が。
進行方向左側の発電機(オルタネータ)側からのオイル滲み&漏れという持病があります。
この部分からのオイル滲みを気にしてる人、意外と多いんじゃないの?
今回は小ネタですが、この対策について記事にします。
Z1系エンジンの左カバー下部からのオイル漏れ
これはZ1系エンジンの持病でもあります。
Z1系エンジン搭載車はサイドスタンドで駐車しているといつの間にかエンジン左側の下部にオイルが滴ってることがあります。
自宅の駐車場はもちろん、症状がひどい場合は観光地やサービスエリア、コンビニなどの駐車場でも見られる光景です。
※ワタクシは、すぐ人のバイクのこういう個所をチェックする男です。
そういうオイルが垂れている状態でツーリングに来る人もすごいと思いますが実際に結構いるのですよ。
「オイル漏れはオイルが入ってる証拠。」
とか言いますが、英国人じゃないんだから。
大した量じゃないので気にしない、という人もいるようですが、
「エンジンにとってオイルは血液と同じ。」
です。
※特に空冷エンジンはオイルで冷却する割合が強いので、オイルの減少=冷却能力の低下になります。
こんなの原因と対処法がわかってれば大したことじゃないのに、
まったく処置もしないまま高額プライスタグを付けて車両を売ってる販売店は実際に数多いのです。
エンジンの下に段ボール敷いたりしてお店のフロアが汚れないようにしてたりすると「早く直せばいいのに。」と思うのですよ。
少なくともワタクシは「古いから多少のオイル漏れは仕方ない。」とか言うショップから買う気にはなりません。
極上のミントコンディション!とか言って売ってるのでさらにたちが悪い。
※ワタクシは誤魔化されませんよ。
車体を入手した後は「オーナーの愛情次第。」と言ってもいいのかもしれませんが、どうしていいかわからない人も多そうです。
ショップに出すと莫大な工賃を請求されそうで躊躇している人もいるんじゃなかろうか。
ともあれ、
アナタのZ1系エンジン搭載車のエンジン左側にオイルだまりがありはしませんか?
初めは一滴、二滴でもそのうちどんどん大きくなっていきますよ。
怖いわね。
この度、当倶楽部のZ1-Rのエンジン左側のオルタネーターカバーの下部からオイルがにじんできたので対策しました。
実はちょっと前からこの傾向はあったのですが、駐車スペースのオイル染みができたので対応することにしました。
画像は3週間ほど放置した後。
結構漏れてきたな。
ちなみに・・
実際、古い空冷エンジンであれば多少のオイル滲みというのは仕方ないのです。
宿命と言ってもいい。
ただ、
海外製のエンジンと違って日本製のエンジンはきちんと対応すればオイルにじみは何とかなることが多いです。
※面倒くさいのは確かですが。
オイルのにじみ個所の特定ができれば半分は解決したようなもんなのですが汚いエンジンだと原因の特定は難しいのです。
まずは、エンジン回りの徹底した洗浄&清掃から始めることです。
ショップの工賃を考えれば、オイル滲みの原因の特定に丸一日かけても安いくらいですしねえ。
今回の場合、
オルタネーターカバー(Z2のパーツリストによると14031-053カバー、レフトエンジン)の下部、配線の出ている突起の辺りを触ってみるといいですよ。
オイルが手に付いた場合、ほぼここから滲んでいます。
オイル滲みの原因は配線のグロメット
この配線周りに致命的な欠陥というかZ1系エンジンの数多い持病の1つがあるのです。
エンジン内部に装着されていて発電をつかさどるステーターコイル(Z2のパーツリストでは21076-014ステーターアッシー)から伸びている配線は、異形のラバーグロメットで封印され、カバーにセットされています。
その結果、
最初は滴にならない程度ですが次第に滲む量は増えていきます。
そのまま放置すると、
