
交換ができないパーツなので部品取りにするかなぁと思っていたのですがリペアキットが存在することが判明しました。
コレを組み込んでみようというわけです。
前回、圧入されたパーツを抜くまで書きましたのでその続きです。
KEYSTARのCVKキャブリペアキット

このリペアキットがKEYSTAR社から販売されたのです。
前回はこれを入手して圧入されたフロートバルブシートを抜いたワタクシなのです。
前回のあらすじ。
当倶楽部にはオーバーフロー癖がある予備のCVKキャブがある。
開度センサーが付いてるのでゼファーXかZRX用と思われる。
これをKEYSTAR社のリペアキットを使って復活させ、Z1-Rに装着して見ようじゃないか。
というのが前回までの話でしたな。
こんな記事もあります▼
で。
前回は分解不可と思われたキャブボディからフロートバルブシートを抜くところまでやったわけです。
リペアキットの治具を使えばあっさり抜けるのは意外でした。
フロートバルブシートが抜けたところでこのパーツ自体が単体で入手できないので、
やっぱりキースターのリペアキットを買わねばならんのですが。
雪が降る長野の真冬なので作業は内勤(当倶楽部ではリビング作業をこう呼ぶ)となっています。

リペアキット
これを使えば救えるCVKキャブ搭載車は多いハズです。
今回は、
を行います。
もちろん普通に始動した後、安定したアイドリングまではやります。
いわゆる普通のキャブのセッティング後の作業って奴です。
徹底して金属粉の洗浄

キャブボディには真鍮の切粉がたくさん残っています。
マジこれを何とかせにゃなりません。
新しいフロートバルブシートを圧入する前に切粉を徹底して撤去せねばなりません。
じゃないとまたオーバーフローしたりガソリンの流れをせき止めたりしかねません。
この工程はコンプレッサーによるエアブローやスプレー式のパーツクリーナーを使うため、屋外作業になります。
※目の前でバンバン薪が燃えているリビングで可燃性の高いスプレー使うのは危険すぎる。
とはいえ。
外気温がマイナスの長野の冬の夜にそんな作業をするのはバカらしい。
風邪ひくのがオチです。
ゆえに。
フロートバルブシートを抜いた状態でしばらく作業は中断していたのです。
が。
いつまでもリビングに分解したキャブを置いておくわけにはいきません。
埃かぶったりパーツを無くしたりしかねないし、いろんな工具がリビングに散らばってるのは邪魔だし。
※猫が隙を見て分解したパーツで遊ぼうとするし。
ゆえに。
外気温は3度の休日の午後。
ガレージ内(換気のため、シャッターはフルオープン)での作業を再開しました。
まずはパーツクリーナーでキャブボディのガソリン流路を中心に徹底的に真鍮の切粉を洗い流します。
これが猛烈に寒い。
寒いときのスプレー作業はマジで指先の感覚がなくなるくらい寒いのよ。
そういや2年前の真冬の雪が降る中、にVT250FHのタンクの内部洗浄をしたな。
この時も猛烈に寒かった記憶がある。
今ではあの頃のボロさが嘘のように快調なVT250FHとして生まれ変わったのでまあ良い思い出なのですが。
こんな記事もあります▼
10分ほどエアブローとパーツクリーナーでキャブの洗浄作業を行いました。
この後、
内勤(リビング作業)に戻ってガレージのキャブストックパーツをキャブ本体に組みこむことにします。
※真冬の長野はガレージで作業しててもすぐ内勤をしたくなるくらい寒いのよ。もちろんフル防寒してますが。
ちなみに・・
実はこのリペアキットを組んだCVKキャブがテスト中にオーバーフローしまして。
原因は「金属粉の洗浄不足。」でした・・。
寒かったとはいえ、マジで一生懸命洗浄したんですがねえ。
散々洗ったんですが3番キャブのフロートバルブに粉のような真鍮の金属粉が付いてました・・。
1mmの数分の一の大きさですが真鍮の色だったのですぐわかりました。
こんなもんでもガソリンは駄々洩れします。
元々このCVKキャブは1番キャブからのオーバーフロー癖があったのですがそちらは全く問題なし。
再度分解して組付けて様子見ですが、また走行テストで再発する可能性もあるにはある。
フロートバルブシートを交換する際は、ほんっとに一生懸命洗浄したほうがよさそうですよ。
圧入は慎重に

