そんなバカな!と思うかもしれませんが実際にあるのです。
ぶっちゃけ全車そうかもしれません。
それには「理屈。」があり、メーカーも対策した設計をしています。
オーナーがそれを知らないと・・って話です。
バイクのガソリンタンクに目一杯迄ガソリンを入れると・・
※VTZは左右のタンクカバーがない。
このガソリンタンクは満タンにすると吹き出す構造になっています。
バイクにガソリンを給油する際、なるべくタンク目一杯迄入れたくなりませんかね?
何度も給油するのは手間ですしねえ。
ワタクシもそうです。
なので、
セルフスタンドの場合は、センスタがあるバイクはセンスタをかけて車体を真っすぐにして給油します。
フルサービススタンドの場合は、跨ったまま車体を真っすぐにして給油します。
この方がバイクが斜めにならない分、タンク容量MAXまでしっかりガソリンが入ります。
※エア抜きのため、ちょっとゆすったりすると尚ヨシ。
この方法がどのバイクでもベストだと思っておりました。
でも、
VT250FHでこれをやると、ガソリンが車体下部のドレンホースからダバダバ垂れます。
厳密に言うと、
「ガソリンを満タンにした直後に保管しようとする。」
とガソリンが漏れます。
それは、理屈から言うとどのバイクでも起こりうることです。
当記事は、
「35年前のバイクの話をとっかかりに何をしようというのだ?」
という今更感にさいなまれつつ、自問自答をしながら書いています。
が。
現存する数少ないVTオーナーから すんごいたまに 温かい励ましのメッセージを頂くこともあるので頑張って書くことにします。
※頑張ってひねり出したネタに見えますが、別にネタ切れではないので安心してほしい。
こんな記事もあります▼
ちなみに・・
「給油時にセンスタをかける儀式。」はBMW乗りが良くやりますよね。
初めて見た時は新鮮だったものです。
※国産車では80年代中盤くらいからセンスタがないバイクが普通でしたし。
確かにこの方法ならタンクを真っすぐにできるため、タンク上部までくまなくガソリンを給油することができます。
それに、
バイクから降りて給油し開ければならないセルフスタンドでもガソリンタンクに目一杯給油することが可能です。
この中のバイクでも給油時、センスタ掛けてる人いると思う。
「にゃるほど♪」
と思ってはじめてこの儀式を見たときは目からうろこが落ちたものです。
そして、
ツアラーに特化して進化してきたBMWなだけに荷物満載でもセンスタが掛けやすいらしい。
さらに、
センスタをかけるとちょうどいい具合にバランスして「タイヤが前後とも浮く。」状態になるのも素晴らしいと思いましたわ。
※古いR100RSとかね。超よく出来てる。
いいですな、BMW。
※絶対買えないけど。
省略されたバイクが多いですがセンタースタンドって装備されてると超便利です♪
※出先でチューブタイヤのパンク修理時なんか、センタースタンドがないとバイクを寝かせるしかないですしねえ。
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ガソリンタンクの構造の謎
特にタンクキャプ付近は「どうしてそうなる?」という凝った作りをしています。
VT250FHのタンク洗浄&コーティングの記事でも書きましたが、
このタンクに何か入れると完全に抜き取るのは大変なのですよ。
残ったガソリンを完全に抜くのはもちろん、洗浄剤などを完全に排出する時も同じです。
※ワタクシはタンク洗浄時に内部を完全乾燥させるのにブロアで風を送り続けました。
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それは、
だからです。
のちに聞いたところ、
ガソリンタンクの内部洗浄&コーティングをしてくれるプロでも「VT250FG、FH、VTZはやりたくない。」というくらい面倒くさい作りだそうですよ。
※ヤカンの様な単純な構造のZ750D1のタンクとは大違いですな。
タンク内部のコーティングするのも一苦労だったわけです。
ガソリンコック取付位置は、タンク内部で底面が高くなってるのではないかと思います。
なので、
タンクを真っすぐにしても、完全にガソリンコック取り付け穴から内容物が排出できないのです。
※どんなにタンクを振っても中の液体がちゃぷちゃぷ言ってて抜けない。
ならば、
「タンクを逆さにしてキャップ部から抜けばいい。」
という判断になるのですが、
VT250FHの場合、タンクキャップの取付位置、給油口の真下に円筒形の隔壁が垂直に5cmほどあるのですよ。
この壁にさえぎられて、内容物である液体が排出出来ないのですよ。
※どんなにタンクを振っても中の液体がちゃぷちゃぷ言ってて抜けない。
給油時は、この円筒形の隔壁のおかげで、普通に給油するタンク上部に空気の層ができます。
その空気層の分はガソリンが入っていかない構造になっています。
ということは、
ガソリンが満タンにできない構造になってるわけです。
ガソリンコック付近はともかく、
給油口付近はなんでこういう構造なのかワタクシには不思議でなりませんでした。
※円筒の隔壁を取り去っちゃおうかと思ったくらいですがやらなくてよかった♪
バイクはガソリンを満タンにしてはいけない?
