというデメリットもあるのですが。
ホームセンターでも売ってるが

ホームセンターで売られるようになると「DIY整備の一般人にも浸透してきた感。」が増しますな。
車用品が充実しているホームセンターなどで小分けになった「プッシュリベット。」が売られるようになりました。
これが結構高い。
この手のパーツの小売りはたいてい高いのですが、
金属製ネジ並みかそれ以上の価格帯で売られていることもあります。
※下手すりゃ100円/本というぼったくり価格で売られてたりしますな。

エーモンのは高い。
ホームセンターで買うと平気で500円くらいします。
所詮、樹脂なのでクオリティは金属製ネジに及ばないし量産効果とか考えたら半額以下でもいいハズなんですが。
かといって、
スケールメリットを狙って業者用の数百個単位で買っても下手すりゃ一生分になるでしょう。
※しかもサイズが合わないと意味ないしね。
ワタクシはネットで20個くらいの小分けを購入しています。
ホームセンターより割安です。

ほんとに多種多様なのでしっかり採寸してから適合してるものを探そう。
↑このリンクからいろんなプッシュリベットを検索できます。
なので。
古びたり痩せたりした「プッシュリベット。」はガンガン交換しています。
ホイールハウス付近の「プッシュリベット。」は痛みが激しいので一度外したら再利用はしないくらいの勢いです。
これなら20個くらいは割と短期間で使いきれます。
古びた「プッシュリベット。」は
しますのでさっさと交換するに限ります。
※でも ケチなので もったいない、という気もある。
樹脂の「プッシュリベット。」は金属製ネジと違って錆びない分、
一見劣化してないように見えますが細かい振動や水分、熱や油などによって確実に劣化は進んでいます。

プッシュリベットの新旧。
古いほうはクモの巣ついてますな。
たまに車のホイールハウス内をチェックすると「プッシュリベット。」がなくなってることは少なくありません。
幸い走行時に異音などが発生したことはないのですが、
「プッシュリベット。」がなくなったままだとちょっとダサいのです。
こういうところにもしっかり手を入れておくのが車自体をきれいなまま長持ちさせるコツです。
※マニアはそういう所を見ます。ワタクシがそうです。
ちなみに・・
当倶楽部の所属者の中ではラパンSSは もともとはねーちゃん車なので 「プッシュリベット。」の使用が多いです。
もう20年選手ですから仕方ないのですが、ホイールハウス内の「プッシュリベット。」は結構なくしました。
劣化したプッシュリベットは、何となくプッシュしてもロックが甘い感じとかは確実にわかるのですが、
「まだいけるか?」
と思って再利用すると大抵なくなります。
樹脂なので路面に落ちても他車にダメージを与えることは少ないと思うのですが、
やっぱり道路にゴミを捨ててるのと変わらないので劣化に気が付いたらマメに交換するのがベストではないでしょうか。

ホイールハウス内のプッシュリベット。
ラパンSSのフロントタイヤハウスにはこれでもかというくらいプッシュリベットが使われています。
特に「プッシュリベット。」が多用され始めた20年くらい前の車は要チェックですよ。
20年位前の車についてる各部の「プッシュリベット。」がピンシャンしてる。
完全にカッコいい。
こういう所にまで気を配ってるオーナーの意気込みにしびれるのです。
まとめ

劣化したり痩せたりしたらさっさと交換してしまいましょう。
まあ「プッシュリベット。」がなくなっても気にしないとか、
劣化してても交換しなくても別にいいよていう人はそれでヨシ。
自分の車なので好きにやればいいと思います。
ただし。
そういう所を見てる人は見てるのです。
きちんと整備されてる車はオーナーの愛情を受けてる幸せな車ですよ。
※見せかけの綺麗さとはちょっと違うんですよ。
今どきの車やバイクに多用されている「プッシュリベット。」ですが、
自己メンテしてる人の間でもあんまり話題になりませんな。
メーカーによって独自形式だったり、独自形状だったり、規格がいまいち不明確だったりするので無理もないのですが。
そのうち規格が統一されるのかもしれません。
※もしかしたらすでに規格がある?ワタクシが知らないだけ?

ラパンSS用のストックだけで数種類ある。
数十本単位で買っても全とっかえするとあっという間になくなるよ。
呼び名もイマイチ統一されてないですしねえ。
バンパークリップとかプッシュクリップという表記もありますね。
単価は高いが便利なエーモンからは「プラスティリベット。」という商品名で売ってたりもします。
メーカー毎に呼び方が違うのは特許の関係なんですかねえ。
こういう汎用的に使うものはわかりにくいので呼び名と規格を統一してほしいもんですな。
そうそう。

プッシュリベットが無くなってたので暫定的にタイラップ止め。
出先で発見したので暫定処置。
当倶楽部の車やバイクには暫定補修用のタイラップが複数搭載されているのだ。
「プッシュリベット。」がなくなったからと言って、
安易に金属製のネジ等で補修すると固定するパーツが割れることもあるのです。
そういうことを知らずに整備するといじり壊しというorzな結果になりかねないのです。
※みんな何度かやって痛い目みるんだけれどね。
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