今そんなのあるのかね?
当時の様なタンクパッドは見つかるのか?
それともまた自作するのか?そもそも必要なのか?
という記事です。
当記事の目次
タンクパッドとはなんだ?
かつてはタンクとシートの段差が大きく、タンクを挟み込みやすいバイクは流行ったのです。
この手のバイクにはタンクの傷防止として「タンクパッド。」の必要性を感じます。
当時の小僧の多くは「タンクパッド。」を装着してたのです。
ライダーはバイクに跨って乗りますので、
乗車時は両足の間にタンクがあって常に足の間に挟んでいることになります。
バイクの種類によってはタンクとシートに思い切り段差のついているバイクがあります。
タンクを抱え込むようなライディングポジションをとるオンロードスポーツ系のバイクです。
こういうバイクでは両足はもちろん、ライダーの股間部分がタンク後端に接触します。
それが事故の時、どういう事態になるかは想像にお任せするとして。
などが薄い金属でできた複雑な形状で塗装されているガソリンタンクに接触して傷になるってことです。
特にスポーツバイクはライダー自身が大きく動いてコントロールすることが多いので、
タンクの後端は傷だらけになるのですよ。
次第に傷が深くなって塗装が剥げたりすると凄く貧乏くさい。
当然、塗装が剥げればそこから錆が発生したりもしますし。
※再塗装は高いし、傷が付いたら成型するのはもっと高いですよ。
タンクはカウルと並ぶバイクの顔です。
特に自分が乗る際にタンクは必ず目に付くのでボロイとすごく気になるのです。
※中古車価格はタンクの状態で数万円変わるらしいのでリセール考えるならタンクは大事にした方が良いのです。
ゆえに。
その手のバイクが全盛だった時代には、
タンク後端のライダーと接触する部分に「タンクパッド。」と呼ばれるクッション材(素材はいろいろある)を貼り付けるのが割と一般的でした。
「タンクパッド。」を装着することでタンクの後端の傷を防ぐことができるのです。
要するに「ガソリンタンクとライダーの装備の金属部分を直接接触させないためのもの。」と思えばよろしい。
かつて、
バイク用品店では多種多様な「タンクパッド。」が売られていたのです。
当時「タンクパッド。」はそれくらいメジャーでバイク用品店では売れ線のアイテムだったのです。
割と安かったのでレプリカ系のバイクを買って最初にやった改造が「タンクパッド。」の貼付け、という人は多いんじゃなかろうか。
現在のバイクのデザイントレンドは、
かつてのバイクのようにタンク後端が切り立ってシートと段差があったりしませんな。
ガソリンタンク後端は斜めにカットされ、
ガソリンタンクとライダーの股間部分が依然と比べると接触する箇所が少ないです。
過去のレプリカバイクのデザインは現代のスポーツバイクのデザインとは違うのです。
ゆえに。
現代はかつてほど「タンクパッド。」の需要はなくなっているような気がします。
でも、
「タンクパッド。」を探している人はちゃんといるのです。
ワタクシです。
それも、
当時、流行った形状のデッドストックもののタンクパッドをひたすら探してたのです。
ちなみに・・
レプリカ時代にはバイクのシートとタンクに大きく段差があるデザインのバイクが流行ったのです。
競技用のレーシングマシンを模したデザインなので、
「タンクを両足でしっかり挟んで一体化する。」
こう考えるとかつてのレプリカバイクのシートとタンクに大きく段差があるバイクというのは一応理にかなっています。
※現実に公道で使うバイクにそこまでしっかりタンクを挟む必要があるかどうかは別ですが。
このデザインが流行ったのはスポーツ性が高いという理由だけではないのです。
タンク上面とシートに段差がある形状なのでシートを低くできます。
と、いうことは 実際それほど足つきはよくないのですが 足つき性が良いように見えます。
この手のタンクとシートに段差のあるバイクは体格に恵まれないライダーや女性ライダーにも歓迎されたのでした。
※その分シートはぺらっぺらだったりするのですが。
現代はタンクの後端部を斜めにしてライダーとの接触部が少ないデザインが流行りです。
バイクのタンクのデザイントレンドは縦長から幅広に変化したように思います。
跨った時点で圧迫感がないというか閉塞感が少ない感じがします。
バイクってタンクのデザイン次第で印象がガラッと変わるものなんですよねえ。
「タンクはバイクの顔。」というのもよくわかるってもんです。
ワタクシ個人の意見ですが、タンク単体でカッコいいバイクは大抵いいバイクです。
レプリカバイクにはタンクパッドは普通だった
レプリカチックなバイクにとってタンクパッドにはタンクに傷をつけないという本来の目的以外にも副産物的な効果があったのでした。
