ベテランでも分かってるようで分かってない。
知ってるようで知らないシリーズ「馬力とトルクの違い。」です。
意外と言葉で説明できないのですよ、これが。
※この手の記事は結構不評なのですが参る。
「馬力。」と「トルク。」は大違い
中高年は250ccは45馬力、400ccは59馬力、750ccは77馬力という呪文のような呪縛に取りつかれていますな。
※その基準にして新しいバイクを見る癖が抜けてない気がします。
レーサーレプリカ時代は、最高出力が大きい方が偉かったのです。
大げさに言えば、
250ccは45馬力、400ccは59馬力、750ccは77馬力のメーカー自主規制値以下だと不人気になったくらいです。
※今思えば非常にもったいないことですが。
実は、いくら馬力があってもどんなシュチュエーションでも速く走れる訳ではないのです。
特に小排気量は顕著です。
そこで問題になってくるのが「最大トルク。」という表記です。
「最高出力。」と「最大トルク。」はどちらもエンジンの特性というか力を表現した数値です。
「じゃあどう違うのさ?」
仕事関係で最近バイクの免許を取った若者たちからよく聞かれるんですよ。
だって最近の中型バイクの最大馬力とか悲しくなる数値が多いじゃないですか。
そんな会話から馬力とトルクの話になったわけです。
これ、上手く違いを説明できますか?
意外と適当に理解してる人が多く、説明を求めて聞いてみるともっと適当な人が多いです。
※ベテランライダーやドライバーと言われる人でも良くわかってないっぽい。

これが50ccの馬力自主規制のきっかけマシン
何もかも懐かしい。
とりあえず。
素人でもうっすらわかるのは、
「なんだか数値が大きいほどスピードが出せる高性能なエンジンを積んでいる。」
ということですな。
とはいえ、
どう違うのか?
免許取りたての若者に質問されたらアナタはどう答えますか?
「馬力。」とは何ぞや?
仏馬力は馬1頭分の「仕事量」を数値化、75キログラムを1秒間に1m動かす仕事率が1psです。
英馬力は馬1頭分の「仕事量」を数値化、550ポンドを1秒間に1ft動かす仕事率が1hpです。
※単位の表記は大文字でも小文字でもいいらしいです。
・・わけわかんないですね。
最高出力で表記する「PS。」=「馬力。」です。
ただし、
「馬の最高出力=1馬力。」という意味ではないのですよ、小さきものよ。
最高出力100馬力のエンジンを搭載したバイクは、
100頭の馬と同じ力があるワケないじゃないですか。
※迫力的には馬三頭くらいで負ける気がします。
分かりやすく書くと「1頭の馬が継続的に発揮できる仕事率。」を表しています。
英表記と仏表記で違うのは、
の差です。
いつもでのことですが、統一しろよって感じです。
※ネジの規格もマジで困るのよ。
こんな記事もあります▼
自分の力で走る自転車で考えてみるといい
自転車に置き換えて考えてみます。
自身の経験に変えたほうが何事も分かりやすいですし。
ここまでで、
「馬力は仕事率。トルクは回す力。」
と言われてもな・・。
というのが正直なところでしょうねえ。
ワタクシも昔、識者に教わった時にそう思いましたもん。
なので、
変速機のないママ自転車に乗った時を想像しながら読んでください。
スペック表では「最高出力。」の方が先に書かれがちで、ユーザーもそっちを重視しがちですがあえてトルクから書きます。
トルクについて
バイクの場合、クランクシャフトが回って生み出す力に相当します。
ペダルを踏みこむ際に「うらぁ!」と力強く踏むとトルクが大きくなりますな。
この力は特に、発進や加速力など影響します。。
逆に、踏む力が弱いと、発進や加速力が弱くなります。
軟弱モノめ。
自転車に乗り際には多くの方が実感しているはずなのです。
トルクとはエンジンのクランクシャフトが生み出す「回す力。」の単位です。
