
20年前の3倍くらいの値段で取引されている車両も珍しくありません。
・そもそも中古バイクを買う人ってどうんな人なの?
・中古バイクにそんな価値があるの?
といういろんな何故をワタクシなりに論じてみました。
記事の内容
中古バイクの価格が高値安定、さらに高騰傾向

20年前からくらべれば中古車にも拘らず売価は倍くらいになっています。
ヤフオクやネットのバイク中古車を検索すると、バカみたいに高額なプライスタグが付いてる車両がほんとに多いです。
検索してても、
「その価格設定、強気すぎるだろ!」
と突っ込むことも多くなっています。
実際に20年前の倍、下手すれば3倍くらいの値段設定になってる中古バイクは本当に多いです。
そんな値段で本当に売れるのかね?(笑)
ヤフオクでも全然買い手がつかない「回転ずしの不人気ネタ」状態になってる個体もたまに見かけます。

Z1。これが300万円と言われてもねえ。
確かにいいバイクだとは思うけど。
どうしてこんな状況になった?
ワタクシなりに、その理由に迫ってみようと思います。
理由1:雑誌やマスコミがあおったから

そもそも何十年も前からバイクの中古業界は価格の底上げに尽力していました。
なかなか成果が出ませんでしたがここ数年で一気に結果が出た感じです。
■Mr.Bike BG
「絶版車」
という単語を作った中古バイクのバイヤーズガイドだったMr.Bike BG。
いまでは「中高年にウケそうなマイナーな中古バイクの特集記事」が全面に出ていますが、以前は雑誌の半分以上が中古バイク屋さんの在庫中古バイクの情報でした。
大昔のMr.Bike BGは本気で中古バイクを探す際にはなくてはならない媒体でした。
今では老舗というか大昔からの大口スポンサーである旧車専門店の広告とちょっとだけある
その他のショップの中古車両情報だけという感じです。
※そういう大手の中古バイク屋さんは、それこそ30年くらい前からこの雑誌のスポンサーだったりします。
平たくバイク全般のネタを扱うのではなく、個別の車種ごとに特集を組んだのはMr.Bike BGが初めだった気がします。
読者は自分の好きな車種の特集時には、特に中古車探す目的がなくてもこぞって買ったもんです。
※ネタがなくなると以前特集した車種を別の切り口で特集するのは他のバイク雑誌と同じですが。

この表紙、何もかも懐かしい。
ワタクシがZ2で日本中を回ってた頃です。
Mr.Bike BGの「二十歳のZ2」の特集の時、
まさにワタクシがZ2の乗ってた最盛期で多分ガレージの書庫にそのまま残ってるはずです。
※何度も何度も読み返した記憶があります。Zの神様を訪ねたのもいい思い出です。
■RoadRider
既に廃刊(2019年3月号が最後)されて久しいのがこの雑誌「RoadRider」です。
「GoodLooking!」
とかよくわからんコーナーが異常に盛り上がっていたのを覚えています。
Mr.Bike BGで火が付いたバイクを改造するという行為をさらに昇華させたのがRoadRiderでした。
高価なパーツをふんだんに使った「わけのわからん満艦飾のバイクを作るショップがスポンサー」だったので仕方ないとはいえ、絶対マトモに走らないようなイカス改造車を持ち上げるのはどうかと思うんですけどね。

もはや何が何やら、という改造バイクが多数でした。
こちらも似たような個別車種の特集をしてましたね。
末期には、もはや原型が残ってないようなバイクも多数取り上げられていて
「車検通らないんじゃ・・」
という個体も多かったのも事実です。
※数百台単位でまともに走らないバイクを作ってただのオブジェにしてしまったショップは非常に罪深いです。
バイク雑誌はいつの頃からか、
より過激な派手なだけの改造バイクを量産する母体になっていきます。
※古いバイクは改造バイクのベースとなることが多く、次第に高価取引されるようになっていきます。
中古バイク価格の高騰に油を注いだのは
が、あおったのは価格高騰の原因の一つとして間違いなさそうです。
ちなみに・・
当時有名だった改造バイクショップ(カスタムバイクショップとか言ってた)はほとんど現存していません。
目先の利益だけにこだわった経営だったのでしょうねえ。
ワタクシは一度ボッタクリにあってから二度と行かないことを誓いました。
ワタクシがZ1-Rの前に乗ってた黒いZ2はカスタムショップによって廃車にされましたが泣き寝入りするしかありませんでした。
※ワタクシがバイクショップが嫌いなのはこういうイザコザがあったからです。
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理由2:購買層が懐古趣味でお金持ち