「タンクパッド。」はレプリカバイクが世に増えた80年代後半から90年代はタンクの保護目的でたくさん売れたのです。
全盛期のレプリカバイクはシートとタンクの段差が大きくタンク後端とライダーと接触面積が広かったためです。
レプリカ乗りは「クッションパッド。」や「硬質スポンジ。」「ウレタン樹脂。」と言った厚みのある「タンクパッド。」を装着してる人が多かったように思います。
中には太ももの当たるタンクの両サイドのえぐれた面まで回り込む「タンクパッド。」なんてのもありました。
中には、
「タンクパッドはデザインの上では邪魔になる。」
という人もいてタンクの保護するためにクリアのシールを貼る人もいました。
タンク後端の造形は曲面なのでクリアシールを上手く貼れず、しわが寄ったり波打ったりしてたものです。
※シールに切り込みを入れて曲面に対応させることもできるのですが当時の小僧は バカだったので そんな知恵はなかったのです。
が。
実は厚みのある「タンクパッド。」には傷防止の他にも効果があったのでした。
その効果とは、
「ライダーを強制的に若干バイクの後ろに乗らせる。」
ということです。
レプリカ系に代表されるハンドルが低くタンクを抱え込むようなポジションを強いられるバイクは両手で身体を支えがちです。
ハンドルを握る両手に力が入れば入るほど、ライダーはシートの前面に座るようになります。
こうなると自然に前荷重になるんですよ。
前輪に過重がかかりすぎてると峠の下りでは結構恐怖でして。
フルブレーキングで前転しちゃいそうな恐怖があるのです。
怖いからさらに両手に力が入るとさらにバイクは曲がりません。
怖いだけで全然面白くないスパイラルの出来上がりです。
※レプリカ小僧どもは恐怖を無理やり克服してましたが(笑)当時は峠の下りが嫌いなレプリカ乗りは本当に多かったのです。
厚みのある「タンクパッド。」は厚みの分、強制的にシート後端に座らせることができるわけです。
「タンクパッド。」は柔かい素材なのでそれほど効果はないように思いますが、
少なくともライダーが走行中に「タンクパッド。」の存在を意識して後ろに座り直すきっかけにはなるのでした。
ワタクシの所属していたツーリングクラブ内では「前輪一本足走法を解消するのに有効なアイテム。」と言われていました。
多くのレプリカライダーにとっての「タンクパッド。」はただのタンクの傷防止アイテムだったと思われますが、
ワタクシはこの経験のおかげで「バイクは後輪を軸に旋回させた方が安全かつ確実に振り回せる。」ということを学びました。
※後輪荷重で旋回する極意は旧車乗りやオフ車乗りには必須、ジムカーナで最小半径で回る際にも必須のスキルです。
ちなみに・・
厚みのある「タンクパッド。」は背が低いライダーにとっては後輪荷重の強制効果は微妙です。
ライダーがシートの後ろに座るとハンドルが遠くなるというデメリットもあるからです。
ライダーの体格に余裕がないと腕が伸びきってしまいます。
伸びきった腕には力は入らないし、より腕が突っ張る不自然なポジションになりがちなのです。
こうなると下り坂での恐怖度合いは逆に増えます。
体格に恵まれない人はただでさえ足つきが心配でびくびくしながら乗ってる人が多い。
それに加えて怖さが倍増するとバイクがさらに面白くなくなるのです。
ゆえに。
「タンクパッドは薄手。」
というセレクトもアリなのです。
まあバイクなんて楽しく乗れればいいわけでシートの着座位置で常時後輪への荷重を意識しなくても、
必要に応じてリアブレーキのコントロールで後輪荷重に持ち込めばいいだけの話です。
※後ろ乗りよりやることが多いのですが。
ゆえに。
ワタクシの経験上、小柄なライダーにはテクニシャンが多いのです。
ワタクシのライディングの師匠もZX-10でジムカーナやったり、峠でCB750FでFZR100を追い掛け回したりできるテクニシャンですが身長だけ見れば「小男。」です。
※↑うかつにこういうことを言うと峠で後ろにぴったりつかれるなど痛い目にあわされるので 師匠と崇めてから30年経っても 普段は絶対服従なのですが。
タンクパッドがいらないバイクもある
ライダーとバイクのタンクが接触する箇所がタンクの横だけ、というバイクがそれです。
「タンクパッド。」の必要可否はバイクの形状というかタンクの形状とシートの繋がりのデザインに寄るところが大きいです。
「タンクパッド。」が無くても物理的にタンクの後端がライダーに当たらなければどうということはないのです。
70年代のバイクはタンク上面とシートの上面の段差が少ないのですよ。
ゆえに。
「タンクパッド。」なんかいらないのです。
Z1-Rなんてタンク上面とシートの面が真っすぐなので不要ですな。
※タンクの後端の両サイドが角ばってるので内ももに当たるんですが「タンクパッド。」ついてるZ1-Rなんてみたことないし。
