その勢いのまま、今度はタイヤをホイールに組付ける作業です。
結果的には組付け出来たのですが、そう簡単ではなかったのです。
当記事の目次
前編ではタイヤをホイールから外した
意外と順調に進みました。
ここまでは前編の話。
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この際、
フロントホイールのシャフトが外れないのでベアリングにグリスを塗布できませんでした。
気持ち回転に抵抗があるような気もするけれど、ベアリングが死んでるゴリゴリ感はないので優先度は低めですな。
※公道デビューまでには意地でも分解しますが。
リアホイールを外したら、ついでにリアサスも取り外して清掃&状態確認したい。
その際は、スイングアーム側とボディ側の稼働部のグリスアップもしたい。
跨って荷重をかけてみたところ、ダンパーは抜けてない。
リアサスの車体への取付け部がグリス抜けして、稼働するたびに異音が出ることもない。
こちらも優先度は低め。
※公道デビューまでには意地でも分解しますが。
ばらしていくうちにいろんな気になるポイントが出てきます。
まあ、いい。
とりあえず、
タイヤ交換ミッションをコンプリートさせる方が先です。
時間もあんまり無いしな。
いわゆる選択と集中という奴です。
気になった箇所は忘れないように整備手帳に書いておけばよいのだ
で、緊急度が低い項目についてはやることがなくなったころに一個ずつ対応して消し込んでいくのです。
一日で完結できる範囲で進めていかないと中途半端にばらけたまま放置することになる。
この方が気持ち悪いのです。
ちなみに・・
バイクや車のレストアでいろんなパーツをバラシ始めると、アレもコレもとやりたくなるのが人情です。
レストア作業の途中でバラしているとあちこちが気になり、目移りします。
とはいえ、
「無計画に目についたところを片っ端から手を入れて、全部を完璧にしたい。」
という場当たり的な完ぺき主義者はレストアに向きません。
緊急性の低いものは後回しにしてもいいのです。
それこそ危険ではないポイントは公道に復帰した後に少しずつ直していってもいいのです。
※外装のレストアとか見た目とか、カスタムとか改造とか。
ワタクシとしては、
レストア作業は問題を明確にしたうえで集中して確実に一か所ずつクリアしていく作業方法がいいと思っています。
いわゆる「トリアージ(傷病の緊急度や重症度に応じた優先度を決めること)。」ってやつです。
要するに、
一連の作業の流れの中で出来ることを確実に「完了。」させていくのです。
小さいことでも毎回「やり遂げた!」という達成感が次の工程へのモチベーションになります。
エンジンなどの時間がかかるレストア作業に取り掛かると、バラバラの状態で放置せざるを得ません。
ばらしたままの状態が長いと人間は達成感がないため、飽きやすいのです。
ゆえに、
大物の作業ほど事前の段取りや取り掛かる前の準備が大事です。
ばらしている途中で不足している部品を追加発注したりすると作業が滞ります。
なるべく早く「ナンバーがついて公道を走れる状態。」にする。
まずはここを目指します。
※その時、自賠責とか任意保険とかの費用捻出ができれば、ですが。
個人のレストア趣味というものは、
というものの、
ある程度集中して短期間で公道デビューできる状態にこぎつけないと「ばらけたままの放置車両。」になる可能性が高まるのです。
この状態で放置するわけにもいきません。
これは避けたい事態です。
※どこまで作業したかわかんなくなるし、このタイミングで貴重なパーツをなくしがち。
特に中高年は何かと所用で忙しいし、体調不良や人間関係のしがらみで思うように動けないことは思いのほか多いです。
※レストア途中で放置された個体も多く知っています。もったいないです。
ゆえに、
ある程度、区切りのいいところまでは勢いで作業を進める必要があります。
走り曲がる止まるといった 手を抜くと命にかかわる こと以外は、優先順位は低くて後回しでもいいのです。
※パーツの再塗装みたいなのは見た目がはっきりと変わるので気分転換くらいのプライオリティでよろしい。
タイヤをホイールにはめ込む
新しいタイヤを通常のチューブタイヤと同様の手法でホイールに組んでいきます。
新しいタイヤのビード部にはしっかりと古くなった固形ワックスを塗っておきます。
同様に、ホイールの裏側というかタイヤが接する面にもしっかりとワックスを塗り込みます。
