いよいよタンク内洗浄に入ります。
予想以上に大変な作業でしたが錆除去剤の活躍もあり、なんとなくいい感じに着地しました。
とはいえ、真冬にやる作業ではないですがね。
当記事の目次
錆取りならガソリンタンク内部に水を突っ込むという愚弄が許される
ガソリンタンクは錆びるモノなのです。
そして、
タンク内部が錆びると大変な手間がかかるのです。
普段は絶対厳禁なガソリンタンクに水を入れる行為ですが、
古から内部の洗浄という大義名分があれば水を使ってもヨシ、とされているのです。
この度は、タンクを振るとちゃぷちゃぷという音がしたので内部に残った腐ったガソリンを何とかしなければなりません。
タンク内の かろうじて液体状の 腐ったガソリンを下水に流すのは犯罪です。
悩んだ結果、
当倶楽部の敷地内の毎年雑草が死ぬほど生えて困るエリアに穴を掘ってそこに出せるだけ捨てました。
※タンク形状から完全には出ないので適当なところで諦めましたが。
で、 匂いが拡散する前に 速攻で穴を埋めます。
※腐ったガソリンは300ccくらいしか出ませんでしたが、それでも死体埋めてるくらいの背徳感はある。除草剤の強力な奴だと思うことにします。
その後、
水道水を使ってタンク内の洗浄作業を行います。
普段、絶対にやらないガソリンタンクへ水を突っ込む行為ですがタンク内部の洗浄の時だけは別なのです。
を繰り返すだけなのですが、作業には手順があるのです。
ちなみに・・
バイクの錆びたタンク内の洗浄の手順や方法にはいろいろありまして。
ほんっとに人それぞれなのですよ。
これらは対応する人によってたくさんのバリエーションがあり、各々全然違うのです。
どれが一概にいいとは言えません。
どれが正解とか無いのです。
タンクの内部割って確認したわけではないので。
※最近はファイバースコープとかで確認したりもするようですが当倶楽部にはそんなものないのです。
お隣の家の猫が様子を見に来た。
ワタクシと仲良し。
タンク洗浄のコツは、
「一生懸命丁寧に根気よくしつこく何度も徹底的に洗う。」
ことです。
※気が済むまでやりゃいいんですよ、こんなもん。手を抜いても自分に帰ってくるだけですので。
何より、
「ひたすら楽しんでやること。」
が大事です。
タンク洗浄作業ってのはバイクメンテ作業でも辛い方に分類されます。
すぐにつらくなるので気分も凹みがちなのです。とはいえどんな作業でも なるべく 楽しんだ方がいいに決まってるのです。
お湯と中性洗剤で中和&脱脂
ホースで流水を叩き込む前にお湯と中性洗剤をタンク内部に突っ込み、思いっきりタンクをシェイクして内部を洗います。
こうすると「大まかな油分や剥がれかけの錆が撤去できるので作業効率がいい。」とワタクシは思っています。
まず、タンクのガソリンコック取り付け部をゴム栓などで完全に蓋をしましょう。
※当倶楽部ではゴム栓+ビニールテープで穴をふさぎますが、VT250Fの場合は内径8mmのガソリンホースとボルトナットで栓をしました。
タンクにはお湯を投入します。
お湯って言っても、熱湯ではありませんよ。
ヤカンいっぱいの沸騰したお湯+その倍くらいの水です。
火傷とかシャレにならないので、適当に。
お湯をタンク内に入れて、適当に中性洗剤(100均の奴、もしくはそれ以下で買える台所洗剤で十分)をダバダバと入れて・・。
タンクキャップを閉めたら、タンクを持って思いっきりシェイクします。
タンクは振る過程で上下左右に回します。
※調子に乗るとタンクを落として気分もタンクも凹むので気を付けたい。
これを、お湯が冷たくなるくらいまで振り続けます。
※たまに休憩は入れよう。上半身、特に上腕二頭筋、腹筋、背筋あたりが死ぬほどつらいです。腰痛持ちは止めましょう。
時間にして15分くらいですかね。
その後、ビールケースなどの上にタンクを固定して、タンクキャップを外します。
アワアワなはずですが有無を言わず、ホースを給油口に突っ込んで水圧をかけたホースで内部をすすぎます。
