Z1系のバイクに乗ってる人は全員「雨天でブレーキが効かねえ」と思ってるはずです。
それをZ1-Rで何とかしようという記事です。
予想以上に長期にわたり大変な作業になったし、結局現在の形なるまで5年くらいかかっています。
で、結果はどうだったの?って話です。
ちなみに・・
「効く」は一般的に「期待どおりのよい結果が実現する」という意味です。
「ブレーキは【効く】という漢字を使うのが正しい」ようです。
※「利く」でもいいように思いますが正しくないんだってさ。
当記事の目次
Z1系のブレーキは冗談じゃないくらい雨が降ると効かない
他車からZ1系に乗り換えると一番びっくりするのがこの雨天時のフロントブレーキの効かなさです。
晴天時は普通に効きますが、雨天時は「ググッゥ~」と鳴くだけで制動距離はたぶん倍以上になります。
Z2やZ750D1のように穴が開いてないブレーキディスク搭載車はもちろん、Z1-RやZ1000Mk2のような穴が開いたディスクでも効きません。
※雨天の高速道路とかまじめに恐怖を覚えます。
雨天ではABSくらいロックもしそうにありません。
※止まりもしませんが。
何台もZ1系のバイクには乗りましたが、全部ダメです。
一応、リアディスクになった後期のZ1系のリアブレーキは雨天でもフロントに比べると比較的よく効くんですよ。
※古いZ1系はリアドラムなので雨は関係ないのかもしれません。
Z1-Rのブレーキディスクの穴は何のため?
多孔ブレーキディスクの穴は本気で水抜きだと思ってましたが違うようです。
Z1-Rの初めて乗った時、ものすごく雨天時のブレーキの効きには期待したんですが。
KAWASAKIの実験台、モルモット的な扱いを受けてたZ1-Rの数々の特徴の一つがこの多孔式ブレーキディスクです。
たぶん、最初の頃は水抜き的な意味合いもあったのでしょう。
でも全く結果が出てませんな。
穴の開いていないディスク装備で同じブレーキキャリパーを使ってるZ750D1と同じくらい効きません。
大昔、Z2に乗ってた頃、雨天でのブレーキの効かなさには閉口しておりました。
Z1-Rは多孔式のディスクなんだから絶対雨天でもブレーキ効くはず!
と思ってましたが裏切られました。
ワタクシの期待というか思いを返してほしいくらいです。
※Z1-R用は4穴、Z1用は6穴で取り付けボルトの数が違います。
ではブレーキディスクの穴は何のためですかね?
たぶんその両方です。
※雨天でのブレーキ性能評価とかちゃんとやったのかね?
ちなみに・・
RZ250でもブレーキディスクに穴空いてませんでしたが雨天ではもっとブレーキは効きました。
少なくとも雨天でも怖い思いをしたことはないです。
あのブレーキディスクの穴ってのはマジで何なんでしょうね?
偉い人に教えていただきたいです。
Z1-Rのブレーキは構造的にダイレクト感がない
Z1-Rシリーズにだけ採用されてるワイヤ引っ張りマスターシリンダはブレーキタッチのダイレクト感がかけらもないです。
という具合に油圧が伝わってブレーキキャリパーがブレーキディスクを挟んで止めます。
というように、一工程多いんですよ。
このワイヤーが癌です。
ブレーキタッチにダイレクト感のかけらもありません。
設計した人に顔が見たいです。
※そして小一時間ほど説教したい気持ちです。
雨天は効かないブレーキと相まってダイレクト感のないブレーキタッチですよ?
