これはパーツがない旧車を延命させるための手段の一つです。
ワタクシも以前から当ブログで記事を書いてきました。
結構よく出来ていましたが、それはどうなの?という点も多かったです。
ということで記事にしてみました。
当記事の目次
旧車を延命・生き残らせる一つの手段はEV化
この話はだいぶ前から知っていました。
雑誌などで話題になってから少なくとも5年くらいは経過しているハズです。
この度、初めて実車を見ました。
良くまとまっていたのは確かです。
秋の軽井沢プリンスショッピングプラザ。
長野県が誇る巨大ショッピングモールです。
超混むことが予想される時期に、超混むことが予想される場所です。
普段のワタクシなら絶対に行かない場所でもあります。
半分くらいだまし討ちに合い、しぶしぶ連れていかれたわけです。
※そもそも軽井沢に来てまで買い物するとかもったいない。自然を楽しみなさいよ自然を。
が。
ソコに旧FIAT500EVがいました。
プロデュースした担当者さんともに。
「それだけでも行って良かった♪」
と思えます。
※嫌なことの中でも楽しいことを見出すと人生は豊かになりますな。
要するに、
ルパンのアレをそのまんま電気自動車にしちゃったってことなのですよ。
これは非常に興味がある。
一般にFIAT500のEV車両と言えば、最近の水冷FF駆動式FIAT500のEV版のことを指しますね。
ただし、
旧FIAT500EVの方が同じ車名でEV化したということでは先です。
※言っておきますが全く別物ですよ、新旧のFIAT500って。
旧FIAT500EVは全然オフィシャルじゃないので仕方ないのですが知名度は全然ないですな。
それでも展示車両に対して興味本位の素人の皆さんに大人気でした。
出店していたチンクチェント博物館の方は質問攻めにあっていました。
改めて、
旧FIAT500のデザイン性の高さと注目度、人気の高さには感服いたしますな。
実際、今の車にはない「かわいさ。」があります。
ちなみに・・
旧車をEV化するという流れは世界的にもあるようです。
実際に旧miniをEV化して販売したりしていますね。
※超高額なのでどれくらい売れてるんだか知りませんがともかくEV化されて市販されているようです。
旧車はスペースに余裕がある上、機構が単純なのでモーターやバッテリーに置き換えるEV化は比較的簡単だと言われています。
特にRR車やMR車はモーターで後輪の駆動だけ出来ればいいわけで、素人でも改造することは可能なようです。
※FF車はそこにステアリングとか関係してくるので結構大変そう。
日本国内でも、EVクラブというような団体が少なくとも20年くらい前から存在しています。
TV版組「鉄腕ダッシュ。」の日本一周電気自動車のダン吉号にもかかわっていたはず。
※PorscheのEV版とかかなり早い時期に作っていた。
「ものつくり日本。」の火が消えてないかもしれない、と思うのはこういう所なのです。
ただし、
改造EV車で公道を走るためには面倒くさい手続きが大量にあり、これにくじける人が多いようです。
※ものつくり日本の足を引っ張ってるのは、日本の制度というか日本自身の仕組みなのですよ。
こんな記事もあります▼
フィアット500EVとはどんな車なのか?
