電子部品であるレギュレーターは30年以上も経過すれば寿命というか大往生なわけです。
壊れると出先で困るのでリプレイスすればいいのです。
たまたま3個もバッタもんのレギュレーターが手元にあるので比較テストしてみようという記事です。
VT250Fに使えるレギュレーターが三つある
というのも出先でセルが回らなくなるトラブルを経験してレギュレーターを新調したからなのです。
当倶楽部には現在VT250FH用のレギュレーターが3つほどあります。
の3種です。
耐久性が高く丈夫であるVT250F系のバイクの数少ない盲腸的な欠点がレギュレーターなのですよ。
レギュレーターは内部に熱に弱い半導体を組み込んでいますが、レギュレーター自体が熱を発するというジレンマを抱える仕組みなのです。
そもそも、
バイクのレギュレーターというのは壊れるモノなのですよ。
メーカーからは消耗品扱いされていませんがしっかり劣化して消耗します。
まあ壊れない個体は壊れないのですが、
個人的には80年代の一気に進化した時代のバイクのレギュレーターは弱いイメージがあります。
※車体の進化の割に電気系はないがしろになってたような気がします。
その後、
バイクに搭載される各システムは熟成され、改良されて信頼性が上がっているはずです。
じゃないと今のデリケートな電装系に対応できない気がします。
自体が発熱するので熱に弱いレギュレーターは何とか冷やさねばなりません。
その多くは風を当てる空冷方式で冷やしています。
※年式が新しいレギュレーターほど冷却能力が高そうな見た目をしています。
ですが。
VT250F系のレギュレーターはバイクで最も熱を持つ後ろ側Vバンクのエキマニのチョイ上についています。
まあ走ってればそれほど問題ないんでしょうが公道用バイクには渋滞という避けて通れない状況があるのです。
とはいうものの、
VT250FHというのはもう35年も前のバイクですので何がどう壊れても「そんなもん。」と言わねばならんのです。
※既にメーカーが設計時に想定していた使用期間は余裕で超えているハズだし。
この手の見えない電気系のパーツはたまにチェックをするのはもちろん、
耐用年数を考えてトラブルが発生する前に交換したり対策したりするべきパーツでもあります。
結構高いし、交換しても人に自慢できないのでないがしろになりがちなんですが、
この手の地味だけれど肝心な機能をつかさどるパーツは整備の手を抜いていると、
「ツーリング先でセルが回らなくなる。」
みたいなショボいけど冷や汗もんのトラブルに発展するのです。
特に30年前の中古で買ったバイクとかさ。
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せっかく同じ機能のものが3つあるので数値で比較して見たくなったわけです。
安物とはいえ うち新品は2つもあるので何とかなるハズなのです。
ワタクシ個人がレギュレーターに対する疑問もありますしねえ。
「どれくらい熱を持つのか?」
とかさ。
ちなみに・・
レギュレーターは壊れるくせに純正品は高いのですよ。
純正だと1万円は軽くします。
メーカーに文句を言うつもりはないのですがもう少し安くしてもらいたい。
というわけで、
お小遣いの少ないワタクシは 人柱になるつもりで 安い中華製とかネットショップの怪しいパーツを組まざるを得ないのです。
今回、2種類の 安物買いの銭失い的な レギュレーターを新規購入したわけですがテストした結果は・・この後すぐ。
比較テストをしてみたくなった
そういうレポートって意外とないのです。
ちゃんと電圧をレギュレートしているのかも気になるところ。
それならテストして見りゃいいのです。
せっかくなので3つのレギュレーターに同じ負荷をかけて温度と制御電圧を測定してみようと思います。
テスト方法としては、
ということです。
ついでに、
ライトを点けたり消したりすると電圧はどうなるかも観ておきたい。
まず、
VT250FHのレギュレーターはどのくらいの電圧に減圧しているのかをこの際はっきりさせておきたいのです。
マニュアルではレギュレーターからの出力は14Vから15Vとなっていますが普通は14.5Vくらいと言われています。
これもマニュアル通りなのかやってみたい。
もう1つは、
熱くなる熱くなると言われるレギュレーターですが温度の計測結果を残しているサイトはあんまりないのですよ。
レギュレーターは運用中は40℃程度という人もいれば90℃くらいまで上がるという人もいます。
少なくとも「手で触れなくなるレベルで熱くなる。」というのが普通の見解だったりします。
これをこの際ハッキリさせておきたい。
休日に2時間弱の時間ができたのでココできちんと計測することにしました。
VT250FHに積んでいるバッテリーは約1年前の2023年6月に積んだ中華製。