リペアキット自体に説明書は添付されていません。
※直接飛べるQRコードも動画のURLの記載もないのだけれど。
8分強のKEYSTARチャンネルの動画を見て大体圧入方法とその手段はわかりました。
ただし。
何処まで圧入するか?についてはあまり明確にされていないのです。
動画はCB-Fのキャブでの説明だから仕方ないのですが。
※CB-Fのキャブって「フロートの爪で油面調節できない。」んだねえ。初めて知ったわ。
引き抜いたフロートバルブシートには圧入されてた位置の境界線がくっきりと残っているので、
これに合わせてKEYSTARのリペアキットに付属されてる治具を調整することにします。
※治具の他に10mmのスパナやメガネレンチが合計2本必要です。薄手のやつね。
要するに。
リペアキットに付属の治具とボルト&ナットで、
フロートバルブシートを圧入する長さを調整してから正しい位置まで叩き込め、ということです。

フロートバルブシート。
引き抜いたフロートバルブシートには圧入ラインが残ってる。

圧入するラインまで慎重に調整。
圧入ラインに合わせました。
まあCVKはCB-Fのキャブと違ってフロートで油面調整できるのでそこまで厳密ではないと思うのですが、
圧入しすぎてキャブボディやフロートバルブシートが変形したりしたら目も当てられないので作業は慎重に行きます。
※圧入しすぎ=キャブ廃棄になりかねません。一発勝負です。
フロートバルブシートの圧入には金槌とたたき台が必要です。
最初、新調になりすぎてプラハンで少しずつ・・とか思ってましたが全然入っていかないのでゲンノウに変更しました。
経験上、この手の圧入作業に使う金槌は軽い奴よりゲンノウクラスの重たい奴の方がやりやすいですな。
※当倶楽部ではDIYでガレージや家を建てたりもするので木工用の工具も一通りあるのです。

ゲンノウとは頭の重い金槌のことです。
ゲンノウは自宅やガレージを自分で建造する際に大活躍したのだ。
ゲンノウで慎重に叩き込んでいくと治具とボルト&ナットが金属音に変わる瞬間があります。
この音が響くと定位置に収まったということです。
※バイクのフレームにステアリングステムのベアリングレースを叩き込むときも音で判断しますが同じですな。
一応、圧入されてた位置を外した古いフロートバルブシートと比べて確認します。
※動画では何度もフロートの位置を確認してましたが、CVKは少しなら事後調整もできるので概ねでヨシと判断しました。
コレを繰り返してあっさりと4つのキャブのフロートバルブシートが圧入されました。
時間にして全部で15分くらいです。
楽勝でした♪
油面を合わせて組込

ワタクシにとっては慣れた行程なのでサクサク行きます。
長期間キャブを保管する場合、極力パーツは全バラしして保管するのが当倶楽部流です。
キャブ内にパーツを組み込んだまま放置すると、
ジェットなどのパーツが固着して外せなくなったり、髪の毛の太さレベルの細い通路が埋まったりしかねません。
特に中古のキャブは奥まった箇所に残ったガソリンが抜けきらずに変質して悪さします。
※どんなに洗っても数年経過すると多少べとつくんだよねえ。

オーバーフローの簡易テスト。
キャブを組んだら毎回やっています。
外したパーツは痛めないように小さいチャック袋に小分けにしてあります。
ニードルやジェットはちょっとの変形でもおかしくなるので扱いは慎重にしましょう。
当倶楽部では安い 中華製の リペアキットはろくな目に合わないので絶対使いません。
※何度も痛い目見たきましたので。
キャブのパーツは見た目が綺麗で同じに見えてもまともに動かないものがたくさんあるのです。
出どころの確かなモノを使った方が結果的に安く確実です。
フロートバルブは今回購入したKEYSTARのCVKキャブリペアキットに含まれているのでこれを使います。
※CVKのフロートバルブはネット上で安い粗悪品が大量に出回っています。
ゴム系のパッキン類やOリングは全部純正のストック品(新品)を使いました。
パイロットニードルの先端の小さいOリングもです。
※ネット上で安い粗悪品のCVK用ゴムパーツは大量に出回っていますが大抵全部ダメです。
で。
厳密にいえば、
油面の高さを実測して微調整する必要があるのですが、今回はフロートの高さを17mmに揃えてセットしました。
※これで大体問題ないハズです。バイクのキャブの油面なんて・・ゲフンゲフン。
ジェット類は以前購入したゼファー用キャブのリペアキットからチョイスして使います。

