間髪入れずに次の工程の「タンク内部のコーティング。」作業に入ります。
いよいよタンクリペアの行程も後半。
ここで気を抜かない。
上手くやれば錆びたタンクも復活するのです。
当記事の目次
これまでの経緯
これが結構大変でした。
タンク内部の洗浄として、水道水を入れ換えることこと数十回。
タンクをシェイクした回数は恐らく1000回を超えるでしょう。
「うらぁ!」とか言いながらやっています。
真冬にやる作業じゃないです。
そして、タンクキャップの穴から箸でつまみだした錆や樹脂は百個以上。
時間にして丸二日はかかっています。
これはこれで面白いんですがは真冬にやると鼻水が、一瞬の迷いもなくつーっと垂れます。
・・よくやったワタクシ。
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これだけやっても、
内部の複雑な構造を考えるとやっぱり完璧ではないと言えます。
タンク内部には多少の錆やゴミが残っていることでしょう。
細かいことを考え始めると夜も眠れません。
こういう時は、もうえいやで。
PORタンクシーラーで固めちゃえばいいのですよ、ゴミや錆ごと。
関係ないですが「えいや。」っていうのはおっさん用語らしいです。
細かいことを言えば色々反論がある人もいるでしょう。
でもいいのです。
当倶楽部ではこれで何度もタンクを復活させた経験があるので。
知ったかぶりの机上の論理くらいで論破はされませんよ。
手を汚してお金をかけて失敗して今のワタクシがあるのです。
頭でっかちよりも 普段は全く信用ならないワタクシですが 実戦経験に基づいた作業や知識の方が、100倍信頼できるのです。
命にかかわること以外は、ですが。
いよいよ「PORタンクシーラー。」の出番
とにかく、硬化すると生半可な攻撃ではびくともしない。
※紫外線にはちょっと弱いらしいですが。
錆ごと固めてくれるので超心強いです。
今回、ある程度、いや出来る限り手を尽くしてガソリンタンクのゴミや錆を取りました。
とはいえ、
多少のゴミや錆がタンク内に残るのは、エアプレーンタイプのタンクキャップを装備した全てのタンクでは仕方ないことなのです。
前の記事でも書きましたが、なにせキャップ付近の内容物は逆さにしても出てこないので。
タンク自体を切開するとか荒業を使わない限り、不可能って奴です。
昔の人は言いよった
ノブナガ:取れぬなら壊してしまえ、ガソリンタンクの錆。
ヒダヨシ:取れぬなら取って見せよう、ガソリンタンクの錆。
イエヤス:取れぬなら取れる迄待とう、ガソリンタンクの錆。
この場合、全部×なわけで。
ワタクシ:取れぬなら固めてしまえ、ガソリンタンクの錆。
今回は↑こういう手法をとるということです。
※歴史に学べないこともある、という教訓でした。
ゆえに、
最終兵器「PORタンクシーラー。」で錆やゴミごと樹脂で固めてしまおうという魂胆です。
錆取りや金属安定化などは自前でできる上級者向け。
絶対的に安心できるセット。
説明書はよく読め。いいな?
