今のレベルから見れば全然ですが、どっかーんと加速するので速く感じたものです。
楽しくて欠陥だらけでしたが、いいバイクでした。
RZ250Rになると欠陥もかなりマシになるのですが。
え、今〇〇万円もするの!?
RZ250は中高年にとっては青春のバイク
当時は401cc以上のバイクは免許の関係で遠い存在でしたので400cc以下が現実的だったのでした。
400ccと対抗できる250ccとして大売れしたRZ250は5年もすると中古市場に大量に出回ってたのでした。
大昔にオーナーだったワタクシから言わせてもらうと、安かったから買ったにすぎません。
買ったときは12万円でした。
当時高校生でしたが、
※当時、自賠責が高くてさらにバイトした記憶があります。
白に青二重ラインが入った350カラーでした。
※ワタクシが買った個体は最初からダブルディスク化されていました♪
一生懸命働いて買ったのですが、
「カウルが付いてなければバイクとしての価値は著しく低かったレプリカ全盛時代。」
なので、
250ccクラスの新車は4stでもみんな45馬力。
35馬力のエンジンなんて相手にされませんでした。
※実際、全くレプリカ勢には歯が立たなかったのですが。
それでもバイトで一生懸命金貯めて中古を買ったので使い倒しましたのでした。
東北一周したのもRZ250が最初のバイクでした。
※荷物が全部2stオイル臭くなるのですが、当時は全然気にしてなかった。若かったから♪
まだまだ、2stというエンジン形式が普通に走ってた時代の話です。
どこかに当時の写真があると思うんだけれど、探すの面倒くさい。
※未だに純正ビキニカウルは捨てずにとってある。
コレが当時のレーシーさMax状態。
RZ250は欠陥だらけ
完成度は高くないですが、絶妙に低い次元でバランスしてて乗って楽しいバイクでした。
※車で言えば、TOYOTAのAE86のイメージに近いです。
結局5年間くらい手元にあったのかな。
その間にいろんなトラブルがあったもんです。
神奈川県や東京都下の解体屋回って部品集めしたのもいい思い出です。
フロントフォーク
立ちごけで曲がるほど鉄板が薄いフロントフォーク。
ええ!って思うくらい簡単に曲がる。
ひとえに軽量化したかったからだと思うけどねえ。
サイドスタンド
中空パイプのサイドスタンドは根元から折れる。
特にサイドスタンドかけたまま全体重をかけてキックするようなエンジン始動してた車体は確実。
おかげで、
「2stバイクはサイドスタンドかけたままエンジンかけてはいかん。」
と言うことを思い知る。
※でも数年後にDT200WRでやっぱりサイドスタンド折る。
これも軽量化なんだろうけどねえ。
当時、サイレンサーと一体式のチャンバーは皆にバカにされたもんです。
ワタクシも嫌いでしたが、今見るとカッコいいじゃねえか。
チャンバーがモゲる
西湘バイパスで突然エンジンが吹けなくなり、おかしいな?と思ったら。
チャンバーの根元にクラックが入ってました。
仕方なく、オートバックスかなんかでマフラーパテ買って穴埋めて、アルミ缶つぶして貼付け、針金でぐるぐる巻いて帰ってきたけど、結局チャンバーは根元から折れる。
恐らく錆びと振動が原因。
RZ250のエンジンは理屈上、振動はない設計だったはずですが、実は振動が結構あった。
絶好調ならもう少し振動はマシだったかもしれないのですが。
アクセルが戻らなくなる
キャブが気化熱で凍るとアクセルが戻らなくなる。
秋から冬の曇りとか小雨の日はほぼ確実に起こる♪
キャブのシリンダーとピストンが張り付いて戻らなくなる「アイシング。」という現象をそのころ知った。
アクセル戻らないのでクラッチ切って止まるんだけれど、エンジンかかったままクラッチ離すとウイリーするくらいの勢いになる。
怖いので、嫌だった。
※キルスイッチで止めて、氷が溶けるのを待つのが正解ですが同じ気象条件だとすぐ再発する。
その後の2stのキャブはアイシング対策で、
