当記事では4stに特化して書きます。
※2stの記事書いても2st乗りが少ないのでれクエストがあれば書きます。
実はバイクのエアクリーナー周りはだいぶ理詰めで作られています。
ということを解説してみます。
当記事の目次
エアクリーナーボックスの本当の機能
エアクリーナーボックスは吸気抵抗になってるかもしれませんが、不完全燃焼ガスを再燃させる機能があります。
エアクリーナーボックスのもう一つの役割として、
不完全燃焼ガスを再度燃やすための経路であるということは意外に知られていません。
大抵、掃除してないバイクのこのパイプ周りはオイルだらけです。
70年代後半以降に作られたバイクであれば、4stエンジンの腰下からエアクリーナーボックスにパイプがつながっているはずです。
このパイプ、何のためにあるのか不思議だと思ったことはありませんか?
このパイプは、
シリンダー内で燃えきらなかったガスを再度燃焼室に送るために一度エアクリーナーボックスを経由させているためです。
※ブローバイガス還元装置と言ったりします。
エンジン腰内部に未燃焼ガスが充満することは回転の抵抗になります。
かといって、
未燃焼ガスを大気開放すると排ガスの問題につながります。
※たまにダイレクトに大気開放しているバイクや車を見かけますが車検通りませんよ。
という運用をしていると・・
エンジンからの未燃焼ガスと一緒にオイルが上がってくることがあります。
そんな時でも、
エアフィルターがオイルで詰まらないように、オイルをエアクリーナーボックスの外部に排出するため、ボックスの下部には穴が開いていたり、ドレンホースが付いていたりします。
とはいえ、
バイクのエアフィルターは、詰まると苦しそうなのでマメに掃除してあげるいいですよ。
さらに、
エアクリーナーボックスには、吸気口から空気と一緒に取り込まれた水をシリンダに送らないため、吸気口の真下あたりにも穴が開いています。
エアクリーナーダクト(ブタ鼻)の本当の機能
確かに、吸気抵抗は減るとは思いますよ。
でもエアクリーナーダクト(ブタ鼻)にだってちゃんと意味があるんです。
確かにエアクリーナーダクトは、
吸気口をつぶさないようにダクトの中央にリブが入ってるのでブタの鼻っぽく見えます。
誰が言い出したんだか知りませんが、ブタ鼻とはよく言ったものです。
一番ブタ鼻っポイ。
この部品を撤去したり、カットしたりして吸気抵抗を減らそうというのはわからないでもないです。
※撤去すると、吸気口付近で吸気音が大きくなるので吸気量があがるきはしますが、ただの乱気流になってる気もします。
吸気口から取り込まれる水分をエアクリーナボックスの外に排出するための導線です。
水分がエンジンに吸い込まれていいことは一つもないですよ。
エンジン内部に取り込まれた水分は結露エンジン内部の結露を加速させます。
それに、
エアフィルターが湿気るとエンジンに取り込まれる空気量が減ります。
エアクリーナーダクト(ブタ鼻)で、水分をエアクリーナーボックス外に導いているんですよ。
その証拠に、
エアクリーナーダクト(ブタ鼻)をたどっていくと延長上にエアクリーナボックスの穴があるはずです。
この穴から水分を放出しています。
中古車では、この右側部分が欠損してる個体も多いです。
というわけで、
エアクリーナーダクト(ブタ鼻)を外せば、吸気効率が上がる気がするのですが、雨天ツーリングの際はシリンダに水分が吸い込まれるのを防止できなくなります。
・・一つも良いことなくないですか?
実際にエアクリーナーボックスを外すとどうなるのか?
ワタクシの意見を言わせていただくならば。
両方とも、
公道で使えないことはないですがエンジンの寿命は著しく短くなります。
パワーフィルター仕様のZ1のエンジン開けたら、ところどころ深く錆びててビックリしたことがあります。
※ブローバイガス還元装置が機能してないと車検には通りません。
エアフィルターがない、もしくは荒い目のネット被せてる人もいますけどね・・ほぼ意味ないです。
なんでも吸い込みますよ。
そんなもんが、エンジン内に放り込まれたら・・どうなるか想像できますよね?
ちょっとしたホコリや虫なんかは燃えちゃうらしいですがそれでも気持ち悪いです。
小粒の石がシリンダー内で跳ねまわるだけで良い気持ちはしません。
※当然のようにエンジン寿命は短くなります。オイルの汚れも早いです。
エアフィルター機能がないバイクは基本論外です。
サーキットならいざ知らず、一般公道で使っていいことは一つもありません。
いずれにせよ、エアクリーナーボックスを撤去するという行為は、
ヤメテオケ
ということになります。
ちなみに・・
当倶楽部のZ1-Rを写真だけ見て個人輸入しました。
その際に、
何台も選べたのですが、この個体に決めたのはエアクリーナーボックスが付いているということが大きかったです。
そう考えると丈夫で良く持ってるよなぁ・・
当時、写真で選べた他の個体は軒並みパワーフィルター仕様になっていました。
それは、
同じようにパワーフィルター仕様でした。
パワーフィルターって色々あるんですねえ・・
米国ではパワーフィルターにするのが流行ってたのかもしれません。
※パワーフィルターで有名なK&N社は米国企業ですしね。
当倶楽部のZ1-Rは散々吟味したにもかかわらず、とんでもないボロでした。
という個体だったので四半世紀かけて直しまくって乗っているわけですが。
パワーはともかくツーリングには使い勝手が悪くなる
当然、いつ雨が降るかわからないロングツーリングには使えません。
ただでさえ、乗れるチャンスが少ない社会人バイク乗りに、そういった制約はマイナス要素にしかなりません。
手前の穴二つが水分セパレーターになっています。
ちなみに・・
当倶楽部のZ1-RとZ750D1は、キャブの変更をしていますがエアクリーナーボックスは死守しています。
もちろん、エアクリーナーダクトも付いています。
河原や海辺のキャンプ場やツーリングにも普通に行きます。
最近行ってませんが、10日程度のロングツーリングも普通にこなします。
わずかなパワーアップよりも、確実に行って帰ってくる安定性と長く乗りたいという想いからです。
まとめ
わざわざ性能を落とすように作るとは思えません。
何かしら理屈があってしかるべきです。
改めて、ノーマル状態のバイクって良く出来てるなぁと思います。
※無理やりシステムをレイアウトしてるバイクも少なくはないですが。
ともあれ、
エアクリーナーボックス周りを改造したいのであれば理詰めで行いましょう。
ブタ鼻取ったら、それに代わる水抜きシステムを実装するとか。
さもないと、少しのパワーアップ(するかもしれない)と引き換えに、大事なエンジンを壊しかねません。
各部の役割を理解したうえで、その機能を向上させるような改造をすべきですよ。
結局その方が長くバイクに遊んでもらえます。
何でも考えなしに外してはいけないってことです♪
ということで、
エアクリーナーボックスとエアクリーナーダクト(ブタ鼻)関係の話でした。
ちなみに・・
少しだけ2stの話も書いておきます。
2stの場合は、エアクリーナーボックスからチャンバーまでがエンジンです。
意味が分かりませんね(笑)
2stは構造が単純なので、4stのようにバルブが完全に閉まるわけではないんです。
ピストンが上下してシリンダー内の圧縮を行うたびに、圧縮されたガスの一部がエアクリーナーボックスまで吹き返してきます。
※2stのエアフィルターが湿式なのはこのためです。
2stでエアクリーナーボックスを外すと、エンジンの調子を崩すことが多いです。
※オンロードのレーシングマシンは除きます。