ちなみに・・
当倶楽部ではもう10年以上前から錆対応ケミカルとして全信頼を置いているPOR-15です。
とはいえ、
常に錆の侵食が進行しているような箇所はやはり外部を固めても限界があるみたいです。
8年くらい前に当倶楽部のラパンSSのホイールハウス内のボディが錆で欠損しました。
欠損個所をPOR-15でFRP素材のガラスクロスとガラスマットを用いて固めて貼付けておきました。
すんげえ、硬化する。
そしたら。
POR-15の樹脂で固めたFRPの表面はまんま残っていましたが、裏側のボディ側は錆が進行していました。
これは、
ワタクシが錆対策を適当にしたまま、POR-15を塗布したためですな。
水は毛細管現象でどんな細かいところにも侵入してきます。
※空気より侵入力が強いらしい。
ゆえに、
やはり錆対策というのは錆のもとを絶ったうえで行うのが正しいですな。
そえれでも、
ラパンSSのホイールハウス内の隔壁を8年以上も固めてたわけで。
※裏は錆びてましたがそれはワタクシが悪いわけでして。
正しく使えば錆対策としてはやはり最強、というのは間違いないのですな。
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まずは「PORタンクシーラー。」を撹拌する
しかも「PORタンクシーラー。」は成分が沈殿しやすい銀色なのです。
使用前にしっかり撹拌してやる必要があります。
PORシリーズの薬液は缶に入って売られています。
缶の蓋は圧入されていますので、マイナスドライバーなどでこじ開ける必要があります。
※缶の蓋は結構硬いです。缶はどうせ再利用しないのだから破壊してもいいのですが薬液が飛び散ると大惨事になります。
PORシリーズが手に着くと
PORの薬液が手に着くと簡単には取れません。
普通の油汚れのように、
クリームクレンザージフ+爪ブラシの最強タッグでも歯が立ちません。
※もちろん、頭を洗えば手の汚れなんて取れるとかいうソフトな対応では全く歯が立ちません。
何もしないと1週間くらいは余裕で落ちません。
そんななので、
ワタクシは極力手に付かないように薄手のビニール手袋をしています。
銀色の薬液が目立つのが素晴らしい。
タンクシーラーの場合、使い捨てではない農作業用の黒のビニール手袋(ゴムっぽい)が最強、と今は思っています。
薬液がついても乾燥前なら拭き取れますし。
特に「PORタンクシーラー。」は銀色の薬液なので黒い手袋だと薬液が付いたと気に目立ちます。
薬液が付いた手袋で不用意にタンクなどを触って起こる二次災害を防げるというわけです。
※手袋に付いた薬液は速やかにペーパーウェスで拭き取りましょう。
それでも、
皮膚に付いたときは、速攻で拭き取る。
さらに、
塗料がついて気が付かなかいうちに乾燥した箇所は
「紙やすりで軽く皮膚を削る。」
という荒業に出るようにしています。
※でも爪と皮膚の間とか全然とれない。
「PORタンクシーラー。」の缶の蓋を開ける時には既にビニール手袋をすべきです。
ワタクシはちょっと気を抜いてしまいまして。
※ちょっと手に付いたんですよ、ええ。
それぐらい強力なので気を付けよう。
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缶の蓋を無事に開けられたら、割りばし的なもので内部を撹拌しましょう。
成分はかなり沈殿しているはずですが、薬液は銀色なのでわかんないんですよねえ。
一生懸命撹拌中です
この時点ですでになんか緊張感があるのがPORシリーズ。
手ごたえがなくなったらOK、と思うのですがそれでも成分のダマが残りがちです。
タンクに投入してみないとわかんないんですよ、薬液にダマがあるかどうかなんて。
撹拌中にこぼしたりしたらもれなく大惨事ですので注意深く進める必要があります。
ダマがなくなる迄しつこくかき混ぜてもいいのですが見えないし。
それよりも、
「早くこんな危険な薬液を手放したい。」
という焦りにも似た感情が高ぶってきます。
「焦っちゃいけねえぜ。」
といつも思うのですが、いつも大体焦って生きています。
※人生前のめりに生きるのが楽しく生きるコツです。
ちなみに・・
今回も ワタクシのセッカチ性が発症して 「PORタンクシーラー。」のダマが出来てしまいまして。
なんか下手なんですよねえ、ワタクシ。
※以前、施工したZ750D1もダマが出来ていますし。
普段見えない場所であるという甘えなのかもしれません。
もし給油口から見える位置にダマが付いてしまった場合の対処方法、誰か知りませんかね?
