
空冷なので作動音が駄々洩れになるのは仕方ないとして、ノンオーバーホールエンジンはまず間違いなくカムチェーンが伸びてます。
ちょっと工夫するだけでエンジンノイズが劇的に改善できるかもしれません。
当記事の目次
古い空冷エンジンのノイズは味があるけれど。

いろんな仕組みが組み合わさって動いている正しい機械っぽくて好きです。
※これが味だという人もいるくらいです。
エンジンノイズは、いろんな原因で発生します。
などが考えられますね。
当時のバイクは
「良く言えば部品同士の組み立て精度に余裕がある。」
のです。
さらに、
摩耗などの劣化によるパーツ同士のクリアランス拡大により、微妙にパーツが振動したりして音を発したりします。
※最近のバイクにはあんまり見られないかもしれません。
そして、
今どきはどうか知りませんが、当時の空冷エンジンは熱膨張後にピストンとシリンダーの隙間が適正値に合うように設計されてたりするのです。
※なのでエンジン暖まるまでぶん回してもあんまりいいことないのです。
ただし、
きちんと調整されているZ1系エンジンは驚くほど静かです。

Z750D1。古いバイクでもメカノイズは少ない方がいいよねえ。
心血注いでメカノイズの消音に努めていたこともありました♪
もし自分もバイクのエンジンがノイジーだったら・・
でも、エンジンノイズの原因を探るのは非常に難易度が高いのです。
複合的な要因もあるので素人レベルでは結構難しいのですが、
空冷4発乗りとして原因究明にチャレンジしてみるのも乙です。
ワタクシの経験上、
エンジンオーバーホールなど、大げさに考える前に最初にやってみた方がいい方法があります。
ちなみに・・
エンジン開けてみると、いろんなことがわかります。
カムチェーンがエンジンブロックに当たってカムチェーンのライン周辺が削れてたりするもんです。
※こういう鉄粉(アルミ粉)がオイル交換の際に抜いたオイルがキラキラしてる一因です。
あまりにもひどく鉄粉が出る場合、エンジンをオーバーホールする必要がありますね。
※鉄粉がオイルに乗ってエンジン中を駆け巡ることになりますので。
鉄粉がひどい場合、
エンジン下部のオイルパンを外しそこに溜まったスラッジを全部取り除くのも効果がありますが、結構大変です。
素人が出来ることと言えば、
「マメなオイル交換。」
位が関の山です。
※やらないよりは全然マシです。
カムチェーンテンショナーの役割

エンジン内部にはチェーンがあって、これがエンジンの腰下部と腰上部を連動させています。
カムチェーンは定期的に張りなおさなければなりません。
張りなおさないで放置するとチェーンがエンジン内で暴れて異音が発生します。
※カムチェーンが伸びるだけでも点火タイミングはズレます。
Z2の純正マニュアルによると、
「1,500Kmごとに調整。」
となっています。
※なぜかZ750D1のマニュアルには距離の記載がありません。画像もないです。

Z2のマニュアルより。
Zシリーズで一番丁寧に説明がしてあるのがZ2マニュアルです。
ワタクシの持ってるZシリーズとなってるマニュアルはPartsNo 99997-200-02 で表紙が茶色だが。
純正のテンショナー
非常に単純な作りです。
エンジン背面にある突起物がカムチェーンテンショナーです。
これに刺さってる

Zシリーズの純正カムチェーンテンショナー。
Z1-RとZ750D1についてたので二個ある。
こんなのも「当時モノ。」とか言うと売れるのかね?
ボルトを緩めることで、
という理屈です。
単純なメンテなのですが・・意外に知らないZ1系バイクのオーナーさんもいたりするのです。
※「しっかりしてくれ、基本だよ。」と思うけれども、言いませんよ。
マニュアルには、
「点火タイミングも一緒に合わせてね♪」
という記載があります。
ただし、
純正カムチェーンテンショナーはスプリングが明らかに弱いのですよ。
※一度カムチェーンテンショナーを外してみればわかります。

この棒の先の四角い部分でテンショナーアッシー、カムチェーンという部品を押すのだ。
単純だけれど非常に重要な部品です。
純正のカムチェーンテンショナーは「あるだけマシ。」というレベルのものです。
経験上、純正のカムチェーンテンショナーをどんなに調整してもエンジンノイズの解消にはなりませんでした。
※棒の部分がちゃんと動いてたかどうかすら怪しいもんですわ。
ちなみに・・
エンジンが熱い時にカムチェーンテンショナーをいじるとたぶん火傷します。
空冷4気筒のシリンダの背面にあるものを舐めちゃいけません。
キャブの下に手を突っ込んで、カムチェーンテンショナーにアクセスするのですが・・
上下左右全てのものが熱いのです。
素手で触ると結構熱い。
しかも、
結構鋭利な突起物もあって、手が傷だらけになりがちです。
かといって、
手袋をすると微妙な締め加減がわかりづらいというジレンマに陥ります。
ワタクシは純正マニュアルテンショナーを装備してた頃は、
にカムチェーンの針の調整を行うようにしておりました。
Z1系カムチェーンテンショナーには高性能代替品がある