一言で言えばそれだけなのですが、細かい仕様については全然公開されていませんでした。
のでワタクシが見て担当者さんに直接聞いてきました。
※乗って運転することはできませんでしたが。
数年前に読んだ雑誌の記事には、
「バッテリー積んで、モーターで駆動する旧FIAT500。」
ほとんどこれだけしか情報はありませんでした。
こういった気になることが割と明確にされていませんでした。
この度、分かったことと分からないことがありましたが、ワタクシが見て聞いてみた限りの話をしようではないですか。
ミッションはある
ノーマルの4速ミッションがそのまま搭載されています。
普段は3速ホールドでAT車感覚で乗れるようです。
※ミッションそのものをなくして、AT車として登録することも可能だそうです。
バックは基本的にスイッチでモーターの回転を切り替えるだけ、とのこと。
※MT搭載車でも3速のままでいいそうです。
旧FIAT500というのは基本が18馬力しかないのでシフトワークを駆使してガンガンエンジンぶん回すのが仕様なのです。
FIAT500EVは、それとはかなり違った乗り味になるようです。
理屈では、高速道路などでは4速に入れてオーバードライブ的な使い方もできそうですが。
ブレーキは純正のまま
驚くことにブレーキは純正のままだそうですよ。
ということは。
「4輪ともドラムブレーキ。」
ってことです。
マスターシリンダのタンクは純正のまま。
ヒューズボックスは今風のブレードヒューズに変えてあるね。
一応、旧FIAT500も油圧でブレーキを稼働させていますが、
※車体が軽いからまだマシですが、かなり思いっきりブレーキを踏まないと効きません。
※配管に一か所でもトラブルがあると全くブレーキが効かなくなるシステム。
というはっきり言うとバイクのブレーキシステムみたいな単純な作りです。
当倶楽部の旧FIAT500は、フロントにPANDAかなんかのディスクブレーキを流用して搭載してます。
「EVは加速がいい。」
「FIAT500は車体が軽い。」
というのが売りなので、
「そんなショボいブレーキで大丈夫なんか?」
と心配になりますね。
サスペンションは純正のまま
さらに驚くことにサスペンションもノーマルのままだそうで。
確かにパーツの供給を考えたらノーマルのままが一番いい。
※旧FIAT500は旧車の中でも例外的にパーツが安い。円安でかなり値上がりしたとはいえ。
でも、でもですよ。
EV化に当たり、重たいバッテリーを積んでいるハズなのです。
意外と知られていませんがバッテリーってくそ重たいんですよ。
※サーバーなどの無停電電源のUPS装置なんて容量にもよりますが普通は20kg以上あります。
これをフロントのトランク部に積んでいるようです。
ノーマルではここにはガソリンタンクやスペアタイヤ、バッテリーが入って、空いてるスペースをトランクとして使えます。
※荷物が全部ガソリン臭くなる&雨降ると全部濡れるのですが。
これって、
「ノーマルと比べてすさまじくフロントが重くなるのでは?」
と思いました。
それを、
旧FIAT500の純正サス「リーフリジットスプリング横置き。」というレイアウトのばね板で支えるわけです。
・・大丈夫なんか?
多分、ハンドリングは全然違ったものになってるはずですね。
※RRは後ろが重たいから運転してても面白いんですよ♪
タイヤは純正のまま
タイヤもホイールもノーマルのままです。
タイヤの幅は125という今でも昔でもかなり極細の類です。
一時期、このサイズは世界的に絶滅してた時代があったのですが、MICHELINなどから再販されているようです。
※ホワイトリボンタイヤも選べます。
ホイールの整形がアレなので、チューブを入れるのがセオリーです。
チューブタイヤはパンクすると一気に空気が抜けちゃうのですよ。
※カリオストロの城の冒頭でパンクして次元がタイヤ交換するシーンはリアルですが、ジャッキアップする時はルパンは車体から降りないと車体が歪む気がします。屋根に乗ったままなんてもってのほかです(笑)
旧FIAT500EVにはスペアタイヤを積むスペースがありませんが、積んでおいた方がいいような気がします。
※チューブタイヤのパンク修理できる人なんてほとんどいないんじゃ・・。
充電形式は二種類
フロントのエンブレム部が給電リッドとなって開きます。
公共施設や街中で使える電気自動車の充電機器から電力供給を受ける場合、このリッドを空けて充電するシステムです。
ご家庭用の200V電源からはリアフード内側に充電プラグがあるのでそこから充電するシステムになっています。
走行継続距離は?
あんまりはっきりした返答はもらえませんでしたが、遠乗りよりは街中をちょこまか走る車、と位置付けたほうが良さそうです。
※2022年のNISSAN SAKURAと同じコンセプトです。
ただし、
車体が軽いので航続距離は長め、とは言っていました。
※EVってバッテリーの状態やら温度やら使い方次第で航続距離は長くも短くもなるらしい。
何かやだね。
エアコンはどうなってる?