などの進化をするのだけれど、アイシングの怖さを知ってるとそのどれもがありがたいと思えるのです。
水温が上がらない
RZ250には純正ではサーモスタットがないので冬はエンジン始動後もなかなか水温が上がらないのです。
「オーバークールで壊れる。」
とよく言われていましたが、当時住んでた東京ではそこまで冷えることもなく。
ただし、
毎年12月になるとラジエターに段ボール挟んで3分の一くらいふさいでました。
この経験が、長野に来てから冬のminiERAターボの水温管理に役立つのだった。
※冬はサブラジエターをゴム板で全部ふさがないとヒーターがなかなか効かない。
ガソリンが落ちなくなる
あの形のYAMAHAのタンクキャップは、ゴミや錆などで空気穴が埋まるんですよ。
※これはRZ250Rも同様。
酷くなると、
ガソリンがキャブに落ちなくなります。
ガソリン満タンでもガス欠症状が出るようになるのですよ。
ずーっと原因がわかりませんでしたが、
大学の同級生がバイトしてるガソリンスタンドで遊んでたときに、コンプレッサー借りてタンクキャップを吹きまくって掃除したら以降全くその症状が出なくなりました。
ポリタンクして、ネジ込み式キャップのエアブリーザーパイクが詰まって同じ原因でガス欠症状を多発してた某Jくん。
バイク屋にぼられまくったねえ(笑)
それでも直らずに当倶楽部にきてパイプ付け替えたら10秒で直って(笑)
一生、当倶楽部に貢ぐが良い。
クランクケースにクーラントが溜まる
初めてのエンジンオーバーホール。
そのあと数日後から何度キックしても火花は飛ぶのにエンジンがかからない。
毎日の筋トレのようにプラグを磨いてキックをする日々が続く。
しばらく原因がわからず。
偶然、初爆があった時、チャンバーから水が噴き出す。
※そのままエンジンかかってたら、ウォータハンマー現象でエンジン内部ぐちゃぐちゃになってもおかしくなかった。
トルクレンチなんかないままエンジンオーバーホールした結果、
でシリンダヘッドの組付けトルクが甘かったようで、ヘッド部から漏れたクーラントがクランクケースに溜まったということらしい。
エンジンを車体から下ろしてひっくり返してクランクケース内の水抜いたら、一発始動♪
※2stはエンジンが軽く小さいので、エンジンは一人でも楽勝で降ろせる。
これは明らかにワタクシのミス。
シリンダヘッドのガスケットは再利用してはいけないことを学ぶ。
うれしいんだよねえ、このメーターが動くと。
冬の2stオイルの焼ける匂いがワタクシの青春の匂いです。
バッテリー大事
RZ250はフラマグ点火方式なので、バッテリーが死んでてもエンジンがかかるのです。
とはいえ、
一応、それくらいに気を付ければバッテリーが死んでても走るには走る。
ただ、そのまま長く運用すると必ずレギュレーターが死ぬので弱ったバッテリーは交換すべき。
※ひとえに貧乏だったので、バッテリー買えなかったのですが結局高くつく。
「バッテリーは大事。」
と言うことを思い知る。
その他、下宿の屋根から雪の塊が落ちてきてタンクがベッコリ凹んだとかもあったな。
※ワタクシも激しく凹んだものです。
このように色いろ体験させてくれた素敵なマシンです。
今のバイクでは考えられないようなトラブルが普通に発生しますが、それがいいのです。
※特にワタクシの飼ってた個体は、妙に人間っぽい奴でした。
そうそう、
RZ250は軽量化のためかタンクの鉄板も薄く、一度錆びるとすぐ穴が開くのも有名。
解体屋で割とマシなタンクを15000円で買って対応。
※RZ250の頃から、バイクのガソリンタンクの鉄板が薄くなったと言われています。
最後は学生生活最後で資金難で生活がどうしようもなくなり、さらに不具合も出始めたので二束三文で手放しました。
※売値は今の市場価格の10分の一以下。
既に限定解除をして大型バイクに乗ってたので複数台持ちは金銭的に無理になったとはいえ、惜しいことをしたもんだと思っています。