現代のバイクは「お金持ちの乗り物」です。
「貧乏な若者はバイクなんか乗れない」んですよ。
いつの世代も「若いころに憧れたモノはいつまでたっても強烈に脳内に残っている」もんです。
※いわゆる中二脳。いいおっさんでも本質はこの頃からほとんど変わっていませんよ。
そして、
今のようにいろんな選択肢があったわけではなく「全員が同じものを見て、同じものにあこがれた最後の世代」です。
50歳前後の人は
もんです。
※それも超詳しく、濃厚なレベルで。
そして、
50歳くらいの人はバイクブームを知っています。
この頃の刷り込みは強烈です。
余裕が出てきてリターンライダーになる人が多いです。
その際に、
「どうせバイクに乗るなら・・昔憧れたあのバイクに乗ってやろう!」
という思考になっても不思議じゃありません。


CBX400Fのこんなに小さいオイルクーラーでさえ、お国は認可を渋ったんですよ。
もはやお宝扱いのCBX400
特にリターンライダーはずっとバイク業界を見続けてはいません。
相場や程度などの知識はあんまりなく、
販売側に高値を提示されても「そういうもんか」と財布を開いてしまいがちなようですよ。
※いつの世も、どんな世界でも初心者と情報弱者はカモになるもんです。
ちなみに・・
現在のマーケティングは半部くらいは50台前後のアラフィフ向けに作られています。
なにせ、
ので、「この世代をターゲットに仕掛ける方が効率がいい」んですよ。
エネオスの「エネキー」がガンダムのパロディなのはまさにこれです。
※いまだにガンダムネタで商品の宣伝してるものは数多いです。「ザクとうふ」とかも同じ。
それが悪いわけではないんですが、まんまと乗せられてるなぁ・・と思うことは少なくありません。
バイクの世界ではZ900RSや新型のKATANAなんかのメインターゲットはアラフィフですよ。
※あんまり新しいモノがウケないので懐古趣味的な名称や伝説やデザインから脱却できないのがバイク業界です。
理由3:新車が高すぎる


特に、排ガス規制と安全性能関連のシステムには非常にお金がかかっています。
排気ガスをクリーンに
マフラーなどに装備される触媒って「すげえ高い」ですよ。
今の最新技術は知りませんが・・
昔は触媒と言えば「白金」ベースの網場になった管に排ガスを絡み取らせてました。
※古い車の触媒ってくそ高いのはそのためです。
既に、インジェクションで燃料をコントロールしていますが、空冷エンジンは熱が安定しないのでどんどん製造終了に追い込まれていきました。
※ゼファーでさえ生き残ることはできませんでした。


CBはHONDAらしくよくできてるかもしれませんが、かつての面影なし
もうCBの名前にこだわらなくていいんじゃないの?
新しい物に挑戦し続けるHONDAともあろうものが。
メーカーは既存のエンジンをやりくりして開発費を押さえた安価なモデル(いわゆるカウルを外したネイキッドモデルなど)でトータルで利益を出していたっぽいですね。
水冷エンジンを新造する体力はバイクブームが去って久しいバイク業界には残ってなかったようで。
最近の中型250ccクラスの水冷単気筒、二気筒エンジン搭載車が増えるまでの数年間はまさにバイクの氷河期でした。
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86年当時、逆輸入の1100ccで大体130万円位から乗りだせたように記憶しています。
※もちろんワタクシが買えたわけではないのですが。
89年当時、ZZ-R1100(C型)以降馬力規制されるという噂が立ち、147万円(147馬力)で「1馬力1万円かぁ」なんて思ったような気もします。
現在は
くらいが新車バイクの平均相場でしょうか?
※もちろん、特殊なモデルはあるにせよ。
外車勢は300万円近いモデルも少なくありませんね。
※絶対買えませんわ。庶民にはまったく現実的ではありません。
そんな高額な遊び道具、そうそう買えるわけないんですよ。
※今の日本は「趣味のすべてが贅沢品」と言ってもいいくらいなんでも税金掛けていますね。
理由4:新車に魅力がない