柄の長さが1mの軸を100kgの力で回すと100kgf・mのトルクになります。

SR400のエンジン。
このエンジンが侮れない。
回転の頭打ちは早いんだけれどスタートダッシュが気持ちいいのだ。
トルクをあげるには、
シリンダーの内径(ボアという)や行程(ストロークという)を拡大して排気量をアップするのが手っ取り早いです。
トルク型のエンジンはボアよりストロークが大きめでロングストロークとも呼ばれます。
※スペック表を見るとある程度エンジン特性がわかります。
また、
シリンダー内の圧縮比を高めることで爆発力を強くすればトルクが大きくなります
※でもあんまり高くするとエンジン壊れます。
トルクが大きいバイクはスタートダッシュが素晴らしいです。
フルに減速するようなヘアピンなどの極低速からの加速を上手く使えば格上クラスとも張り合えます。
一方、
路面が濡れてたり未舗装路だったりすると、簡単にタイヤのグリップが無くなって滑ります。
馬力について
自転車が走り続ける=ペダルを踏み続けるということです。
走り続けてスピードを出すためには、ペダルを「うらぁ。」と踏み続けて回し続ける必要がありますな。
ペダルを踏み続けるのが回転数です。
当然、回転数が高いほどスピードが出ることになります。
エンジンで言うならば「回転数を上げる。」ということです。
※エンジンの回転数=クランクシャフトの回転数に相当します。
「馬力。」とはペダルを踏む力と回転数を掛けたものです。
そのため、
トルクか回転数のどちらかが高くなれば、必然的に馬力がアップします。
※小排気量で高回転型は排気量で得られるトルクよりも回転数で馬力を稼いでいます。
もちろん、
排気量による大トルクとエンジンの回転数の両方が高ければ馬力はいっそう大きくなります。
※これが大排気量スーパースポーツ系のエンジン特性です。
エンジンの回転数を高くするには、シリンダー数を増やしたり、ツインカムなどを採用することです。

DT200WR。こんなところばっかし走ってればチェーンもいたむ。
2stのオフ車は低速トルクで持って行けないのでテクニシャンしか乗れないのだ。
250ccと200ccではトルクの差が歴然。
それに挑んだYAMAHAの精神が好き。
高回転型のエンジンはストロークよりボアが大きめで、ショートストロークとも言われます。
※スペック表を見るとある程度エンジン特性がわかります。
高回転型のエンジンは、極低速域ではトルクがない傾向にありますが、排気量がデカければそんなの関係ないです。
ちなみに・・
高回転まで回さないと本来の馬力が出ない4気筒車と低回転から大トルクで加速していく単気筒、その中間の2気筒。
分類すると大体こんな感じです。
サーキットなら高回転をキープできる4気筒勢が優勢ですが、公道、しかも峠などは必ずしもそう言い切れないのですよ。
ワタクシの知り合いだけかも知れませんが、峠で速い奴は割と4気筒車を敬遠してたものです。
デカくて重くて高回転まで持って行くタイムロスが嫌だ、ということで。
※しかもエンジン幅が広くてバンク角が少ないので寝かせられないし。
4気筒車の対局の存在であるオフ車が峠で意外と速いのはバンク角の大きさとトルクの大きさ、車体の軽さのおかげです。
狭く見通しが悪い峠やストレートが短い峠、下りが多い峠などではむしろオフ車のほうが速いこと多いのです。
バイクとエンジンの特性を知り尽くしていれば、どんなバイクでもそれなりのペースで走れます。
バイクって奥が深いのですよ。
馬力とトルクの表記
最近のバイクのスペック表には、
という表記が目立ちます。
※昔はps/rpm、kgf.m/rpmという記載方法でした。
かつてはpsやkgfなどのメートル法の単位で表記していました。
※この方が今でもなじみがある人は多いのでは?
