最近はメディアでも紹介されるようになり、観光客も増えています。
が。
まだ知られていない穴場ルートは結構あるのです。
何もないけど意外な面白さがあるのが地味な県道401なのでした。
行くなら小さいバイクがベストです。
特に秋は。
当記事の目次
長野県道401はR406から長野県道36までの山の中を繋ぐルート
この国道もツーリングルートとしては申し分ないのですがいささかメジャーになりすぎました。
通としては、その一本南側のグネグネ道をたどっておきたいところです。
長野市街地の善光寺の西側から白馬に抜けるR406といえば、いろは堂の「おやき。」が有名です。
確かに春から晩秋まで、このルートは素晴らしいのですが、いささか有名になりすぎて観光客の遅い車も多くなっています。
特に西側のエリアは運転に慣れていないと大変なことになりますが、ナビは運転スキルに関わらず積極的にこの道を推すようです(笑)
※デカい車の運転不慣れなドライバーが多くて本当に危ない。センターライン割ってくるのは普通です。
というわけで、
ワタクシ達としては、観光客の多いルートはなるべく避けているのが実情です。
ただし、
そんなルートには結構裏道があったりするのです。
※ない場合も持ちろんあるのですが。
長野県道401号はまさにそんなツーリング通のための道と言えます。
逆に、バイクや車の運転に不慣れな人にはお勧めできませんがゆっくりと長野の山の中を堪能したい人にはおススメです。
※1車線になる箇所も多いです。
道は全体的にセンターラインがない1.5車線程度の幅しかないです。
カーブミラーもあるにはありますが、全部じゃないし 雪国の常として変な方向向いてたりするので ホーンで警告する必要を感じます。
中盤までずっとこんな感じです。
ただし、
所々に見える戸隠連邦、長野市街地、白馬連邦や北アルプスは絶景です。
絶対晴れた日がおススメ。
雨天や曇りなら行かないほうがいいです。
※眺望がいいということは、崖のように切り立った上に道があるってことですよ♪
意外にも、
集落がたくさんあって人の気配が濃いルートでした。
※とはいえ、長野の山間部の県道らしくガソリンスタンドはもちろん、コンビニもないし、自販機すらほとんどないのですが。
県道401は昔から使われていた街道っぽいですが、国道などが整備されるに従い寂れていったという正しい県道っぽいです。
※こういう見方が出来るようになったワタクシは県道マニアとしてレベルアップした気がします。
長野市からだと最終到達点はあの有名な一流ツーリングコースの「アルプス眺望ライン。」こと長野県道36号線(小川アルプスライン)との分岐です。
西側の最初の県道表示看板がこれ。
こういうの見つけると嬉しくなる。
そこまで到達しちゃえば、3か所あるメジャーなアルプス展望デッキで素晴らしい山々を拝むことができます。
※大抵いつも県外ナンバーの先客がいたり、そこで 他の観光客の迷惑も考えずに これ見よがしに袋ラーメン煮てたりするオヤジとかがいたりします。
が、
そこを楽しむのは素人です。
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※長野県道36号は王道ですが再度完全走破してレポートしなおす予定です。
今回は、地図を一見して道が悪いことが予想されたので
で連れ立っての県道レポートです。
このセレクトが正解でした。
※大体、長野の山間部の県道を走るにはでかいバイクは向きません。 ずるいとか言うな。 適材適所ってやつです。
ちなみに・・
当倶楽部からだと往復で120kmくらいなのですが、帰宅時には足がガクガクするほど疲れました(笑)
帰宅直前の最後の給油で立ちごけしそうになったくらいです。
まあ、KDX125SRという全然楽させてくれないマシンだったというのもあるのですが。
体力が落ちてる中高年は要注意です。
このルートでの燃費は
結構ぶん回して体重移動とか思いっきりやって走ったんですが、空いてたからねえ♪
※いつものように持参したGARMINのハンディGPSによると移動平均速度は結構いいペースでした。
長野県道401は山や街の眺望が素晴らしい
「もしかしたら人は生活に便利なところよりも眺めのいいところに住むのかもしれない。」
と思うくらいです。
今回は長野市側からのアプローチです。
「頼朝トンネル。」という 大河ドラマっぽい名称の トンネルを抜けたら二個目のトンネルの手前で左折です。
※一応、青い案内板は出ています。