※この一手間がタイヤ交換の最終段階「ビード上げ。」の時にモノを言うのです。
仏壇のろうそくでも十分です。
この時に、タイヤの回転方向を間違えないようにしたい。
タイヤには回転方向が設定されているものが多いです。
※慌ててると間違いがち。落ち着け。
新しいタイヤ左右のビードを広げてその内側にホイールをねじ込んでセットします。
※ホイールをタイヤに内包する感じ。
この状態からビードをホイールのリムにはめ込んでいきます。
タイヤをホイールにハメるコツ
まず大前提として、
「タイヤのビード部にはワイヤーが仕込まれていて伸び縮みしない。」
「ビードの径はホイールのリム部とぴったりなサイズである。」
この二点を頭で理解しましょう。
最初にタイヤのビードの一部をホイールの凹んだ個所(ウェルと言います)に落とし込見ます。
そのうえで、その対角線上にあるビードをホイールにはめていきます。
もちろん、
最初は簡単ですがビードがホイールにハマっていくに従い、どんどんシビアになっていきます。
大体、中盤、終盤になるとビードがウェルからズレてたりします。
そうなると簡単にはタイヤはホイールにハマってくれません。
その場合は、一旦落ち着いてもう一度シッカリとビードをウェルに落とし込んで作業を再開しましょう。
この作業を怠ると一生タイヤがホイールに組めません。
タイヤをホイールのハメる作業は決して力技ではありません。
理屈がわかればその通りなのですよ。
何事も理屈があるのです。
この理屈を分かってる人は、アッという間にタイヤをホイールに付けハズシします。
※大抵オフ車乗り。
まあVT250Fくらいのサイズなら、素人DIYでも余裕でタイヤをホイールに組むことができます。
この辺りまではワタクシの整備スキルレベルでも余裕♪
でも、問題はこれからなのでした。
チューブレス特有の問題が発生したのです。
タイヤに空気が入らない!?
そりゃそうだ、ビードの一部はホイールのウェルに落ちたままだもの。
さて。
ここからはワタクシ的には未知の領域です。
なにせ、ワタクシの交換経験のあるチューブタイヤは、
空気を入れると内側からチューブが膨らむのでタイヤのビードは勝手にホイールのあるべき場所に収まってくれます。
当たり前ですがチューブレスタイヤは、
「空気を入れる際はまずホイールとタイヤが空気が漏れないように密着していること。」
が前提なのです。
この状態ではいくらコンプレッサーでも空気は入れられません。
現時点ではタイヤがホイールにハマっているとはいえ、ビード部がホイールの内側と接していない箇所があります。
これではいくら空気を入れても抜けるだけです。
でもこれどうすんの?
とりあえず、ジタバタしてみます。
やってみた。1
タイヤをはめたホイールをバスケのドリブルのように、てんてんと地面にバウンドさせます。
何かのはずみでビードとホイールを密着するかもしれません。
・・全然ハマる気配がありませんでした。
やってみた。2
タイヤをはめたホイールをゆっくり地面を転がしてビードとホイールを密着させようとしました。
徐々にタイヤが押し出されてビードとホイールを密着するかもしれません。
・・全然ハマる気配がありませんでした。
やってみた。3
タイヤレバーでちょっとずつビードを引っ張り出してタイヤとホイールを密着させようとしました。
そもそもそんな器用なことはできませんでした(´;ω;`)
・・当然ですが全然ハマる気配がありません。
うむ。
参った。
で、だ。
お手上げ状態だったのでものすごく放心したかったのですが、時間がありません。
やるだけやって力及ばないときは「何か知ってそうな人に聞く。」のが一番なのです。
ちなみに・・
レストア途中には、こういうクヨクヨしたい場面がたびたび訪れます。
※平均するとレスト作業一日で一回くらいは凹みます。
その都度、勇気と知恵と工夫で乗り切ってきたわけですがワタクシも人間ですので力尽きる場合があるのです。
許されるなら、そのまま放置してアイデアを出すこともあります。
※小物はこれで時間をかけて自分で工夫して対処することが多いです。
でも、今回の場合はガレージ前に店を広げちゃっていますので、片付けないわけにもいきません。
※タイヤ外しちゃってるのでバイク自体の移動もできないしな。
なので、
ワタクシより整備スキルのある人に電話して聞きました。
時として一人で悩むよりノウハウを持ってる人に聞く方がいい場合があります。
