その1では分解清掃まで書きましたので、その2では組み上げ迄書こうということです。
さすがボロイキャブです。
組み上げる際にしっかりと問題が発生したのでした。
くみ上げる際に問題が起こった
なぜか4番キャブだけスロージェットが付いてない。
一応、清掃して流路の導通を確認したので組み上げて行ったら、トホホな事態に。
とまあここまでは「その1。」でやったわけです。
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なので、4つのキャブを連結させていきます。
連結を解消したのと逆の手順で組んでいけばいいだけです。
注意点は、
位です。
今回は、キャブ下側で連結するのにキャップボルトを使いました。
※古いバイクのプラスネジは舐めがちなので好きじゃないのです。
連結させた後は、ジェット類を組んでいきます。
が。
4番目のキャブのスロージェットが入らない・・。
ネジ山が噛む位置まで落ちないのですよ。
どうも、
キャブボディのスロージェットホルダの内部でスロージェットの頭だけもげて足の部分がキャブの中に残ってるっぽい。
ワタクシが入手した10年くらい前はフロート室までばらして清掃したはずなのですが、まったく記憶にありません。
清掃時にスロージェットくらいはバラすと思うし、仮にどんなに固着しててもスロージェットをねじ切るなんてことするかなぁ。
言っておくけれど賭けてもいいがワタクシのミスではない。
中古のキャブというのはこういうもんですよ、とほほ。
とはいえ、さて困った。
ストックしてあるキャブから移植
これをいかに外せるかが経験値のなせる技でもあります。
でもそのまま柔らかい真鍮製のスロージェットを力でねじ切っちゃうとキャブが死んじゃうのです。
すんごいよくあることで、旧車乗りは誰でも一度は経験しているはず。
スロージェットが折れて残ってるキャブを目の当たりにして、
「ジェットは比較的柔かい真鍮製なのでタップを立てて抜けばいい。」
と思ったのですが、キャブボディを傷つけずに綺麗に抜ける不安だし、今時間をかけるのは得策ではないです。
真冬の夕方にやってるので日が暮れると凄く寒く、遊びで風邪をひくのもバカらしいので奥の手を使います。
「もう一個あるストックパーツのゼファーXのキャブから4番キャブだけ引き抜いて入れ替える。」
という作戦に出ます。
※なら最初からこっちのキャブを直せばよかったじゃん、というワタクシもいるのですが出たとこ勝負なので仕方ありません。
ストックしてあったキャブの4番を外して洗浄、流路の導通確認をして、一晩漬けこみます。
これで確実に一晩以上作業時間が押したのが悔しいですが、こういうこともあります。
詰まってるキャブボディにはしっかり目印をつけておきます。
※すんごい暇なときに抜き作業を試みるつもりなので、こういうキャブでも出来るだけ捨てない。これが俺たちのSDGs。
翌日の早朝、戸惑うことなく4つのキャブの連結までの作業はあっさり完了しました。
何事もなく平和に物事が進んだような気もしますが、
部品取りされたキャブの残骸と詰まってるキャブの残骸を見てリアルなレストア作業の実態を思い知った気がするワタクシなのでした。
でもただでは起きません。
すんごい暇なときに、ダメもとで詰まったスロージェットを撤去してみようかと思います。
ちなみに・・
こういうことはほんっとによくあります。
またヤフオクなどでは状態が悪くても状態を説明せずにNC/NRで出品する人も少なくありません。
知ってて粗悪品を出品する確信犯は実際に多数いて、何度か騙されてるうちに買わなくなり、レストアがとん挫するのはよくあることです。
※ヤフオクは業者が高値でボロイのを売るのが常態化していて、素人が出品してた頃の勢いは全然ないっぽいですな。
なので、
中古パーツを買う際は、
位の覚悟で買った方がいいですね。
※でも、ひどいパーツを買っちゃった場合、ワタクシも人間ができてないのでものすごく悔しいのは確か。
キャブに限らず、ネットで中古のパーツを買う時はモノを見れない以上、状態を画像だけで判断するのは非常に難しいです。
単純な稼働パーツが固着して全く動かないなんてこともありますし。
※素人ならなおさら見極める能力はないし、電子パーツはプロが見たってわかりません。
長く旧車に乗ってきた人たちは多かれ少なかれこういう勉強代を払って今のポジションにいるのです。
整備のスキルアップや物事を正しく慎重に見るという訓練になったと考えましょう。
※だからって騙す方が圧倒的に悪いんですが、そうでも思わないとやってられないのです。
興味の範囲でセッティングを変えてみる
上側のダイアフラム周り、下側のフロート回りの順にで組んでいきます。
ダイアフラムにはシリコングリスを薄ーく塗付しておきました。
ゴム系パーツは30年も経てば耐久性的には限界なはずですが、
