今回は「キャブ周りのホース類を一新する。」作業を行います。
VT250Fというのはレイアウト的にキャブ作業をするには手間がかかる車種です。
タンクや外装を付ける前にキャブ周りの作業を進めるのです。
当記事の目次
エンジンは始動したものの
すととと・・と大人しくエンジンは回ってくれています。
でも、気になることがあるのです。
キャブ周りの配管が汚い。
ホースが軒並みダメになっているようです。
ガソリンタンクから配管される供給用のホースは、エンジン始動の際に一部作り変えました。
おかげで、ちゃんとエンジンはアイドリングするし、高回転まで回ります。
※極低速のアクセルのツキがイマイチなのは「やっぱり硬化が始まってきたダイアフラムかな。」とは思うけれども。
ですが。
それ以外の負圧を拾ったり大気開放してたりするホースがボロくて汚い。
VT250Fというバイクは、キャブ周りの作り込みが結構凝っています。
※その代わり、リアブレーキ周りなどがものすごい貧相ですが。
キャブに到達するには、
などを外さないといけません。
素晴らしく面倒くさい作業です。
エアクリボックスを外したところ。
すんごく面倒くさい。
普通のユーザーはメンテナンスではここまでやらないと思うので、ホース類もないがしろになってるのかもしれません。
全ての配管やホース類は、メーカーが考えた最良の長さと位置に配置されています。
バイクのホースというのは一本たりとも不要なものがないわけです。
ユーザーが勝手に、これは要らんだろ?みたいな判断をしてはいけないんですよ。
ゆえに、
「あるべきところにあるべきホースが健全な状態で配置されている。」
のが理想です。
※こういうのを考えていくと、メーカーがそのバイクにかける設計思想というか、意気込みが伝わって来たりするものなのです。
ホース類の経年劣化による破損がすさまじい
放置期間も10年以上と思われますので各部の劣化はひどいです。
大丈夫かな?と思っても外してみると、
などなどダメなパターンのバリエーションはいろいろありますが、再利用には厳しいものがありますな。
こういう状態のホースの再利用は論外です。
大体ホースを外す際の感覚で「これはダメだな。」というのがわかるもんです。
ホースの劣化の度合いは、
を見ればわかるものです。
ホースというのは切り口部や曲がってる箇所には相当なストレスがかかってるものなのですねえ。
ストレスがかかってる箇所から劣化していくように思えますね。
古いバイクのホースというのは既にゴムの弾性を失ってるので、なかなか外れないものも多いです。
こういう便利工具もある。
一応当倶楽部のガレージにもあるけど、劣化が進んだホースには意味がないです。
そういう場合はラジオペンチで無理やり外します。
大抵千切れたり、割れたりするのですが遠慮なくいきます。
遠慮しても割れたりちぎれたりしたホースは元には戻りません。
どうせ入れ替えるので、思い切りも大事なのです。
バイクのホース類というのは、消耗品ですよ。
10年も経てば、ほぼ確実に劣化していますの。
ちなみに・・
透明のピンクや緑の耐油ホースはホームセンターでも売っていますが、ガソリンホースとして使わないほうがいいですよ。
次第に硬化して縮んで最後には折れます。
当倶楽部では耐ガソリンホースは、某輸入工具店でメーター売りしてくれているものを使っています。
※少しでも劣化したらホイホイ切ってサイズを調整して交換しちゃいます。出先でトラブルより安いもんです。
強度や耐久性が高いホースに繊維が織り込んである商品もありますが、バイクには 高いし かさ張るし硬くて使いづらいです。
※車のガソリンの配管には強度のあるホースを使っています。単にスペースと取り外す頻度の問題です。
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レストア趣味人は各種ホースのストックを持っている
当倶楽部では、内径4mm、5mm、6mm、8mmのホースを常時ストックしてあります。
※一部特殊なラジエターホースもありますが、旧miniがなくなった今となっては使う頻度はほとんどないです。
バイクのガソリンホースだと、大体6mmと8mmを使うことが多いのです。
VT250Fはガソリンコックから出ている配管は10mmですので今回は10mmのホースを用意せねばなりません。
※途中で内径6mmの二本に分岐します。別に8mmくらいでもよかったのでは?