※デメリットとしては次回合う時の 貢物という お礼が高くつくのですが。
人に聞いた場合、自分で工夫して何とかなった時の達成感には遠く及びませんが、目的は達成できます。
そして、
人に聞く方法は多用すると嫌われるので「年に一度くらいしか使えない。」という禁断の技でもあります。
※人に聞くという行為は「人様の時間を自分の都合だけで奪うこと。」なので、細心の礼儀は欠かさないようにしましょう。
ああ、そうそう。
ワタクシのところにもたまに整備関係のアドバイスをくれ、という電話をもらうことがありますが、
「まず自分で何をどうやってみたのか?」
を聞くことにしています。
このプロセスがが大事なのですよ。
自分で何もせずに最初から人の助言を当てにするようなら段取り不足というかリサーチ不足です。
そういう人にアドバイスをすると「自分で考えなくなるのが癖になる。」ので、よろしくないのです。
※それに、ワタクシの都合も考えろよ。
タイヤを荷止めバンドで押さえる
異常に工具の知識や整備スキルが高い。
職務経歴上、自衛隊だったり、某輸入工具店の店長だったり、バイク屋だったりする掘れば掘るほどわからん経歴の人です。
※ワタクシの周りにはこういうわけわからん人が佃煮にするくらいいる。
M氏からのアドバイスをまとめると、
ビードがハマっている箇所を荷物固定用の荷止めバンド(ラッシングベルト)で複数個所固定しろ。
そのままエアコンプレッサーで最初から高圧でエアを注入しろ。
という二点でした。
※情報と引き換えに当倶楽部宿泊券(ワタクシのつまみ料理付き)を請求されましたが。
こういうことです。
ラッシングベルトともいうのね。
知らんかったわ。
なんだそれは?
色々疑問はありましたが言われたとおりにやってみることにします。
3本の荷止めバンドを使い、ビードがシッカリホイールに当たってる3箇所をしっかりとタイヤを縦につぶすように固定しました。
その上でコンプレッサーの出力を6kg/cm3(600kPa)にして、と。
いきなり出力全開でタイヤのエアバルブに加圧します。
無事に空気が入りました♪
※空気が入る音は空気が漏れてる時の音とは全然違いますな。
しゅーーーーーという音とともにタイヤが膨らんでいきます。
おお。
何故かちゃんと空気が入る。
こうなるようにやったわけですが、実際ちゃんと空気が入るとちょっと感動しますな。
どういう理屈でビードとホイールが密着しているのかイマイチよくわからんのでもやもやしますな。
今後考えてみることにします。
※こういう 寝る前に布団の中で 考察をすることで知識が増えるのです。
完全にビードが上がる(ビードがホイールの定位置に収まる)前に、荷止めバンドを外します。
で、さらに加圧してビードがハマった時に出る「ぱんっ!」という音を左右分の二回確認しました。
※チューブレスはこの音が豪快。チューブタイヤはあんまり音しないし。
ホイールの外周とタイヤサイドの線が平行になってればよろしい。
念のため、
タイヤの外周にあるラインとホイールのラインが一周並行になってビードが完全に上がっていることを確認しました。
こうして無事にタイヤはホイールにセットすることができました。
同じ手順で前輪後輪とも作業しました。
16インチ、17インチのチューブレスタイヤの自宅DIY交換は何とかなるもんですなぁ。
わかってしまえば大したことありませんな。
ビビって損した。
ついでなのでドラムブレーキの清掃とグリスアップ
シャフトやベアリングのグリスアップと各ネジやボルトの清掃をしたうえで組み付けるだけです。
タイヤ交換ミッションのついでの作業として、リアのドラムブレーキも掃除しておきます。
ドラムブレーキの清掃&チェック&グリスアップくらいはタイヤ交換作業の一連の流れの範疇です。
思いのほか短時間でタイヤ交換が終了したのでまだ作業できる時間があったのでゆっくり確実に作業します♪
VT250FHは2023年4月時点の当倶楽部所属のバイクでは唯一のドラムブレーキ装備車両です。
ドラムブレーキは性能が低いと思われがちですが実は安価で軽くて雨天でも効きが変わらないというメリットもあります。
※放熱性にはかなり劣るんですが公道で走るなら十分な性能です。
ドラムブレーキは清掃やブレーキシューの交換、点検などの作業は簡単ですがディスクブレーキより手間がかかるのです。
水が入りにくい構造上、ブレーキシューのカスが外部に排出されないため、たまに清掃する必要があります。