同じ名称のバイクでも、レプリカブーム時代のバイクと現代のバイクを比べると・・
「現代のバイクの方が遅い」
ということは多々あります。
まさに、
車業界でいう規制前の車が新型車より速かった「昭和48年排出ガス規制」と同じようなことがバイクの世界でも起こっています。
※オイルショックや排ガス規制というのはアラフィフ世代の先輩方が車で経験済みですのでよく聞かされてたりします。
雑誌やネットでは、新旧モデルの直接対決記事はスポンサー様の関係で実現しませんね。
※何回か新旧モデル対決の記事を読みましたが、エンジンの限界性能では旧モデルの圧勝です。
評価する媒体も忖度しなきゃいけないし大変だわなぁ・・
そういうことを考えると、
雑誌やネットなどに書かれているインプレなんて全くあてにならない
ということが良くわかるよねえ。
新しいバイクに魅力を感じない
昔4気筒乗ってたのに2気筒はねえ・・
単気筒や2気筒は初心者向けだよねえ・・
確かに総合性能では乗りやすくなってるんでしょうけどねえ・・
それにしてはお高いですしねえ・・
というのがアラフィフ購買層の本音です。
特にバイクブーム時代は4気筒でないバイクは肩身が狭く、
規制馬力いっぱいでないバイクはマニアの乗り物とされていました。
というイメージがどうにも抜けないのがアラフィフ世代です。
ちなみに・・
腹が出た体力のない中高年に乗れる極端なセパハンのスポーツバイクは少ないのです(笑)
新型KATANAがアップハンドルなのは明らかに中高年ターゲットだからですよ。
※新型KATANAを上半身がキツイポジションの旧GSX1100Sから変わらないまま出したら中高年は乗れません。


新型カタナはアップハンドルにしたのは正解かもしれません。
KATANAという名称じゃなければもう少し売れた気もします。
唯一無二のデザインだとは思いますが。
そういう極端なものに憧れがちなアラフィフもいるのでしょうが、実際問題として無理です。
となるのは目に見えています。
リバイバル系のバイクがみんな「アップハンドル」なのは中高年ユーザーを狙っているメーカーの良心です。
理由5:ちゃんと手をかけた中古車は高い


乗りっぱなしの中古バイクがまともに動くはずはありません。
それも、
何十年も前のバイクならなおさらです。
手間をかければそれなりに対価が必要になります。
中古と言えどバイクは走る乗り物です。
ちゃんと正しい知識でちゃんと正しく整備しないと危険です。
どんな中古バイクでもまともに整備したらお金がかかるのは当然です。
※中古車の現状販売という考えもありますが、それは自分で整備できる手練れの買い方です。
中古バイクは初期化すべき
中古でバイクを手に入れたら、一通り全部に手を入れることをおススメします。
タイヤをはじめとする消耗品、オイルの状態や各油脂、水物は全部交換するのは基本です。
※まだ使えるとしてもワタクシなら一新します。
特に
10年以上前のバイクなら絶対初期化した方がいいですよ。
出先でのトラブルで困るくらいならまだマシですが、人様に迷惑をかける危険性があります。
中古バイクをまともに動くように整備すれば、
どんなバイクでもそれなりの対価が必要になるってことです。
中古バイクは、新車バイクよりはるかにお買い得感は少ないのがこの点です。
そのバイクの車種に思い入れがない
というのであれば、おとなしく新車を買うのが正解です。
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不人気車も初期化費用は同じ
どんなに安い不人気車の中古車両を安く入手しても、消耗品の初期化の整備料金には大きな差はありません。
タイヤやオイルなどは人気車種も不人気車種も関係ありません。
※高いのは人気車種の固有の外装です。
それに、
不人気車種はパーツがありません。
10年経ってまともにパーツがメーカーから出てくると思わない方がいいですよ。
人気車種のように
という状態と違って、
「部品そのものが既にこの世に存在しない」
という可能性が高いです。
ちなみに・・
車の話になりますが、ワタクシは旧miniERAターボという世界に400台しかないマイナーな車の維持で凝りました。
エアクリーナーですら手に入りませんが、12年乗りました。
※それよりも世の中に整備用のマニュアルが存在しないのにもビックリしました。
あまりにマイナーな車種は維持が本当に大変です。
維持が難しいのは「それはソレで面白い」のですが通勤途中に何度壊れて遅刻したか知れません。
※有休がどんどんなくなっていくのはシャレになりません。
理由6:中古車自体が少ない


というくらい、新車のバイクが全然売れなかった時代があるのです。
現在、中古バイク市場の価格高騰の波のトレンドは「中型車両」です。
そして年式の高い新しめのバイクよりも、古いバイクの中古価格の高騰が目に付きます。
メーカーにラインナップがほとんどなかったので無理もないんですが、特に400cc以下クラスの新車は街でほとんど全く見ませんでした。
長らく
はツーリング先でもマイナーな存在となっていました。
※古ーいマニアックなバイクはたまに見かけましたが。


