ようやくエンジンに火が入る直前まで来ました。
エンジンは今回はバラしていません。
あまりに複雑でパーツ欠品が多いので不具合があれば中古エンジンに乗せ換えるつもり。
ところが意外とあっさりエンジン始動しました♪
とりあえず早くエンジンをかけたい
ようやくエンジン始動の準備が整いました。
こうなるとエンジンをかけて見たくなるのがレストアラーというものです。
自分が直したバイクがアイドリングを初めてした時は感動するものです。
ところが、
VT250FHというバイクは、ガソリンタンクまで装着すると何か不具合あった時に外すパーツが多くて面倒くさい。
これが「ネイキッド。」という状態なのではないかと思うのだがどうか。
ゆえに、
ガソリンタンクレスでキャブのエアクリレス状態でエンジンをかけてみます。
いわゆるシステム構築で言う所のエンジンとキャブの結合テストという奴です。
※エンジンもキャブも単体テストをしてませんが。
とりあえず、
エンジンをかけたくて仕方ないので急ピッチで進めました。
ちなみに・・
ワタクシが初めてレストアしたバイクというのは、VT250Fの直接のライバルであったRZ250でした。
今から30年前の話です。
このバイクも結構なボロでして。
既にレプリカ時代に突入していたのでノンカウルのバイクは割安でした。
RZ250には色んな思い出があります。
当時住んでいた新宿中央公園の西側にあった バラックの様な 下宿街の軒下で直しました。
レストアしてたRZ250のエンジンが初めてかかった日は真冬でした。
寒さに震えながら1000回くらいキックして、ぽろぽろとエンジンがアイドリングを始めた時には涙が出たものです。
※今よりずっと幼稚なレストアでしたが、RZ250は作りが単純なのですよ。
ワタクシにとって、真冬の冷たい澄んだ空気の中、2stオイルが焼ける匂いは青春の匂いなのです。
※今でもDT200WRはその時の記憶を強烈に思い出させてくれますな。
でもその直後、東京に大雪が降り屋根から落下してきた氷(雪の塊が凍った)がRZ250のガソリンタンクを直撃(´;ω;`)
※凹んだタンクのRZ250で大学まで通学してたので大学内のバイク乗りの中では有名人でした♪
オイル交換はしておく
入っているオイルは当時のままと思った方がよろしい。
シリンダヘッド迄オイルが回るのは久しぶりだと思われます。
せっかく久しぶりに目覚めるエンジンです。
この際、良いオイルで目覚めてもらいたいというのがレストアラーの親心です。
一瞬も悩まずにサクリとオイル交換をしちゃいます。
今回はフラッシング(エンジン内部を軽く洗浄するの意味)も兼ねているので高級なオイルでなくてもいいですし。
※いつもどのバイクにも高級なオイルなんて入れてませんが。
おそらく10年以上前のオイルです。
しかし、
4st250cc2気筒って意外とエンジンオイル容量がデカい。
エンジンに貼られているシールによるとオイル容量は以下の通り。
うむ、4st単気筒のオフ車と比べたらほぼ倍ですな。
オイルフィルターは用意はしてありますが、フラッシングが終わった後で装着する予定です。
なので、今回は1.8lでよろしいのです。
エンジン下部のオイルパンに生えているドレンボルトを抜くと、真っ黒で粘度がほぼないサラサラのオイルが出てきました。
こんなのをエンジン内部に巡らせるわけにはいきません。
レストアバイクのエンジンの目覚めの儀式の前にはオイル交換をしておくべきでしょうねえ。
ちなみに・・
水冷エンジンの場合、冷却液の確認もしておくべきです。
一応、クーラント(冷却液)は腐らないということになっていますが、
10年単位で寝てたエンジン内部の液体がまともであると思わないほうがいいです。
することはよくあるのです。
※適当なクーラントを使うと流路が錆びてたりしますよ。
ワタクシは旧miniERAターボの冷却水路で見なきゃよかったレベルの大量の水垢を見たことがあります。
「そりゃこれだけラジエタが詰ってれば冷えないわけですよ。」
っていうくらいでした。
冷却水路の清掃とラジエターファンの曲がりを修正したことにより、ERAターボのオーバーヒート問題は一気に解決に向かったのでした。
今回のVT250Fでは、エンジン始動までなので冷却液がちゃんと回ってるかだけを確認しました。
※冷却液を全交換する際にはエンジンかけながらの方が流路にエアを噛みづらいため楽ですし。
プラグの火花を確認する
エンジン始動の基本の「き。」です。
良い火花も確認しておきましょう。
プラグを外します。
ツインカムヘッドを持ったVツインエンジンというのは初めてですが、なかなか面倒くさい位置にプラグがありますな。
現時点ではカウルレスなので、作業もしやすいですがカウルついても簡単にプラグ交換できるのかしら?
※車種のカテゴリではなく、こういうカウルなどを剥がしまくった状態が「ネイキッド。」だと思うんですがどうか?
