キャブの同調が取れてないバイクはアイドリングも燃費もおかしくなります。
それほどキャブは超精密機械なんですが結構各キャブの同調は難しくないです。
今回は4連バキュームゲージを使った同調方法を記事にします。
連装キャブの同調が狂うとどうなる?
などの症状が出ます。
ただし、結構微妙なので気が付いてない人も多いです。
少し前までのほとんどの多気筒のバイクは贅沢にシリンダ毎のキャブを装備していました。
※今思うとすごく贅沢な作りです。
基本的には、
アクセルワイヤを引っ張ってキャブレター内の蓋やピストンを開け閉めしています。
この際、
開け閉めが各キャブでバラバラだと、
「エンジン回転を上げようとしてるキャブがいるのに回転を上げないようにするキャブがいる。」
「エンジン回転を下げようとしてるキャブがいるのに回転を下げないようにするキャブがいる。」
という足を引っ張りあう状態になります。
結果、
と言う症状が出ます。
この微妙な「個々のキャブのバラツキを均一化するのがキャブの同調。」と言うわけです。
同調とか大げさに言いますが、ほとんどの場合、
と言う微妙な調整になります。
キャブは予備があると構造が理解できるし、予備のパーツ取りにもなるので安心♪
とはいえ、
ドンズバで同調が取れると、
等の効果効能が期待できます。
何より同調が取れているキャブの多気筒バイクは乗ってて気持ちがいいです♪
※何か部品を交換するわけでもない地味なチューニングですがワタクシは結構好きな作業だったりします。
ちなみに・・
「キャブセッティング。」というとすぐジェットだ、スクリューの開度だという人が居ますが、まずは完ぺきに清掃、同調を取ることが先決ですよ。
これをしないで、いくらジェットを変えても無駄と言うか‥ご苦労さまです。
キャブの同調や清掃ってのは「基本のき。」なのですよ。
※もっと言うと、油面の高さ合せやフロートバルブの状態、ダイアフラムの状態などのチェックをまずすべきですよ。
キャブを適当に弄ったことによる、ほんのわずかな差で調子を崩すバイクは後を絶ちません。
初心者がキャブをいじる場合は、各車種毎のサービスマニュアルは必須です。
※ネットの情報は玉石混合と言うより「有象無象。」だし、中古バイクは一台一台状態が違います。
まずは、
完璧にノーマル状態を作ることから始めるとお金も時間も節約できますよ。
ゼファーのCVKキャブ同調
※Z1-Rにも同じキャブを搭載しています。
ゼファーのCVKキャブの様に負圧系キャブの多くは
「4気筒なのに3か所で調整する。」
ものが多いです。
メーカーやモデルによって多少違いますが、
「キャブとキャブの間にあるスプリングでテンションがかかってる3か所のプラスネジ。」
で調整していきます。
※強制開閉の4つのキャブをバラバラに調整するよりはるかに簡単です。
訳も分からず、このネジをぐるぐる回して調子悪くなった後輩のバイクの同調取ったことあります。
後輩には、その場で「ローリングソバット。」を食らわせました。
この3つは進行方向左から、
になっています。
キャブを車両から降ろしてエンジン側から覗きつつ、プラスネジを回すと・・。
キャブボディ内のバタフライバルブが微妙に上下します。
※目視でこのバタフライバルブの全開時の開度で同調を取る剛の者もいますが、全開域で合わると全閉域ではバラつく傾向にあります。
当ブログには珍しい解説ポインタ的な図を入れてみた。
基本的には、
キャブの同調は極低回転レベルで均一に合わせるのがセオリーです。
ストリートでは常に高回転を使えるわけではないので高回転時は結構誤差の範囲でいいように思えます。
※全開域で合わせると低速域で狂いそうだし、バキュームゲージは壊れると思う。
実際、バキュームゲージがあるなら全閉域を確実に合わせたほうがアイドリングが安定するんで乗りやすいと思うのです。
※ツーリング時にアイドリングが安定しないバイクは乗ってて疲れるのです。
ちなみに・・
バキュームゲージで調整するのは、各気筒の吸気圧レベルです。
端的に言うと、