基本的にエアコンは無し。
EV車はエンジン車と違って熱源がありません。
そのため、ヒーターもありません(笑)
これって機能が退化してるってことでは?
※長野では厳しそうな仕様ですな。
フロントトランク部にPCファンのようなものが二個見うけられました。
「これはヒーターのファン?」
と聞いてみたところ、
「フロントウィンドウのデフロスターのファン。」
ということでした。
まあそうだよね。
ワタクシが思うに。
例え電動のヒーターやクーラーを入れたとしても、
隙間風だらけの車に搭載したら全然温度調整なんて効かないと思うんですよ。
「冬の隙間風ってこんなに寒いんだ。」
「夏の車内ってこんなに熱くなるのね。」
と思うこと請け合いです。
旧FIAT500はヒーターは一応ある。
※オイル臭いし、イマイチ温かくない。
真夏は地獄なのは同じです。
※真夏はキャンバストップ開けて、直射日光を避けるために「すだれ。」を付けるのが一般的です。
エアコン以外の快適装備は?
快適装備は一切ありません。
純正旧FIAT500と同じ装備です。
見た車はラジオもナビも付けるスペースはないです。
ただし、
「追加装備については構造が単純なので古臭い雰囲気をぶち壊してもいいならなんでも付く。」
と言っておきます。
※ノーマルの旧FIAT500はフロントがスペシャル軽いのでパワステ要りません。
多分、チャイルドシートも付きません。
現在の日本の安全基準をまったく無視した作りです。
※RRエンジンは意外と後方視界が悪い。
それでも、
というくらいは今どきっぽい装備になっていました。
※ドアロックの開放音が異常にデカくてビビりましたが。
パワーはどれくらいなのか?
具体的なパワーとかトルク的な数値は教えてくれませんでしたが、キビキビは走るようです。
※車体が軽いので。
元々18馬力ですので、モーターに置き換えてもそれ以下にはならんでしょ(笑)
※旧FIAT500は、300万円かけても18馬力が35馬力になるくらいの非力さですし、パワーアップするのは間違いなさそうです。
そもそも、
パワーを求める車ではないし、いたずらに大パワーにしてもボディや足回りが壊れますな。
※とはいえ、あの小さ車帯に4人乗りです。
ワタクシの愛読する「オールドタイマー誌。」には、シビックのVTECエンジンを積んだ旧FIAT500の記事がありましたが、ボディと足回りの強化だけで数百万かけていました。
「じゃないと怖くて乗れない。」
とオーナーさんが言ってた気がします。
※もはやモノコックボディではなく、内部にロールケージを張り巡らせ、ボディ以外で強度を取っているように見えました。
と、まあこんな感じで担当者さんを占有する形でしばらく質問を繰り出したわけです♪
※突っ込んだ具体的な質問ばかりしたので、担当者さんは相当困ったのではないかと思うんですが。
ワタクシ的には非常に有意義な会合で会った♪
くるしゅうない。
ちなみに・・
車内の各種スイッチ類は今風のものにアップデートされていました。
スイッチ類にはちょっと違和感はある。
スイッチの近代化は結構評判が悪いそうで。
古臭いタンブラースイッチの方がカッコいい、というのが一般の評価らしいです。
※ワタクシもそう思います。でも、旧FIAT500の純正タンブラースイッチは超安っぽい(笑)
確かに、
今風のスイッチは視認性が良く、操作性が良く、きれいにまとまっています。
ですが。
旧車には新しいデザインのスイッチは似合わないんですよ。
そこだけ逆時代錯誤な印象を受けます。
※浮いているって奴です。
ワタクシのロータスヨーロッパに増設したスイッチ系は全部アナログっぽいスイッチにしてあります。
「せっかくの古い雰囲気を壊したくない。」
からに他なりません。
※あと「配線が楽。」っていうのもあるし、昔のSFの宇宙船とか飛行機みたいでコックピット感が増すからです♪
デジタルチックなものは、今時点では最新ですが10年後は安っぽいという評価になりがちなのです。
※プラスチッキーと言ってもいい。
とはいえ、
アナログチックなパーツは意外と高い。
金属製の汎用タンブラースイッチってあんまり流通していないしねえ。
ロータスヨーロッパのラジオ関係がデジタルにせざるをえななかったのは、
「古臭い雰囲気をもったデザインのカーラジオは凄く高い。」
ということを思い知ったからなのでした。
何度作ってもスイッチパネルはもう一回作りたくなる。
ラジオだけは聞いていたいワタクシには感度の悪いカーラジオはストレスの元なのでした。
※でも走行中は風切り音といろんな音でラジオなんか聞こえたもんじゃないのですが。
コンプリート販売も視野に入れているようです
どうも伊太利で作って輸入する形になるようですな。
改造コンプリート車の販売っていうことになります。
※昔読んだ記事は既に一般に売り出すっていう話ではなかったでしたっけ?