2000年ごろから徐々に「kw」や「N・m」の記載に代わって言った記憶があります。
これは、
新計量法で公示された国際単位系(SI単位)への移行によるものです。
現在のように、2種類の単位で表記されることで、
今までのバイクと性能比較できるように[ ]書きで以前の単位でも併記することが許容されているようです。
ワタクシもいまだに分かりやすいよ、psの方が。
※100馬力は100psなのかhpなのかくらい
なじみがある規格を誰かの都合で変更されると 特に中高年は ついていけないのだ。
まとめ
イメージはできるけれど論理的に説明しずらいのも確か。
この記事を読んだ人は他人に説明できるレベルにはなってるはず。
乗り味に影響する「馬力やトルクの発生回転数。」は、
同じ排気量の同系統のエンジンを使っていても車種によって変えていたりします。
※もちろん最大馬力もトルクも変えて味付けとしするのは同じエンジンを使いまわす上で大事な要素です。
これを踏まえて。
手始めにHONDAの250ccの水冷4st単気筒DOHC4バルブエンジン(排気量や内径×ストローク、圧縮比も同一)を搭載している3機種を比較してみるといいよ。
※ネット上のスペック表やカタログなどに数値が記載されているはずです。
これを見ると。
3車ではスポーツネイキッドの「CB250R。」がもっとも高い最高出力と最大トルクを発揮します。
それぞれの発生回転数は高めなので、回してスポーツするタイプでしょう。
低回転では馬力もトルクも少ない高回転型ってやつですな。
※単気筒で4バルブってのが贅沢。
それを踏まえて。
アメリカン 最近はクルーザーとかいうらしいが の「レブル250。」は、
CB250Rに比べて最大トルクの発生回転数を下げて低回転から扱いやすく加速重視のタイプと言えます。
さらに踏まえて。
そしてスクランブラーの「CL250。」はさらに最大トルクの発生回転数を下げています。
これは未舗装路での使い勝手を上げるため、もっと低回転からの加速を優先しているタイプと読めます。
「レブル250。」や「CL250。」は最高出力が下っていますが(回転数が下がると馬力も下がる)、
それは「CB250R。」ほど最高速などのスピードを重視していないセッティングと考えていいのです。
最高出力や最大トルクの数値は大いに気になりますが、
それだけでなく発生するエンジン回転数を見ることで、バイクのキャラクターによる乗り味もイメージできます。
とはいえ。
言っておくけれど「つねに最高出力が出ているワケではない。」のだよ。
当記事でトルクと馬力の概念というか違いをぼんやりと理解して頂けたと思いますが、
カタログのスペック表に書いてあるのはあくまでも最高・最大値です。
走っている最中にずっと最高出力や最大トルクが出ているワケではありません。
トルクも回転数が低いと下りますが、馬力ほど大きな変化はありません。
とくに近年のバイクのエンジンは最大トルクの発生回転数を下げ、
かつ全域で安定したトルクを発揮するフラットな特性を持たせ、力強い加速や扱いやすさを重視する傾向があります。
バイクは決して最大馬力や最大トルクだけで語れるものではありませんが、
自分の好みや使い方に合ったバイク探しをするときにちょっと知ってるといい方向に働くと思いますよ。
まあ
エンジンを回せなきゃ意味はないのよ。
※一生に一度もレッドーゾーンに入れられないようなバイクは結構ある。速すぎてメインジェットの領域まで回せない、とかさ。
あと免許や道路交通法を考えると
「あんまり馬力やトルクがでかすぎても意味はない。」
と思うのです。

VFR750R。こんなレーサーっぽいのに国内仕様は77馬力。
これで峠走っても怖いだけですよ。
公道はサーキットとは路面状況が全然違いますので馬力もトルクも生かすのは難しいのだ。
対向車も来るしな。
※エンジン的にはすんごい速いけれど峠に行くまでに疲れますし。
デカいバイクで峠でエンジン回せずにもたもた走ってるのを、
小さいバイクが元気よく抜かしていく様を何度も見ているしね。
ゆえに。
カタログスペック上のエンジン特性とか関係なく、自分にとって一番カッコいいバイクを買えば良い。
そしてそれを楽しみ切る。
馬力もトルクもないから工夫するんですよ。
ある意味それは正解だと思うんですがどうか。