起点のR406は裾花川沿い とはいえかなり崖の上的なルート なので、投げの県道401に比べると標高が一段低いのですな。
長野県道401に入ると分岐からいきなり急勾配で登っていきます。
※絶対チャリや徒歩で行きたくないくらいの坂です。
高いところから見るので景色がいいって寸法です。
長野県道401沿いには、
限界集落には間違いないのですが、隣接する長野県道86号の人気のなさとは対照的に「人が住んでいる明るい雰囲気。」で気楽に走りやすいです。
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「いったい何処まで買い物に行くんだ?」
というような集落が結構あるし、今でも人の気配が濃厚です。
※家が建ってるのは大抵斜めの土地か、崖の上みたいなところに建造されています。
当然、
そんな土地なので、長野県道401沿いの田んぼは全部棚田です。
多分、田んぼに水を張った時期の夜に来ると全部の田んぼに月が映るという光景がみられるはず。
※棚田が名所っぽいですが、道路沿いは普通に棚田です。
棚田や段々畑の面積なんてたかが知れてるのですがそれでも人々が生活を営んでいます。
ここでは棚田がデフォルトです。
ワタクシ達が訪れた9月の終盤はかなりの田んぼが稲刈りを終えて、稲を干していました。
※こういう景色がまた非日常で面白いので飽きませんが、もう少し前だったらもっと綺麗だったのかもしれませんな。
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人というのは「生活が不便でも景色が素晴らしく良ければ住んでいける。」のかもしれないと思ったりします。
こういう所ばかりを好き好んでツーリングばかりしていると「現代の便利すぎる生活はどうなのよ?」と問いたくなることもあるのです。
とはいえ、
文明はもう後戻りはできないところまで来ています。
なので、
次第にこの手の集落は次第に無くなっていくんでしょうねえ。
※でもまだまだそういう場所は長野県内どころか日本中にたくさんあるはずなのです。
だからこそ、
今見ておくべき風景なのですよ。
※ワタクシの県道巡りの原動力は 何かにつけてわーわー言いたいだけではなく 意外とこういう崇高なものだったりするのです。
っていうか、
機動力のあるバイクや車に乗ってるんだから、見ておかないともったいないじゃないですか。
※結局は崇高どころかケチなだけ、という話もある。
わかりにくい分岐の数々と看板
長野県道406との共用区間、長野県道86との共用区間はわかりにくいです。
それ以外の分岐は流れに任せて、本流を走れば迷うことはほぼないはずです。
とはいえ、
県道86号走破時にも思いましたが、この辺りは一般的な青看板が整備されていません。
※青看板は設置に凄いお金がかかるらしく 貧乏な 長野県にはそんなお金はないのでした。
情報量は多いが肝心なことが伝わりにくい。
特に、
この辺りは「平成の大合併。」で長野市に編入された地域です。
もともと通る人が多くないので文句も出ないんでしょうねえ。
※ほとんど地元民しか来ないし。
ゆえに、
分岐に 地味に 立ってる茶色の道先案内板に従って進むしかありません。
案内板には県道401とも書いてないこともあり「小川長野線。」という表記をいちいち確認しながら分岐を進みます。
※不安なときは、分岐でGoogolMap や、あんまり役に立たないけどGARMINのハンディGPSで で現在位置を確認すべし。県道散策の基本です。
とはいえ、
こんな山の中でも普通にスマホが使えるのは凄いことです。
昔のように紙の地図だけで走破しようと思ったらかなり迷うはずです。
※紙の地図とGARMINのハンディGPSを併用すれば何とかなるけど、使えるものは全部使うのは ドラクエの 基本です。
ワタクシが迷ったのは、
■長野県道406との共用区間&分岐
郵便受けはあるけど道案内は無し。
ここを右折が正解。
こんなの普通わからんよ。
■長野県道86との共用区間&分岐
県道86を完全走破する際、分岐はほぼ絶対迷うハズ。
です。
こんなの普通わからんよ(笑)
※長野県道406(入山小市線)は レポートこそないですが 昔からよく使ってるので分かった次第。長野県道86は、この間レポートするために走ってるからわかっただけ(笑)
分かりにくいがそれがいいのです。
ドラクエだってファイナルファンタジーだって、タクティクスオウガだって、すんなり進めないから面白いんですよ。
沿線には意外と面白スポットがある