これもKEYSTARさんの商品です。
キャブバイクをレストアする際は絶対このキットを使うべき。
ゼファー用キャブのリペアキットは4連キャブなので4つ必要になって高いですがマジで手間が半減します。
※そもそも4気筒のバイクは非常に贅沢なつくりなのよ。
Z1-Rでもゼファー400のキャブのリペアキットのジェット類の組合せで概ねセッティングは出ますな。
細かいジェット類の番手やニードルバルブの型番についてはワタクシのチョイスが絶対的な正解ではありません。
もちろん、個人的な試行錯誤の経緯や結果は全部記録にとってありますが、
キャブにも車体にも個体差もあるし、ココでは表記しないことにします。
※昔の記事で書いた気もするけれど、ネット上で無料で手に入る情報を勝手に鵜呑みにして文句言う奴が多いからね。

中古のCVKを何基も分解してるので比較できる。
で、いいとこどりして組んでいます。
※現在まともに動くCVKは稼働分を含めると3基になりました。
これらのセッティングのコツやポイントはあるのですがアイドリングだけすれば後は何とでもなります。
※オークションなどで手にはいる中古のキャブは高いだけでアイドリングすらもしないモノが大変多いんですが。
CVKのセッティングなんてレーシングキャブの100倍楽です。
こういうのは自分で試行錯誤しながら正解に近づいた方が満足度が高いと思うし、それが旧車の醍醐味です。
それに。
この手のノウハウはKAWASAKIのキャブ搭載バイクと長く付き合うなら有用だから身に着けておいた方が得です。
こういう手間が嫌ならインジェクションのバイクに乗ったほうがいいです。
キャブを車体に搭載する前に目測で4つのキャブの同調を取っておきました。
厳密には4連バキュームゲージで数値を合わせるのですが慣れてくると目測でも数値的に近いところまで合わせることは可能です。
目測によるCVKの4連の同調を合わせる方法は当ブログの記事を漁ってください。
こんな記事もあります▼
ちなみに・・
CVKキャブと言ってもゼファー用とゼファーX用ではだいぶ作りも設計思想も違うようなのです。
※この辺は長くなるので別記事にします。
当倶楽部では複数モデルのCVKキャブの部品を混在させて使っています。
ヤフオクや部品交換会で入手したまともに動かない中古キャブから部品を外して整理しているうちにそうなりました。
※単純に混ざった、というのが正解。
設計思想の大きな違いは大きなところではキャブ内で稼働してベンチュリーを開け閉めするピストンの素材です。
ピストンは金属製のものと樹脂製のものがあります。
当然、重さが全然違うので負圧による動きに差が出ます。
重たい金属製のピストンを組むとゆったりしたレスポンスになります。
逆に。
軽い樹脂製のピストンでは主に中高回転のレスポンスが早くなります。
※素人のワタクシでも体感できるほど違った性格のレスポンスを得ることができます。
一般にバイクの性能としてはレスポンスがいい方が性能が良いみたいなイメージがありますが、
実際に使ってみると金属製の方が長距離乗る時に疲れないし、燃費がいいなど色んなメリットもあるのです。
この辺がキャブの面白いところなのですよ。
試行錯誤と想像力、経験と勘が問われます。
すんごい面白いから全然飽きません。
↑ワタクシはこの20年くらいずーっとココ。
貴様らも存分に泥沼にはまるが良い。
4気筒のキャブを下ろすのは面倒くさいですが、
ワタクシは通算で100回くらいZ1-RとZ750D1のキャブを外したり組んだりしています♪
※最近は10分もかからずにZ1-Rからキャブを下ろせます♪全部慣れです。
まとめ

