誰が読んでるんだ?
ピンポイントすぎるマニアックすぎる記事を書くとコアな読者以外は離れていく気がしますが気にせず参る。
でもZ1系エンジン搭載車オーナーには参考になるのではないかと。
Z1系のカムシャフトの位置合わせは基本の「き」
※のちの日本のお家芸になる多気筒バイクのDOHCエンジンの基礎ですよ。
カムシャフトとは、要するにピストンの上下に合わせて回転することで、
をしてるパーツです。
どんなに高価なパーツを組んだとしても、エンジン内部の各々のタイミングがずれてしまうとまともな性能は発揮できません。
※ちょっとくらいズレてても動いちゃうのがZ1系エンジンの凄いところですが性能は出ません♪
当然、組み立て方にセオリーがあります。
カムシャフトの取り付け
作業の前提として、
ポイント点火タイミング調整ができる人なら知ってるはず。
この位置で、カムシャフトの基本的な位置を合わせます。
※カムシャフトを外さなくても大体のタイミングはわかります。
シリンダヘッドの前側、縁のギリギリの位置が、吸気側カムシャフトの合わせマーク位置です。
※よく見ると>みたいなマークがあるけど見ずらい。
ボルトの位置から推察するのだ。
この際、
排気側のカムチェーンはエンジン下部のクランクからカムシャフト迄遊びがないように張った位置で調整します。
>マークの次のコマを1番目として、28番目のコマを吸気側カムシャフトの28マークに合わせます。
※3回くらいはコマ数を確認しましょう。
これは間違えないな、普通。
出来ればこの際も極力張った状態が望ましいです。
※後でトップアイドラーギアで押さえるので、多少はたるんでもいいですが理想は張った状態です。
カムチェーンテンショナー取付前です。
エンジン背面の吸気側のカムチェーンは、カムチェーンテンショナーで張るので多少弛みますが言うほど弛みません。
※グイっと押せるくらいたるんでる場合は、カムチェーン交換した方が身のためです。
カムシャフトを固定する前に、
「確認だ♪」
とか言って、クランクを回転させてはいけません。
絶対にコマ飛びしますので、最初からやり直しになります。
※絶対みんなやる。ワタクシも10回くらいやってる。
排気側の0番目と吸気側の28番目の位置が決まったら、吸気側と排気側のカムシャフトを固定します。
カムシャフトホルダのボルトは計16本あります。
その締付の順番はきちんとマニュアルに記載されています。
※締付トルクは1.2kgです
カムチェーンホルダのボルト
ワタクシの経験に寄りますが、
「カムチェーンホルダのボルトはZ1系エンジンのボルトの中で最も折れやすい。」
気がします。
きちんとトルクレンチを使って既定のトルクで締めても、あっさり折れます。
※ワタクシは都合3本以上折っています。
無事にエキストラクタで抜ければいいんですが、中で折れたボルトが残ると厄介。
この部分は熱が加わるので、脆くなってるんではないかと思うんですよ。
なので、
少なくともちゃんとしたオーバーホールの際は、このボルトは新品に変えたほうがいいと思うんです。
※アフターパーツメーカーのPMCからこのボルトがセットで売られているのはそういうことなのでしょうねえ。
今回、ワタクシはストックしてあった新品のボルトを使っています。
ボルトが折れてアタフタするよりは、なんぼかマシです。
ワタクシはカムシャフトホルダと呼んでいましたがマニュアルではカムシャフトキャップとなっていますな。
カムカバーのボルトと品番は同じです。
でもステンレス製ボルトはは、熱膨張が激しいのでエンジン内部には使わん方がいいと思うのココロ。
ちなみに・・
カムシャフトは、右左がわかるように刻印があります。
※L、Rとカムシャフトにしっかり記載があるので間違うわけはないと思うのですが。
吸排気のカムシャフトの区別方法は、
「排気側のカムシャフトには、タコメーターギア駆動用のスプラインがある。」
ので間違うことはないでしょう。
タコメータギアのスプラインが見えるので排気側、と判断できます。
まあ、合わせマークの>や28マークでも判別つきますし。
これらのマークは向かって右側に刻印してあるので絶対間違うわけはないと思うのですが。
それでも思い切りのいい人は間違えるんでしょうかねえ。
※基本、米国人向けですからね。
絶対落とすな、カムチェーン
「カムチェーンは絶対にシリンダ以下に落とすな。」
です。
カムチェーンを落としちゃうと最悪腰下まで割ることになります。
作業量が何倍にも増えますので、落とした時点でかなりぐったりするはずです。
しっかりと脱落防止の策を講じるべきですよ。
※ワタクシはS管を使ってフレームから吊ります。
S管でフレームからカムチェーンをつってる。
S管はキャップがない物が望ましいです。