地面に明らかにオイルと分かる液体が垂れることになるでしょう。
そして、
このラバーグロメットはパーツ単体として売られていません。
※仮に売られてたとしても配線切ってグロメットに通して、再度設置する、という面倒くさい作業が待っているのですが。
さらに、
ステーターコイル(Z2のパーツリストでは21076-014ステーターアッシー)は超高額です。
ワタクシは過去に一度このパーツを新品交換したことがありますが断腸の思いでした。
いまだに20年以上前に交換したパーツを捨てられずにいるくらい高価でした。
※現在は多分メーカー欠品なんじゃないかと思われます。
怖いわね。
バイクや車の合成樹脂製品というのは経年劣化するものと思っていた方がいいのですよ。
特にエンジン回りは常に熱にさらされているのでゴムをはじめとした樹脂は使用条件が極めて厳しいのです。
そして、
こんなゴムのパーツ1つが破けたために致命傷になることすらあるのです。
車やバイクに限らず、
合成樹脂製品の塊である最近の商品は有効使用時間が短いと言ってもいいかもしれません。
逆に言うと、
「合成樹脂のパーツの寿命がそのままその車体の寿命になりかねない。」
とも言えます。
あれだけ売れた80年代のバイクの現存率がイマイチ高くなく、それ以前のバイクの方がよく見かけるのは、
「合成樹脂パーツの使用率の差。」
なのかもしれません。
ちなみに・・
当ブログでは何度か書いていますが、合成樹脂系の劣化がバイクや車の致命傷になることがあります。
ゴムを含む樹脂パーツは経年劣化で割れたり千切れたり加水分解したりすることがあるのです。
こうなると原則として、
「素人には部品交換以外の解決策はない。」
ということになります。
ただし、
この手の合成樹脂はメーカー欠品になることも多いのです。
マジ卍ですよ、ええ。
※言ってみたかっただけです。
同じパーツを後継車種が使ってるとかならまだ生きながらえる可能性がある。
とはいえ、
それも時間の問題なのです。
販売終了から10年も経てば、そんなパーツが無くなるのは当たり前です。
※未使用品でもデッドストック物は経年劣化してる可能性があるので気が抜けません。
ヤバそうなパーツは欠品になる前にストックしておくのは有効な手段です。
※それで、紫外線の当たらない乾燥した涼しい場所に保管しておくことです。
古いバイクはキャブのインシュレーターにひびが入ったり割けたりすることはよくあります。
4気筒のキャブはインシュレーターをつぶしながら装着するのが普通です。
その際にインシュレータにダメージを与えることが少なくありませんよ。
こんな記事もあります▼
対策はガスケット交換と秘密の技
カバーを外すと確実にオイルが漏れるのでオイル交換でオイルを抜いた際に同時にやっちゃうのが理想です。
オルタネーターカバーを固定するボルトを全部外してもカバーは外れにくいです。
内部のコイルとローターの磁石がくっついちゃうので。
※結構強力な磁石です。
これを力任せに強引に外そうとすると、コイルなどにダメージを与えかねないので慎重に真っすぐ引き抜きましょう。
この時、オイルがこぼれても、心を揺らしてはいけません。
※オイル交換でオイルを抜いた後でも多少はオイルがこぼれるので、オイル受けのバット、最悪でも新聞紙とか段ボールとか敷くことをおススメします。
今回はワタクシの不手際でオイル交換した直後ですので下にオイル受けを用意して最小限のオイル廃棄で済ませました。
※段取りミスった。我ながら情けない。
赤丸部分がグロメットです。
明らかに変形していますな。
このグロメットが新しいうちは全く問題ないのですが、経年劣化と熱により硬化したり変形したりするのですよ。
オルタネーターカバーを外してみると、やっぱりゴムのグロメットは変形していました。
