走行中やブレーキングで起きることはなく、ギャップを通過した時だけです。
この原因が全く分からない。
フォークオイルを抜いてみたら偉く汚れています。
スライドメタルがヘタってるのは確実です。
果たして直るのか?
当記事の目次
VT250FHで路面のギャップを踏むとショックが来ます
軽いし取回しが良いし燃費は良いし細かい県道を走るには最高のツーリングマシンです。
ただし、1点だけ気になるところがあるのです。
当倶楽部のVT250FHで路面のギャップを踏むと結構大きな衝撃がステムあたりに来ます。
特に、
フロントタイヤがギャップに乗って衝撃を受けた直後のフォークが減衰する初期の動きが良くないように思えます。
なんだろう、これは。
ワタクシの経験上、
するとこういうことになりがちです。
確認して見たのは、
「ククッ。」という音がします。
※特に衝撃も引っ掛かりもありませんが。
もしかして・・これ・・か?
というわけで、
どうやらフロントフォークを分解して原因を探ってみようという趣旨です。
※そもそも確証がないので原因追及が間違ってる可能性も高いのですが、一つでも衝撃の要素がなくなればヨシということです。
ちなみに・・
最初はフロントタイヤの空気圧が高すぎて凹凸のショックを吸収できないのかと思いました。
一応、マニュアルによるとフロントタイヤの空気圧は2.25kgf/cm2です。
それを2.0kgf/cm2まで落としてみましたがギャップを超える際のショックはさほど改善しません。
※多少良くなる気配はある。
VT250FHは 生意気にもセミエアサスなので フォーク内のエア圧は大気圧にしてありますが、やっぱり変わりません。
エアバルブの位置が悪くて当倶楽部のエアコンプレッサーでは接続できず、空気が加減できないのが気に入らない。
次にステム周りの緩みかと思い、チェックしてみました。
ステアリングステムは特に緩んでいないように見えます。
センスタをかけてステムを左右にきって引っ掛かりはないし、ゴリゴリという手ごたえやコツンという手ごたえはありません。
センター位置から、ちょっとハンドルを押してやると左右ともフルステア位置まで自然に動きます。
なのでステムベアリングをはじめとするステム周りには問題ないと判断しました。
※グリスアップはするつもりですが。
というわけで、
フロントフォークに問題がありそうだと見当をつけたわけです。
※これが当たってるかどうかはともかく、トラブル時の原因特定のプロセスはこういう感じで一個一個原因と思われるポイントをつぶしていくのです。
フロントフォークは調子よくストロークはしている
目に見えない何かが起こっているのは確実ですがシッカリ圧縮もあるしダンパーも効いている。
特にガタもないように見えます。
当然オイル漏れもありません。
なんだろね?
フロントフォークを車体から外して、体重をかけてストロークさせてみます。
ちゃんと伸縮しますし、抵抗もありません。
ガタがあるようには見えません。
うがった目でチェックしても、
外観上も機能上も問題はないように見えます。
それでも車体に組み込んで走ると、やっぱり凹凸を超えるとカツン!とショックが来ます。
フロントフォークなんてキャブと違ってそれほど神経質になる必要はないと思うんですが、
実はフォークを単体にしてチェックするのは2度目です。
前回はオーバーホールというより、シール類と油脂の交換をしただけなのですが。
というのも、
今年に入ってからフォークはオーバーホールしているのです。
ワタクシの組付けが悪かったのかもしれませんし。
思い当たる節が何個もあるので、もう一度パーツを集めて組付け直してみました。
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フォークのシール交換をしたのは最近
レストア作業の一環として、漏れまくってるフォークオイルの対処をしたのでした。
前回交換した時は、
インナーフォークはサードパーティ製の新品ですし。
※そもそもコレがダメっていう話もあるけど、引っかかってる気はしないです。
この時もオイルの汚れはしっかりあったのですが、何せ35年前のフォークオイルですのでこういうもんだと。
マニュアルによるとフォークオイルはATフルードを使え!と記載がありますが、
フォーク用オイルでG10クラスの粘度のオイルなら問題なかろうと。
※動粘度はATFと同じくらいなハズ。
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とんでもないデブが乗ってならまだしも 普通に使ってれば17000kmくらいの走行でスライドメタルがヘタるとは思えません。
ゆえに、
スライドメタルとかブッシュ類は、そのまま使ったんですがやっぱり交換すべきでしたかね。
