バブル好景気時代を背景に、爆発的に進化した超高性能なバイクたちは、たかだか250ccの排気量で、200km/hの壁をあっさり破り、毎年モデルチェンジを繰り返す狂気の時代でしたねえ
速さという物差しでしかバイクを判断していなかった時代の産物、レーサーレプリカ
そんなレーサーレプリカをダサいという人がいるけど、どうなのよっていう記事を書いてみました
当記事の目次
最終期のレーサーレプリカはほぼレーサーマシン
サーキットで走ることしか考えてないくらい街中では乗りづらかったもんです
ほんっとに高回転でしか馬力がないし、ハンドル切るとタンクに手が当たる
フルステアできないのだが、サーキットではそんな必要はないのでそれでいいのだ
※もちろんごく低速でのUターンとか大の苦手
ただしエンジン高回転をキープできれば恐ろしく速い
たぶん、現代のマシンにも全然引けを取らないどころかむしろ速いと思う
この頃、HONDAの中型レプリカは完成の域に入っていて、レーサーにはトレードオフと思われた乗りやすさも併せ持つマシンが存在したんですよ
VFR400R(NC30)、RVF400(NC45)、NSR250(90年式以降は、かなり乗りやすい)
これらが実質峠やサーキットでは王者だったし、販売台数も多かった
※最終期のNSR250なんかは現在でもカウルレス、アップハンドル装備でジムカーナの上位入賞マシンです
これらに対抗しようとHONDA以外の各メーカーががんばった結果、低速スカスカなレプリカが増えていった
※技術力がないわけではないはずだけど、V型エンジンの優位性はやはり大きかった
2st250ccレプリカ市場では、
この2stパラレルツインエンジンをやめるというYAMAHAの発表を聞いたHONDA社内では、勝鬨の声が上がったという・・
※さぞ悔しかっただろうなぁ、YAMAHA。大丈夫だ、ワタクシはYAMAHAのそういう機械屋、2st屋としての意地が大好きだ。
※当時からかなりレアだったKRシリーズだが、現存してる個体は今どれぐらいあるのだ?
うう、書き始めると止まらないわ・・
2019年現在、中型レプリカは絶滅
前述したHONDAのNSR250シリーズはたぶん今でも峠最強なので、強力なマニアが存在する
※地元にも数名いる
しかも、HONDAはNSR250の部品の再販を決めたようだし
あれだけ売れたレーサーレプリカは今いったいどこに??
※たまーに中型レプリカ車種を見ると、近寄って話を聞きたくなるくらい
それぐらい現存している個体は少ないし、まともな車体(欠品パーツ無とか)は驚くほど残っていない
※ネットのオークションでは、とんでもない高額で落札されたりしてるけど、たぶんメーカーにパーツ無い
2019年、大排気量スーパースポーツはほぼレプリカ
※免許が簡単になった&金持ち層(40代50代)が買う
全体がレーシングクオリティ♪
それはそれでいいけど、維持費が高すぎだと思う
※タイヤだけでいくらするのか恐ろしい
とはいえ、とんでもなくとんがった性格のマシンだけれど、排気量もでかいので低速トルクもあって意外にも乗りやすい(ライディングポジション以外は、ですが)
※DUCATIとか、速すぎて超おっかない。それほどまでに今のバイクは高性能ですよ
こういう当時のレーサーレプリカ以上にとんがった性能のバイクに免許取立てでも乗ることが可能な世の中。
ブランクのあるリターンライダーがいきなり乗ったりするときわめて危ないのは明白なんだけれど、メーカーとしては売れればいい・・のかなぁ
まず、消耗品が高すぎて維持が困難だし、いい状態をキープするにはすでに素人メンテレベルを超えています
※専用設計を謳ってるほど、センサーや制御系コンピュータが壊れたら代替品はないと思うし
レーサーに近いほど街中での使い勝手が悪くなる
低いハンドル&高いシート位置は街中では極めて使い勝手が悪い
極端にいうと、伏せて寝そべった上で頭を持ち上げるようなライディングポジションになります
実はこれって高速道路を巡航するだけでも結構疲れます
腹筋と背筋で上体を支えないと、手を突っ張ってハンドルに体重がかかることになるので、肩が凝ったり、首がおかしくなったりするもんです
しかも段差の付いたシートでタンデムは、ライダーもパッセンジャーも地獄(笑
※絶対後ろに乗りたくないですわ
もちろん荷物も積みずらいです
※荷かけフックすら、付いてないバイクも多数。SPモデルは基本的に一人乗りですし。
驚くことに、80年代中盤から90年代中盤くらいまでは、こういった極端なバイク、レーサーレプリカが実際にもてはやされて、それが当たり前でした
当時のバイクは初心者もベテランも、街中での使い勝手よりもサーキットでの絶対性能という価値基準しかなかったんですよ
速く走ることだけがバイクの魅力ではない、と現代は変わったようです
むしろそれが健全です!
