コレがまたとんでもない作りでして。
単気筒のくせにキャブが簡単に車体から外せないのですよ。
XR250系バイクのオーナーさん、スゲエな。
こんな複雑なつくり、ワタクシなら面倒くさくて。
単気筒のバイクの整備は簡単・・ではない。
泥の林道を走行後、そのまま3年放置。
一応ガレージ保管していたという素性です。
ワタクシにしてみれば、オフロードバイクで林道走行後そのまま格納するというのは信じられないのですが、実際には結構いるようですね。
※林道走行後は、洗車&グリスアップしておかないとバイクの傷み方が加速度的に上がります。
当然、泥だらけでバッテリーも上がっています。
そんな状態なので、
ワタクシのひまつぶしがてら 一通り各部のチェックとエンジン始動までの基本的なメンテナンスをすることになったのです。
なにはなくとも、まずは徹底洗浄です。
全体的に外装をばらしつつ、徹底的に洗浄してみると、
倒立フォークの前足は左右両方からフォークオイル駄々洩れしているものの、外装は結構綺麗です。
倒立フロントフォーク
バイクのサスペンションのオーバーホールについては、
ノウハウや知識、工具やケミカルを考えると絶対に専門ショップに出した方が安いです。
もちろん、
自分で作業することもできますが、ワタクシはオーバーホール時は全部プロに任せることをおススメします。
何故か?
素人がやるとちゃんとオイルシールを交換できない場合が少なくないんです。
するんですよ。
力業でシールを突っ込むと変形して再度オイルが駄々洩れになりますよ。
また専用工具のフォークシールドライバのような特殊工具なんて、そうそう個人で使うもんではないのですよ。
※もちろん持っていますが。
KDX125SRのなんちゃって倒立フォークは、
勉強もかねて何度も自分でオーバーホールしてますが、高性能なサスペンションほどショップに出すべきですよ。
※オーバーホールの際にインナーチューブの曲がりや点サビなどもチェックしてもらえるなら安いもんです。
当倶楽部のDT200WRの倒立フォークのオーバーホールについては、昔から専門業者に任せています。
※フルオーバーホールした後期型フォークのワンセットをストックしてあります♪
以下の3ショップには過去にお世話になったことがあります。
全ていい腕です。
体重や体格、走り方なども相談してみるといいですよ。
というわけで、
フロントフォークを分解する治具はないので倒立フォークは専門の業者にオーバーホールに出すことに決定です。
※XR250のオーナーに決めさせますが。
その後、
多少の錆がストレーナーに付帯していました。
これは、タンク内で錆が発生していた、と言う可能性が高い。
この画像撮影前に、ちょっとパーツクリーナーで洗い流しちゃいました♪
と言うわけで。
キャブを下ろそうと試みましたが。
「キャブが物理的に取れない。」
と言う状態になって困り果てたわけです。
ちなみに・・
XR250のキャブのメンテナンス性の悪さはセロー225Wの
「パイロットジェットが回しずらい。」
なんてのはかわいいもんです。
ワタクシは、 妙な自信家なので 単気筒の250㏄クラスのバイクのキャブを下ろすのにこれほど手こずるなんて全く思っていませんでした。
基本的なメンテナンスでさえ、
全く素人を寄せ付けない設計と言う意味では、HONDAはヤバいメーカーですな。
そして、
この頃のバイクは、ほぼ例外なく「排ガス規制。」の影響を受けて主にキャブ回りにいろんな配管が足されているのです。
この「排ガス規制モデル。」と言うのは例外なく面倒くさいんですよ。
ただでさえ面倒くさいXR250なのに、さらに、です。
一個ずつ障害物を外していく
面倒な作業を後回しにすると大抵ろくなことはないのです。
マニュアルはないので、キャブを外すにあたり障害となりそうなパーツを片っ端から外していきます。
この時点で、
この状態から、
マフラー(サイレンサ)を外すも全くキャブが取れる気配なし。
コレを売って、サスペンションのオーバーホール代にするがいい。
シートフレームを緩めて、ロブスターの様に背割りにします。
その際、
テンションがかかっているメインハーネスをひとつづつフリーにします。