「吸気圧レベルを揃えてあげること=同調を取る。」
です。
当倶楽部のZ1-RとZ750D1の場合、
での二点でざっくり合わせます。
当倶楽部では車検の年ごとくらいのスパンで調整と言うか確認を行っています。
※それほどズレてるわけではないのですが、同調が取れてるキャブは気分がいいのです♪
4連バキュームゲージ使い方
4気筒それぞれにそれぞれのバキュームゲージのメーターから伸びているホースをつなぎます。
バキュームゲージがあれば、素人でも各キャブの同調を取ることができます。
いろんなバキュームゲージが検索できるようにしてあります。
参考までに当倶楽部ではSTRAIGHTの製品を愛用しています。
※アタッチメントを使い分けることで各種メーカーのキャブに対応しています。
どうしても複数のパイプが「アンビリカルケーブル。」っぽく見える。
バキュームゲージの使い方
※バキュームゲージが壊れます。
※結構大事
親切な図解でワタクシも我ながら感心だ。
先に言っておきますが、
調整しても各メーターの値が完璧に合うのものでもありません。
病的に調整したがる人が居ますが、それほど厳密なものではなく大体揃っているのが大事なのですよ。
ちなみに・・
バキュームゲージ下部のダイヤルを絞ると、針の振れ幅を調整できます。
ピッタリ針を止めるまで絞ることもできますが、
「厳密すぎると中々同調が合わなくなる。」
傾向があります。
※泥沼にはまってモタモタしちゃうのはこの手のバキュームゲージの調整を厳密にやり過ぎたミスによるものが多いです。
ワタクシは「各メーターの針の振れ幅を2cmくらいに調整。」します。
その振れ幅が大体同じならヨシとしています。
キャブ同調の注意事項
出来れば10分程度で終わらせたい。
エンジンは走行してないと冷えないのでオーバーヒートするからです。
キャブの状態がメチャメチャでなければ、キャブの同調作業なら10分もあれば終ります。
※慣れと言うのもありますが。
実際の同調より大変なのが、同調作業に入る前の準備です。
これが非常に面倒くさい。
準備の方が大変
キャブ同調のハードルが高いと感じるのは、作業準備が大変だからです。
※汚いキャブは清掃だけで普通に数時間かかったりしますよ。
など一通りのキャブ単体チェックメニューをしてから同調作業に入ります。
4気筒車はキャブを下ろすだけで大変な手間なのですが、この準備は大事でして。
各個のキャブがまともに動いてない状態で同調をとっても意味はないのです。
こういう手間がかかる作業は、ショップに出すと大抵高額請求になります。
※そもそも旧車のキャブ同調なんて、ショップが受けてくれるかどうかは微妙ですよ。
長く同じバイクに乗りたいのであれば、キャブの同調くらい鼻歌交じりに出来るようになっておきたいものです。
同調作業のポイント1
「暖気後に作業する。」
エンジンをかけてエンジンが温まった状態、で調整をすることです。
できれば「アイドリングが安定してから。」が望ましいです。
※アイドリングすらまともにしない個体のキャブは同調以前の問題な気がしますが、結構たくさんいます。
当倶楽部では、
アイドリングが安定するまで、アイドリング調整スクリューでアイドリングをあげて無理やり温めちゃいますが。
※当倶楽部のバイクはいずれもチョークはほとんど使わないくらい調子がいいです。
同調作業のポイント2
「絶えずキャブにガソリンを十分供給すること。」
です。
キャブ内の油面が下がると一気にアイドリングが不安定になり、各メーターの動きがおかしくなります。
※ガソリンが不足した時の状態は各々が経験したほうが良いのでどうなるかは教えません♪
ガソリンが不足した状態で同調合せてもメチャメチャになるだけですよ。
キャブの同調作業中は、キャブには過不足なくガソリンを供給し続ける必要があるのです。
この手間を軽減したければ、ガソリンサブタンクを使いましょう。
ワタクシはずっとコレがガソリンフィラーだと思っていたけれど、ガソリンサブタンクっていうのね。
どこで間違って覚えたのかしら?
