当記事は実際に乗ったらどうなのよって話です。
走ってもちっとも速くありませんが10年乗りましたので最初とはだいぶ印象が変わりました。
普段使いする気にはなれませんが慣れてくると楽しい車だったりします。
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エンジン始動の儀式
旧車は長い年月の間、何人ものオーナーによっていろいろ手が入ってると思った方が良いのです。
50年前の車が全部同じコンディションで同じ改修を受けているわけはありません。
ゆえに。
個体ごとに違った改修をされていると思った方がいいのです。
例えば、
などなど個別に見るとキリがありません。
当倶楽部の個体は入手時から上記のような改修を受けていました。
いわば、
割と現代風にアップデートされてるというわけです。
※色々調べてみたらすごく手が入ってる個体でフレームもエンジンも新車時のものではありませんでした。
ので。
とエンジンは簡単に目覚めます♪
※ウェーバーにはチョークはありません。
旧車にしては簡単な方です。
この儀式を知らないと当倶楽部のLOTUSヨーロッパはエンジンを起動することができません。
ゆえに。
エンジンかけるだけでもSNSのアカウントのパスワード管理くらい防犯装置っぽい。
エンジンかかっても温まるまではクラッチ操作がシビアなのでエンストしがちですしねえ。
決して運転がむつかしい車ではありませんが、
決して万人にやさしい車ではありません。
※昔の車なんて多かれ少なかれこんな感じです。
シフトフィールはほぼ最悪
何速に入ってるのか?はたまたニュートラルなのか?
非常にわかりづらいのです。
LOTUSヨーロッパのシフトフィールは極めて悪いです。
今どきのMT車に乗れる人でも戸惑うことは間違いありません。
というのも、
センターコンソールに生えているシフトレバーは何速に入っていてもぐらぐらしているのですよ。
センターコンソール内にある車体後端まで伸びる長くて重いシフトロッドは重いので常に真下に行こうとします。
シフトロッドはシフトレバーにつながっている構造上、人間が操作するシフトレバーは常に真上を向こうとするわけです。
※文章で伝えるのはちょっと難しい。
本革製♪
革細工趣味だとこういうのは結構簡単にできる。
シフトゲートを作ってかっちり視覚的に見えれば何速に入ってるかわかるし操作ミスにおびえることもないとは思うのですが、
その辺は英国車は結構適当なのです。
なので、
何速に入ってても入って無くても、シフトレバーはぐらぐらします(笑)
※一応慣れると何速に入ってるかなんとなくわかるのですが慣れるまで結構走り込まねばなりません。
また、
バックギアが2速の左側にあるのです。
実際は大きく左側にシフトレバーを倒して手前に引かないと入らないのですが、
3速から2速にシフトダウンする際はバックギアに入っちゃったらどうしよう!?とちょっと緊張しますな。
※これも慣れです。
シフトレバーを操作すると、
レバーの下側につながってる太くて重いシフトロッドを経由して車体の後端のミッションに伝わります。
LOTUSヨーロッパのドライバーがシフトするたびに、
後続車からは車体後端に見えるミッションのシフトロッドが動くのを見ることができます。
シフトロッドは何か所かでジョイントされ、
ピロボールでサポートされつつ後端のミッションに動きを伝えています。
重たく頑丈で何か所かでジョイントされたり保持されたりするロッドを経由して、
すんごく遠くのミッションを操作してるのですな。
そりゃシフトフィールも良くないです。
長いシフトロッドは複数のパーツで構成されています。
シフトロッドの各パーツのジョイント部はねじ込み式だったりするのですが驚くことに回り止めが付いてないのです。
ということは。
ジョイント部が緩むと後端に正しくシフト操作が伝わらなくなるのです。
これはLOTUSヨーロッパの構造上仕方ない持病です。
※長くなるので別記事にします。
ともあれ、
某漫画のように「助手席に乗せた女の子にシフトチェンジさせながらレースを続ける。」なんてのはまず無理です。
※1速に入れるのだって少し左に倒して前に押し出す、というコツが必要ですがレースの現場でいきなり出来るわけないのです。
ヒールアンドトゥとかしてる余裕はありません。
しっかりシフトチェンジすることの集中しないとシフトミスしかねません。
いきなりドンっとつながる昔の車独特のクラッチは例にもれずシビアだしね。
ハンドルに遊びが一切ない
もうね。
遊びが一切ありません。
高速走行中はハンドルを固定しているつもりで後方を振り返って確認するだけで車線をはみ出す勢いです。