密閉された空間で紫外線に当たらないのが良かったのか破れもなく張りもあり状態は思いのほかマトモです。
※VT250FHのレストアした時の方がキャブの方がダイアフラムは固かったような気がします。
だんだん組みあがっていく様は楽しいですな。
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この際、リペアキットに含まれる4本のニードルジェットの中で一番細く、混合気が濃い目になる奴をセレクトしました。
リペアキットでRRとされてた一番濃くなる奴です。
※標準はRタイプで二番目に濃い奴と思われます。
キースターさんではリペアキットとは言わないらしいね。
ニードルジェットはアクセルの開け初めから半分くらいまでに大きく影響するパーツなのですが、
CVKキャブは純正でニードルのセレクトができないのでゼファーXのものをそのまま使っていました。
これで中低速トルクが太くなると嬉しいのですが。
また、
メインジェットは1、4番を110番、2、3番を115番としました。
燃調キットは2種類ある
キースターさんの燃調(リペア)キットは車種毎キャブ単体毎に設定されています。
ゼファーのリペアキットの場合、1、4番用と2、3番用の二種があります。
キャブ全体のOHをする際にはそれぞれ2個ずつ買わないといけません。
※4気筒って超贅沢です。
今回、当記事ではゼファーX用のキャブをレストアしていますが、使ってるのは以前からストックしてあったキースターさんのゼファー用燃調キットです。
※多少不足パーツがあるけどほぼこれで問題なく燃調はできます。
ゼファーは純正で内側のキャブが濃い目にセッティングされているから、2種類のリペアキットが存在するわけです。
主にセットに入ってるメインジェットの番数が違います。
内側のキャブのメインジェットが大きめなのは熱がシリンダー後ろに籠って逃げない並列4気筒だからですな。
濃い目の混合気で少しでも気過冷却効果をつかって内側のシリンダを冷却させるのが狙いっぽいです。
※メインジェットはリペアキット一個で6種類ついてきますのでお好みセッティングが可能です。
やっぱCVKキャブのリペアキット(商品上は燃調キット)はネットショップでいろんなの売ってるけどキースターさんのが一番いいよ。
分解するのに必要なパーツがセットになってるし、何せ信用度が違う。
今回、スロージェットは38番をチョイスしてみます。
抜けが良いマフラーを付けたりしたら多少薄くはなるとはいえ、
Z1-RもZ750D1もスロージェットは35番でも普通にアイドリングします。
※ワタクシのZ1-Rに現時点でついているCVKのセッティングではスロージェットは35番のままですが普通にアイドリングしますし、不満はありません。
今回はスロージェットは濃い目にして、パイロットジェットを絞って調整すればいいや、という考えです。
キャブはエンジンを壊さないためには濃い目から作っていくのがセオリーだと思っています。
これをどこまで薄くするか、がセッティングの腕なのですが、ちょっと初心に立ち返って見ようかなと思いまして。
「焼き付く寸前まで薄くするのがベストセッティングだ。」という人がいますが、
レースじゃないんだしそんなにシビアにしなくてもかぶらなければ濃くても別にいいのです。
ちなみに・・
CVKの場合、割と排気量にかかわらず同じ大きさのジェットが付いてたりするんです。
※排気量を問わず、35番が付いていたりします。
「スロー系は排気量がデカいほど混合気が濃いというわけではない。」
のですな。
※抜けがいい社外マフラーにする場合、濃い目にするのがセオリーと言われていますが。
参考>各車の純正キャブのジェット類
■[Zep400]
■[Zep400X]
■[Zep750]
いずれも年式によって多少誤差があるようです。
※パイロットスクリュー:1+5/8戻し、とか。
Z1-RやZ750D1の場合、まともに動くCVKキャブならゼファーのノーマルセッティングでも走れます。
ここからの匙加減がキャブセッティングの腕の見せ所なのですが、
キャブは突き詰めようとするとセッティング地獄にハマるので大概にしておくのが吉です。
※いーんですよ、公道で楽しく走る分にはそこまで突き詰めなくても。
今回はワタクシの実験的な意味合いがあるので大いに遊んでみるつもりです。
※リペアキットにたくさんジェットが入っているのは「たくさん実験して遊んでいい。」ということなのですよ。
旧車のキャブ流用については、個体差もあるので当ブログのセッティングはあくまでも参考程度だと思ってください。
キャブの油面調整
キャブボディのフロート室接合部からフロートの高さまでを17mmに合わせます。
キャブの下側にあるのがフロートです。
いわゆる浮きなのですがフロートバルブが引っかかっています。