マジで純正のブレーキシステムそのままでツーリングに出かけてるZ1-R乗りの皆さんには敬意を表します。
※そんなバイク、おっかなくって乗れませんよ。
ちなみに・・
ヘンテコなワイヤーで引っ張るマスターシリンダがZ1-Rに採用されてるのは、
ハンドル周りをすっきりさせたかったから♪
というカタログで高速走行を強調してるバイクとは思えない理由です。
確かに、当時のゴツイブロントブレーキのマスターシリンダではビキニカウル内に収められません。
ちなみに専用設計のマスターシリンダはビキニカウルの右側に格納されています。
※ブレーキのエア抜き作業が大変だと思うんですが皆さんどうやってんだか。
また、Z1-Rはハンドルについているスイッチの配線一式を「ハンドルのパイプの中を通す」という無駄に凝った作りです。
設計者の並々ならぬハンドル周りのすっきりへのこだわりが感じられます。
※でもブレーキタッチに関するこだわりはなかったのね・・
Z1系のブレーキを雨天で効くように努力をしてみる
基本設計のままでは危なすぎてツーリングに使えないと悟ったワタクシはさっそくこそこそと改良に乗り出しました。
ビキニカウルやハンドル周りのすっきり感よりも、ツーリングで普通に使えるブレーキを目指します。
キャンプ道具満載で雨天の高速で純正ブレーキよりマシになればしめたもんです。
一般道でももちろん止まれないので怖さは変わりません。
※雨天時に止まれないバイクで走ると挙動不審な車には殺意を覚えるくらいイラっと来ますよ。
マスターシリンダーを変更する
ブレーキのダイレクト感を求めて、マスターシリンダを他車流用してみます。
そんなの簡単じゃん!
と思われるかもしれませんがZ1-Rの場合、マスターシリンダとビキニカウルが思いっきり干渉します。
Z1-Rのビキニカウルは二重構造になっています。
外側のシェル部とインナー部に分かれるという凝った作りです。
インナー部はビキニカウルの端から中央部のメーターやインジケーターまで覆っています。
ご丁寧に一体設計です。
どうやってもこのインナー部とマスターシリンダは干渉するんですよ。
■第一段階
RC30マスターシリンダでブレーキフルードのリザーバータンクを流用する。
一応、リザーバータンクを大きく迂回させればインナー部との接触は回避できます。
ブレーキタッチのダイレクト感改善という意味では非常に効果がありました。
このブレーキシステムはVFR750R(RC30)に採用されててバイクブーム終盤にこれを流用したバイクが流行ったんですよ。
■第二段階
GPZ400Rの薄いマスターシリンダを使ってビキニカウルとの干渉を避ける。
インナー部とどうしても当たってしまうため・・インナー部を少し削りました。
インナー部がだいぶ細くなって・・割れました(泣
※この時点で大きく空を仰いで膝から崩れ落ちました。
それでも、
ブレーキのダイレクト感についての機能的には問題はありません。
しばらくはそのまま乗り続けました。
・・でもバイクに乗ると常時目に入る場所なだけに、割れてるインナー部が気になって仕方ありません。
■第三段階
インナーカウルを丸ごと撤去してZ1系のメーター回りを丸ごと流用する。
この作業は結構大ごとでした。
Z1-RのメーターをZ1のものに変えるということは
までも変更しなければなりません。
これらを集めるのに半年くらいかかっています。
※少なくとも20年くらい前です。
※トリップメーターのリセットダイアルがZ1とZ1-Rでは違います。ワタクシは220km/hフルスケールを選びましたがそんなにスピード出ません。
この頃、メインハーネスをZ1のものに変更、してすっきりさせました。
※純正の燃料計や電流計はこの時点でオミットしています。
ライト回りもZ1-R純正からZ1のものに変更してライトボディをつけたりしました。
ここまでやってようやくビキニカウルのインナー部が撤去できます。
※Z1-Rのビキニカウル周りはほんとに凝った作りで関心しますが専用設計だらけで非常に不便です。
■第四段階
Z1系のメーター回りをZ1000Mk2のような縦インジケーターに変更する。
ようやく今の形になりました。
※この間に、タコメーターをゼファーの燃料計付き電気式に変更したりしています。
ここまで本気で長かった・・
Z1用とZ1000Mk2ではトップブリッジ作りが違います。
※メーターステーというかブラケットが付かないのですよ。