一見ちょっと膨らんで、ちょっと辺込んでいるくらいですが、これくらいの変形でも容赦なくオイルは滲みます。
で。
グロメットが変形した盛り上がった部分を良く切れるカッターなどで丁寧に均します。
※削りすぎたり配線に傷つけたりしたらゲームオーバーですので慎重にやりましょう。
言っておきますが「全部自己責任。」ですよ。
こんなの当たり前ですが一応書いておきます。
※当倶楽部の記事を言参考にするのは全部自己責任です。
ポイントは、出来るだけ切れ味のいい刃を使うことです。
※オルファ式カッターなら絶対一個折って新鮮な歯を使うとか、刃の腹の部分を上手く使いましょう。
当たり前ですが、
カバーとエンジン本体の接合部に残るガスケットシート(14045-014 ガスケット、レフトエンジンカバー)のカスも完全に除去しておきます。
ガスケットシートのカスが残っててオイル滲みになったら面白くありませんし。
ワタクシはガスケットシートを剥がす際は、
を併用して使います。
※隙間とかボルト周りとか「細身の平刃クラフトナイフ。」は使い勝手がいいです。エンジンのシリンダーまでバラすと有用性がよくわかります。
とにかく、
ガスケットシートは完全除去が基本です。
一点でもひとかけらでもパーツの接合部に残してはいけません。
そこからオイルが滲むと、作業は全部やり直しです。
※その際、ガスケットシートは新品に交換、という費用のダメージもじわじわきます。
液体ガスケットを併用する
この周囲をパーツクリーナーで洗いまくります。
特に、配線が出ている箇所はカバーの内側で入り組んでいるのでココに汚れや油分が溜まっています。
Z1系エンジンはこういうところまで非常によくできています。
最近のエンジンには、ステーターコイルの配線部を保護してるオルタネーターカバーなんてないですよ。
非常にお金がかかった作りです。
ただし、
ごみやオイル、汚れが溜まりやすく清掃しにくいので困ったものです。
出来れば、ステーターコイルをカバーから外して配線が保護されているカバーの入隅を清掃するのがベストです。
今回の場合、グロメットがあまりにしっかりカバーに密着してるので付けたまま、パーツクリーナーでうがいするようにたっぷり吹き付け、乾燥させました。、
※無理やり剥がすことで劣化したグロメットが千切れるのを恐れました。
一抹の不安が残るので、この入隅部分に「液体ガスケットを詰める。」という
策を取ります。
色々文句もおありでしょうがいいのです。
どうせ見えないんだし。
ここからオイルが滲んでくるより100マシです。
これくらい平にならせば問題ない。
・・ハズなのだが実装してみるまではわからないのだ。
で。
グロメットの削った部分に液体ガスケットを塗布します。
※どんなに慎重に削っても均等に真っすぐゴムを削れる人なんていませんよ。
Z1系のガスケットシートはセットで買った方がお得です。
※単体でも上記リンクから検索できます。
で、新品のガスケットシートを使いサクサクと組み上げていきます。
※液体ガスケットの使用には賛否両論あるけど、ワタクシはカバーの装着時にガスケットシートがズレるのが嫌なので、グロメット以外の部分にも薄く液体ガスケットを塗布してます。
最後は漏れたオイル分を追加を忘れずに。
エンジンのオイル点検窓を見て確認するのは忘れてはいけません。
ちなみに・・
液体ガスケットを毛嫌いする人は結構多いです。
プロのメカでも液体ガスケットを避ける人は多いですし。
でも液体ガスケットを補助的に薄く塗って使うのはワタクシはいい手段だと思っています。
※旧車とか外車は精度がイマイチなので使い勝手の良いガスケットはありがたいのです。
ワタクシも実は昔は液体ガスケット反対派でした。
なにせ、一度使って剥がした後汚いし完全除去の手間がかかるので。
でも、でもですよ?