パッドが付く場所すらない。
また、
アメリカンやオフロード車にも「タンクパッド。」は不要ですな。
アメリカンはアップハンドルで後ろにふんぞり返るライディングポジションなのでライダーがタンク後端と接触しないし、
オフロードバイクはシートがタンクの上まで伸びてるのでこれまたライダーはタンク後端とは接触しないのです。
ゆえに。
「タンクパッド。」という文化が生まれたのは80年代のレプリカ時代と思われます。
レプリカ時代に生まれて栄華を誇り、レプリカが廃れるとともに廃れたアイテムということです。
今どきのスーパースポーツバイクは性能やキャラクター的には当時のレプリカと酷似していますが、
タンク形状は後端がスッパリ斜めに切り取られるデザインです。
ゆえに。
やっぱりライダーはタンク後端とはあんまり接触しないのでした。
※ストリートファイター系のタンクのデザインも同じですな。
ちなみに・・
タンクとライダーの股間部の接触が少ないバイクでもウエストポーチを前に付けるとタンクは傷つきやすいのです。
ゆえに。
最近のスーパースポーツやストリートファイター系に向けた現代版「タンクパッド。」が販売されています。
最近の「タンクパッド。」のトレンドは「薄手の樹脂製で切り込みが多数入ってて見た目は蜘蛛みたいな形状。」な奴です。
amazonや楽天、ヤフオクなどで「タンクパッド。」で検索するとこの手の商品がたっぷり出てきます。
車種専用品のタンクパッドもあって結構かっこいいので探してみるといいよ。
そう考えると「タンクパッド。」はメジャーかどうかはともかく、タンクパッドという文化自体はまだまだ生きてるのかもしれません。
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VT250FHはタンクパッドが必要なバイク
Z1-RやZ750D1はタンクとシートがフラットだしオフ車はシートがタンク上まで伸びてるし。
2023年の春にレストアが完了して公道に復帰した1987年製のVT250FHには「タンクパッド。」が必要でした♪
このバイクのキャラクターは全然レプリカじゃないのですが、
ライディングポジションは80年代後半のレプリカ全盛時代のトレンドを踏襲しています。
ゆえに。
タンクとシートには大きな段差があり、タンク後端はライダーに接触する面積が比較的広いのです。
これは「タンクパッド。」が必要な条件を満たしています。
段差のあるシートはちょっと古いバイクのデザインですな。
VT250FHが販売された時代はVTシリーズは既にスーパースポーツではありませんでした。
スーパースポーツの座は同メーカーの4気筒エンジン車に受け渡してたからです。
それまでRZキラーと呼ばれHONDAの4st250ccクラスのスポーツ車だったVTシリーズは新しく主力商品になった4気筒車と住み分けのため、
「初心者や女性などのエントリーライダーを担う。」
という役割を持たされたのです。
ゆえに。
「シートは極力低く。」
というのが絶対の命題でした。
※先代のVT250FEは初代のFCと比べて大型になったため、HONDAのえらいさんに「女子供が乗れなくなったらどうすんだ?」と怒られたという逸話があります。
VT250FG、FHが妙にレプリカとは違ったニュアンスのデザインをしてるのはこのためです。
特にFGは明らかに女性ユーザーを狙ったカラーバリエーションも存在したのでした。
※なので昔も今もオヤジどもには人気がない。だからこそ今安くてねらい目。
VT250FG、FHはこういう背景で販売されたので、
タンクとシートの段差がある当時のデザインを踏襲しつつ、シートの高さを極力下げてあるのです。
※現にシートが気持ち悪いくらい低いです。身長160cmで細めの嫁が乗っても両足べったりだし。
VT250FHは当倶楽部のバイクの中では唯一のセパレートハンドルで最もハンドルが低く、
ポジションは軽めの前傾姿勢になる上、タンクが長めなのでシートの前に乗りがちです。
その上、
足付きをよくするためかシートの前方が下がり気味なので気が付くとなんとなくシートの前に座ってたりします。
こういう時に「タンクパッド。」があると「後輪荷重。」を意識するきっかけにできます。
車体が軽いし前輪が16インチなので力技で無理やり曲がることもできますが、
意識して後輪荷重をすると驚くほど安定したコーナーリングをするバイクです。
※16インチ車はハンドリングがクイック、とか言われることがありますが嘘です。
VT250FG、FHのタンクは内部形状が複雑な上、錆びやすいので中古タンクの入手はほぼ絶望的ですので、
保護しておきたくもあるし。