この際、ガソリンコックに突っ込んだゴム栓などの蓋は外します。
タンク内部の汚れはどんどん排出されるはずです。
これでだいぶタンク内の洗浄が出来ているはずですが完璧ではありません。
この作業を2回、3回と繰り返すわけです。
洗浄する回数が多ければ多いほど内部の洗浄が完璧に近くなる・・ハズなのです。
※2回目、3回目とかになると 面倒くさいので お湯も中性洗剤も使わなくなります。
コック取り付け部から排出される水の形が変ったらガソリンコック周辺には大きなゴミやサビが溜まっている証拠です。
その場合は、割りばしなどでコック取り付け部をつついてゴミの排出を促します。
この作業を3回もやれば上半身はだるくなってるはずです。
これだけ辛くても、タンク洗浄の第一歩でしかありません。
タンク洗浄の作業は、内部の脱脂もしてしまいます。
というわけで、
一旦作業を止めで時間を置くとすぐにタンク内部が錆び始めます。
ゆえに段取り良く連撃で次の工程に進む必要があるのです。
ちなみに・・
タンク内にあんまり多くのお湯や水を入れるとシェイクする際に重くて辛いのです。
適当に少なめ、適当にお湯が行き渡る量。
これの見極めが大事です。
タンク容量にもよりますが、容量15リッターならばシェイクする際の水の量は5リッターもあれば十分ではなかろうか。
※こういうことを考えるとバイクのデカいタンクが偉いってわけではないのですよ。
2回目3回目とどんどん排出される水が綺麗になっていきます。
こういう細かいことに喜びを見出さないとやってられませんな。
ロングノーズのコンプレッサーガンが活躍
※正直、5回くらいシェイク・排出のサイクルを繰り返しても錆が出続け手凹んだからなのですが。
何度もシェイク&排出を繰り返すと真冬の水作業なのに汗だくになります。
※フルアーマー状態で防寒&防水の装備をしているので当たり前っちゃ当りまえなのですが。 真夏は地獄。
なので。
お湯+中性洗剤を入れた状態でコンプレッサーを起動。
ロングノーズのエアガンを使い、内部を「うがい洗浄する。」という作戦に出ます。
これならタンクの入隅近くで、高圧をかけることができる・・ハズ・・なのですが。
VT250FHの複雑なタンクの形状では意外と奥深く迄攻め入ることができません。
ロングノーズの先にホースを接続。ホースの先にボルトを付けてタイラップで固定。
奥底までエアブローができた・・ハズ。
さんざ悩んだ挙句、勇気と力を振り絞って現地改修型エアガンを作ったりして遊び始めます。
こんな物でも排出される水にはそれなりの錆やゴミが排出されたので効果はあったと思います。
全て経験になるのでなんでもやってみる。
※当倶楽部のスローガンでもあります。
当クラブではノーズ部が伸縮可能な奴を使っています。
一瞬、ケルヒャーの高圧洗浄機を買おうと思いましたが高すぎるので止めました。
ちなみに・・
ガソリンタンクの内部洗浄の際はビールケースなどでタンクの置き場を確保することも重要です。
とにかくタンクをシェイクする際に持ち上げるのが辛いハズ。
ならば、
多少起き位置を高くするとかなり楽ですよ。
当倶楽部ではビールケースのほか、
軽トラの荷台に農作物集荷用のカゴ網を載せ、その上にタンクを載せて作業したりします。
地面に直接タンクを置くと タンクだけじゃなく心も 傷つくしね。
※どうせタンクは再塗装する予定なので適当でいいんですが。
「段取りの際は、次の工程を考える。」
分かったかね、当社の若手のH君。
君の仕事は場当たり的過ぎるのでワタクシのフォローが大変なのだ。
※容赦なく「熟考が足りない。」と君の考査評価に書いておいたよ。
全然出て来ない内容物
タンクを振るとさらさら、ゴロゴロという感覚が手に残るのです。
洗浄開始から2時間以上。
何度タンク内部を洗浄しても、内部のゴミが取れた気がしません。
開口部の狭いガソリンコックからだと、ゴミは完全に排出されてないようなのですよ。