大量に使うならまだしも良く考えたら残った不燃紙の純正ガスケットを剥がす際に、上手くやると液体ガスケットのほとんどは除去できるんですよ。
案外ガスケットの除去の手間は変りません。
※今回のように、配線の保護部を埋めるとかを多用するのはいかがなものかと思いますが。
そして、
外車のパーツは立付けが悪い上、純正のガスケットも ものすごい高価なくせに作りが 適当です。
当然、パーツ同士の接合部の隙間が埋まらず、液体ガスケットを併用することが当たり前というモノすらあります。
ロータスヨーロッパがそうです。
※数多すぎるロータスツインカムの持病の一つで、主治医もパーツ制度が悪すぎてなかなか直せません(笑)
当倶楽部のロータスヨーロッパはシリンダヘッドカバーのどこかから常にオイルが滲んでいますので、そのうち本気出す必要がありそうです。
とはいえ、シリンダヘッドガスケットシートは高価なのでなかなか手が出せない。
ああ、お金が欲しい。
ワタクシのメカの師匠の一人は液体ガスケットやシリコンシーラントを多用するのが大好きな人がいます。
マスターシリンダの点検窓が割れそうになってもシリコンシーラントで埋める人です。
※ゲロ林道では劣化したマスターシリンダの窓を破壊することが稀にあるそうです
これはこれでどうかと思うのですが、考え方としてはアリです。
※そんなサバイバルしなくても、というくらいのマニアで奥秩父辺りを縄張りにしている有名なゲロ道アタッカーです。
安い外国メーカーの液体ガスケットは非常に使いにくいものがあるので、多少高くても信頼できるメーカーの商品をおススメします。
※わずかな金をケチったばかりに、大ダメージ喰らうこともあるんですよ。
まとめ
前からオイルが滲んでたのは知ってたので、いつかはやらなきゃいけないと思ってたのですが重い腰が上がらず、ようやくの対処です。
販売終了から40年以上経った今でも多くのZ1系エンジン搭載車が公道を走っていますね。
元気に公道を走る旧車というのは良いものです。
※最近また増えたように見えます。最近買ったとすればみんなお金持ちだな。
が。
酷いオイル漏れなら一か所ずつ原因特定して直していくべきですよ。
滴った一滴のオイルでバイクがコケることもあるのです。
※自分に限らず、ですよ。
Z1系では、
からオイルが滲みがちです。
そのいずれも、ちゃんと丁寧に作業すればオイル漏れは止められます。
完全に止めることはできなくても、滲む量を低減することは可能です。
オイルは滲んでるくらいなら車検も通るし、汚れるくらいで大きな害はないと思うのですが、放置はいけません。
大体パーツ交換とその際の丁寧な作業で解決するはずです。
これをやらないのはオーナーの怠慢だと思うのですが、それもオーナーの勝手です。
※オイル汚れは他の汚れを呼ぶし、何より汚いので良いことないですよ。
ちゃんと整備されているバイクというのは綺麗なものなのです。
それに、みんなが大好きな「リセールバリュー。」は綺麗な方が高いに決まっているのです。
こんなオイル滲み対策くらい先日のエンジン腰上OHの際にやっちゃえばよかったんですよ、ホントは。
※時間が無くて、というよりは完全に作業工程から外れてすっかり忘れていました。
まあこういう楽しみは、少しずつ解消していくのが飽きないポイントなのです。
楽しみは長続きさせた方がいい。
飽きてる暇がないのは長くバイクに乗るコツですよ。
ワタクシは都合30年以上、こんなバイクライフをやってるわけです。
・・と、言い訳しておきます。
ともあれ、
Z1系のエンジンは何をするにも簡単でいいですな。
今どきのエンジンではオイル漏れ一つとってもこうはいきません。
※水冷はまず水抜くことから始まるので、手間は倍だし。
お隣の家の猫がなぜかワタクシに妙になついて、作業してる数時間の間ずっとそばでゴロゴロしてやがってかわいいけど作業の邪魔なのだ。
そうそう。
当倶楽部に遊びに来た初期型CRF250ラリーは オイル漏れしてるわけでもないのに 突然エンジンから異音が発生、レッカーで神奈川迄送られることになりました。
※音の原因はカムチェーンっぽいよ。設計に問題あるんじゃねえの?HONDA。
やはりエンジン修理や載せ替えより買い替えか(笑)
それはお気の毒(笑)
今どきバイクっぽい。
次はV-Strom250?