実は内径10mmのホースというのは結構レアです。
※純正パーツは欠品でしたし、某輸入工具店でも取り扱いはなかったです。
ラジエターホース迄ある。
かさばって邪魔なのだが。
なんだよHONDA。
内径10mmのホースって。
バイク用品店にも輸入工具店にも在庫ないってよ(笑)
全然一般的じゃねえんだよ。
※それくらい当時のHONDAは 独自規格が多く 狂ってて面白いメーカーだったんですが。
内径8mmのホースでも鮮度が高い柔らかいうちなら接続できました。でも一応内径10mmのホースをのんびり探します。
ま、気長に探しますよ。
ネットでは売っていますが、15cmもあれば事足りるのに1m単位でしか買えません。
※送料もかかるのでもったいない。
現物合せでサクサクとホースの更新
外したホースと同じ長さに切りそろえて付け替えるだけです。
ホースの交換は一本ずつやっていきます。
地味ですが、どんどん綺麗になっていくキャブ周りを見るのは満足度が高い面白い作業と言えます。
劣化しているとはいえ、現物のホースが付いているなら話は早い。
これを外して、新しいホースを取り付けていきます。
車体左側のサーモスタットの奥にあってちょっとアクセスしづらい。
この手のホースは、もちろんメーカーの純正でも買えるのですがいささか割高です。
純正部品のホースは、さすがに長さもドンズバで気持ちいいのですがとんでもなく高いので損した気分になります。
※昔RZ250のレストア時に思い知った。
そんな場合は、
を買うのが割安です。
ホースクリップが劣化している場合もあるでしょう。
安いホースクリップは弾性を持った針金の奴ですよね。
外す頻度が少ない個所はこれで十分なんですが。
これが錆びてたりするとなんかダサい。
こういう場合は、
結束バンド(タイラップ)で固定してしまえばよろしい。
※多少、機器側に抜け止めの段差が付いているならタイラップで十分です。 段差がなくてもしないよりマシです。
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ちなみに・・
「劣化したホースを全部一気に外してまとめて入れ替える。」
と、やりたくなりますが、
どこにどうついてたか一瞬わからなくなるので、
「一本外して更新する」
を繰り返したほうがいいですよ。
※大体皆レストアラーはこの手の失敗談を多く持っています。
その際、各種ガソリンホースのストックを多く持っておくと作業がスムーズです。
※途中でストックがなくなって買いに行ったり、再発注して時間が空いたりすると人間は忘れるんですよ。
車種によって違うけど内径6mmと8mmくらいはストックしておくといいよ。
※短く切ってボルトにかぶせてスペーサーにしたりできるし、便利ですよ。
ついでにワイヤにも注油
ワイヤ類の動きが渋いとアクセルの動きが重くて疲れるからです。
基本的に、VT250Fが発売された時代は250ccクラスの主なターゲットは女性や初心者でした。
そんな車種のアクセルやクラッチと言った操作が重い訳がないのです。
正しく動けば操作はラクチンなはずなのですよ。
※操作系が重たい、渋いというのはまったくもって整備不良です。
操作系の楽さ加減が、VT250Fが女性はもちろんバイク便などの職業ライダーやロングツアラーにまでウケた理由の一つです。
※燃費が良く、丈夫でよく回るエンジンを搭載していて、意外にパワフルで、車体が細くバンク角が深い、という理由もありますが。
アクセルワイヤの開け、戻しともワイヤインジェクターでCRC-556を注入してやります。
欠品になったバイクのワイヤを探しまくるよりはるかに安いもんです。
最近は二か所でクランプするのが主流なんだねえ。
※当倶楽部にもクランプが一個のやつと二個のやつがありますよ。
ワイヤへの注油作業は、年に一度くらいやっておくと軽い操作系を維持できます。
※極端な話ですが、雨天ツーリングの後は各部のワイヤに注油した方がいいですよ。雨の後は、思っている以上に車体全体の油分は抜けています。
当倶楽部の場合、
CRC-556でワイヤ内を軽く洗浄した後、チェーンルブ(金色の奴)を指して、油脂を保つようにしています。
※CRC-556の洗浄力と、チェーンルブの油脂保持力を生かした作戦です。
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アクセルワイヤは、キャブ側を外すとハンドルスイッチ側も外せるので右ハンドルスイッチ内も清掃&グリスアップしておきます。
※これでライトスイッチが軽快に動くようになりました♪
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クラッチワイヤにも注油を、と思いましたがこの日は時間切れ。
※ワイヤの注油+クラッチレバー周りを徹底洗浄&グリスアップしたいので保留としました。
ああ、ああ。
毎週3日くらい休みたい。
それか金、土、日を繰り返す日程で仕事したい。
給料安いんだから出勤日数で調整してもらいたいものです。
ちなみに・・
Z1系の4連キャブのセンターにあるアクセルワイヤに比べると、VT250Fのキャブ横にあるアクセルワイヤの取付けの簡単なことったらない。
※でもキャブのアクセルワイヤのタイコが付くところは目につかないほうがカッコいい気もするけど。
エアクリーナーへの空気取り入れ口がフレームネックにあるんですよ、このバイク。
VT250F、エンジン回りはいろんなものが理詰めで作られてるのがわかります。
今のHONDAは全然魅力ないですが30年以上も前に、こんなすごいエンジンを作ってたんだねえ。
まとめ
こういう地味なことの積み重ねが大事なのです。
※一個一個確実につぶしていかないと、あとで戻る行程が出ますので。
たかがホースですが、されどホースです。
もう一度書きますが、一本たりともなくていいホースなんてないのです。
ホース周りが新品になると、一気に見違えますね。
※エアクリ付ける前に写真撮るの忘れた。
キャブ周りが一気にシャンとしました。
一見、 エンジンの表面がボロくなければ 新品っぽい。
こういう過程も楽しんだ方がいいのです。
ホースが新品になり気分がいいので、片付ける前にもう一度エンジンをかけてやるのです。
アイドリングが安定しまいます♪
すととととと・・
と、異音もなく静かにエンジンが回りだし、最初盛大に吹いていた白煙も今はすっかり無くなりました。
極低速で少しモゴモゴ言ってますがね。
いい感じです。
見てくれを気にしなければ公道デビューは近いです。
※それよりも税金と保険代がないんだわ。
ちなみに・・
最近、こういう記事を書くといろんな人からお問い合わせをいただきます。
特にレストアを実施している人からのお問合せが多いです。
中には、特殊な職業の人もいたりします。
※メッキ屋さんとか♪いい出会いでしたな♪
ネットのだと人間関係が希薄になりがち、といいますが相互に情報交換できるつながりもいいもんですなぁ。
当記事は絵面がものすごい地味になりました。
こういう時は当ブログでは美味しそうな画像でごまかすことにしています。
でもオフ会はしませんよ。
何せワタクシが 面倒くさい 忙しいので。
道中で偶然会って声掛けられるくらいでちょうどいいのですよ。