※サイドカバー左で、シートフレームの隙間に通してある。
キャブやエアクリーナーにつながってる配管をひとつづつフリーにします。
※おそらくこの辺が排ガス規制対策と思われます。
オフロードバイクのこの位置は車種ごとに結構いろんなものがついてて興味深い。
これでもダメだ(´;ω;`)
キャブが外れません。
※YZ125はこの時点でキャブは外れたのですが。
仕方ありません。
「リアサスを外すか。」
オフロードバイク用にジャッキをフレームに噛ませて持ち上げます。
ゆっくりとサスを外すと・・。
余裕は全くありませんがそれでも何とかキャブが外せました。
ここまでがスゲエ大変。
チョークレバーが樹脂製だったりするので緊張しますな。
※人のバイクだからね、自分のならもっと雑にやる。
誰か教えて♪
ちなみに・・
この様にキャブ自体の取り外しが大変ですが、XR250はその他の補器類を外すのも非常に手間がかかるバイクでした。
アイドリングスクリューの固定が面倒くさい
※樹脂部を強引に鉄のアームから外せば楽なんでしょうが割れそうだった。
各ハーネスのフレームへの取付樹脂パーツがいろいろな取り付け方してあって大変です。
いちいちカプラーの爪を探して、それを押しながら外す、の繰り返し。
※全部外さないと干渉する絶妙な位置に固定してあるのですよ。
これにイチイチ非常に時間がとられましたよ。
ワタクシ、やっぱHONDA嫌いだわ。
ガレージの外で作業しちゃったよ
※キャブを下ろした時点で既に15時過ぎています。
実はこのような事態は結構当倶楽部ではピンチなのです。
ガレージを片付けてガレージの内部で作業すればいいのですが、面倒くさいのです。
ただでさえ、
当倶楽部のガレージには初夏の時期は「薪割り道具。」や「草刈り道具。」がガレージに散乱しています。
※要するにチェーンソーとかエンジン草刈り機(ビーバー)とかです。
コレらを片付けているだけで時間のロスになるのです。
※最近、当倶楽部のガレージはただの格納庫になりつつありますな。
というわけで、
最近はガレージに入れての作業ではなく、工具やケミカルを取るのが楽なのでガレージのシャッター付近で作業をすることが多いのです。
途中で作業を中止すると、シャッターが閉められません。
格納用とは別に作業用のガレージが欲しくなってきました。
しかも、
夏至に近い時期なので15時を過ぎると蚊が出ます。
既に虫が出ない時期(GWあたりが最高)は既に過去です。
虫は容赦なく、ガレージや屋内に侵入してきます。
※田舎の蚊は薄手のつなぎの上からでも余裕で刺してきます。
虫コナーズ的なもの
長澤まさみさんのCMで有名なキンチョーの虫コナーズ、買おうかしら。
※250日持つって書いてあるし。
この間、ドラッグストアで見たら結構いい値段で躊躇した自分が情けない。
元を取るなら梅雨入り前くらいから使いだすのがベストだと思うのです。
関係有りませんが、長野には、
「アメリカンドラッグ。」
という知らない人が聴いたらかなり危険な感じイメージを持つ名称のドラッグストアが多いです。
血を吸って動きが鈍ってる蚊って、殺意を覚えるよね。
複合的な理由から夏至近くで日が高いにもかかわらず、
当倶楽部での夏の作業は 努力目標として
「大体15時過ぎには撤収作業に入る。」
ことにしているのです。
虫を気にしながらだと作業効率悪いし、暗いとミスをしがちですし。
※山が近い田舎はみんなこんなもんですよ。
とはいえ、
リアサス迄外した人様から預かってるバイクを、このまま放置して言い訳もないのでもうひと頑張りする腹を決めます。
※作業工賃は一切貰わないとはいえ。
XR250のキャブは作りが独特
しかし、
見たことないようなシステムを採用していますな、XR250は。
分解したXR250のキャブには
以下のジェットがついていました。
純正かどうかもよくわからんですが。
※オーナーには、長く乗るつもりならマニュアル買え!と言っております。
XR250のキャブ
XR250のキャブは作りが独特です。
「HONDAは皆そんな感じ。」
と言われたらそうなのかもしれませんが。