※35年前の太古車、しかも少なくとも10年以上は寝てた個体なので何があっても不思議じゃないのですが。
せっかくなので今回はスライドメタルやブッシュ類と言ったインナーチューブとボトムケースが接触するパーツは全部交換することにしました。
少しでも原因と思われるポイントを消し込んでいく作戦です。
驚いたことに2023/10時点で純正パーツでスライドメタルやブッシュ類は入手可能でした。
※とんでもなく高価でしたが。
実は割と近年 と言っても余裕で20年くらい前 までVT250FHのフォークはいろんな車種にそのまんま使われているらしいのですよ。
※どの車種に使われたかは今調査中です。
まあ、VT250FHのフロントフォークは一度ばらしているので構造はわかっていますし、作業的にはそれほど手間ではありません。
手順も覚えていますし、マニュアルもあるので 面倒くさいだけで 作業自体は簡単なのです。
ワタクシの当年度の目標的には本格的な冬になるまでに片付けておきたい問題なのです。
ちなみに・・
フロントフォークのボトムケース(アウターフォーク)の真下にある六角レンチ6mmで回すボルトがあります。
組付け時に「ネジロックの塗布。」を指定されているくらい緩むと困るボルトです。
これを外すのが結構大変です。
ネジロックされているだけにインナーフォークのダンパー部もくるくる回るので共回りして緩まないことがあるのです。
マニュアルでは「スプリングとフォークトップキャップを仮組すれば緩んで抜けますよ。」と記載があります。
が。
今回の作業では全然抜けませんでした。
※最初にオーバーホールした時は割と簡単抜抜けたんですが。
真ん中に出てるボルトがそれです。
ワタクシが前回使った使ったネジロック剤が強力過ぎたのか、フォーク内で共回りしてるだけで全然緩む気配がないのです。
さて困った。
ラチェットのジョイントを複数繋いでフォーク内側からダンパー部を押さえてもダメです。
予想以上にネジロックが効いています。
格闘すること3時間余り。
かくなる上は「バーナー様。」の出番です。
薪ストーブの点火や七輪の炭起こし、キャンプの時のBBQ時などでも大活躍のバーナー様♪
周囲を脱脂してからボトムケースの下のボルトの頭付近をバーナーで炙ります。
ネジロック剤は熱を加えると柔らかくなって緩むことが多いのです。
※確か250度とかそんな温度だったと思う。
大体2分くらい熱して、ボトムケースも少し熱くなったくらいで内側から押さえてボルトを回しますと・・。
見事に外れました。
メンテナンスでは絶望を感じることも多いのですが、冷静になっていろいろ組み合わせると解決できることもあります。
※もちろん出来ないこともあるんですが。
こういうのトラブルは疲労度も高いですが、達成感はもあるのです。
とりあえずスライドメタルを交換
こりゃ摩耗したスライドメタルが衝撃の原因だったか、と半分くらい確信を持ちましたが・・。
フロントフォークがちゃんと動いていれば、フォークオイルというのは基本的にそれほど劣化しないのです。
前回のフォークオーバーホールから半年くらい、
その間2000kmほど走っていますがそれくらいではほぼ汚れないハズなのです。
ちゃんと動いているサスのオイルは変色が少ないもんです。
フォーク内部は密閉されているので酸化も少ないのでしょう。
なので、
KAWASAKIのG10フォークオイルそのままの赤い色で出てくると思っていました。
ら。
この画像のフォークオイルの色が一番わかりやすい。
どうも金属が摩耗している時のグレーっぽい色が赤に交じっています。
これはボトムケース(アウターフォーク)の内側が削れている証拠ですな。
古いスライドメタルは新品と比べると結構傷んでいますな。
これがボトムケースの内側を削りまくったのでしょうなぁ。
スライドメタルやブッシュの交換でまともになればいいのですが、
あまりに摩耗が進んでいる場合は、ボトムケースの交換するしかありません。
※前回、フォークオイル漏れが止まればいいやと適当に組んだワタクシをを猛省しています。
パーツ単体にしてパーツクリーナーで洗浄、乾燥後にスライドメタルやブッシュを組付けます。
※さすがHONDA純正だけあって、各パーツにはうっすらグリスが塗布されてました。サードパーティ物はそんな気遣いはないです。
ボトムケースの摩耗度合いは、ある程度組んだ状態でガタが無いことを確認します。
具体的には、
インナーチューブをゆすってみました。
この状態でインナーチューブをゆすってみます。
・・左側のフォークに1mmにも満たないくらいのガタはありますな・・。
実測はできませんが恐らく0.5mmにも満たないくらいのガタです。
オイルシールも入るので、これくらいは誤差の範囲じゃないのかしら?
まさかコレ?