とにかく走ってるときはハンドルから一切手を離せないのです。
走行中に缶のボトルコーヒーの蓋を開けるのは結構大変です。
LOTUSヨーロッパは昔の車なので灰皿が付いていますが、
運転しながら煙草に火をつけるのは不可能級です。
※火種が落ちたりしたらFRPのボディは全焼する恐れすらあるし。
シビアなハンドリングですが、
パワステなんてサポートはないのですが前にエンジンがないので前輪部が軽いため、操作は意外と軽いです。
※それでも据え切りは出来ないしやらないほうがいいです。
ハンドルはモモ。
ハンドルを好みに換えられる車も減りましたね。
真っすぐ走行中は怖いくらいの容赦のなさですが、
峠で走る際はこの遊びのないハンドリングが素晴らしく気持ちが良いです。
これくらい機敏で狙ったラインをスパーンとトレースできると快感ですよ。
※全然速くなくても、です。
登り坂では後輪に過重がかかりがちなのでハンドリングの鋭さはちょっと緩くなるのですが、
過重がかかる下り坂はスパスパ曲がります。
ミッドシップってのはこうでなければいけません。
あ、そうそう。
車体が小さいけれどハンドルの切れ角が小さいため、小回りは全然効きません。
ノーズ部も低くて慣れるまでどこまであるか分かりにくいのでスーパーの駐車場とかは結構大変なのでした。
※たまにロータスヨーロッパで食材の買い物にも行きます。
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ブレーキは効かない
乗り始めて10kmでガーリング製のブレーキサーボが壊れたので撤去しました。
踏んだ分しか効かなくなりましたが、サーボがあってもブレーキパッドが凄く小さいのでやっぱり効かないのかも。
当倶楽部に来てから最初のドライブでブレーキサーボが壊れてブレーキがかかりっぱなしになりまして。
サーボ自体が壊れたっぽいので思い切って撤去しました。
※壊れそうなものは出来るだけ撤去する主義です。
そのせいで踏んだ分しか効かないという軽トラの様なブレーキフィールになったわけです。
ダイレクト感が増してコントロールしやすい、と強がっていますが効かないものは効かない。
ノンサーボのブレーキはスイッチ的な使い方ができないので、ブレーキで行う車体の加重コントロールが確実にうまくなりました。
が。
誰も乗りたがらない車になりました。
※なんでも乗ってみたがる嫁が「コレは止まれないので乗れない。」と拒否したくらいの効かなさ。
ここでもまた防犯装置かと思うくらいのセキュリティができました♪
もしロータスヨーロッパをこれから買う人がいるとすれば、
ブレーキは強化した方がいいと思いますよ。
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また、
サイドブレーキも驚くほど効きません。
坂道で全力で引っぱっても普通に下がっていきます。
いわば逆ヒルホールド機構です。
これが驚くほど効かないのだ。
こういう場合、
のですがLOTUSヨーロッパに積まれているLOTUSツインカムエンジンはお世辞にも低回転でのトルクがあるとは言えません。
※クラッチはいきなり「どんっ!」とつながる昔のクラッチな上、ワイヤー制御だから操作感覚がダイレクトでないです。
これが極めて難しいのです。
勾配がきつめの坂道の信号待ちなどで後続車がいるといまだに緊張する場面です。
ちなみに・・
右ハンドルの本国仕様の場合、サイドブレーキは運転席の右側に生えています。
ステッキ状のレバーを引いてロック、半回転させてロック解除になります。
このレバーはボディ前側のトランクルーム下で力を反転させて、
センターコンソール下のトンネルを通って、
室内とエンジンルームを隔ててるバルクヘッドを貫通しているワイヤーを引っ張り、
後輪のドラムブレーキに作用します。
このワイヤーが緩みがちなんですよ。
※ワイヤーが長いのか知りませんがMaxまで調整しても緩いのですよ。
どうしてこんな作りにしたのか謎です。
※旧FIAT500のサイドブレーキの方が全然効く。
聞くところによると、
ヨーロッパの先祖であるエランもサイドブレーキ効かないそうですな。
チャップマン氏はこの頃のLOTUSの車両を公道で使うことはあんまり考えてないのかもしれません。
そういえばエスプリは普通のサイドブレーキになってますな。
商品として完成度が上がっていますねえ(笑)
どれくらい速いのか
エンジンパワー的には今時のファミリーカーより遅いんじゃないかと思います。
エンジンのパワーは
ハッキリ言えば、