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というわけで、
VT250FHの公道デビュー直後から「タンクパッド。」を探していました。
駄菓子菓子。
VT250FHのような古くさいデザインのバイクに今どきの「タンクパッド。」は似合わないのでした。
これは!という「タンクパッド。」がなかなか売ってないんですよ。
タンクパッドにも流行り廃りがあるらしい
出来れば80年代中盤にみんなが使ってたような「タンクパッド。」が欲しいのです。
見る人が見れば「懐かしい。」というようなのがいいな、と。
とか言ってたら「タンクパッド。」を探し始めてあっという間に1年以上が経過しました。
オークションなどを毎晩のようにチェックしましたが当時物の「タンクパッド。」は全然出てこないのです。
※惜しい!というのは何点かあったのですが黄色の「タンクパッド。」は黒い車体には浮くと思ってオミット。
昔のラバー系の樹脂素材でタンク後端だけカバーする奴がいいなぁ。
メーカーでいうとJTCとかナポレオンとかデイトナとかキジマとかがいい。
※今ネットで売ってる「タンクパッド。」は聞いたことないメーカーのものが大半。
当時あれだけ流通してたんだからデッドストックがあってもいいと思っていましたが、
バイクショップの廃業の際に単価も安いし大量に廃棄されちゃったのかもしれません。
※30年前、日本中にたくさんあった個人経営のバイクショップは8割くらい潰れたんじゃなかろうか。
とはいえ、
中古の「タンクパッド。」を使う気にはならないし。
※こういう身体が密着するパーツや装備の中古は嫌なワタクシです。
で。
当時の販売価格の倍の値段で入手したのがコレ。
※最後は探す時間と手間を考えたら多少高くても!という気持ち。もう二度と出ないかもしれないし。
パッケージも当時のまま。
日焼け跡もあったりプライスタグが付いてたりしてどこかのバイクショップの店頭に並んでた感がありあり。
※捨てられない(笑)
ゴム系樹脂なので経年劣化してる可能性もあったのですが割としっかりしているようです。
一応、劣化防止のためラバープロテクタントを吹いて保護していますが、
所詮消耗品のゴム系樹脂パーツですのでいつまで持つか・・。
※当時も紫外線や雨などにさらされ、経年劣化で表面がボロボロ崩れてる「タンクパッド。」を装着してたバイクは多かったので寿命は意外と短いかもしれませんな。
まとめ
無事装着できて一安心ですがいつまで持つかは不明とはいえ、
見る人が見れば「懐かしい。」思う「タンクパッド。」が手に入って満足です♪
いやぁ探すまでに想定以上に時間がかかったんもですが当時物の「タンクパッド。」を入手することができました。
たくさんデッドストック物があって楽に入手できる想定だったのですが思いのほか大変でした。
よく考えたら35年くらい前の新品バイク用品があることの方が奇跡なのかもしれません。
想定より高価でしたがこのチャンスを逃したら次いつ手に入るかわかりませんので、いい買い物だったということにしましょう。
「タンクパッド。」を装着した当倶楽部のVT250FHは何処に向かっているのか迷走していますが、
確実にツーリングスペシャルとして進化していてワタクシは満足です。
休憩のたびにタンクパッドを見て「むふふ。」とほくそ笑むのです。
今でもHONDA嫌いなワタクシですが1000kmのツーリングに行くなら、
Z1-RよりVT250FHを選ぶかもしれないくらいというレベルで気に入っています。
ちなみに・・
イメージしていた「タンクパッド。」が1年近くも見つからなかったので自作することもちょっと考えました。
ホームセンターの素材売り場には、
いかにも「タンクパッド。」になりそうなゴムや硬質スポンジ、シリコン系の素材がたくさんあって安いときた。
※最近のホームセンターの素材売り場を舐めてはいけない。
が。
経験上、この手の素材は厚みがあればあるほど素人がカットすると切断面が汚くなりがちです。
素材自体が歪んで変形するのでカッターなどでは非常に切りにくいし、
切った後、切り口を成型しようとしてもやっぱり上手にできないのですよ。
※プロはなんか切り方のコツを知ってるとか専用カッターとか持ってるんだと思う。
ゆえに。
極力最初から成形された素材を使いたいのですが、都合のいい形状の素材は簡単には見つからないのです。
※真四角のスポンジ貼るのは自作感丸出しで芸がないし。
とはいえ、
冬のオフシーズに色々研究してオリジナルの「タンクパッド。」を作ってみるのもありかな、と思っています。
ゆえに。
当時物の「タンクパッド。」を手に入れた今でも、
「これくらいの硬度のゴム系樹脂が良さそうだ。」
とか言いながらホームセンターの素材売り場を彷徨ってるワタクシなのです。