ガソリンが供給されると浮きが持ち上がってフロートバルブがガソリンの流路をふさぎます。
ガソリンが減ってくると浮きが下がってフロートバルブがガソリンの流路を解放してガソリンが供給されます。
この時、キャブの内部にどれくらいガソリンをため込むかを決めるのが油面です。
になります。
もちろん、4つのキャブ全部均等に揃えねばなりません。
CVKキャブの油面調整はフロートがフロートバルブと接触する箇所の鉄を曲げて調整します。
フロートとフロートバルブを接触した位置にして、フロート室の合わせ面からフロートの一番高い場所までを計測します。
※キャブを横向きにした方が計測しやすいです。
この時、計測値は17mmになるように調整します。
油面は確実に4つ合わせる必要があります。
基本のき、です。
大抵、この状態で油面は問題ないハズですが、出来ればキャブを車体に組んだ後、実際にガソリンを供給して油面を計測した方が確実です。
※安いキャブリペアキットのフロートは歪んでいるので4つのキャブで均一の油面が出にくいです。
まあこの辺は適当にググりましょう。
いくらでも画像付きで解説されています。
※画像を書いて説明しようと思ったけど面倒くさくなった。そのうち実測している写真付きで記事にします。
ちなみに・・
フロートバルブはキースターのリペアキットに入っています。
※しかも聞くところによると、純正よりキースターのリペアキットのフロートバルブの方が性能がいいらしいです。
ただし、
フロートはキースターのリペアキットには入っていません。
ワタクシは過去に何度もいろいろな 中華製の 安いCVKリペアキットを買った経緯がありまして。
フロートはもちろん、ダイアフラム迄キットに含まれていてお得に思えたのです。
が。
結論から言いますと安いキャブリペアキットは全然使い物になりませんでした。
という散々な結果になりました。
※アイドリングしないのには参ったわ。理由がわからなかった。
持った感じ軽い。
穴空くんじゃねえの?みたいな印象を持つ粗悪品。
結局、安物買いの銭失いになったのでした。
※使えなくても捨ててはいないので大量にストックがある。これがワタクシのSDGs。
中華の国で作られてる車やバイクのパーツのバッタもんは凄く多いのです。
安くても使えないものが多いので結局損です。
外装などは中華製でもいいと思うのですが走る曲がる止まるについては信頼の日本製に限ります。
キャブの同調
車体に組む前に出来るキャブの同調です。
これをやっておくとバキュームゲージを使った微調整が凄く楽なんですよ。
※上手く出来ればほぼ調整要らないくらいです。
組んだ後に4連バキュームゲージで調整するのもいいのですが、
「アイドリング時の空冷エンジンは放熱的には全開走行時とそんなに変わらない。」
と聞いたことがあるのでエンジンかけっぱなしで調整するので空冷エンジンはかわいそうなのです。
※真夏は工場用の扇風機をぶん回してエンジンに風を当てて調整したりしています。
なので、
最終的にはバキュームゲージを使って微調整するとしても、
なるべく短時間で調整できるようにキャブを車体に組込む前に出来るだけ4つのキャブを同調しておきたいものです。
今までは目視で各キャブのバタフライバルブの空き具合を見て調整していました。
※これでも結構あってた。
今回はプロに教わった方法を使ってみます。
0.5mmで15cmの針金を4本用意します。
これを、4つ全部のキャブのバタフライバルブ隙間に挟みます。
アイドリングスクリューを回して4つのキャブの針金が同時に落ちれば、同調出来てるということです♪
※写真撮ったような気がしてたのですが画像がない。そのうち撮ってアップします。
最初は進行方向左から2番目のキャブ。
これがアイドリングスクリューを回して直接動かせる唯一のキャブです。
針金が落ちる位置まで調整します。
2番目のキャブがこのキャブ全体の基準になりますので、アイドリングスクリューはそのまま固定しておきます。
次に1番目と2番目の間にある連結部のプラスネジを回して、1番目のキャブの針金が落ちる位置に調整します。
これで、
1番2番のキャブは同調したわけです。
次は2番目と3番目の間にある連結部のプラスネジを回して、3番目のキャブの針金が落ちる位置に調整します。
これで、
2番3番のキャブは同調したわけです。
次に3番目と4番目の間にある連結部のプラスネジを回して、4番目のキャブの針金が落ちる位置に調整します。
これで、
3番4番のキャブは同調したわけです。
最後に4つ全部のキャブに針金を挟んで、アイドリングスクリューを回します。
同時に針金が落ちれば同調出来てるということです。
という感じで4つのキャブのバタフライバルブの開くタイミングを調整していきます。
バキュームゲージがなくてもこの方法なら ワタクシの目視よりは確実に かなり正確な同調を取ることが可能です。
まあ、
