古いバイクのガソリンタンクはヤカンと同じだからです。
旧車ではよくあることなのです。
どういうことなのか?
漏れないようにできるのか?
漏れたらどうするのか?
軽くまとめました。
当記事の目次
旧車のタンクはほぼヤカン
ほぼヤカンと言ってもいいのです。
一口にガソリンタンクと言っても、内部の構造はだいぶ違います。
エアプレーンタイプ(ガソリンタンク上部が真っ平になるタイプ)のタンクキャップ搭載車の出現で大きく変わったように思います。
※恐らく、RG250γあたりが最初と思われます。
エアプレーンタイプのタンクキャップの開口部付近は、
等が加わるので、それまでのガソリンタンクと比べてはるかに複雑な構造をしています。
複雑なだけに、リペアは大変なのですが。
こういった、工夫が全くないのがZ1とかの時代のガソリンタンクです。
「やっぱ、プレスタンクはかっけーなー。」
とか アホみたいに見てくれだけで好きなこと 言ってる人もいますが、構造的にはエアプレーンタイプのキャップ搭載車よりはるかに原始的な作りです。
※構造が簡単なので、サードパーティがアルミ材などでタンクを作ったりもしてましたね。今もあるんだろうか。
ありました♪
一時期欠品だったのですが。
旧車のガソリンタンクがガソリンが漏れやすい理由の一つは間違いなく、
「構造的に漏れ止めなどの工夫がないから。」
です。
タンクキャップはゴムで給油口を押さえているだけ
しかも、タンクの開口部を上からゴムパッキンで押さえつけてるだけです。
旧車のガソリンタンクの漏れ止めは最低限といえるでしょう。
いうなれば、
だけ、です。
そのコップを左右に傾けてみましょう。
漏れるに決まっています。
というわけで、
バイクを走らせてバンクさせれば漏れるに決まっているのです。
このキャップ部の凸部を上からゴムパッキンで押さえているだけなのです。
それに旧車のタンクキャップは往々にして緩めですしねえ。
まあ、この機構では強く締めたところであまり意味はないのかもしれませんが。
旧車のガソリンタンクがガソリンが漏れやすい理由の一つは、
「ゴムで上から押さえているだけだから。」
です。
タンクキャップにはエア抜きの穴が存在する
旧車のタンクキャップは完全に密閉してるわけではないのです。
どういうことなのか?
タンクキャップで完全にタンクの開口部を密閉しているわけではありません。
タンクキャップの開口部を完璧に密閉しちゃったらどうなるか?
「ガソリンがガソリンコックから落ちなくなる。」
のです。
旧車のガソリンコックというのは、
というわかりやすい仕組みです。
要するに、重力に基づく自然落下方式なわけです。
※80年代にもなるとシリンダーからの負圧を利用してガソリンを吸うように進化していきます。
で、だ。
タンクの開口部が完全に密閉されるとね。
「昔のお醤油瓶の空気穴をふさいだらお醤油が出てこないのと同じ法則。」
が働くのです。
要するに、
ガソリンが落ちた分、タンク内に空気が入って、空気がガソリンを押すことでガソリンが落ち続けるのです。
ゆえに、旧車のタンクキャップには必ず、エア通路が存在します。
ワタクシが知っている限り、
少なくともRZ250のタンクキャップには通気用の穴がありました。
※RZ250のタンクキャップはZ1系よりは多少進化はしていましたので走行中に漏れることはそれほどなかったような気がしますが。
大昔、ワタクシのRZ250のタンクキャップの通気口が詰まってガソリンが落ちずにガス欠症状に悩まされた経験があります。
※新し目のバイクでも空気穴はあると思うのですが、知りません。
タンクキャップを開けた時、
「ぷしゅー。」
という吸気音がするバイクはほぼ確実に通気口が詰まり気味ってことです。
※タンク内部が真空になりかけ。そのうちガソリンが落ちなくなりますよ。
旧車のメンテでは、タンクキャップの通気口の清掃ってのは結構重要なポイントなのです。
ちなみに・・
オフ車のポリタンクの場合、ネジ込み式のタンクキャップが採用されていたりしますね。
この手のタンクキャップには大抵トップにホースがついてるはずです。
これがまさに通気用の穴です。
多くのポリタンバイクユーザーは、この通気孔にホースを付けて走っていますね。
※じゃないとジャンプした時にガソリンが目に前まで跳ねてくる(笑)
長めのホースをつけて、ホースの端をタンクとフレームの隙間に挟んでたりします。
コレ!