やったね。
とりあえず仮組状態でガソリンを流し込んでアイドリングのチェック。
セル一発で起動して非常に安定しています。

CVKキャブをZ1-Rの車体にセット。
でもエアクリ側のダクトは接続しないで様子を見る。
オーバーフローするとこの隙間から盛大にガソリンが漏る。
もちろん現時点ではオーバーフローはしていませんが、
念のためエアクリボックス側のダクトは外したまま、しばらく放置しました。
オーバーフローするとダクトからザブザブガソリンが漏れだすのだよ。
※前述したように実は一回オーバーフローさせたけど。
今のところ問題なさそうです。
とはいえ。
振動でオーバーフローが再発することも有るので、この手のチェックは今後も経過を見守りたいと思います。
出先でオーバーフローしてバイクを置いて帰って軽トラで回収しに行くのは結構負担で面倒くさいのです。
が。
真冬の塩カルで白くなった路面だらけの長野でバイクに乗ると痛むのです。
実走してチェックするのはもう少し後になりそうだけど大体OKっぽい。
今回のリペア作業でワタクシはまた1基のCVKキャブを廃棄から救ったようだ♪
エコ的にいいことしたし、当倶楽部の予備のCVKキャブが1基増えたわけです。
多少費用が掛かったけれど新しいバイクを買ったり、新しいまともなCVKキャブを探すことを考えたら安いもんだ。
KEYSTARのCVKキャブリペアキット様様ですな♪
実際、工具さえあれば簡単にCVKキャブのオーバーフローが直せます。
KAWASAKIのCVKキャブ装備のバイクのオーナーさんだったら手に入れておいて損はないですよ。
※キャブは消耗品ですよ。
中古のCVKキャブは今までオーバーフロー癖が付くと使い物にならなかったのです。
※こういうダメなキャブが普通にヤフオクなどで高値で流通しています。

圧入されたフロートバルブシート。
我々はこのキットの販売を20年待ったのだ。
部品取りがせいぜいだったけど、
KEYSTARさんのリペアキットとセッティングキットを駆使すれば復活させられる可能性があるってことです。
キャブの不調で泣く泣くバイクを手放した人も過去にはたくさんいると思うのです。
もっと早くリペアキットが出てればバイク自体を廃車にしなかったのに・・という人は結構いるのでは?
キャブ車の生産終了から20年近く経ちますのでキャブ車自体が激減しています。
今キャブ車を持ってるオーナーさんは世間からの冷たい目で見られつつも孤立無援で頑張っているのです。
しっかり応援してくれる企業も存在するのです。
※いつまでリペアキットを作ってくれるかわかんないしねえ。
何より、
ということなんですよ。
キャブ車の維持は楽しみつつ、頑張りましょう♪
今後はキャブのバイクが増えることはまずありません。
ちなみに・・
「雪は山にだけ降ればいい。」
多くの長野県民はそう思っています。
雪が降りすぎると普通の生活や行動に支障が出るからなのですよ。
朝の雪掻きで一日の体力の大半を使い果たしてしまうような雪国には発展はないのです。
※当ブログでも何度も雪の記事を書いています。
ところが。
今シーズン(2024年末から2025年の1月末までについて)は長野の市街は驚くほど雪がありませんでした。
ワタクシが長野に移住して来てから20年経ちますが日陰にもほとんど雪は残ってないのは初めてでした。
「今シーズンは今まで経験した中で最高に雪がない長野。」
だったんですよ。
以前はこの時期に街中でバイクを見かけることはほぼなかったのですが今年は凄く見ます。
休日にはバイクの排気音が聞こえることは割と普通だし、
平日は通勤でスクーターを使ってる人も結構います。
※でも気温は朝8時時点で-3度とか。車の窓ガラスはバリバリに凍っているにもかかわらず。
寒いは寒いんですがワタクシの住んでいる地区には今シーズンほとんど雪が積もっていません。
降るには降るんですが積もるほど降ってなかったのですよ。
が。
「今シーズン最強の寒波と寒気でドカ雪。」
ということで一晩で見ての通りの積雪です。

結局画像の3倍くらい雪は積もった。
毎朝雪掻きですよ、ええ。
まあ雪を観光の売りにしている街もあるのでこれはこれで良しとせねばなりません。
※田舎町の雪まつりは非常にローカル色豊かで面白いので大雪でも毎年行ってしまうのだ。

飯山雪まつり2025。
雪国の長野県飯山市の雪まつりは雪像に雪が積もりすぎて何が何やら(笑)
雪はこういう場所にだけ局地的に降って欲しいと思うのですが自然のやることですからねえ。
ワタクシは雪は山にだけ降って欲しい派です。
通勤で倍くらい時間がかかったりするので生活に支障が出るし。
長野の女の子は「雪の降らない街にお嫁に行く。」のが現実的な夢のようです。
そりゃ雪国から人がいなくなるわな。
雪国は人がガンガンいなくなるのも無理はない。
※予想では雪国ほど人口減少が高いらしいけどそれもごもっとも。
こんな記事もあります▼
こんな記事もあります▼