県道散策のルート選定時にある程度紙の地図で見ておくとこういう地味なスポットを掘り起こすことができます。
ワタクシの県道散策はいつもは単独行が多いので、走破することだけが目的になりがちです。
今回は、嫁が付いてくると言い張るので事前に調べさせました。
※小学生の遠足の「旅のしおり作り。」みたいなもんです。
ゆえに、
ワタクシの単独行にはないようなところまで寄り道しています。
大平風穴
長野県道401から少し離れますが、
性乗寺という、タヌキが夜な夜な踊りに来そうなお寺をかすめつつ、
1車線しかない急勾配のヘアピンを何個かクリアしないとたどり着けない凄いところにあります。
秋の雨が降った後のアスファルト路面は、ぬれ落ち葉で超滑るのですよ。
ぬれ落ち葉と栗が道路一面にばらまかれている状態ですが車が通らないので無くならない。
※軽いオフ車で来て良かった、と思う瞬間です。
ここまでの道もこんな感じだけれど、最後に木道の上にぬれ落ち葉トラップが。
ライディングブーツだとマジで怖いくらい滑る。
風穴周辺は一応田畑はあるものの、人気(ヒトケ)は全然ありません。
その代わり、熊が出そうな雰囲気はムンムンします。
舗装路からの風穴までの木道が落ち葉で超滑るので注意しながら接近すると、風穴の入口に立つだけでかなり涼しい風を体感できます。
ワタクシ達長野県民は、風穴をないがしろにしてはいけないのです。
長野県の経済を支え、当時金持ち県に慣れたのは「お蚕さん。」がいたからです。
そのお蚕さんの育成に欠かせないのが「風穴。」というのは、長野県道44号の旅で学びました。
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中条トライアルランド
長野県道401から少し離れますが、
トライアルバイクの練習場があったりします。
※人知れず、というか知る人ぞ知る、みたいな秘密の特訓場っぽい。ショッカーとか居そうです。 爆発の撮影とかしててもおかしくありません。
この表示を見逃さないワタクシを褒めたたえたい。
ワタクシ達が訪ねた日は日曜だったので十数人のトライアラーが楽しんでいたような気がします。
※みんな見えない山の中を走ってるので音は聞こえても姿は見えない。
代表っぽい人がちょっと案内してくれましたが、ワタクシ達はトライアルをやるほど度胸はないのでした。
※最近、茨城の母親ライダーAちゃんがエンデューロの特訓でトライアル練習中に大けがしたばかりなので正直ビビっているのです。
崖みたいなところを平気でバイクで登っていく。
どうしてそういうことをしようと思うのか聞いてみたい。
とはいえ、
垂直に登るようなセクションは無理としても「セローならいけるんじゃないか。」みたいなセクションもあったりして♪
いかんいかん。
無事に帰るまでがツーリングですので。
太田の水車小屋
もうどこを切り取っても遠くの景色が素晴らしいのでした。
道端にいきなりあります。
恐らく、昔から水が流れてたんでしょうねえ。
※こういう山間部は水が流れる場所はある程度決まってて、そこに住む人たちは水を溜めたり利用したりするのには長けている傾向がありますな。
でも、見た感じしばらく稼働してない感じでした。
薬師沢石張水路工
長野県道401から少し離れますが、
有形文化財ということなので、寄り道を。
「ホントにここでいいのか?」
というような細い道&ヘアピンを下っていくと見えてきます。
のどかすぎて天国っぽい。
最近作られたと思われる結構な砂防ダムの脇に明らかに人の手で作られた流路があります。
これらも棚田に水を引くために整備されたんでしょうねえ。
平野部と違って、水路は石をうまく使って流れの勢いを押さえてるようにも見えました。
雨の後だったので水は少し濁り気味でしたが、蝶がたくさん舞って暖かい秋の日差しの先に収穫前の稲穂が黄色くなってて、
「なんだか天国っぽい。」
景色でした。
ちなみに・・
アルプス展望広場・夢の駅
ココにもよるつもりだったのですが、全然案内とか無くて素通り。
※あったのかもしれませんが、見落とすくらい地味だってことです。
まあいいんですよ、また来れば。
一回で全部の宝物を取ってくる必要はないのです。
ドラクエのように、再度レベルアップしてから モンスターを無双状態でなぎ倒しつつ また来るのも乙なものなのです。
食事は「やきもち屋」がおススメ
古民家を改装した宿泊&お風呂も入れる食事処でリーズナブルです。
多分、ちょっと寒い時期は超おススメ。
■やきもち屋
ワタクシ達が付いたのはちょうど12時頃。