「LOTUSヨーロッパは現代の基準で言えばかなり遅い車。」
です。
それでも普通に街中を走る分には後れを取ることはありませんが
感覚的には軽自動車のターボ並みかそれ以下の感覚です。
でも安いエコタイヤに変えたら楽しくなった。
古いスポーツタイヤより安いエコタイヤのほうが安いし何より十分な性能なので走って楽しい。
着座位置の関係から視点が極めて低いので法定速度でさえもスピード感はあります♪
そういう意味では速く走らなくても楽しめる車だとワタクシは思います。
が。
峠の登りではパワー不足は否めません。
今時の小型車やファミリーカーに置いて行かれるくらいです。
※もちろんドライバーにもよりますが。
が。
峠の下りではそこそこ行けます。
ハンドル切った分だけ思い通りに曲がる感じです。
ワタクシごときの腕でもミッドシップの回頭性がよくわかる♪
ワタクシはこんなにくるくる回る車を知りません。
これがまた絶妙に気持ちがいいのです。
慣性の法則を受けづらく、
車多が低いのでロールによる恐怖の増幅がありません。
車高が低く車体が軽いとはこういうことかと実感できます。
ゆえに、
頑張ればかなりハイスピードでコーナーリングすることが可能です。
※タイヤのスキール音は結構な勢いで突っ込まないと鳴らない。
が。
そもそもブレーキはあんまり効かないし、
タンデムマスターシリンダではないのでブレーキラインに少しでもトラブルがあれば踏み抜けちゃいます。
止まれないのは怖いのでかなり余裕をもって楽しむ程度のスピードで走ることにしています。
相当な腕と度胸がないとハイスピードで峠を走るのは難しいと思われます。
ワタクシは改造するならブレーキだと思いますが、その手のキットはクッソ高い。
ブレーキを強化したらもう少しだけハイスピードで走ることができるかもしれませんが、
他のところに負荷がかかると思うし、ワタクシの腕ではこれくらいのペースで慎重に走るほうが安全な気もしています。
ちなみに・・
この車、誰が乗っても楽しい車ではないということです。
よく雑誌とかのメディアでは万人に楽しい、みたいなこと書いてありますが嘘です。
操作系のクセの強さとダイレクト感の無さ、低速域のトルクの無さなどが相まって慣れないと動かすだけでぐったり来るのですよ。
動かす程度なら誰でも出来るとは思いますが、
視点の低さと視界の悪さ、コックピットの圧迫感が相まって慣れないと結構怖いです。
※しかも旧車のクラッチフィールに慣れてないと、まずエンストします。
普通の国産スポーツカーに乗ってる人ですら乗りたがりません。
※国産スポーツカーは社会性もあるし、居住性もいいし、乗りやすいですよねえ。
ミッドシップとはいえ、50年前のクラッシックカーです。
現代の道路事情と性能の上がった車たちと比べると未完成というか出来損ない感が強いです。
そもそも、
漫画の様なスペシャルな走行性能を期待する方が間違いなのですよ。
おぢさんたち、みんな夢見すぎ。
※それでも50年前はかなり速かったとは思いますが。
高速道路性能
1600ccのノンターボですからね。
追い越し車線に入るのはちょっと勇気がいるくらい遅いですよ。
ワタクシは最高速度はぬえわkm/hまでしか出したことがありません。
※意外にもGARMINのハンディGPSのスピード表記とそれほど変わりないくらいスピードメーターは正確です。
LOTUSヨーロッパは視界の狭さがそのままスピード感を数割増す感じがするのです。
法定速度でも超速い感じを受ける位。
で。
高速道路では100km/hで巡行することが多いのですが、
が大変室内に響くため、助手席との会話もままなりません(笑)
※オーディオの音楽は「なんか鳴ってるな。」くらいの感覚はありますが曲名迄わからないです。
ごくたまに必要に駆られて高速道路にも乗る。
でも高速は嫌い。
古いスポーツカーはイメージと違って高速道路ではおとなしく走ってるのは、そういうわけなのです。
※無理させて壊しても面白くないし。
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ちなみに・・
当倶楽部の個体だけの現象かもしれませんがLOTUSヨーロッパはラジオの電波の入りが非常に悪いです。
車高が低く、ボディがFRPなのでラジオの電波を拾わないんじゃないかと思っています。
当倶楽部の個体は入手時には既にラジオアンテナを立てる穴が埋められておりまして。
入手時は配線してあるとはいえ、伸縮するテレスコピックアンテナがトランクルームに放り込まれてる状態でした(笑)
ワタクシが入手後、ラジオブースター的なアイテムを装着させて、