ここでホースが折れたり、潰れたりすると満タンでもタンクからキャブにガソリンが落ちないのです(笑)
このホースをクリップなどで締め付けたりするとガス欠症状になるわけです。
XR250乗りのJくんが当倶楽部に来る際に何度も高速でガス欠症状が出て悩まされていましたがまさにコレでして。
這う這うの体で当倶楽部までたどり着いたので、ホースを交換してやったら解決しました。
※この時、奴はワンウェイバルブをホースの端につけて短いホースで運用していたのですが、これが癌でした。
そりゃあ、お釈迦様でも気が付かねえよなぁ。
まあ、お礼かどうか知らんが一升瓶送ってきたから許して遣わそう。
※早く一緒に飲める日が来るといいねえ。
ガソリンを漏らさないための対策
古いバイクを運用するのであれば、ちゃんと考えねばなりません。
満タンにしない
給油する時は目いっぱい満タンにしないこと。
物理的に漏れるガソリンを減らす作戦です。
満タンだと、タンクキャップがガソリンに近いので常に漏れるかのせいが高まります。
ゆえに、
意図的に少なめに給油するのです。
多少振り回しても液面がタンクキャップ迄遠ければ漏れるというリスクを避けられます。
とはいえ、
タンク容量が小さく、イマイチ燃費が良くないため航続距離が短めな旧車ですので満タン時はめいっぱい入れたくなるんですがね。
バイクを振り回さない
タンク内のガソリンが多い時はなるべく峠とかでバイクを振り回さないこと。
ガソリンタンク内のガソリンが多い状態でバイクをフルバンクさせると、そりゃそれでタンクキャップに負荷がかかりますね。
ゆえに、
給油直後はなるべく激しく走らない。
でも旧車ってでっかい機械を振りまわしてる感じが楽しいんですよねえ・・。
※速くはないけれどねえ。
峠で走行中にタンクからガソリンが漏れだしてくると気になるものです。
システムで言う所の「運用でカバー。」って奴ですな。
ゴム製品をケアする
タンクキャップのゴムパッキンが痛んできたらすぐ交換すること。
もう一度書きますが、旧車のタンクをふさいでいるのはゴムのパッキンです。
こういうのは買えるうちに買っておく。
欲しいときにないと唖然とする。
ゴムのパッキンをタンクキャップで上から開口部に押さえつけて漏れ止めをしています。
※こんな構造で漏れないわけないのですが。
この重要な役割をするゴムパーツが劣化していることがあります。
劣化してひびが入ったり、部分的に千切れたり。
ゴムは加水分解しやすいんですよ。
※外車のゴムや樹脂パーツに比べれば国産車のゴムや樹脂ははるかに耐久性が高いです。
まあ、パーツがあれば、ですが。
旧車は往々にして細かいパーツが手に入りにくいのです。
※一縷の望みとして同じ車種のオーナー同士で情報交換して他車パーツの流用も考えましょう。
ちなみに・・
バイクは雨天でも走ることがあるので、しばらく使っていればガソリンタンクの中に思っている以上の水分が侵入していると思ていいです。
見える範囲は綺麗でも奥底は結構錆びているものです。
キャブが詰まるなどの具体的な症状が出ない限り、なかなか錆には気が付かないものですが。
古いバイクはタンクの鉄板が厚めなので錆びてもなかなか穴は開きません。
80年代以降のレプリカ時期を境に、一気にタンクの鉄板が薄くなります。
※叩いてみれば音がまず違いますよ。
中古でバイクを購入したら、トラブルが起こる前にタンク内部の錆落としとコーティングをするのも手ですよ。
ガソリンタンクは錆びるとろくなことがありません。
キャブを詰まらせて不調にするし
錆が侵食して穴を開けるし
一度錆びたらすべて取り除くのは難しいし
出先でこういうトラブルがあると泣きたくなるしねえ。
こんな記事もあります▼
ガソリンが漏れたらどうする?