スポイト式の手動ガソリンフィラーでも慣れると十分ですが有ると便利なのは確かです。
たまにこのフィラーを押して手動でガソリンを供給するのだ。
同調作業のポイント3
「キャブの同調作業は手早くやること。」
です。
特に空冷バイクの場合、
「長時間アイドリングするだけでもオーバーヒートしてエンジンが歪む。」
と思いましょう。
デカい空冷バイクは、真夏に停止状態で5分もアイドリングしたら油温がとんでもないことになります。
ワタクシの寝室用扇風機1号。
同じ扇風機がもう一台ある。
ワタクシは「同じものを複数買うことを金持ち買いと呼ぶ。」のだ
空冷エンジンのオイル漏れのほとんどはエンジンの歪みだと思っています。
※なので同調作業中は扇風機でどんどん風を送るのです。出来れば工場扇が欲しいですが冬邪魔なのでねえ。
水冷エンジンでも、モタモタやってるとラジエターファンから猛烈な熱気が襲ってきます。
※オーバーヒートしたら怖いのは実は水冷エンジンの方ですよ。
手間取って10分以上かかる様なら、時間をおいてエンジン冷ましてから再度調整しましょう。
4連バキュームメータの値段
4連バキュームゲージの値段はピンキリです。
ワタクシは某一流輸入工具ショップ
まあ、こんなもんどこで買っても同じだと思うのですが(笑)
ネットで買う場合は、レビューを見て信頼できそうなものを買えばいいと思います。
※最近はこの手のレビューも操作されてるっぽいですが。
大抵1万円前後じゃないでしょうか?
激安の無印工具は「安い=使えない。」と思っていい様です。
※ワタクシも激安のキャブドライバーでやられましたし。
吊るす台(当俱楽部では、脚立を使用)を用意するのが面倒くさい。
まあ、ショップでキャブの同調を取ってもらうよりは4連バキュームゲージを買っちゃった方が安いかなという感じです。
※ショップの工賃設定にもよるんでしょうが工具は一生使えますしね。
一生使えると思うけれど一生のうちに何度やるんだろ?
※ワタクシはもう数十回使っていますが。
そもそも、
吸気圧の正確な数値なんて、アナログメーターで調整してる限り、完全な把握は無理です♪
ワタクシが、こういった細かい事への耐性というか気にしなくなってるのは古い車のメーターで慣れてるからです。
古い車のアナログメーターは「動いてるだけで尊い。」のですよ。
※某古い英国車でメーターの数値を信じてマジで調整したら不調になって以来、割と適当になった。
「正確な数値より、針の振れ幅で合わせる。」
と言う同調の方法であれば、割とメーターの数値的には適当でも大丈夫です。
※ワタクシはその方法で数十年運用してますが問題ありません♪
ちなみに・・
大事なのでもう一度言いますが古い輸入車ではメーターの数値なんて全くあてにできません。
「メーターが指してる値はメチャメチャでもいつもと同じ動きをする。」
のが大事なのですよ(笑)
完璧に数値でセッティングしたければ、それなりの専門設備があるショップに持ち込むといいですが対価は高いです。
まあ、一見さんはぼったくられる前提と言うかカモになりがちですが。
※結構な対価を請求する割に、ワタクシと使ってる計測器や工具のレベルが同じだったりするショップは少なくないです。
まとめ
誰でも出来ますし、作業自体は慣れれば物の数分で終わります。
ただし、同調作業する際の注意点は結構あるのです。
キャブ同調の前提として、
キャブ同調作業時には、
と言うノウハウはあるのです。
バキュームゲージだけ入手してやみくもの同調作業したとしてもまともに調整できませんよ。
※バキュームゲージのマニュアルにはそんなノウハウは書いてないです。
Z1系エンジンのアイドリングは普通は1500回転くらいに設定します。
4つともそれなりに合ってるのでよろしい。
調整開始から5分♪
とはいえ、
意外と簡単だし、結構面白いので古い多気筒車オーナーはキャブの同調くらいチャッチャと出来るようになっちゃいましょう。
ショップだと普通に数万円取られたりします。
※特に旧車ってだけで割増料金だったりするので、長く乗るつもりなら自分で出来るようになっておいた方が後々得です。
キャブの同調は簡単な割に皆ハードルが高そうということで敬遠しがちなので、出来るとエンスーっぽくてカッコいいですし。
経験としてキャブ同調はやっておくといいと思うけれど、工具は人に借りるのもあり。
貸してあげてもいいけど有料。
もしくは「手ぶらで来るな。」
※貴様のことだぞ、H君。
ちなみに・・
決しておススメはしませんが、各同調調整用のネジを思いっきり締め込むor緩めるとどうなるか・・。
知っておくのも乙なものです。
※各回転数は、事前にメモしておけば元に戻せますし。
大体やるんですよ、キャブ同調初心者の頃に。
思いっきり締め込んだり。
思いっきり緩めたり。
そして慌てるのです(笑)
特に、真ん中の1番2番と3番4番の同調ネジは劇的に変化を感じられますよ。
エンジンかけた瞬間に・・これ以上は教えません♪
やっぱり皆自分でやって経験しないと(笑)
壊れはしませんがビックリしますよ。
当然、自己責任って奴ですが。