車体の一番高いリアウィンドウの上部にアンテナ(船舶でも使われてる室内用)を張り付けたのですが、
一向にラジオの電波の入りは改善されません。
もしかしたらカーオーディオのデッキの性能が悪いのかもしれません。
LOTUSヨーロッパオーナーの多くはカーステの入るスペースを殺しちゃってる人が多いです。
ワタクシが思うに「ラジオの電波が上手く受信できないから。」じゃないかと思うのです。
最近はスマホアプリのradikoがあるのでラジオの電波問題はコレで解決です。
高速に乗らなければ聞こえるradikoの音も聞こえるのです。
嫁はうるさい上にリクライニングしないLOTUSヨーロッパのシートでも爆睡するので、
運転する時はラジオくらいは聞きたいのですよ。
まとめ
今の基準でいえばかなり遅い部類の車です。
そもそも過給機なしの1600ccの4気筒ですし、旧車に速さを期待するのが間違いです。
「サーキットの狼。」の漫画は世間が勘違いするほどの強烈なインパクトを残してくれましたな。
現在の中高年の少年時代に刷り込まれた印象というのは本当に強烈だということを思い知りますよ。
ただし、
多くの人のイメージの様な漫画通りの走りは絶対できません。
※ゼロヨンでパンテーラには100%勝てませんし。
LOTUSの車はパワーを前面に出した車じゃないのです。
軽さとエンジンパワーより勝るシャシを駆使して走るライトウェイトスポーツって奴ですね。
※後期のエスプリはV8とか積んでましたが。
チャップマンはとりあえずミッドシップの車を作ってみたかったんじゃなかろうか。
それくらいLOTUSヨーロッパはよく言えばシンプル、悪く言えばショボいです。
S1(シリーズ1)なんて80馬力そこそこのエンジンしか積んでなかったしねえ。
そんな車が速いわけないのです。
マイナーチェンジ後にLOTUSツインカムエンジンを搭載して馬力をあげたとはいえ、所詮120馬力くらいです。
そんな車が速いわけないのです。
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当時の基準で出来てる車を現代の車と比べる方がおかしいのですよ。
※とはいえ、今の車と比べると軽さだけは圧倒的ですが。
50年前の国産車は今時の車の流れに乗ることも厳しい車が多いことを考えれば、LOTUSヨーロッパはだいぶマシなのです。
こういう絵になるところを見つけるとつい写真を撮ってしまうのだ。
嫌なことも多いけれど極たまに「ロータスヨーロッパ最高♪」と思える瞬間があるのだ。
人と比べてどうこうというより、
ライトウェイトスポーツとして適度な速度域で車を操ることを楽しむのですよ。
そういう楽しみ方ができないのであれば旧車なんか乗らないほうがいいのです。
格上のスポーツカーを峠の下りで追い詰めて下剋上するのがライトウェイトの神髄、とか言う人もいますが勝手にやってください。
LOTUSヨーロッパは、
小さいくせにすんごく目立つので速い遅いは別として、
あまりに下手くそだと恥ずかしいので、
ちょっとは練習した方がいいとは思いますが。
※ワタクシ自身、恥ずかしい思いをした経験もあり。
それでもオーナーの腕がどうあれ、
ドライブの休憩中にはおじさんたちに囲まれちゃったりするのであんまり人が多い駐車場にもいかなくなるのです。
※標高が高いところではキャブ車はエンストもありがちだし、エンジンもかかりづらいのですわ。
空いてるときにグリグリ走り回るだけの車です♪
↑これ以上運転が楽しい車はワタクシは知らない。
※スポーツカーだけに、1日走り回るとぐったりするくらい疲れますけど。
ちなみに・・
当倶楽部のある長野県は標高が高い場所が多いです。
そういう所を走るのは楽しいのですがいかんせんキャブなので混合気が濃いめになるのです。
なので。
すんごく遅い車の後ろにつくとプラグがかぶり気味になります。
※長野の観光地はガスることがあってそういう時は30km/hくらいで走る車両がいたりします。
その速度では失速&エンストしかねません。
アクセルをあおって失火ないように気を付けながら走ります。
走る方も楽しいのですがすぐ壊れるので無理して壊したくないのですよ、ワタクシは。
上りのヘアピンとかに入るときは1速にシフトチェンジせねばならないのですが、
シフトフィールの悪さも手伝って非常に緊迫します。
※マジで手に汗握る30km/hの世界。
こういうのも慣れなのですがエンストして後ろから突っ込まれたりするとシャレにならないので、
あんまり遅い車に追いついた場合は自分が止まってクリアラップを作ったりします。
なので、
混んでいそうなシーズンのいい時間の観光地には寄り付かなくなるのです。