みんな違ってみんないい
そういう多様性がなく画一的なものの見方自体がダサい、というならわかる気がします
ウェアはやはり革つなぎが一番似合うが・・ライダーの体型は・・
レプリカは車体のカラーリングが派手なので、普段着が似合わない
そりゃ、レーサーレプリカのもととなってるレーシングマシンを知ってるとかなら別ですが、知らなきゃタダの派手なバイクです
もうそんな人は少数派です
8時間耐久や世界GPでのTECH21、SEEDカラー、ペプシカラー、ヨシムラカラー、マルボロ、ラッキーストライク、各ワークスマシンたち・・ああ、何もかも懐かしい
※タバコのカラーが使えなくなってから、車もバイクもレース業界勢いなくなったよね・・
レプリカバイクはやはり派手な革つなぎのほうがよく似合う
※地味な革つなぎ派手なバイクには微妙な感じ
※ライムグリーンに空色のシートとか、ピンクのシートとか、黒い車体に紫のブラッシュパターンとか、よくあれでGoサインだしたな?というカラーリングが(笑
はっきり言って、その手のカラーリングは当時のワタクシが見てもかなりダサいと思ってた
※現存してるのかなぁ、そういう固体。
基本的には、レーサーレプリカは派手なカラーリングなので、普段着が似合わない
当時、ジーパン、MA-1的なフライトジャケット、ワークブーツで、おしゃれに乗れたゼファーが、意外なほど市場に受け入れられて以降、中型のレーサーレプリカは一気に絶滅に進んでいくことになる
腹が出たオッサンが、中排気量のほぼレーサーレプリカに革つなぎ来て街中を走ってる姿はすさまじく痛い
レーサーレプリカに乗りたいなら、まず自分を絞り上げない限り、ダサいバイク乗りの出来上がり♪
少なくともワタクシの知る限り、レーサーにデブはいない
レプリカがダサいのではなく、それに乗るライダーがダサいのでは?
バイクのジャンルとしては全然ダサくないけど流行でもない
バイクブームが去り、バイク人口が減って、バイクの楽しみ方が多様化、バイクの大型免許が教習所で解禁・・
こういう背景を経ても、レーサーレプリカを意地で維持し続けているのはかえってカッコイイです
※フロント16インチのタイヤとかもうあんまり選べないだろうし・・
特に、当時のブレーキとサスペンションの進化はすさまじいですよ
例えば、80年式と90年式のバイクのブレーキは比較にならないほど進化してます
今はその延長上で細々と進化を続けていますが、どちらかというと今の進化の方向性は電子制御だけな感じです
あの当時のレーサーレプリカは日本の工業品の遺産という位置づけで全然ダサくないし、むしろ貴重な進化の過程だと言ってもいいんじゃないかな?
ただ、レーサーレプリカは街中よりも、サーキットにいるほうがよく似合うし、自然な感じがします
※サーキットで限界走行!みたいな使い方をすると、車体もエンジンも一気に痛むからやはり現存数が少ないのもうなづけるんですけどね・・
完全体だったりすると、各メーカーのメモリアル博物館とかから寄贈の依頼が来るかもしれませんぜ♪
※現存数が少ないので、2019現在の中古のレーサーレプリカの高いこと!!
まとめ
各バイクメーカーは、当時のバイクブームとか流行とか市場の要求に応じて、レーサーレプリカというジャンルに製品を投入してきたわけだし、激動の時代があったからこそ今の高性能バイクが存在できているのは確かです
ただ、最終期にはとんがりすぎて一般ユーザを置いてきぼりにしちゃってたのは事実
FZR750は、レプリカジャンルだけれど初期はツーリングにも使えたし、多少の悪路なら走れたけど、次第に過激になっていき、FZR750R(OW01)はもう完全にサーキット以外で使う気にならないくらいとんがっちゃった・・というような話は各メーカーそれぞれにある
すべての趣味のトレンドは時代が一回転する可能性があるように、レーサーレプリカの時代はまためぐってくるかもしれません
アジアの新興国でバイクブームがあれば、再度レーサーレプリカという存在に日の目が当たる可能性はあるけど・・
ただし、往年のレーサーレプリカブームのころの様に日本のバイクメーカーが主導ではなくなってるかもしれませんし、電動バイクの時代になってるかもしれません
いづれにせよ、現存する個体は減少するだけ&非常に高価角での取引されていますので今現在レーサーレプリカのオーナーさんは大事に維持管理してあげてほしいです
※あれだけ見かけたレーサーレプリカが、みんな海外に流出しちゃったんだろうな、と思うと切ないです
綺麗な状態なら飾っておくだけで結構絵になったりするんだよねえ・・レーサーレプリカ。
そして超高性能に見合う超高性能なライダーとして様になってれば、レーサーレプリカは全然ダサくない!と言い切りましょう