漏れたガソリンをそのままにしておくとタンクの塗装が痛みます。
※そこだけ色があせたりしますよ。
ガソリンが流れっぱなしだと、
等にも影響が出ます。
Z750D1と違い、ちょっとエアプレーンタイプっぽくなっているが構造はほぼ一緒なのでガソリンは漏れる。
ガソリンは洗油になる
あんまりおススメしませんが、ガソリンはパーツクリーナー並みの洗浄力があります。
ワタクシも貧乏時代はウェスにガソリン浸して、油汚れを拭き取ったりしていました。
※今は貧乏ではないのか?という質問には返答をしかねます。
東京都下に住んでいた貧乏バイク乗りのK君。
※君はバイクを乗り換えすぎるから貧乏なのだよ。
アパートの駐車場でガソリンを使ってバイクの清掃と脱脂などのメンテをしててボヤ騒ぎを起こしたと聞いたときは死ぬほど笑ったよ。
幸いKLX250は無事だったようですが消防車迄来るという大失態。
悪いけど末代まで酒の肴にさせてもらうよ。
それくらい、ガソリンは脱脂能力があり可燃性もあるということなのです。
何よりもガソリンが漏れたまま走るのはおっかないです。
ガソリンって火が付きますよ♪
最近、ジェットヘルなどで喫煙しながらバイクに乗ってる人を見かけたりしますが、大爆発しても知りませんよ。
※わかってんだか、わかってないんだか知りませんが。
タンクからガソリンが漏れたら、可及的速やかにバイクを路肩に寄せて安全な場所で漏れたガソリンを拭き取りましょう。
ガソリンがズボン(パンツとか言うもんか)に付いたまま走るとその箇所がただれたりします。
※低温火傷みたいな跡が残ることもありますし。
「漏れたら拭けばいいや。」
ではなく、
ことが大事です。
K君のように爆発炎上してニュースになっても知りませんよ(笑)
ちなみに・・
ガソリンはタンクからだけじゃなく、キャブからあふれ出すこともあるのです。
いわゆる「オーバーフロー。」って奴です。
これが原因でお不動様になるバイクは多い。
80年代以降、インジェクション迄の間のキャブ車はほぼ負圧キャブを使っていると言っても過言ではありません。
※2stとかレーサーは除く。
この手のキャブは セッティングがいい加減でも走ってしまうので楽なのですが 設計上、長く乗られることを考えられてない節があります。
フロートバルブシートというガソリンをストップする部品が交換できないものが多いのですよ。
これ結構致命的でして。
CB-Fシリーズやゼファーシリーズといった人気車でもこのパーツがダメになってるため復活させられない個体が多く存在します。
最悪、漏れたガソリンがエンジンのシリンダーに混入してエンジンを壊すことになります。
稀に走ってる個体でも、
キャブの下側、マニフォールド付近が赤茶けたガソリンの漏れ跡があったり、実際に滲んでたりする個体も見かけます。
※それ、一度しっかり綺麗にしても再発するようならオーバーフローしていますよ。
ガソリン漏れは怖いのです。
これも、キャブとガソリン経路、ガソリンタンクの洗浄およびコーティングで何とかなることがあります。
効果は絶大なのでタンク内部が錆びてきたら四の五の言わずにこれ使う!
まとめ
タンクの構造的にどうあれやっぱりガソリンが漏れるのは危ないので、出来るだけ運用で対処することです。
ガソリンタンクからガソリンが漏れる。
これ一つとってもいろいろな豆知識やメカニズムがあるのです。
次第にガソリンタンク自体の構造が進化することで開口部付近からのガソリン漏れは解消していくようになります。
こういう視点でバイクの歴史を考えるのも楽しいものです。
旧車のガソリンタンクは構造的にガソリンが漏れやすい。
それを分かったうえで、
を徹底しましょう。
ガソリンが漏れ続けるバイクで走ると本気で危ないので、そこは運用するライダー自身が何とかするしかありません。
旧車とはこういううものです。
分かったうえで乗らないと、いろんな不満だけが溜まって面白くないですよ。
このタンク構造も面白いですな。
セロー225は年式が新しくなるごとにどんどんタンク容量がデカくなるのですな。
誰にでもできることではないし、誰でも知ってることではありません。
むしろ、そういう点まで自分で対処できる、ということに誇りを持ちましょう♪
ちなみに・・
ワタクシのジムカーナの師匠K氏。
※かつて都内の安全運転講習会を総なめにしたZ750GP使い。のちにZ1000R2に乗りかえた。
彼の赤いZ750GPのタンクはいつもガソリンが漏れてましたな(笑)
タンクからのガソリン漏れというとアナタを思い出しますよ。
タンクからガソリンが常時漏れるくらい豪快にフルバンクさせる走りで 合法的に白バイと戦えるジムカーナ 安全運転講習では白バイ隊員とも互角に渡り合っていました。
※彼が8の字走行してると同時に白バイが混ざって8の字走行するくらい。
「バイクの下側まで掃除してきれいにしておくのがジムカーナ競技者のあたりまえ。」
とか言うくらいバンクさせる走り方だったのでガソリンが漏れても仕方ないのですが(笑)
ワタクシもK氏に 今はバイクで走るのを禁止されてる場所で さんざん特訓していただいたので、割と早い時期に限定解除できたのでした。
※ジムカーナ乗りと限定解除の試験ではだいぶ違ったので軌道修正が大変でしたが♪