こんな山の中なのに数名のお客さんが食事していました。
宿泊もできるしお風呂も入れる。
編み上げブーツだと脱いで上がるタイプのご飯屋さんは苦手なんですが、これはこれで良しです。
いやホントにここの雰囲気は素晴らしいです。
古民家再生のいいお手本じゃないかと。
こういう宿泊施設は会社の研修とかで使えばいいと思うんですよ。
※ワタクシのように宿泊研修の夜、酒飲みに逃げ出せないし。
ホントの古民家で食堂中央にある囲炉裏には薪が入っていて、火が起きていました。
店員さんも大変そうですが施設の維持は素晴らしいレベルです。
家の中央に囲炉裏があるというのは古民家の基本。
昔の人はテレビよりも暖をとる炎のほうが大事だったのです。
とはいえ、
ツーリング客が団体で昼飯に来たりすると大変なんじゃないかと思ったりもします。
ワタクシ達は、「おぶっこ。」と「冷製おぶっこ。」、「おやきのセット。」を頼みましたが全部美味しかったです。
※「おぶっこ。」とは、山梨の「ほうとう。」のもう少しうどん寄りの食べ物です。寒い時ならなお美味いはず。
からみそが付いてきますが、最初凄く辛いですが慣れると癖になる辛さ。
それに、今どきとは思えない価格での提供です。
※経営母体が営利団体でなければできない価格。素晴らしい。
リピート決定ですな。
前回、晩秋に来たんですがその時はすでにそば食った後で食べられなかったのでした。
ワタクシたちが行ったときはすでに売り切れ寸前で、次のお客さんは売り切れ宣言されていました。
中身ぎっしりで、食べごたえありです。
ただし、
よほどのことがないとココ迄は来ませんねえ。
距離はともかく、道のりは結構大変。
北にも西にも南にも、山を越えるとすぐ街道なんですがねえ。
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まとめ
長野市からは半日で走破可能ですし、走りがいもあるし面白スポットもある。
※もちろん寄り道してたらその限りではないんですが。
「何処に続くでもない道を決して急がない、決して慌てないで走る。」
そういうコンセプトの旅であれば、
長野県道401は淡々と集落を繋ぐ山道をながせて、時折見える遠くの山々に感動できる素晴らしいルートです。
もうこんな素晴らしい景色だらけ。
山の名前がわかる「山アプリ。」とかインストールしたくなる。
確かに、
メディアで取り上げられるいろいろな有名な展望ルートは素晴らしいですが、意外性はないのですよ。
※逆に言うと、二回目以降はあんまり感動しなくなるもんですよ。
観光スポットと化したドカーンという山の展望もいいんですが、
遠くの山々がずっと見える土地をたんたんと走るのは気分が良いものだと再確認しました。
※毎日焼き肉食ってると飽きるけど米は毎日でも飽きないのに似ています。
そして、
今もそこで暮らしている人たちがまだいるのです。
当倶楽部が先導してみんなが知らない長野の魅力探訪のツーリング旅をプロデュースするなら、長野県道401号(小川長野線)は大いにアリだな、と思っています。
※天気がいい、というのが最低条件で出来れば中型くらいまでのバイクがベスト。
秋晴れの日のツーリングにはベストではないかと思うんですよ、ええ。
この辺りは、キャンプや宿泊などで拠点を構えて走り回ると楽しいかもしれません。
走るのが好きなら県道縛りでも絶対楽しめます。
※「どこ行ってきたの?」といわれると返答に困るかもしれませんが。
ちなみに・・
県道というのは、はっきり言うと
「交通的に使い勝手がいい道ばかりではない。」
のです。
現代のスピード社会では、
を使いがちです。
始点も終点もそれなりの街だったりするのが現代の街道です。
そういうのは国道に任せておけばよろしい。
そういうところしか走らないのは素人に任せておけばよろしい。
我々のような県道マニアは、わざわざ不便でもマイナーでもそういった街道ですらない道を走ることに意義を見出しています。
※何年も長野に住んでると国道だけだと飽きるんですよ。
廃校あとが音楽堂という施設になってるけど、使われてるのかね?
ということは、昔はこれくらいの規模の小学校が稼働するくらい人が住んでたということですな。
国道の便利さ、ありがたさは、県道の不便さを知ると一層わかるのですが、
その便利さの陰に国道落ち(国道整備に伴い、県道やそれ以下に格下げされた街道)があることは多々あるのです。
そういう古の街道や地元民の生活道路が消えゆく前に、この目で見ておきたいんですよ。
例え効率が悪くても。