90年代初めの頃の話です。
※今なら死んでも直すけどね。
マニア受けする美しさと歴史
メディアの執拗なまでのあおりと当時のユーザーの昔の記憶がシンクロしてるから。
ワタクシの一世代前の先輩たちの時代、
RZ250のデビュー当時は大げさではなく超インパクトがあったらしいのですよ。
そりゃいきなり水冷エンジンになり、モノショックになり、クラス最大馬力とかですもん。
※関越自動車道すらまだ完全に出来てない頃ですよ。上信越道なんか影も形もない時代です。
雑誌は全てRZ250特集になり、
「サーキットでも峠でも速くなりたきゃRZ250に乗るのがっ手っ取り早い。」
と言われてたようです。
※RZ350は車検の関係もあり、お金持ちの乗り物だったようですが。
真ん中のモノ・ショックを見せたかったんだろうねえ、YAMAHAの技術者。
この頃、多感な少年だった先輩方に強烈なインパクトとして擦り込まれているのです。
※人間は大人になってもそれほど変わらない、と言うことに最近気が付きました。
ワタクシの師匠M氏はこの頃の人でして。
赤いRZ250でバリバリ走ってた人です。
もう30年来の付き合いですが未だに頭が上がりません。
※峠でCB750FでGSX-R1100を追い回したり、ZX-10でジムカーナやるような人です。
未だに酒飲むとRZ談議に花が咲きます♪
RZ250のデザイン
RZ250のデビューから2年。
RZ250Rからデザインが一新されたのです。
から
に変更になります。
一気に現代的なディメンションと大柄な車体になったRZ250R。
馬力は一気に43馬力に。
YPVS搭載。※この世代だけ機械式。
フレームの上に乗っかるタンクはレーサーそのものだったわけで、レプリカたるRZ250の走行性能を向上させるためには必要な進化だったわけです。
これで一気に今どきのバイクっぽい外観になります。
※よそのメーカーはフレームをアルミ化してさらにレーサーっぽくしたわけですが。
タンクというのはバイクの顔であって、タンクの形状でバイクの印象が全然違ってくるのですよ。
RZ250というのは、
「レプリカ時代に突入する直前の最後のバイクらしい形をしたバイク。」
と言えるかもしれません。
当時のYAMAHAにしては珍しく 個性的なとんがったではない まともなデザインだとも言えます。
※当時のYAMAHAはどっかサイケデリックというか 余計な デザインされてます的な格好をしたバイクが多かったのでした。
何故か、RZ250、350だけは、まともな流れるようなラインと柔らかい線を組み合わせた綺麗なデザインになっています。
※このデザインは当時のYAMAHAのデザイントレンドではなく、結構奇跡っぽいのです。
だから、
RZ250は変に流行を追い求めず、アクがなく誰にでも受け入れらたデザインなのかもしれません。
※個人の好みもあるでしょうが、当時のRZ50やRZ125はまだへんちくりんなデザインを色濃く継いでいます。
だから、メディアも推しやすいんでしょうねえ。
こんな記事もあります▼
ちなみに・・
はっきり言うとRZ250は華奢なバイクです。
前述したとおり、軽量化のためにそこら中で肉抜きしてあるし、タンクの鉄板も薄いです。
というわけで、
放置したり雨ざらしにしたりすると、あっという間に朽ちます。
※Z系バイクのタンクの肉厚さったらないです。
荒い扱いを受けた個体も多く、そのほとんどがスクラップになりました。
なので、
爆発的に売れたバイクとはいえ、現存数はそれほど多くありません。
今見ても華奢だよねえ。
まあ、RZ250以降のレプリカ時代のバイクがほぼ全く残ってないことに比べれば残存数は多いと言えるかもしれません。
「デザインが良くてそこそこスポーツ性のある時代を作った一台。」
こういうバイクは漏れなく中古車市場で高騰していますね。
もし、次の高騰しそうなバイクを探す、とかなればそういった視点で見ればいいと思います。