が必要です。
その他フィッティングには細かいノウハウや工夫、必要なパーツがたくさんあります。
※もし興味があるようなら個別に「お問い合わせ」して下さい。書ききれません。
・・なんだかメーター回りの話になってきたけど、この記事はあくまでもブレーキの話です。
ちなみに・・
たかだかマスターシリンダの変更でここまで影響があるとは当時のワタクシも全く想像できませんでした。
でもとりあえず、
を手に入れることができました。
真似しないほうがいいですよ、金かかりすぎです。
※全部流用とはいえ、情報の少ない20年くらい前に試行錯誤しまくって今に至っています。
ブレーキホースをメッシュにする
マスターシリンダさえ交換してしまえばブレーキホースを交換するのは簡単です。
メッシュホースにしてさらにダイレクトタッチを狙います。
Z1-Rの場合、マスターシリンダを変更するということはマスターシリンダの位置が変わるということです。
ということは純正のホースが使えないということです。
純正ブレーキホースの取り回しはステアリングステムの前でいったん分岐して左右のキャリパーに接続されています。
マスターシリンダが変わっても、一応分岐から下は使えます。
ダイレクト感を求めるなら純正のブレーキホースの分岐部分をオミットしてマスターシリンダからキャリパーに直接接続するのが王道です。
どうせなので、メッシュブレーキホースを採用します。
※ブレーキ関係のゴム部品ってホースも含めて全部経年劣化しますよ。
メッシュホースはZ1000J用としてリリースされてたものを使うことで解決しました。
車格やハンドルポジションは似たようなもんだし、短すぎなければなんでもいいんですよ。
※ハンドル切って突っ張るとか、加速時に伸びきるとかなければ問題ないです。
メッシュホースは、EARLSやGOODRIDGEが有名です。
ホースは命にかかわるので高価でも名の通ったメーカーのものを選びました。
※当時上野では、やすいけどメッシュホースの中身がゴムという「バッタもん」というか「イナゴもん」みたいな粗悪品も出回っていました。
ここまでやれば、とりあえず普通のバイクになれます。
でも、肝心の雨天でのブレーキの効きは一切解決していません。
ブレーキキャリパーを変更する
フロントフォークがオイル漏れで使えなくなったのを機にZ2用の強化フォークを採用しました。
※Z1系のフロントフォークは内側にスライドメタルがないのでオーバーホール不可能です。
これでZ1-Rの純正キャリパーが付かなくなりました。
Z1とZ1-Rではキャリパーの取付ピッチ(ボルトの間隔)が違うのでそのまま付きません。
Z1のフォークはボトムケースにリフレクタが付いてます。
※ボトムケース自体がかなり短いです。
ガレージに転がってたZ2時代に使っていたPM製の4ポッドキャリパーを使うことにします。
セオリー通りブレンボとかロッキードとかのキャリパーを選ばないところがワタクシの天邪鬼なところです。
みんなつけてるパーツは無個性に見えたんですよ。
※当倶楽部のZ1-Rは米国で乗られてるバイクをイメージしてるんですよ、全体的に。なんとなくジョン&パンチっぽく。
Z2用のキャリパーサポートを特注で作ってもらってたのでZ1用強化フォークにそのまま付きました。
キャリパーサポートは特注で作りました。
まとめ
ここまでやれば雨天でもブレーキは効くはず!
・・という想いを裏切られました。
結局、ここまでやっても雨天でブレーキは効きませんでした。
※多少制動距離は短くなった気もします。
もうどうすりゃいいのよ?
って感じです。
あとは
「ブレーキディスク自体を変更するしかない」
というところまで来ています。
幸いなことに歯磨き粉で有名なサンスターさんがZ1-R用のブレーキディスクを作ってくれています。
これを試す価値はありそうです。
でもね・・
「雨天で走らないからもういいや」
という気持ちが大きくなっています。
※サンスターさんのブレーキディスク、一枚4万円するんだよ?それをリアブレーキディスクまで交換すると3枚必要なんだよ?消費税入れたら13万円超えるよ?
もうそんなにお金かけても意味ないと思い始めているのであぶく銭が入ったら考えることにします。
たぶん、あぶく銭は入ることはないでしょう。
※毎月、生活がカツカツですわ。古い車の税金下げろ!
・・ムネン、アトヲタノム・・
誰か人柱になって検証してくれることを願っています♪