仕方ありませんので、紙すきの手法でちゃぷんとタンクをゆすって、内の水を移動させ、タンクキャップから見える位置にゴミを移動、これを長い割りばしで一個ずつ取り除きます。
思いのほか面白くてテンションが上がるが寒い。
このリハビリで箸でマメを移動させるような作業ですが、これをやり始めるとあっという間に一時間くらいたちます。
意外と面白いのですが、効率は悪い。
※でも確実に一個ずつゴミが撤去されていきます。
錆の大物が出ると、おおお!となるのでテンションが上がります。
※次第に日も暮れようとしていますがテンションは高いままです。
ところが。
次第に錆以外の大きなゴミが取れ始めます。
手触りから金属ではありません。
どうも樹脂の塊っぽいのです。
※これがゴロゴロとした手応えの理由か・・。
もう確信しました。
これは、
「前のオーナーがタンク内部のコーティングをした際に適当にやった結果、タンク内部の肝心な個所まで行き渡っり切らない樹脂がダマになったもの。」
ですな。
プロファイリング
中古バイクを手に入れると前のオーナーの人物像をプロファイリングしてみるのも面白いものです。
勝手な想像ですが、大きく外れてない気がします。
※こうやって細かく楽しいことを考えるのが幸せになるコツです。
この適当なタンク内コーティングを行った人物は、
でしょう。
※女性はケチなので高価なケミカルを入れるとかない。 とか書くから当ブログには女性読者がほぼいない。
大筋合ってるハズ。
となると、
オイル交換とか基本的なメンテもちゃんとできてたのか不安になりますな。
出てきた樹脂の塊にはたくさんの錆がくっついています。
適当にやったタンクのコーティングでは、樹脂とタンクの金属の間に隙間が空き、そこからまた錆びるのですよ。
※コーティングの意味はありませんな。
こうなりゃ徹底的に錆を落としてやろうじゃないか。
※こういう短気が大体ダメな方向に突き進みがちなのですが。
無公害高速錆除去剤 RSR-2
普通こういうのは「サン〇ール。」に代表されるように強酸性であることが多いのですが、
「安全性が高く、有機溶剤、塩酸等を使用していません。」
とある。
※それでも手に付くとひりひりするくらいの攻撃性はあり。
これ一瓶850ccを薄めずにお湯をすすいで、コック部に栓をしたタンクに投入しました。
タンクキャップ部にラップを敷いてタンクキャップを装着して、逆さにしたりしてシェイクを続けます。
それまで排水されてた水はずいぶん綺麗になったと思ってたのですが、この薬液はあっという間に茶色になりました。
この薬液、すげえ。
タンク内部の樹脂がボロボロと「紙すき作戦。」で取れ始めます。
最初はタンクキャプから箸でつまんで庭に捨ててたのですが、あまりに多いのでトレーに集め始ました。
※途中で面白くなっちゃって、時間を忘れて取り続けました。
恐らくですが、錆でかろうじてタンク内壁についていた樹脂の錆部が溶けたため剥がれ落ちてきたのではないかと想像します。
これがまあ出るわ出るわ(笑)
※樹脂の塊が嫁に怒られるくらいとれた。
この数倍はありましたよ、ええ。
※ひとつづつ割りばしでつまんで出したワタクシに幸あれ。
タンクに薬液を投入したまま、一晩放置することも考えましたが、
無公害高速錆除去剤 RSR-2の破壊力ならタンクに穴が開いちゃうかも!という恐れがあったので排出しました。
無公害高速錆除去剤 RSR-2は再利用できるらしいので樹脂の瓶に確保しておきました。
一応、濾したけれど、茶色は取れず。
※茶色になってもボルトなどのさび落としには十分使えるはずです。
茶色になったとはいえ、素手で触るとピリピリはしますのである程度パワーはあるのでしょうねえ。
ちょっとビビるパワーがある錆除去液。
たまたま持っててよかった♪
薬液を排出した後は、サーっと水洗いして乾燥させました。
冬なら気温が低いので再度錆びることはない・・と思っていましたが、
翌朝にはタンク内部はうっすら茶色になっていました(´;ω;`)