キャップが抜けてエンジン内部に・・なんてことなったら最悪です。
「落とさなければどうということはない。」
のですが、それでも素人はやるんですよ。
「落とすなよ、絶対落とすなよ。」
って言ってるそばから落とします。
※ダチョウ倶楽部か。
最高の注意力をもって望みましょう。
落としたら最低でもシリンダ迄外さないとカムチェーンに手が届きませんよ。
ちなみに・・
カムチェーンラインはエンジンの中央にぽっかり穴をあけて待ち構えています。
ここによくいろんなものを落とす奴がいるんですよ実際に。
トップアイドラーギアのスペーサーの破片なんかも良く落としがちです。
※良く粉砕するのよ、このスペーサーが。熱で劣化して。
マメ知識ですが、
もう一種類あることを確認しています。
この辺の進化の歴史が興味深いですが、どういう効果があるのかわかりません。
※たぶん細かく改良されているハズです。
どれをどういう組み合わせで頼んでもとりあえずは付くんですが、厳密にどういう不具合があるのかはわかりませんな。
※詳しい人に聴いてみたいです。
っていうか、
誰が喜ぶんだこのマニアックすぎる記事。
Z1系エンジンはシリンダヘッドを搭載したままカムタイミングの調整が出来る
もちろん、キャブもエキマニもつけたままで、です。
こういう整備性がいいところもワタクシがZ1系バイクを気に入ってる点です。
今どきのバイクは、
「まずエンジンを下ろして単体にせよ。」
みたいなのばっかり。
素人にはそんな作業スペースなんてないんですよ。
軒先の埃だらけのところで精密機器みたいなエンジンを分解する気になれません。
※Z1系エンジンでも、余裕のあるスペースで作業すべきですよ。
そんなわけで、
シリンダヘッドを載せたまま調整できるのは大変ありがたいのです。
エンジン腰下を車載したまま作業できるありがたさ。
こうやってZ1系バイクが世界を席巻していったわけですな。
もちろん、
前の記事の様な「カムチェーンガイドの破損状態を確認する。」のもシリンダヘッドを載せたまま可能です。
こんな記事もあります▼
カムシャフトの位置合わせなんてのは、ある程度完成時のイメージが刷り込まれていればなんとなくでも出来るようになります。
絵としてイメージとして数十年経っても意外と覚えているものです。
※20年前に何度も納得いくまでやったので身体が覚えていました。
まあそれでも、自分が一番信用ならないのでしっかり位置は合わせたし、チェーンのコマもしっかり数えたんですがね。
※チェーンのコマなんか3回も数えなおした。それくらい自分を信用していません。
しっかし、
20数年前のワタクシ、すごい丁寧な仕事しています。
我ながらあっぱれです。
新宿のマンションの一室でエンジンばあしてた頃の記憶が鮮明に思い出されます。
※ヤクザとホストしか住んでない上、深夜になると階上の部屋からボーリングの球を転がすような謎な音がする素敵なマンションでしたが。
こういうのは、何年かして再度バラして初めてわかるもんですな。
ちょっとしたタイムカプセルです。
当時のパーツ発注リスト(フル手書き)を無くしたのが痛い。
各々のパーツの入手金額まで明記してあるはずなのだ。
どっかにあるはずなのだが。
まとめ
マニュアルさえあれば、それほど難しくありませんし。
※素人のアレンジは要らんのですよ、言っておきますが。
Z1系エンジンの場合、
「オイル漏れに対応するため、ヘッドカバーまで外した。」
こういう素人メカは多いです。
その一歩先が「カムシャフトの位置合わせ。」ってところですかね。
カムチェーンガイドの破損状態確認の際にも必ずカムシャフトの調整がついてくるので覚えておいて損はないのです。
特にZ1系のバイクに長く乗りたいなら覚えておく&出来るようになっておくといい作業です。
マニュアルは必須
Z1系のエンジンをいじるならマニュアルは絶対買っておくべきです。
※750RS用より、Z750Four(D1)、D2(FX)用の方が多少詳しく書かれています。
マニュアルなしに一部とはいえエンジンを分解しようなんてのは、無謀にもほどがあります。
※各部の調整するにもマニュアルの既定値を知らないと余計壊しかねませんよ。
海外仕様の900や1000でも日本語で書いてあるほうがはるかに読みやすいハズです。
※かなり共通項が多いですので日本語の方が楽に読めます。
ワタクシも20年以上前に某荻窪にあったKAWASAKIのマニュアルをコピーしてくれた業者からZ1-Rのマニュアルを購入しましたが、印刷がかすれて読みずらい。
当倶楽部のZ1-Rは、もはや全然純正ではないので純正のマニュアルはほとんど役に立たないし。
パーツリストともども、すごく高価(全部で数万円した)だったのでないがしろにもできず、本棚に鎮座してるだけなのですがこんなのでも売れるんかね?