※一応、セルが回らないトラブル後に新しいバッテリーを発注してあるのですがこのテスト時点では未到着。
エンジン停止状態で12.52Vとまあまあ快調な数値です。
※バイク用バッテリーは一般的に12.8Vくらいが正常値と言われることが多いです。
まあこんなもんでしょう。
この時の気温は20度前後。
ロータスヨーロッパに搭載の車外温度計を参照したのであんまり参考になりません。
※ガレージに温度計をつけると真夏に熱すぎてやる気が無くなるのであえて温度計は付けない主義です。
ガレージ前の風が当たらない場所で計測を行います。
自然の風による冷却はほとんど期待できませんので公正なテストになるでしょう。
さてどうなることやら。
もしかすると非接触温度計の校正がズレてるかもしれないので参考まで。
一応、非接触温度計は2種類2個ありまして両方とも同じような計測値なので壊れてないと思うんですがイマイチ自信はありません。
※表示された数値よりなんとなく低い気がするんですよ、触った感じ。
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ちなみに・・
バイクというのは空冷であろうが水冷であろうが走行風を車体に当てて冷却するのが基本です。
如何に水冷とはいえ、アイドリングを長時間続けるのは忍びないのですよ。
なので、
テストとテストの間はちょっとインターバルを置いてエンジンを冷やしてからの作業としました。
水温計は全然半分まで届いていませんがオーバーヒートにでもなったら大変ですので。
テスト結果
計測結果は以下の通り。
純正
電圧は3種の中では最も低め。
14.2V前後を行ったり来たりします。
ライトを点けるとちょっと下がって14V前後をキープします。
2分経過後も電圧はさほど変わらず。
もしかして壊れてないんじゃ・・。
これくらいなら十分充電されそうな気がします。
ライト付けてUSBでGARMINのGPS運用してましたが出先でセルが回らなくなった原因はコレですかねえ・・。
なんか熱くなりすぎる気もします。
温度は感覚的に3種の中で一番ゆっくり上昇しました。
2分後は84.6度まで上昇。
純正然とした社外品(中華製)
電圧は3種の中では最も高め。
15.2Vくらいから15.8Vくらいまでを行ったり来たりします。
ライトを点けるとちょっと下がりますがそれでも15V以上をキープします。
2分経過後も電圧はさほど変わらず。
あっという間に温度が上がりまして。
電圧も高めでして。
1分後には早くも温度は80.1℃。
これ以降もガンガン上がり続ける気配があったのですが一応ここで終了。
※15Vを超えた出力はマニュアルによると規格外なのでちょっと気になるし
新品なのにライト付けてもマニュアルを超える15V以上という結果はイマイチ納得いかない。
その日の夜に画像付きでネットショップには連絡入れておきました。
※できれば交換してもらいたい、という一筆添えましたが駄目だろうなぁ。
フィン付き社外品
電圧は15.2V前後を行ったり来たりします。
ライトを点けるとちょっと下がって15V前後をキープします。
ギリギリマニュアルの許容範囲・・かなぁ。
2分経過後も電圧はさほど変わらず。
だいぶ温度は低いですな。
2分後は63.3度まで上昇して止まりました。
やはりフィン付きは走行風に当てなくても放熱効果があるっぽいですねえ。
「熱対策。」
と大きく振れこんでいた謳い文句はとりあえず本当っぽい。
素行風がなくてもフィン付きならそれなりに放熱するんですな。
※大気温が20度くらいだからかもしれませんが。
多少電圧は高目ではありますが「フィン付きを実運用として採用。」しようと思います。
規定のアッパーラインギリギリとはいえ、ライト付けて運用すればいいわけですし。
ただ問題はギリギリすぎて、
じわじわと弱い電力で充電する必要があるMFバッテリーが痛む可能性は捨てきれないのですが。
レギュレーターの適正温度は何とも言えませんが、
計測値に寄れば80度くらいまでは大丈夫なんじゃないでしょうか。
※今回実験したレギュレーターが全部壊れている可能性も捨てきれませんが。
それでも、
出先でのトラブルは怖いので「フィン付き社外品を採用。」ということにします。
ただし、
VT250FH用ではないので取り付けにはひと悶着あるのでした。
レギュレーターの流用
※V型4気筒なんて熱対策大変そうですな。
対応車種にVT250FH(MC15)はないのですがネットショップの商品画像を見た限り、コネクタも一緒だし使えるハズという確信を持っての購入です。
ワタクシの読み通りコネクタはそのまんま使えました。
ポン付けも可能・・かと思ったのですが甘かったのです。
まず、
フィン付きレギュレーターは取付け部の厚さがVT250FHの純正レギュレーターの倍ほどもあるため、
取付金具から生えているレギュレーター取付ボルトの長さが足りないのでした。