最終的にはバキュームゲージで見るのが確実なんですがね。
大きく調整する必要がないので同調時にエンジンかけてる時間が短縮できます。
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この調整をするときに注意するのは、
「針金を挟んだままグリグリ動かしてキャブボディやバタフライバルブに傷をつけないように気を付けること。」
です。
キャブはデリケートですので少しでも傷が入ると混合気の流れに不具合がおきる可能性があるのです。
※大きく傷が入ったキャブはセッティングが出ないので大抵破棄されます。
針金でやるのはリスクが伴うとはいえ、
ちゃんとやればほぼバキュームゲージを使うことなく4つのキャブの同調が取れます。
※もちろんキャブが同調出来ててもエンジンの4つのシリンダーの状態がズレていればマトモに走りませんが。
まとめ
バキュームゲージで微調整は必要とはいえ、同調も取っておきました。
あとは車体に組んで実走しながらの調整となります。
今回のリペアキャブを組むのはZ1-Rにする予定です。
■Z1-Rの現状
ゼファー用CVKキャブ
これを
ゼファーX用CVKキャブ
からスタートして様子を見ます。
今回は過去の経験から決めたCVK流用セッティングデータをあえて外して全体的に濃い目で作っています。
※CVKの様な負圧キャブはジェットの番数を多少変えても普通に走っちゃうので普通のツーリングならそれほど困らないし。
「濃いか薄いかだけ大まかに判断して、パイロットスクリューの戻し回転数を決める。」
パイロットスクリューが1回転戻し以下になるようなら、スロージェットは35番に変更すればいいだけですが、38番でもたぶん普通に走ります。
それくらいCVKキャブは適当なセッティングでも走れるくらい懐が広いのです(笑)
※空冷は多少濃いめのほうがエンジン冷えるのでいいような気がします。
実質、出先でタンクを下ろしてキャブを外してジェット類を交換する、なんてことはやろうと思えば可能ですが、
パーツ無くしたりゴミが入ったりしてロきうなことがないため、出先でキャブを分解するなんてのはやらないのが普通です。
※昔はやってましたが。
ああ、そういえば夏に出先でタンク下したわ(笑)。
この時はバッテリーが割れたんだったな。
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ワタクシが求める理想のセッティングは、
※その時、多少アイドリングを調整することはあってもいい。
というものです。
スロー系のセッティングが決まれば、これらは大体解決するのでココがキモとなります。
アイドリングから出だし加速がしっかり決まれば、
大きくアクセル開ける時に影響するメインジェットの選定なんて楽なもんなのです。
今回はアクセル開度小から中くらいに影響が出るジェットニードルも濃い目に変えたので中速域の影響も楽しみです♪
※今まで400cc用のニードルだったしねえ。
早く試走ツーリングに行きたいもんです。
とはいえ。
冬の長野県、当倶楽部の周りは融雪剤散布の嵐なわけですよ。
暖冬だというのに毎朝シッカリ融雪剤を散布してくれています。
※特に橋の上とか峠とかは真っ白です。車が錆びて穴が開くわけですわ。
融雪剤撒いた上で古めのバイクを走らせると塗装が痛むダメージを受けますしねえ。
※黒いフレームに白くシミの様な跡が残る。すぐ洗ってもダメ。
とりあえず、
試走は後回しにして余ったリペアキットのジェットでもう一基のキャブをリペアしちゃいましょうかね♪
幸い、まだゼファー用のキャブのストックがある♪
当倶楽部ではキャブを補完する際は内部を清掃して乾燥させた後、ラップでくるんで保管しています。
※コレも中身がまともかどうかは微妙。
余ってるキースターの燃調キットのジェットを使えば、ゼファーの純正セッティングのキャブが出来上がるのですわ。
ストックしてあるキャブは補修パーツが手に入るうちにメンテしておくつもりです。
それに、今Z1-Rについているゼファー用CVKも清掃して再度組み直すことにします。
冬の間、ツーリングにも街歩きにも出られないくらい寒い日に凍えながら作業しようと思います。
別にキャブが壊れたわけでも無いのにストックパーツを充足させるのは余裕があっていいですな♪
シーズン中に壊れると貴重な時間がもったいないですしねえ。
※いつもシーズン中に壊れてから泣きながら慌てて直すのが当倶楽部のパターンです。
車体への組み込みと試走とセッティングについてはその3以降で書こうと思います。
こんなもんは仕事じゃないのでゆっくりやればいいのですよ。
本文には全く関係ないのですが、アジの干物とサバの干物が沼津のJ君から大量に送られてきた。
うわマジか。
ワタクシは確かにお魚が好きだが、こんなに喰いきれないぞ。
というわけで、急いで小分けにして近所に配りに行くのだ。