昔読んだ記事によると、
「コンプリートで600万円から。」
という高額でしたが・・。
今は円安の関係もあって700万円以上になるようです。
※こりゃ気楽に買える金額じゃねえ(笑)
展示車両はいろいろオプションが付いてさらに100万円くらい高くなるようでしたが、あまりの金額の高さにショックを受けたワタクシはオプションについては全然聞いていません。
うむ。
確かに肝心なことはほとんど書いてない。
まあ、
「この車体が商業的に成功することは絶対にない。」
と 核心をもって 思います。
よほどの趣味人な超お金持ちがシャレで買うならいいのではないかと思います。
それでも、
ガレージ保管&雨の日使わない、などの制限が多そうですしねえ。
※普段は使えねえ(笑)
やはり普段使いは軽自動車がベストですな。
ちなみに・・
「旧FIAT500の車両持ち込みでEV化。」
というのも企画販売側としては考えてはいるようですが具体的な話にはなりませんでした。
※多少安くなるかと思ったので聞いてみたのですが。
という点を考えたら、限りなく新品ホワイトボディを使ってEV化したものを輸入した方が簡単です。
※レストア作業が入ると見積もりなんてできないし、納期なんて約束できないのは普通です。
言っておきますが、
現在流通している40年から50年くらい前の車で、ボディの状態が新車並にいい個体なんてこの世には存在しませんよ。
書類はあるけどナンバー切ってあるので、年に二度ガレージから出して庭を走り回っております。
旧車を極力普段使いしたければ、
「エンジンや機械的な話よりも、まず車体がしっかりしていること。」
が重要視されます。
ゆえに、
「自分の所持する車両を持ち込んでEV化作業を依頼。」
をする場合、下手すると新品ボディを組むよりも高額になる可能性が高いのです。
とはいえ、
EV化作業については円安&日本の人件費が世界的に安くなっている今、日本国内で作業した方が「お得。」な気がします。
※外人の作業は適当すぎるので ワタクシの作業よりよほど 信用ならないですし。
旧車全部をEV化しろ、というわけではない
お金がかかるとはいえ、ただ朽ちていくだけの車を見てるよりはるかにましです。
だからと言ってワタクシは何もすべての旧車をEV化してしまえ!というつもりはありません。
環境性能どうこうという人がいますが旧車は旧車でその時代その時代にあった性能を持っています。
世界的に旧車のボディに電気自動車のパワートレーンを積むのは流行っているようですが、
英国の旧車協会みたいなところは、
「いつでもオリジナルに戻せるようにしていない限り、旧車とは認めない。」
みたいな宣言をしています。
それはそれで、良い分はわかりますがもっと自由でもいい気もします。
堅苦しいことを言うなよ、と思う反面、それも一理あると思うワタクシもいます。
旧車は二度と増えることはありませんので貴重なのです。
法的に問題がない限り、何であれ公道を走っていいようにしてあげればいいと思っています。
バサバサした音とともに、こんなかわいいのが走ってくるとみんなが笑顔になる。
オリジナルとはどこまでなのか?