※そりゃ対応車種から外れるわな。
左が純正。右がフィン付き。
高さは倍ほども違うのでした。
というわけで。
取付金具に溶接されている取付ボルトをグラインダーで撤去して長いボルトに付け替えました。
レギュレーター固定用ボルトがステーに溶接されてるのでグラインダー様で削り飛ばしました。
が。
レギュレーターの取付け方向が縦横違うため、
フィンの方向が走行風に対して垂直になってしまい、効果はイマイチな感じが否めません。
空冷のフィンというのはその間を空気が流れることによって効率的に放熱するのです。
こういう場合は縦横変換するステーを作るしかないのですが、面倒くさいので後回しにします。
どうせなら、
エキマニから離した箇所に移設したいので再考の余地ありです。
安易に思い付きで作ってもいい結果になりませんし。
何より、この日は2時間しか作業できる時間がないのです。
レギュレーターの移設について
熱源であるエキマニから離した位置が理想ですがバイクにはそうそうスペース的な余裕はないのです。
まあ大企業であるHONDAがやることに対して素人が口出すこともないと思うのですが、
出先でレギュレーターが逝かれたらシャレになりませんので気持ちはわかります。
熱に弱いレギュレーターですので、
出来るだけ熱源から離して走行風に当たりやすい箇所に移設したいというものです。
多くの先行者たちはテールカウルの左側先端あたりの純正工具入れ付近に移設しているようですな。
ここなら、それほどハーネスを伸ばさなくても設置できそうですし。
凄い人はフロントカウルの顎の下にレギュレーターを移設してたりしますな。
確かに冷やしたいものをエンジンやラジエターなどの熱源より前に置くのは最も効率がいい冷却方法でもあります。
配線伸ばしてステー作れば行けると思うのですがコレはコレで凄いですな。
最近のミッチリとした機器配置のバイクのレギュレーターはフレームマウントで剥き出しだったりしますしねえ。
最近のバイクは風通しが悪くても冷却できるくらい完成度が高いってことでしょうねえ。
ともあれ。
当倶楽部の計測結果では80度近くなるレギュレーターです。
安易に樹脂のカウルに近いとカウルが溶ける可能性も捨てきれません。
※TT-Rでサイドバッグつけてサイドカバーが溶けたトラウマが未だにあるので。
というわけで、
左側のサイドカバー内に自作ステーを設置し、エキマニから離れた風通しのいい位置にレギュレーターを納めようと思います。
多くのバイクはレギュレーターをサイドカバー内に設置しているし、スリムなVツインエンジンの横をすり抜けた風が当たるだろうし。
この時点ではこれが精いっぱい。
熱の逃げ場がない感じ。
フィン付きで大きくなったのでスペースとクリアランスの確保が難しいのですが、
この記事を書いている現在既に完成しております。
この話は長くなるので次回に回します。
なので、誰も期待していないであろうマイナー車種のレギュレーターの話はもう少し続くのです。
まとめ
この時点でもフィン付きのレギュレーターはいろいろ問題はありますが暫定的にしっかり取付けられてはいます。
純正のステーを使う限り、手前の穴が下になるのでフィンは縦になるのでした。
この時点ではフィンが縦になってて、エキマニの近くの設置位置が変わらない状態です。
それでも、
4キロほど当倶楽部の周回テストルートを普通に流した直後の計測結果ではレギュレーターの温度は55℃くらいでした。
走行後にすぐさま温度計測です。
左サイドカバーを外すのも慣れたもんなので一瞬です。
暫定ですが「これはこれでいいんじゃない?」って感じでしょうかね。
※真夏の35℃とかの気温だと放熱効率は今より下がるんでしょうけど。
渋滞はほぼない田舎なので走ってる限り風は当たると思うし。
念のため、
予備のレギュレーターはジップロックでテールカウル内に積んでおくようにしますし。
あんまり設置位置を遠くしてむやみにハーネスを伸ばしたりしたくないんですよね。
とはいえ。
一度気になると作らねば気が済まないんがワタクシです。
この後、アルミ材からステーを作成します。
※アルミ材はいつものようにガレージに転がってる部材を使うので出費は無し(自動車税のせいでお金は全くありません)。
どうせカウルを付けちゃえば見えないところなのでステーの見てくれは悪くてもいい・・ので気が楽です。
最悪プロに作り直してもらうことも考えます。
何かをプロに頼む場合、
自分で作った試作品があるとプロと自分のイメージ合わせが早いです。
下手くそでも試作品を作ってみるというのは重要なのですよ。
仕事の丸投げは楽ですが「理想と違う角度のものが出来上がる。」ということは少なくないのでした。
念のため、
常に走行中に電圧がわかるように電圧計を付けようか検討中です。
※一応国産と書いてあるレギュレーターを使うとはいえ、安物なのでいまいち信用していません。中華製のバッテリーだしね。