オイルシールをインストールしてオイルを入れてフロントフォーク単体を人力で急激に伸縮させてチェックします。
この辺は分解する前と変わりないように思えます。
というわけで、
単体チェックしたフロントフォークを分解と逆の手順で車体に組み付けました。
まあこのくらいの作業は慣れたものです。
ちなみに・・
当倶楽部のVT250FHには「センタースタンド様。」が装備されています。
※当倶楽部では役立つ工具や装備は○○様と呼んでいます。「万力様。」とかその代表です。
ワタクシ的には給油の際もセンスタかけるくらい気に入っています。
※BMWオーナーはこういう人が多く、なんとなく通っぽいので憧れています。
センタースタンドはフロント周りの分解だけでなく、
チェーンのオイル注油などのリア回りの簡易なメンテナンスでも大活躍してくれます。
ですが。
フロント周り一式を抜くようなメンテナンスの場合、念のためエンジン下部をジャッキで固定するようにしています。
※VT250FHの場合、支えがないと前に倒れてくるようなバランスだし、もしつんのめっちゃったら激しく心が折れると思うし。
こういう状態にするのにセンスタがあると楽なのです。
とはいえ、
センタースタンドって素晴らしくメンテナンスには有用です♪
公道用バイクには全部装備した方がいいんじゃないかという思うんですよ。
※オフ車には無理そうですがパンクした際はセンスタがあったほうが絶対に良いです。
VT250FHみたいな軽量な車両でもセンスタはとても便利なのです。
センスタは便利ですが、
VT250FHの純正サイドスタンドは傾斜しすぎな気がしますな。
キャンプの時の未舗装の上とか芝生の上とかだとめり込んでいきそうで怖い。
HONDAのサイドスタンドは設計が適当で気に入らないものが少なくないです。
※XR250のシリーズなんて明らかに車体が立ちすぎで接地面積が小さいし。
なんとかならんものか。
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路面からの衝撃が直らない
このタイミングはいつもドキドキするもんですな。
が。
ワタクシの思惑に反して、まったくと言っていいほど衝撃は改善されませんでした・・。
※ワタクシの気持ち的なショックの衝撃は反比例的に大きくなったのですが。
ガツン、という派手な衝撃の原因がフロントフォークだとすると、インナーチューブとアウターケースの0.5mmくらいのガタですかね?
これくらいのガタがあるバイクは結構多いと思うんですが、今夏の作業ではそれくらいしか見当たりませんでした。
当記事は絵面が地味なので、美味しそうな画像を載せておきます。
※生姜焼きをラーメンに突っ込んだらこういう味になるよね、という味です。
これは、
フォークのアウターケースをの交換コースか・・。
とはいえ、
フォークのアウターケースはメーカー欠品(´;ω;`)
さてどうしたもんかな。
ちなみに・・
VT250Fシリーズは大きく分けて3世代存在します。
古いほうから
という3世代です。
このスタンダードモデルは今では懐かしいインボードディスクというフロントブレーキシステムを採用しています。
スタンダードモデルにはそれぞれ派生したバリエーションモデルが存在します。
F2Dはインボードディスク仕様でしたが、
F2Fからの派生モデルはインボードディスクではなくスタンダードなダブルディスクを装備したモデルです。
※なので生産台数は少なめ。現存数はさらに少なめです。
F2DやF2Fはフルカウルという時代の流れに乗った仕様なのですが、F2HだけはFGと見た目がほぼ変わらないのがショボい。
この頃はHONDAのスーパースポーツはVTシリーズはではないという扱いなのでスペシャルカウルなんて作ってられなかったんでしょうねえ。
※VT250FG系のデザインはレプリカとは一線を画していたとはいえ。
詳しくは自分でウィキで調べなさい。
とはいえ、
および
のだろうと想像できます。
※カラーリングはFG系のパステルっぽい女子系カラーとは差別してるように見えますが。
HONDAは 自分とこ以外は全然採用してないけど 鳴り物入りで発表したインボードディスクを簡単にやめられないし(笑)
※同じ理由でVF400Fにも似たようなバリエーションがありますので過渡期というか・・ねえ。
ダブルディスク装着モデルはフロントフォークにキャリパー取付けポイントが設けられていて、
各世代のスタンダードモデルのフロントフォークを流用することはできません。
※キャリパーも異なるのでブレーキパッドもスタンダードモデルとは異なります。
車種的に希少性が高く整備性が高いのはダブルディスクの方なのですが、
中古パーツの入手のしやすさは数が売れたスタンダードモデルの方が何倍も楽なのです。
さらに、
VTシリーズもVT250FGの時代になると数が売れなくなったのです。
※なのでFGでVT250Fという車名は途絶えます。エンジン自体はずっと続くんですが。
面倒なことにVT250FG、VT250FH、VTZ250は形式が同じMC15でして。
ネットで中古パーツ探しの際は型番だけではわからないのでした。