この後、タンク内をPORでコーティングするのですが長くなったので次の記事にします。
※多少錆や樹脂が残ってたとしても、完全乾燥させてあればPORのタンクシーラーが全部固めてくれるハズです。
まとめ
真冬の長野で、です。
猛烈に寒かったのですがフル装備でタンクを振り回すと汗をかくものですな。
いやぁ、このタンクの現状把握をしたときにはどうなることかと思いましたが意外となんとかなるもんです。
※洗浄するまで「マジでこんなタンク捨てるしかない。」という気持ちでした。
ワタクシはこのタンク洗浄作業において、
このような状況に陥ったら、
「タンク上部にメンテナスハッチ上の穴を開けて洗浄後、再度溶接する。」
ということも考えていましたが、意外と綺麗になったし穴も開かなかったので良しとしています。
※それはそれでやってみたかった、というのもありますが。
乾いたら一面真っ茶色。
せっかく10年もかけて育てた芝が死滅するかもしれん。
この後の工程で、PORのタンクシーラーで内部コーティングを施工したのですが長くなったので別記事にします。
230mlのタンクシーラーで20lくらいのタンクなら余裕かと思います。
ツーリング先でタンクに穴空いて呆然とするよりも数千円の投資で安心買った方が安いと思うし。
※旧車ってのは何があっても不思議じゃないのです。
不安ならこちらのセットがおススメ。
さび落としから、タンク内部の金属安定化、タンクシーラーがセットになっています。
POR関係の施工はマジで注意してやらないと大変なことになりかねませんのでちゃんと書きます。
※しっかり手順を踏んで準備をすれば難しくはないのですが手を抜くと普段の生活に支障をきたすレベルの厄災に見舞われます。
↓先になんとなくPORの話を読んでおきたい人はこちら。もしくは「POR」で記事検索してね♪
こんな記事もあります▼
ちなみに・・
バイクのタンクって外見は綺麗に見えても内部は錆びてたりするものです。
バイクで雨天のツーリングしたり、屋外保管したりするとタンク内には多かれ少なかれ水が侵入してるものです。
特にエアプレーンタイプのタンクキャップ装備をしているものは、水を逃がす流路が詰まると水の逃げがないです。
※なので流路の導通はメンテナンス項目なのですよ。
そして、
タンク内部に溜まった水は、タンクの下端の溶接部あたりから腐り始めます。
最終的にはタンクに穴が開くのです。
※マジでツーリング中に錆が原因でタンク下部に穴が開いた人を知っています。ワタクシも見てました♪
穴が開いたガソリンタンクはピンホールレベルであればハンダとかで穴埋め出来たりするようですが普通は無理です。
※その周辺のタンクの肉厚も薄くなってる可能性が高いです。
中には、塗装部だけで何とかガソリンの流出を保ってるようなバイクもあるのですよ。
※そんなバイクで高速とか乗ったら超怖い。
バイクのガソリンタンク内は常にガソリンで脱脂され続けているようなものです。
外気温の変化によってタンク内で結露することもありますので湿気もある。
雨天ツーリングでは多少水分がタンク内に侵入する。
こうなると錆びないわけはないのです。
次はこいつの話だぜ。
すげえぜ!震えながら次の記事を読むのだ!
タンクキャップの開口部から見るだけでは綺麗に見えるタンクも意外と錆びてるのです。
なので、
ワタクシは適当な年数乗ったらバイクのガソリンタンクはコーティングしちゃった方がいいという主義です。
薄くなったタンクの鉄板もPORのタンクシーラーなら多少は強度稼ぎになるはずです。
※ピンホールくらいの穴ならタンクシーラーで埋まる、という噂も聞いたことあります。
バイクメーカーも錆びないタンクを搭載したバイクを作ればいいと思うんですが。
※そうなるとバイクを買い買えない人が増えるから作らないのか、コストに見合わないから作らないのか・・。
バイクは思っている以上に消耗品で金がかかるのですが、意外とみんな知らないのでただの消費財となってしまうのでした。