Ninja250結構かっこいい
このクラスに一石を投じたのは間違いなくKAWASAKI。
中高年やエントリーライダーは、
維持費の安さや取り回しの楽さ、過去の栄光から250ccクラスを求める人が多いです。
ただし、
この新車が売れなかった10年くらい(2005年から2015年くらい)の年式の中古車はほとんど見かけません。
エントリーユーザーが求めるような価格帯の中古バイクは存在しなかったわけです。
2stの維持は困難
中型車両の中でも2st250ccを求める人たちは後を絶ちません。
※やはり2st250ccクラスは軽くてハイパワーで乗ってて楽しいんですよねえ♪
どんなマイナーな車両でも2st250ccクラスというだけで、市場価格は高めで安定、高騰に拍車をかけています。
TDR250やRZ-Rの最終型、NS250F、Wolfなんかまで流通価格が高騰しててビックリします。
人気の車種でも2st250ccクラスのバイクは部品の供給は既に末期状態です。
マイナーな車種はさらに部品調達は困難で維持することも大変だと思いますよ。
※販売終了からこれだけの年月が経ったら無理もないです。
だけでなく、
なども問われてきます。
憧れだけで手に入れちゃうと部品がなくて動かせない
という状態になりかねませんよ。
※当倶楽部の2stオフ車でも部品がないのは同じです。普段から部品を探すのが癖になっています。
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ちなみに・・
中古車両の低迷に時代も750cc以上の大型バイクはそれなりに見かけたように思います。
中途半端な年式の大型バイクは結構割安で流通している気がします。
安くバイクを買いたいのであれば、この辺りの中古車両を狙うとよさそうです。
ただし、
大型バイクを安く買えたとしても、
ので、覚悟はしておきましょう。
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安い中古バイクはあるにはある


ただし、何らかの訳あり車両が多く素人は手を出さないほうがいいバイクと言えます。
ヤフオクなどの個人売買サイトで流通している古めの格安バイクは素人が手を出すと高確率で痛い目に遭います。
輸入車に多いのですが、
何らかの理由で部品の調達が出来なくなった
車種は少なくありません。


アプリリア RX125。いい感じだけど部品ちゃんと供給してくれるのかね?
外車はホントに使い捨てっぽい。
などで、最近のバイクはアッサリ部品調達が困難になります。
※自宅から数百キロ離れていても日本国内に代理店があるだけマシと割り切らないといけない車種もありますよ。
さらに、
というカテゴリで訳あり格安出品されていることが多いです。
それらを手に入れて自分で直すならまだしも、ショップに出すとかなりの対価を請求される車両は少なくないです。
※「書類無」や車体番号が削られているなど盗難の可能性が捨てきれない車両に手を出すと共犯になりかねませんよ。
逆に、
最近の新しめの中古バイクの方が古いバイクよりも安いという逆転現象が起こっています。
※新しいバイクは人気ないんですかねえ。
中古バイクが安くなる可能性


多分、それは後10年はないのではないかと思えます。
その根拠は・・
ゆえに、
10年後も中古の中型バイクは軽いので依然として人気
逆に
大型バイクは60代にもなれば体力的に無理がある
ので余剰気味で安値になる可能性が高いのではないかと思います。


誰にも似てないのがカッコいいV-MAX
ワタクシ的には一押しなんですが。
新規で若者のバイク乗りが増えれば、大型車両も高値安定・・
とは思いますが、現状のバイク業界を見る限りまずありえないでしょうねえ。
それよりも、
今の若者が自分年齢よりもはるかに古いバイクに興味を持つかどうかは微妙です。
オシャレアイテムとしてのバイクは、ちょっと高すぎるので賢い若者は手を出さないんですよね。
※費用対効果とkよほど中高年より知っていますよ、今の若者たちは。
ちなみに・・
現在80年代90年代の中型車両を持っている人は大事にいい状態をキープし続ければ将来資産として化けるかもしれません。
資産を増やしたいという目的でバイクを所有するのであれば、
大型車両より現在手ごろな価格の中型車両がおススメだと思います。
とか言うと財テクっぽくなっちゃいますが、将来のことなんて誰にも分るわけはないのであくまで一意見としておいてください。
※何があっても責任には取りませんよ。
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まとめ


今後しばらく中古バイクの高価格取引の実態は変わらないはずです。
いろんな背景がありますが総すると
「バイクが資産になると気がついちゃった」
業界とユーザーの存在が大きいです。
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過去のバイクの扱いは、
という扱いが普通でした。
※悪徳中古バイク屋はオドメーター巻き戻してた若者をだまして売ってたのは周知の事実です。


CBX1000。大迫力♪
ただし、60代で乗れる体力があるかどうか・・
ところが、
雑誌やメディア、ネットなどで古いバイクをフォーカスし続けた結果
までになっています。
昔の中古バイクの価値観を知ってる人間が見れば現在の中古車価格は異常な状態です。
ちなみに・・
「最近の電子制御のバイクは素人が維持するにはハードルが高すぎる」
「昔のバイクはアナログ的で素人でも整備が出来たので整備する楽しみがある」
という観点で見ると、また古いバイクの方が価値があるような気がしてきます。
※現代のバイクは10年、20年も乗り続けるようにはできていません。
これらの観点で別記事としてまとめてみることにします。
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