※まあ別にいいんですが。
PORは薬液が濃く、刷毛目が残りにくいので硬化する前に筆とか割りばしでダマを弾き飛ばしてもう一度タンク内に行きわたらせればいいような気もします。
「流し込んだ直後に発見したダマを見えない位置に筆などで弾き飛ばす作戦。」
ですかねえ。
でもタンク内に行き渡らせる際にダマが見える範囲に来ちゃったりすることもありそうだし。
最初の撹拌が足りない・・とは思わないんですけどねえ。
「PORタンクシーラー。」をタンクに流し込む
これをいよいよタンク内部に投入しましょう。
この作業のクライマックス、と言ってもいいでしょう。
ようやく「PORタンクシーラー。」をタンク内に投入するわけです。
では行きますよ?
おっと、まだ待て。
アドバイスがあります
「PORタンクシーラー。」をガソリンタンクに投入する際は絶対に「漏斗。」を使うべきです。
どんなに完ぺきな人間でもミスはあるのです。
ミスを極力減らすためには道具を使えばいい。
漏斗なんて100円均一でいくらでも売っています。
こういうものをケチるからアナタはイマイチ大物になれないのです。
漏斗を使って「PORタンクシーラー。」をタンク内に投入します。
薬液が落ち切ったら「漏斗。」は、
即座にペーパーウェス(キッチンペーパーの吸湿性がある奴でもいい)で綺麗に拭き取りましょう。
※固まるとまた厄介です。
万が一、タンクの表面に落ちた「PORタンクシーラー。」は速攻で拭き取りましょう。
PORシリーズを使う時はなんでも即時対応が基本です。
乾いたら取り返しは付きません。
タンクキャップ自体に薬液がつかないようにラップでくるんでタンクに装着します。
ここから、怪しげなガソリンタンクを抱えてぐるぐる回す「タンク大回転祭り。」が始まるのです。
あんまり会社の人には見られたくないシーンではあります。
そしたら、
慌てずにタンクをX軸、Y軸方向に回転させます。
何度も何度も回転させるのがコツです。
時折、ゆっくり、時には停止して薬液を下部にためてからタンクの段差や壁面に「PORタンクシーラー。」が行き渡るようにします。
「PORタンクシーラー。」は粘度が高いのでゆっくり動かす、確実に動かす、を心がけましょう。
タンク上部の裏側にも塗布したいので逆さにするのも有効です。
※絵プレーンキャップタイプのタンクはこれが超重要です。見えないので念入りにやりましょう。
ぐるぐるとタンクを回したり止めたりしながら、もういいかと思ったら余った薬液を排出します。
エアプレーンタイプのキャップ式ガソリンタンクだと給油口からは排出できないので、ガソリンコック取付位置から排出することになります。
素直なガソリンタンクであれば、普通にタンクを置いておくだけで内容物が排出できるはずです。
※当倶楽部のVT250FHのタンクはいろいろ傾けないとなかなか出てこなかったです。
これで終わりっぽいのですが、
でもエアプレーンタイプのキャップ方式のタンクだと、キャップ付近の塗布は難しいです。
そんな場合はホレ。
排出された余った薬液を筆塗りすればいいんですよ。
ちなみに・・
段取り良く上手くやれば「PORタンクシーラー。」一缶でタンク容量15リッター2台分くらいは施工できそうな気もします。
ワタクシもかつてはそう思っていました。
でもせっかく施工するんだし、けちけちして本来求める結果に及ばなかったら・・。
当倶楽部のVT250Fのタンクのように以前のオーナーが適当なコーティング作業をしたため、余計な手間になったら・・。
と考えたら、
1台一缶でちょうどいいと思います。
※余裕たっぷりでタンク内をコーティングした方が精神衛生的によろしい。
「PORタンクシーラー。」は一缶3000円ちょっとですのでこれを高いと思うか安いと思うか。
確かに二台施工できれば、一台当たり1500円とコスパはさらにアップしますけどねえ。
そうそう。
「PORタンクシーラー。」ですが、一度缶を開けた翌日にはがっちり固まると思ってたほうがいいです。
タンク内コーティング後に、ガソリンコック取り付け部から排出して、もとの缶に入れておいても固まります。