何か聞いたことない番手のD番プラグが付いていますな。
DP8EA-9って言うプラグです。
※当倶楽部のバイクでD番のプラグを使っているのはセロー225だけですがD番のプラグレンチ買っておいてよかった♪
奥まった場所にあるプラグをプラグレンチを駆使して外します。
前後ともプラグを外して、見たところいい感じに焼けてました。
せっかくなのでパーツクリーナーとワイヤブラシで清掃しました。
ツインカム4バルブのプラグってどれも取りにくいよね。
プラグ単体をプラグキャップに取付け、車体の適当な金属部に近づけて固定。
※固定したら手で触っては行けません。セルをも合した途端、かなりビックリするはずです。
バッテリーを繋いで、メインキーをONにして、セルを回したらプラグに火花が飛べばOKです。
この火花を前後とも確認します。
幸いなことに、火花はちゃんと飛びました♪
危ないのでココでいったんバッテリーは外しておきます。
火花が飛ばない
これ色々原因が考えられるんですが、CDIが死んでるとちょっと大変なことになります。
V250FのCDIはテールカウルの上にありますな。
これ見た目では異常がわからないけど重要なパーツの一つです。
80年代以降のバイクでは、こういうパーツはユニットごと交換するのが普通です。
が。
交換するパーツ自体がないんですよ。
この手のパーツはメーカーでも外装と同じレベルでとっとと欠品になるのです。
無いとエンジン始動どころかまったく走れません。
CDIを探している旧車乗りは結構多いのです。
とはいえ、
ヤフオクなどでたまに出品されるCDIは見た目で使えるかどうかわかりません。
大抵、NC/NRで性能確認されていないです。
※大きな賭けですがかなり勝率は悪いでしょうねえ。
その他火花が飛ばない原因は、
と言ったものが考えられますが、安い方から攻めていくのが基本ですよ。
さて。
プラグをエンジンに装着して、プラグキャップを付けます。
いよいよエンジン始動迄カウントダウンです。
今回も絵面が地味なので美味しそうな写真を載せておきました。
※なぜかこの飯シリーズの画像は、一部の当ブログ読者にご好評なのでしつこく続けます。
ちなみに・・
偉そうに基本の「き。」とか言ってますが「よい排気。」はエンジン始動後にしか確認できませんな。
※マフラーに穴が開いてないかだけは前もって確認してありましたが。
基本の「き。」とよく言われますが、
なんてのも入らないとおかしいのです。
バイクのそういうチェック項目というのは、往々にして抜けが多いのです。
ネノシャチェブクトウバシメ、だって抜けだらけですし。
こんな記事もあります▼
キャブの取付けとガソリン注入
キャブは軽く分解清掃してあります。
ダイアフラムが多少硬くなっていますがとりあえず動くはずです。
新品のインシュレーターが手に入ったのでこれを使ってキャブを取り付けます。
ホントに凝った作りですな。
※これがあの値段で売られてたのかと思うと今のバイクの高さに驚きますよ。
をキャブに取付けます。
※RZなんてチョークはキャブの片側にしかついてないし、途中で分岐しますがアクセルワイヤも一本ですし。
エンジン始動の後で、ワイヤ類は全部グリスアップすることにします。
※本当は、グリスアップを先にすると手順的に無駄がないのですが、早くエンジンかけたいってことです。
エアクリボックスの下側(なんと金属製)とゴム製のファンネルも仮付けしておきましょう。
すんげえ贅沢なつくりです。
今なら全部樹脂で作りそうですが。
ファンネルからキャブのバキュームピストンが見えます。
多少硬くなってるダイアフラムがアクセルにちゃんと反応するかを確認したいですな。
で。
全部交換したガソリン配管のホース(フューエルパイプ)にオイルフィラーでガソリンを注入していきます。
ホースの口いっぱいまで入れたら、一応、キャブの下部からオーバーフローしてないかを確認します。
後はセルを回すだけです。
なんだかドキドキしますな♪
10年以上ぶりに息を吹き返したエンジン
それでも、エンジンをかけてみたいのですよ。
不具合が出たらその時また考えればいいのです。
始めて引き揚げてきたポンコツバイクのエンジンをかける時には、やっぱりちょっと緊張するとともに楽しみでもあります。
エンジンのどこかに開口部があって大気開放されておらず、
オイルさえ入っていれば放置されてたバイクとはいえ、エンジンが大きく損傷してることはない・・と思ってるんですが。
きゅきゅきゅきゅ・・
うむ。
かかりませんな。
再度プラグを点検しますが、ガソリンで湿気っていません。
火花はちゃんと飛んでいますし。
よくよく見ると、
ガソリンホースにギリギリまで注入したガソリンが減ってませんな。
ということは。
ガソリンがエンジンに吸われていないということです。
ならば、
ガソリンホースの開口部を指で押さえて、と。
再びセルを回しますと・・。
すとととととと・・。
何ともあっさりと、そして大人しくエンジンが回り始めました。
2気筒エンジンは当倶楽部では初めてなので、エンジン音が新鮮です。