当然、これを解消するための代替品が存在します。
こういう細かいウィークポイントを解消するほどZ1系エンジンは研究されつくしています。
昔からあったのが「後付けマニュアル式カムチェーンテンショナー。」です。
「純正のスプリング経由でカムチェーンのスライダーを押す。」
というオブラートに包んだようなテンションの針方ではなく、
「直接棒でカムチェーンのスライダーを押す。」
のです。
ダイレクト感が半端ないです。
ただし、
「カムチェーンの張り加減がわかりずらい。」
のですよ。
日所に原始的だけれど確実。
カムチェーンの張りの感覚がわかる人はこれでもいいんだろうけれど。
ワタクシは、
ほんの一時期、このマニュアルテンショナーを使っていました。
上手くやるとカムチェーンが暴れる音は確実に少なくなります。
ただし、
「ちゃんとできてる実感が全然ない。」
という理由で封印しました。
※たぶんガレージのどこかに眠っているはずです。
作業箇所が狭い
火傷するくらい狭い箇所で、
「締め込んでいくボルトにどれくらいのテンションがかかってるか?」
なんて加減をしつつ締め込んでいくのは至難の業です。
チェーンてのは、張りすぎりゃ良いってもんでもないのですよ。
※ドライブチェーンもチェーンソーも全部そうです。
というわけで、
当倶楽部のZ1-RとZ750D1には「空冷GPz系のオートカムチェーンテンショナー。」を流用しています。
当時から結構レアパーツだったんですが・・昔のZ1系乗りには定番でした。
「空冷GPz系のオートカムチェーンテンショナー。」は結構ゴツイので、レーシングキャブ装備だと干渉するかもしれません。

Z750D1。これが空冷GPzのオートカムチェーンテンショナー。
エンジンとの接合部のガスケットはワタクシのお手製です。
ヤフオクを定点観測しつつ、出品されたものを狙い撃ちしました。
※当時は激安でした。たしか一個3千円位。
今ではこういうパーツも高騰化の一途をたどっています。
「マジか。」
という価格でヤフオクに出品されたりしています。
※誰が買うのかと思ったら結構入札があってビックリです。
ちなみに・・
GPz用を模したものと思われる「Z1用のオートカムチェーンテンショナー。」がリプレイス品として製造販売されています。
すべてのZ乗りは、こういうサードパーティやリプロメーカーに足を向けて寝てはいけませんよ。
Z乗りにとって、今は本当に良い時代です。
部品の調達が出来ずに眠ってる旧車は結構ありますよ。
多少高価でも新品が買えるならその方が絶対いいです。
やはり美藤(BITO R&D)さん所はわかってるよね。
加工の美しさと言いさすがです。
この幸せな時代に生まれて良かった♪
※以前は部品探しで解体屋さん回るとあっという間に日が暮れたもんです。
Z1系バイクはカスタムを始める前に基本を押さえる

というお問い合わせメッセージが多いんです。
すんごく。
大体、基本を押さえる前に
とか、が本当に多いのですよ。
そのあと、
「まともに走らないので困っている。」
と言われましても。
今でもZ1系バイクは、
「1000kmくらいの距離の3泊くらいのキャンプツーリングなんか余裕。」
でこなします。

Z1-R。せっかくワザワザ撮影したので写真を載せる。
黄色いラインはアーシングの8sqのラインです。
ただし、
「しっかりポイントを押さえれば。」
という前提です。
ショップの言う「極上。」「ミントコンディション。」なんてのはまず嘘だと思った方がいいです。
「中古車には絶対はない。」
のです。
※百万円以上するものを一度も見ないで通販する度胸はワタクシにはないです。
ちなみに・・
「フルノーマルにしろ。」
というつもりは毛頭ありませんが、信頼性が高くまともに動く状態にすることが第一優先です。
どんなにきれいなバイクでも動かなければ意味はないのです。
当倶楽部ではそれを初期化と呼んでいます。
自分で初期化を行うことで、
「何かトラブルがあったら自分で何とか出来るスキル。」
が身に付くんですよ。
「何が悪いのか。」
「どうすれば対処できるのか。」
という機械の理屈がわかるようになります。
※旧車乗りはこういうスキルがないと、怖くて山の中なんかに出掛けられませんよ。
まとめ

という話でした。
カムチェーンテンショナーの交換でエンジンノイズが大きく解消しない場合は、
のいずれかです。

Z1-R。エンジン全バラシした時のパーツが全部取ってある。
我ながらマメである。
カムチェーンを張ってみてメカノイズでエンジンの劣化具合を確認するために、
「エンジンを開ける開けない。」
という判断の基準にもなります。
その判断材料として、オートカムチェーンテンショナーに交換するのは全然無駄な投資じゃないですよ。
※仮にエンジンをオーバーホールしたとしても、オートカムチェーンテンショナーは使えますし。
こういう細かい所を今時の高性能パーツに替えていくのも旧車の楽しみの一つです。
とまあ、
この間の近場の散策ツーリングの途中、道の駅で見かけたZ900のエンジンのメカノイズが非常に賑やかだったもんで記事にしてみました。
※そーっと見たけれど、カムチェーンテンショナーは純正でした♪
お節介だし、人のバイクに文句を言うつもりもないので何も言いませんでしたが。
※ワタクシだって誰彼構わず助言とかしませんよ。
しかも、
その時ワタクシはDT200WRだったし♪
こちらがよかれと思う余計なお世話で、変わったおじさんになりたくはないのです♪
※自分のバイクに意見言われるのも気分良くないだろうし。

DT200WR。オフタイヤが減りまくるけどオフバイクでのツーリングもするのだ。
田舎の細い道を冒険するなら小さいバイクの方がたのしいです。