※VTZ250はフロント17インチホイールでブレーキはシングルディスクという更なる派生モデルですがバイク便関係でバカ売れしたので数が多いです。
3機種混合なのでパーツリストやマニュアルの見ずらいことったらないです。
VT250FH用のマニュアル補足版なんてほぼフロントブレーキの話で数ページしかクセに高値で流通しています。
※それ単体では役に立たず、VT250FGのマニュアルの補足程度の意味合いしかありません。
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まとめ
フロントフォークの中のパーツを変えても現象はほぼ変わりませんでした。
とりあえず手詰まりですが、しばらくこの問題解決に向けていろいろ試しつつ、研究することにします。
というわけで、
フォークのパーツ交換程度では路面からの衝撃を解消させることができませんでした。
そもそもフォークに原因があるのかどうかすらワタクシは不安になってきました。
※傾向として「コレ!」という原因がわからないトラブルというのは解消までに迷走しがちなのです。
さてどうするか。
とりあえず、
※ガツンと衝撃が来るたびに寿命が1日減る勢い。 恐怖新聞並み。
この辺はみんな新品なのですが。
※ほぼ絶望と思われます。
※同時期のHONDAのバイクをリストアップしてパーツリストで照合するしかないんですが。
思考停止で見なかったことにするのは楽なのですが、そんな人生はつまらない。
趣味だからこそ仮説を立てて追及してみるのです。
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さしあたって、
中古フォークの入手方法検討や、流用できそうな車種の情報を収集を始めますが、
いづれにせよ、中長期で考えて対応していくしかありません。
「何にせよ、物がない。」
という旧車にありがちな問題ですので慌てたところで事態は好転しません。
もし中古パーツがあっても同じような状態の可能性がかなり高く、リスクは非常に高いのです。
古いバイクのトラブルに対応する場合、
性急に結果を求めても「慌てる小僧はもらい事故。」という格言があるようにろくなことはないのです。
何とか路面からの衝撃問題は2023年内にケリをつけたかったのですが間に合いそうもないですな。
とはいえ、
元がアレだっただけに、
今年はまともに公道デビューできただけでもヨシとして納得することにしますか。
これからシーズンオフなのでゆっくり考えられるしねえ。
レストア課題として残ってる「欠品中しているエアフィルターの自作。」もあることだし、当面気はまぎれます。
※でもKDX125SR2号機のレストアもせにゃならんので、資金的にはかなり厳しいですな。
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とはいえ、
当倶楽部のVT250FHはワタクシのところに来たの時のメーター読みで17000km。
それくらいの走行でフロントフォークの内壁が削れるほど痛むとは思えないのですよねえ。
※めちゃめちゃ転倒してたらその限りではないんですが大きくコケた形跡はほぼないですし。
このバイクはどんな運命をたどってワタクシのところに来たんだろ?
フロントブレーキの固着だってメチャメチャだったし、チェーンの痛み方も尋常じゃなかったし。
やっぱりワタクシの予想通り、2019年の台風時の水没車なのかしら?
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ちなみに・・
この件、短期間で解決できると思えなくなってきました。
仮説の一つであるフロントフォークのチェックをしてみたわけですが、
単体でフォークの動きを見る限り、素人目に問題なさそうに見えるんですよ、これが。
※プロから見ればとんでもないことかもしれませんが、0.5mmくらいのガタがあって公道を走ってるバイクなんて山ほどありますし。
ほんとに0.5mm程度のガタくらいでそうなるのか?
それ以外の問題は無いように見えるんですよねえ・・。
この時点でワタクシはだいぶ自身がなくなっています。
どなたかアドバイスやヒントをいただけると嬉しいのですが・・。
今回、内部のダンパーのパーツも交換しています。
気晴らしに、
フォーク以外で衝撃の原因である可能性があるステム周りの再チェックでもしますかね。
さしあたって、
ステム周りの分解とベアリング交換、グリスアップをしてみようと思っています。
そういえばステムのナットは30mmというあんまり使われていないサイズのナットですな。
※大体27mm位までじゃないの?そんなことない?
モンキーレンチも入らないので、このためだけにソケットを買うか(´;ω;`)
※特殊工具というのは大体そんなもんなんですがね。
フォーク回りの流用情報収集を行いつつ、中古パーツを探しつつ、ステム周りのパーツの洗い出しと発注を始めます。
なんでもそうですが、段取り八割、手間二割です。
なんとか春までにケリがつくといいんですがね
※そろそろ長野では峠が凍り始めるのでバイクには厳しい季節なのです。