厳密には工場出荷時の仕様そのまま以外はオリジナルではないです。
ただし、
そんなことできる人なんてそうそういません。
ガレージに飾って愛でているだけならフルオリジナルで保存というのはあり得ますが。
オリジナルにこだわりすぎると動かなくなるリスクだけが上がります。
※パーツの入手困難な旧車は山ほどあります。
狂気的な純正こだわりマニアは数多く、知識量も豊富で感心しますが実運用している人はそれほど多くはありません。
純正部品だけにこだわっていると、
「ずっと動かない不動産。」
になってしまうからなんですよ。
したがって、
なるべく気楽に乗り続けるためには、他車の流用パーツを工夫して加工や応用して使っています。
ある程度のパーツはアップデートしながら実走して遊ぶというのが現実的なのです。
もう一段階上を行く資金に余裕がある人は、
「オリジナルパーツは壊れていなくても外して保管して、汎用的パーツを組んで普段使いする。」
これも割とメジャーな旧車乗りの姿です。
イベントなどで同じ車種、同じ年式の車両がいたとしても比べると細かい部分が全然違ったりします。
※一個一個がオーナーさんが考えてこだわって工夫した証拠です。
「これ、オリジナルじゃない。」
イベントなどでよく聞く言葉ですが、そんなの言わせておけばいいのです。
古いパーツは単純な仕組みなだけにしっかり働いてくれます。
理屈や仕組みを理解すれば、内部の細かいパーツを交換するだけでしっかり動いてくれたりもします。
旧車には、不具合箇所を考えて、原因を追究して、パーツを手配して、自分で何とかする。
そういった試行錯誤が旧車維持の楽しさでもあるのですが。
今の車のパーツは丸ごと交換が普通ですが、
旧車は素人でもなんとかなるレベルのシステムが多いので直すのも楽しいのです。
反面、
今の車のように気楽さや気軽さはありません。
各部の信頼性は極めて低い。
これを気遣いながら乗るのが旧車なのですよ。
「旧車維持の楽しさなんてどうでもいいので、古いデザインの車のまま今の車のように気楽さだけを取りたい。」
そんなニーズも確かにあるんですよ。
その際、
「見た目はそのままで完全にシステム化したEV車として生まれ変わらせる。」
というのは、ある意味アリです。
一応、EVなので世間体もよさそうですし。
かといって、
全部の旧車をEV化する必要は全くないのです。
今では旧車と呼ばれるような車ですが、世に出た時は新車だったわけですよ。
それが時代が進むにつれて、
してきたわけです。
そんな時代の流れがあるにもかかわらず、
今残っている旧車はすべて車自体の楽しみやこだわりを捨てたくない人たちが愛で続けてきたんですよねえ。
旧車を縁あって引き継いだものの一人としては、これからもずっと大事にしていきたい思いなのです。
エンジン車で動くならそれはそれでいいんです。
無理にEV化しなくても。
まとめ
これはこれでアリですよ。
ただし、
価格がアリではないということがわかりました。
「古い車の車体のデザインは好きだけれど、車ごときで苦労を背負いたくはない。」
これが普通の人の考え方です。
ただでさえ、
車は税金や保険代、諸々の維持費で出費が増えるものですし。
言い方は悪いですが、
「車なんて気軽に使えてお金がかからないのがいい。」
と考えている人たちがマジョリティの本音です。
ゆえに、
古くてかわいい昔のデザインの車を、
「気楽に乗れる今風の車っぽく使い倒したい。」
というニーズはあると思います。
一時期流行った
「見た目が旧車っぽくてで中身は最新。」
古臭いデザインでも最新の乗り物と同じ気楽さで扱える。
こういうの好きですよねえ。
※その証拠が「古いバイクのデザインの外装を纏った現行のバイク。」なわけですな。
車でもBMWのMINIやVWのビートル、FFのFIAT500なんてんもがそれにあたります。
まあ、
完全にオリジナルとは別物なのですが。
※空冷RRエンジンを水冷FFエンジンに変えた時点でもう完全な別物。
でも、
「別物だろうがデザインが良ければ売れる。」
ということをメーカーは知っちゃいました。
そして、
「先代の偉大な歴史があるだけに売りやすい。」