※長野の真冬でも、です。
ゆえに、
もし一缶で二台のタンクコーティング作業をしたいのであれば、速攻で一気にやるべきですよ。
※おススメはしませんよ、15lくらいのタンク二個だと多分薬液足りません。
「PORタンクシーラー。」をタンクキャップ付近に筆塗り
これも速攻を求められます。
エアプレーンタイプのガソリンタンクキャップ採用車はキャップから円筒状に真下に落ちる隔壁があります。
恐らく、バイクを振り回した際にガソリンが漏れるのを防ぐためではないかと思います。
この円筒状の壁とそれより上のキャップが引っかかる部分には、さんざんタンクを逆さにしても「PORタンクシーラー。」は付きませんでした。
全くよくできています。
ゆえに、
タンクキャップを外して「PORタンクシーラー。」が塗布されていない箇所を筆塗りするわけです。
何度も逆さにしたのですが。
また、タンクキャップの横には雨水をタンク下部に逃がすドレンの穴が開いています。
この周りもちょと錆びてたので筆塗りしました。
PORシリーズは筆塗りしても刷毛目が目立たないのが凄いですな。
※多めに塗ったらちょっと垂れた。でもキャップ付けたら見えないからいいや。
タンクの真裏に抜けるパイプがあり、これをエアクリーナーの蓋で受け止め、車体下部まで導く配管がある。
すげえ凝ってる。
また、余った「PORタンクシーラー。」は錆が酷い箇所に筆塗りしておいてもいいかもしれませんな。
ただし、
銀色なので目立たない箇所に、ですが。
施工が終わったら丸一日乾燥させればOKです。
念のため、乾燥中はキャップ部からホコリなどが入らないように、缶スプレーの蓋を加工してかぶせておきました。
「作業途中の画像がないのは必死に作業してたから。」
に他なりません。
手を抜いてるとか、もっと画像を掲載しろとか、毎回うるせえぞ。
まとめ
※タンクの外側を再塗装する可能性もあるけどまだ先でいいや。
以前は、バイクのガソリンタンクは中身が錆びてると、ホイホイ新しいタンクに交換するのが普通でした。
ワタクシもそう思っていましたし。
中古のバイクは新品は愚か中古のガソリンタンクすら入手が難しいので、そんなこと言ってられません。
高価な中古バイクを買ってもガソリンタンクの錆が原因でまともに動かない個体も多いのではないかと思うのですよ。
現在は古いバイクのガソリンタンクは存在しているだけでも貴重なのです。
未来永劫、二度と増えることはありません。
※タンクの形があるだけで穴が開いていてもマニアは再生しますからね。
今回も記事も絵面がものすごい地味なので、美味しそうな斜視を載せておきます。
タンクからガソリンが漏れていないなら積極的に直すべきです。
現在はいいケミカルがたくさんある。
これらを利用しない手はありません。
素人でもそれなりにできるハズです。
※失敗しても経験値が増えたと思って笑って済ますくらいの気構えで。
ほんとに信頼しています。
薬液が銀色なのとダマができやすいことを除けば完璧です。
今までなら捨てられるだけだったモノを工夫と知恵で利用できるようにする。
これこそSDGsではないかと思うんですがどうか。
※レストアというのは知識も技術も応用力も機転も判断も問われる壮大な趣味ですな。
もともとこんなだったのが、いろいろ工程を経てだいぶマシになりました♪
庶民には腐ったタンクのバイクをレストアするくらいしか楽しみは残っていませんな。
※レストアもパーツ高騰で高級な趣味になりつつあるのがもったいない。こんなに面白いのに。
中古バイク価格はだんだん下がってきたとはいえ、まだまだ高価です。
でかいバイクは買う人が限られてきたので、価格高騰は終息に向かってる気配がしています。
一方、250ccクラスのバイクは程度が悪いものが多いので売れた数に対して残存数が圧倒的に少ないです。
ちゃんと動くようにしておけば資産になるかもしれません。
※体力のなくなった中高年ライダーが軽くて維持費が若干安い250ccクラスに乗り換える可能性は高いのです。