※HONDAはユーザーに優しいんだか厳しいんだか、よくわかりません。
まず、
XR250のキャブはフロートで油面調整が出来ない作りです。
普通はフロートの金属部を曲げて油面を調整するもんだと思っていましたが。
樹脂製のフロートは調整不可という変わった仕様です。
長く乗る作りじゃないねえ。
TT-R250のキャブも不思議なつくりでしたが。
そして、
パイロットスクリューがない作りです。
パイロットスクリューの戻しを記録するために、手帳を用意してあったのですが見当たりません。
これも、
素人はいじってくれるな、というHONDAの姿勢なのでしょうねえ。
さらに、
オーバーフロー系の配管がすごいことになってます。
※水草の根っこみたい。
ま、
セロー225Wのキャブの良く割れるプラ部品も変わった作りと言えますが。
分解清掃した結果、
この二点は対策しなければなりません。
スマホで作業しながら撮影するのはいつも多変なのです。
1.については、
タンク内コーティングとガソリンコック下にフューエルフィルタを追加して対応します。
タンク内のコーティングは、POR-15のタンクシーラーを使います。
この商品、もう何台にも施工していますが、ほぼ完ぺきに錆の流出を止めてくれます。
※錆の程度にもよるのでしょうが、シーラーの幕が厚くて物理的に頑丈です。
バイク車問わず、すべての旧車の鉄タンクには施工すべきと思ってる。
こんな記事もあります▼
2.については、
フロートバルブを交換して対応します。
ただし、
持ち主の意向により、とりあえずそのまま組みます。
段付きになってる部分がゴムなので、部品が手元に来るくらいまで、エンジンの始動チェックくらいなら大丈夫な気もします。
※普通なら絶対交換します。こんなにキャブを外すのが面倒臭いXR250ならなおさらです。
この画像はXR250のオーナーにそのまま送りました♪
昔見たく、フロートバルブの当たる所が金属じゃないので多少は持ちこたえると思うけれど、交換したほうが無難。
今回は、現状確認だけですな♪
そこから、
巻きで元に戻す作業を行います。
※この際、エアクリ側のインシュレーターをきちんと取り付けないと大変。
ここまでやってまだ日が高い18時チョイ前です。
ただし、
蚊には刺されまくりでございます。
グッタリです。
次はバッテリーをつないで、ガソリンをフィラーから直接供給してエンジン始動ですな。
※セルが回ることは確認済。
とりあえず、
エンジンがかかったら、オーナーに引き渡しです。
※サスは自分で何とかしなさい。
まとめ
どんなに高性能なバイクでも整備性がひどく悪いと長期間維持できないのではないかと思っています。
ワタクシの周りには、現役XR250系のオーナーが少なくないのです が、みんなどっかおかしいです 。
でも自分でエンジン迄メンテナンスする人は、一人もいないかな。
※メカの知識もあんまりない人が多い。
言っておきますが、
XR250とセロー225Wであれば、絶対的にセローの整備性が上です。
自分で弄りやすく、いろいろ試してみ易いバイクの方が楽しい気がするのです。
オフロードでのバイクの絶対性能なんて、レースでもしなきゃ差はそれほどありませんよ。
現存数の差っていうのはそういう事もあるのかもしれないと思った次第です。
高性能であればあるほど、整備性を全く無視したぎりぎりの隙間しかない作りだったりします。
これでは、維持管理のハードルが上がりまくりです。
時代とともに重視されるのが、
性能>>整備性
という感じに思えます。
はっきり言えば、
「年々バイクは性能さえよければユーザーがいじれなくても文句を言わないもの。」
になっていったという事ですね。
貴重なバイクなので大事にしてあげて下さい。
ワタクシのDT200WRなんてもう7万キロという2stとは思えない走行距離だ。
確かに、
最近はバイクを自分で整備しないオーナーさんも増えていますので、そういうモノなのかもしれません。
時代の流れとはいえ、なんか少し寂しい気もしますな。
バイクいじりって楽しいんだけれどなぁ。
※でもXR250くらい面倒くさいと、工具も場所もないと相当苦戦すると思うので仕方ない気もしますが。