※それくらい貧乏だってことです。
焼きアゴ出汁ラーメン。
これが実に美味い。
もちろん不具合が無ければ、エンジンなんてばらさないに越したことはありません。
とはいえ、
Z1系のエンジンの場合、既に40年以上経過している何が起こってもおかしくないエンジンなのです。
なんでもオーナー自身が出来るようになっておかないと長く乗るのが大変な気がします。
当倶楽部のZ1-Rも素晴らしく調子が良かったのですが、いざ開けてみたらいろいろ問題がありました。
※気が付かない節穴っぷりがワタクシっぽいですな。
これからも、ちょっとずつ直しながら乗るしかありませんな。
不具合部のパーツ代を考えるだけで、節制の日々が始まります。
少なくとも、パーツ価格は20年前の数倍はします。
パーツリストを眺めつつ、概算の見積もり作ってたら嫌になる位の金額になったので唖然として止めました。
※ちょっとずつ買いためて冬にもう一度シリンダーヘッドまで下ろして交換すべきパーツは交換しようと思います。
ちなみに・・
「シリンダヘッドまで外す。」
エンジンを整備するうえで、素人メカにとってはココが大きな分水嶺になります。
かなりハードルが高いですし、自信や設備、工具などが無ければやらないほうが無難ですが、出来ると一気にメカに強くなります。
※だれでも何度か失敗するんですよ。
作業的には、
等、面倒くさいことだらけですが、シリンダヘッドを外すことによって、いろんな問題がわかります。
バルブのすり合わせとかガイド交換とかまで突き詰めるととんでもない金額になるので適当で良いのです。
→バルブガイドやバルブシールの状態によっては交換
→破損状態、摩耗状態によっては交換
→Z1系エンジンはスリーブがシリンダーから剥がれてるものも多い。ワタクシのZ1-Rも20年前この状態でした。
シリンダヘッドまで外すとこれくらいのことは簡単にわかります。
お金持ちならば最初から交換すべきすべてのパーツを用意しておくのもいいんですが、一度ヘッド迄下ろしてある程度の状態を確認したうえでパーツを手配するのが無駄がないです。
※事前発注しても見落としは絶対あります。
エンジンは許せば二度バラスのが効率が良い。
ワタクシは、
今回はシリンダまで外しましたが最低限のパーツ交換だけをしました。
※ガスケット類はいつでもストックがある。でもカッパーガスケットは高価でストック使うのも痛い。
それでも、
ということまでわかりました。
※10万円はくだらないので一気にパーツをそろえることは不可能です。
もちろん、各パーツに不具合アリアリの場合は即座に使用停止してパーツを手配すべきですよ♪
今回はストックパーツでオフシーズンまでしのげればいいという判断です。
パーツが揃ったタイミングで、もう一回エンジンばらせばいいんですよ。
なんてことはないのです。
不具合箇所が絞れているので次回は素晴らしく効率よく作業ができるってもんなのです。
お店に頼む場合は作業工賃が倍になるのでおススメはしませんが。