それは構造上、ホイールを外さないとブレーキ機構にアクセスできないからです。
※こんなのデメリットに入りません。
ドラムブレーキの清掃のためだけに、
いちいちホイールを外すのは面倒なのでタイヤ交換時にはドラムブレーキの清掃はほぼセットです。
※バイク屋さんにタイヤ交換頼む場合は、追加料金払わない限りまずやってくれませんが本来は一連の作業と言ってもいいでしょう。
ドラムブレーキの清掃といってもやること自体は簡単で、
といったところ。
構造上、それほど汚れてはいないハズ。
VT250FHののドラムブレーキもきれいなものでした。
ブレーキシューを交換しなければこれくらいで十分です。
丁寧に作業しても時間にして10分ってところですな。
もともと動きは悪くなかったのですが、気持ちよく動くようになった気がします。
ちなみに・・
車の話ですが旧miniやロータスヨーロッパのリアホイールについてるブレーキはドラムです。
大体、古い英国車のドラムブレーキは立付けが悪く、ブレーキシューの動きがよろしくないのです。
左右のブレーキの動きがまちまちなのはほぼ確実です。
これを、しっかり左右で同じように動くようにするのが古い英国車の最初のチューニングだったりします。
それに、
ドラムの内側にセットされ、ブレーキシューを動かす油圧シリンダーが凄く適当な作りなのでよく液漏れします。
※旧mini乗りはこの場所のチェックは欠かさない。
サイドブレーキの効きの悪さは今ならリコールものです。
※よく車検通ってるな、というレベル。
ロータスヨーロッパのリアのドラムブレーキはブレーキシューが全然減らないのは七不思議のひとつです。
一応カスは出るのですが、走行中はほとんど効いてないような気すらします。
ちゃんとエア抜きもしたし、動作もしてるんですがね。
※サイドブレーキはリアにかかるんだけれど、坂道で下がるくらい効かないし。
今回、VT250FHのリアドラムブレーキを清掃&グリスアップしたわけですが、
立付けの良さとパーツの精度、動きのスムーズさには感動しました。
稼働時にブレーキシューが少しもねじれないし、きっちり動く。
日本のドラムブレーキは本当によくできていますなぁ。
※当たり前っちゃ当り前なんですがね。
まとめ
古いバーストしてたタイヤと比べるのもなんですが、やっぱり新しいタイヤは良いですな。
見栄えから違いますな。
やはり足元がしっかりしているとバイク自体がしゃんとします。
※ボロイですがね。
今回、チューブレスの16インチ、17インチのタイヤの交換が自分でできたことはかなり自信になりました。
※ラジアルだったら、たぶんショップに持って行ってた。バイアス万歳♪
いろんなノウハウも身に付いたし、荷止めバンド戦法も学びました。
意外とわかっちゃえば恐れるに足らずです。
※なんでもそんなもんなんですがね。それを考えて身体で覚える過程が楽しいのですよ。
また一つレストア作業が進んでワタクシは大変満足だ♪
なによりもタイヤを交換したおかげで取り回しが凄く軽くなりました♪
今まで10の力で押してたのが3くらいの力で押せるようになったわけです。
ちゃんとした250cc2気筒のバイクはすごく軽い♪
※Z1-Rの重さがバカらしくなるくらい軽い。
タイヤが新しいうちに峠で一発一皮むいてきたいところですが、まだまだ公道を安全に走れる状態には程遠いです。
タイヤがフレッシュでいい状態はそれほど長続きしないんだよねえ。もったいないけど仕方ない。
※公道を走れるようになるのは果たしていつなのか・・。
ブレーキも直したし、エンジンもかかるので最低限走れる状態にはなっているのですが。
※当倶楽部のVT250FHよりひどい状態でも高額で売られてる中古バイクはものすごく多いです。
次はチェーンだな・・。
チェーンは錆びてはいますが、思いのほかしっかりしてそうでした。
あわよくばこのチェーンでしばらく行けるか、と思ってましたがそんなに甘くないのでした。
駄菓子菓子。
よくよく見るとシール部が切れて飛び出てますな。
それも複数個所で。
※そんなの初めて見たわ。
シールチェーンってこうやって壊れていくんだねえ。
またお金貯めないといけません。
タイヤを買ったばっかりなのに・・。
※値上がりしそうなのでZ1-RとZ750D1のタイヤも買っちゃいました。
働けども働けどもお金はたまりませんなぁ。
じっと手を見る。
ああ、東京砂漠。
※お金はなくとも作業できる時間があるって幸せですので意外と満足しております♪