ということもメーカーは知っちゃいました。
「性能や機能よりも見た目。」
ということもメーカーは知っちゃいました。
メーカーは
消費者ちょろい。
とか思ってるかもしれません。
国産メーカーはイマイチその辺がヘタ。
新型フェアレディなんてデカくしないで、初代のように安価な小さいクーペとして出したらもう少し広い年齢層にウケたかもしれないのに惜しい。
※スポーツカーは早くなくてもスポーツ出来ればスポーツカーなんですけどね。
となると、
「その見た目 だけ にいくら払えるか?」
が次の論点になります。
例えば、
旧FIAT500のエンジン車を買おうとしても、
※もちろん、重課税されますよ、古いので。
雨漏りもするしエアコンもない。
もちろんMT車です。
当然壊れまくります。
セオリーがないし、パーツも豊富、システムも簡単なので好き放題いじれるのがFIAT500の魅力です。
2022年なら旧FIAT500の中古価格は200万円ってところでしょうかね。
こんなの、いくら可愛くても普通の感覚の人ならまず手を出さないでしょう。
※勢いだけで買っちゃった人がしつこく長く乗るケースもありますがね。
古い形にこだわった車を選ぶ人は大抵オシャレさんです。
意外にお金持ちですが頭もいいので無駄に金は払いません。
そこに、
EV化されたFIAT500EVの存在を知ったとします。
「こりゃ理想かも!」
と思って価格を調べたら打ちのめされるでしょう。
orz。
せいぜい、同クラスの車+100万円くらいまでじゃないかと思うんですよ。
同クラスといってもせいぜい軽自動車です。
最近の高級な軽自動車は200万円位するので、オシャレさんが旧FIAT500EVを買うにしたって、
「300万円がいいところ。」
じゃないかと思うんでよねえ。
※そのくらいならまだ勝負できる可能性はある。
そう考えると、
旧FIAT500EVの600万円以上(円安だなんだで700万円以上)というのは、
「現実的ではありえない。」
価格設定ですよねえ。
旧FIAT500のデザインが大好きだったとしてもFIAT500EVの購入に至るかというと・・。
「悲しいけれどならない。」
のが現実でしょうねえ。
確かに、
多様性の世の中なので、こういった個性的な選択は大いにアリです。
ただし、
個性を主張するためにはそれなりの対価が必要で、現状ではその対価は非常に高額だということですな。
車検が関係なければ300万円もあればワタクシでも作れそうな気がします。
伊太利のEV化作業を見た限り、結構作りは甘いし。
ちなみに・・
基本的に旧FIAT500EVのように、パワートレーンをEV化しちゃった時点で別の車です。
多少メカ的な信頼性は上がるかもしれませんが、EVには音も匂いもなくなるのです。
小さいわりにエンジン音が大きく、エンジン音の割に進まないのが旧FIAT500です。
非力な空冷2気筒エンジンなんだから仕方ないのですが、
「こういった音や匂いも旧車の魅力の一つ。」
なのです。
旧車は音ですらも一生懸命動いている感じが可愛いし、これはこれで素晴らしいのです。
旧FIAT500は旧車趣味を堪能するなら、最も安く遊べる車の一つだと言っておきましょう。
いろんなイベントでも旧車は人気ものですし、もっと税金は安くてもいいはずなんですが。
旧車を気楽に乗りたい、というニーズを満たすためにはEV化はアリですが、
もっと安価にやらんと誰も買わないよねえ。
ところで、
現在、ナンバーがある旧車をEV化した場合の税金ってどうなるんだろ?
多分、
登録した時点の税金額が引き継がれるのではないかと思います。
※もしくはものすごく大変な書類を用意しなきゃならんとか。
旧FIAT500は排気量が500ccでも軽自動車が360cc時代の車だから、ということで普通車扱いですし。
FIAT500の後継モデルのFIAT126は650ccで軽自動車登録が可能。納得いかない。
車種ごとの税金額が一度設定されると国は車の税金を絶対安くしないんですよねえ。
ナンバー切って保管していても再登録の際に、ナンバー切ってた期間の税金も請求されたなんて噂も聞きますし。
この国は、本当に車をなんだと思ってんですかね?