緊張の一瞬なのですよ。
でもこのエンジンがかかる瞬間のためにレストア趣味してると思う。
すんごい白煙吐いていますが(笑)
マフラーに排気口はもちろん、エンジンの真下のエキマニーからも(笑)
負圧キャブですからねえ。
何処でどう負圧をコントロールしてるのか、ちゃんと把握しないといけませんな。
ホースの配管を伝っていって、と。
後ろ側のシリンダーのインテークマニフォールドから生えているホースはボロボロですが元気にシュシュシュ‥と言っています。
これはガソリンコックのダイアフラムを動かす負圧を取るためですな。
ここからガソリンコックまでホースが伸びています。
ファンネルから覗く、バキュームピストンも吸気に合わせて細かく動いていますねえ。
※ちゃんとアクセルに対してレスポンスしていますし。
アイドリング調整ネジで1300回転くらいに合わせるとちゃんとアイドリングしますな。
ちょっとホッとしました。
劣化して硬化していたダイアフラムもとりあえず機能しているようです。
こんな記事もあります▼
ちなみに・・
エンジン始動直後は、エンジン下部の後ろ側シリンダーのエキマニから白煙が上がってちょっと焦りました。
ガソリンタンクの記事で触れた腐ったガソリンが垂れ続けたものがエキマニに残ってて、これが熱で煙になってるっぽいです。
一度エンジンを止めて、パーツクリーナーをぶしぶし吹き付けて流すように洗浄したら白煙が止まりました。
※パーツクリーナーで洗浄されて垂れてきた液体は、腐ったガソリン臭がする液体でしたし。
マフラーも近いうちに錆びて穴が開くかもしれませんなぁ。
純正マフラーなんてもう手に入らないんだろうなぁ・・。
※そしたらいつものように、N君に板金を頼むのでその時はよろしく頼む。
レストアやメンテナンスをするなら、パーツクリーナーは大量買いしておくことです。
どうせ使うんだし、まとめ買いしたほうが安い。
途中で足りなくなって、買い出しに行く手間を考えたら絶対買い置きがあった方がいいです。
時間は有限ですよ。
まとめ
ようやくエンジン始動までこぎつけました。
何とか始動したエンジンを見てほっとしました。
ひと段落というか句読点くらいにはなったと思います。
当倶楽部に来たVT250FH。
ボロボロで「もう捨ててやろうか。」と思ったこともありましたがエンジンがかかって感無量です。
白煙をもうもうと吹き出しながら、おそらくは10年以上ぶりにエンジンに火が入ったと思われます。
アイドリングさせたり、高回転まで回したりしてたら水温も上がり始めました。
次第に白煙も収まり、アイドリングも安定しています。
※恐らくマフラー内部に籠ってた湿気が吐き出されたものと思われます。
シリンダヘッドからの異音もないので、大きな問題はなさそう。
シリンダヘッドにもちゃんとオイルが回ってればいいんですが。
※水冷エンジンは異音がわかりにくいのですよ。
しっかし、静かなエンジンですな。
長野県でももう春が近づいています。
これで燃費も良くて丈夫でハイパワーなんだから、VT250FシリーズというのはHONDAの名作エンジンと言ってもいいんですがイマイチ評価は低め。
デザインがアレなので仕方ないのですが唯一無二のデザインなので、薄眼で見ると結構かっこいい・・気もします。
最高性能だけが名機の証ではないんですよ。
今となっては定かではないですがもっと評価が高くてもいい気がします。
その全部が原因、みたいな感じですけどねえ。
※でもメディアは最近VT250シリーズを取り上げ始めてるので買うならブームになる前の今のうちですよ(笑)
ともあれ、
当倶楽部のVT250FHはエンジンがかかることは分かった。
後は・・。
まだまだ問題は山積み。
ここから手間もお金もかかるとこばかりです。
写真を載せているところはワタクシが必死に磨いたり清掃したりした場所ですのできれいに見えるのですが、実は下半身はこれくらい全部ダメです。
とりあえず、
チューブレスの16インチタイヤって素人でも組めるのかね?
やったことないけれど、ちょっと調べてみよう。
※今現在、前輪はバーストしています(´;ω;`)
固着しているフロントブレーキ関係は全般的にオーバーホールしなければなりません。
※不安しかないけど、ブレーキ関係のパーツはちょっとずつ発注したり集めたりしています。
まだまだ課題は多いのですが、ひとまず乾杯としゃれこみたいところです。
ちなみに・・
ここまで一カ月程度でしたが割と格闘しました。
記事ではかなり省略していますが、かなり紆余曲折あったのですよ。
※ボロさも手伝ってもう捨ててやろうかと思ったりもしました。
今でも平日休日問わず、
に少しずつ、各部の分解/清掃を繰り返しています。
ハーネスのカプラー外して、周辺を水拭きした後、シリコンスプレーを吹くだけでもだいぶ違う♪
こういう清掃や各部の確認がレストアの基本です。
樹脂やゴムが軒並みダメなんでシリコンスプレーの消費が激しい。
またシリコンスプレー大量買いしなければ。
おかげで、 部分的には 見違えるほど綺麗になりました♪
やっぱり、汚いバイクは直す気にならんのですよ。