まあ、そんな都合のいい車種はもうないですけどね。
メディアは中古車屋さんというスポンサーの意向で在庫で余ってる 不人気の わけわかんない車種を推しガチです。
そんな情報に乗っかっちゃうと、間違いなくひどい目にあいますよ。
そんなわけで、
旧車は全般的に高くなる傾向があるのです。
大抵のバイクのオーナーは、乗りっぱなしで調子を崩すと売るか捨てるかと言うことになります。
一台のバイクを長い間維持するにあたり、それなりの部品交換やメンテナンスを行っていない限り、現存することができません。
当然、費用がかかります。
現存して走っている旧車は、一台残らず何十年もの間どこかの誰かがきちんと整備して面倒を見てきた個体です。
RZ250で言えば、約40年もの間誰かがきちんとお金をかけて維持してきたのです。
RZシリーズはマニアがしっかり存在しますし、そういうマニアは金に糸目をつけずに、長く乗っています。
そういいう人たちは、お金を積まれてもなかなか手放さないものです。
稀にそういう個体が市場に出てくることがありますが、それなりに手がかかってるはずです。
※とんでもないボロイ個体も市場に出てくることがありますが。
いずれにせよ、
旧車は増えることは絶対ありません。
何らかの縁で入手できたとしても維持には素晴らしくお金がかかるはずです。
パーツは取り合いになるハズですよ。
思い付きや流行りで手を出すと、購入金額以上にお金がかかるものです。
そして、
旧車の整備やメカニズムの知識が無ければ、もれなく悪徳バイク屋さんの餌食になるのです。
こんな記事もあります▼
まとめ
一時期はかなり安かったのですが、時代によって販売価格は変るみたいです。
そっか、RZ250も高級車か(笑)
「いやぁ、あのときRZ250を売らなきゃよかった♪」
と思っても人間には先が読める能力なんてあるわけないのです。
※そんな能力あったら、株や競馬で大儲けできてますな。
時代とともに、流行とともに同じモノの価格が変っていくのを目の当たりにしています。
バイクそのもの自体は変わらなくても、その時々で価値が全然違うのですなぁ。
星の数ほど売れたRZ250ですが20年、30年、40年とたてば現存してる個体はほとんどなくなるわけで。
今生き残ってる個体は、かなり貴重なのです。
現存してる個体は全部誰かが必死になって維持してきたものです。
たくさん卵を産んでも親になれるのが数匹、みたいな自然界の淘汰とは違い、
バイクは人間の意向で朽ちていくかどうかが決まります。
40年も経って、いまだに現役で公道を走ってる個体は奇跡ですな。
オーナーさんは大事にしてあげて欲しいです。
どんな不人気バイクでも、40年も経てばしっかり価値があると思うのです。
旧車はどれも維持するのには、オーナーのこだわりというか執念が必要だったりするのです。
※猫も長生きすれば化け猫になるっていうし。
ちなみに・・
いろんなところで、2st公道バイクの復活のうわさがたっては消え、消えてはたちと言うことを繰り返しています。
確かに、
環境性能うんぬんと言われると2stはキツイ。
ただし、
RZ250が発表された当時も今のように環境問題が取りざたされてた時代だったようです。
それになぞらえて、2stバイクの復興に期待!という人もいるでしょう。
ケニーも宣伝してたんだねえ。
はっきり言いますが、期待するだけ無駄です。
ワタクシ的には、もう二度と普通の人が買えるような金額で公道用の2stエンジン搭載バイクは出てこないと思っています。
万が一、販売されたとしても2st250ccクラスでRZ250みたいな販売価格でバイクが売られることはないです。
メーカーもバカじゃないので利益を出せなければ作らないのですよ。
2stが作られなくなってもう数十年経つのです。
既にRZ250なんてのは過去の怪物の一種なのです。
過去の遺物ですが大事にしてあげたいものです。