世界のTOPバイクメーカーを驀進していたHONDAですので抜かりはないのです。
※でも、ちゃんと説明しろよって感じです。
普通のバイクのガソリンキャップにはエア抜きの穴が開いています。
ガソリンが自然と落下するようにガソリンタンク内部の気圧を一定にするためです。
要するに「昔の醤油さしの醤油が出る反対側の穴を指で押さえると醤油が垂れないの法則。」です。
※キャップの通気口が詰まるとガソリンが落ちなくなりますのエンストの症状を起こします。
パーツクリーナーやブロアで吹くとタンクキャップの空気の導通を確認できます。
VT250FHも例にもれず、ガソリンタンクキャップに通気口があります。
そして、
どんなバイクでもガソリンタンクが熱せられると内部のガソリンは熱で体積が膨張するのです。
※夏は特に。
これを踏まえたうえで。
ガソリンタンクに目一杯ガソリンが入った状態だと、
で、タンクが熱せられると膨張したガソリンが、キャップの通気口を経由してタンクの外にあふれ出すという寸法です。
こんな記事もあります▼
VT250FG、FH、VTZの場合、タンクキャップを通じてタンクキャップをはめ込む凹部にガソリンがあふれ出します。
タンクキャップがはまる凹みにある穴がガソリンのドレンの穴です。
ガソリンキャップがはまる凹部にはわかりやすくガソリン排出用の穴が開いていまして、
・・という面倒くさい作りになっています。
※初めてタンクを下ろし、エアクリを分解清掃した時、この構造を知ってHONDAの変態っぷりに ちょっと感動しつつも 驚きました。
VT250FG、FH、VTZはガソリンタンク内の上部に存在する空気層が「ガソリンが膨張した際のバッファとして設計されている。」わけです。
VT250FG、FH、VTZは構造的にガソリンをタンク目一杯迄入れてはいけないバイクなのです。
よく考えるとどのバイクでも起こりうる現象なのでVT250FH固有の現象ではないハズです。
エアプレーンタイプのガソリンタンクキャップを装備しているバイクは似たような現象が起こる可能性があります。
そうでないキャップの場合、
ガソリンが膨張すると、ガソリンタンクの表面にガソリンが漏れ出すハズです。
対策はガソリンを目一杯迄入れないこと
ガソリンが溢れないようにする対策としては目一杯入れないというくらいしかありません。
いわば、設計者の意向を汲んでオーナー自身が運用でカバーするのです。
満タンに入れてもすぐに走りだしちゃえば、それほどガソリンの溢れは気にならないと思うんですが。
※でもガソリン振りまいて走ってることに変わりないので危険は危険。
「ツーリング後に自宅の最寄りのガソリンスタンドで目一杯満タンにしてカバー掛けて自宅保管。」
みたいな運用時には注意が必要です。
エンジンはまだ熱いので、しっかりタンクに熱が伝わります。
※タンクの形状はタンク容量確保のため、左右の張り出し部がかなり深くエンジンに近い構造ですし。
こうなると、
もれなく駐車場にガソリンのシミを作ることになります。
ワタクシは一瞬焦りました。
どれも ワタクシが手を入れた場所なので 思い当たる節があります。
※過去記事参照。
こんな記事もあります▼
でも、負圧コックなのでエンジンがかかってない状態でガソリンが供給されるはずはないはずだし・・。
と思ってタンクキャップを開けてみたら、
多めに入れたガソリンに浸ったタンクキャップを伝って、タンクの凹部にガソリンが流れ出してるのを目の当たりにしたのでした。
※タンクキャップを開けたまま、エンジンが冷えるのを待ったら何事もなく解消しました。
こんな風にタンクキャップの下端がガソリンに浸るまで窮してはいけないのでした。
全て理屈があるのですな。
※深刻なトラブルじゃなくてよかった♪
ちなみに・・
バイクの冬季保管の場合、ガソリンタンクに満タンで保管が良いとされています。
これはタンク内部に空間があると外気温の変化でタンク内部で結露が発生して錆びるからです。
※バイクのガソリンタンクはガソリンで常に脱脂されてる状態なので超錆びやすいです。
逆に、
タンク内部を完全に空にしてタンクキャップを開放した状態で乾燥させて保管するという
手法をとる人もいます。
※タンクを外してブロアで吹きまくって乾燥させ、2stオイルを少量タンク内に入れて内部をコーティングするように振りまくるのがヨシとされています。
こうすれば、タンク内部に湿気がたまらないので錆びないというわけです。
少なくともこの頃のバイクは構造上満タンにしずらい。
VT250FG、FH、VTZをの場合は完全に空にもしずらい。
どうすりゃいいのさ?
しかも、
内部の構造が変なのでタンク内部のコーティング作業がスゲエ大変だったし。
だから、
VT250FG、FH、VTZの中古タンクは内部が錆錆のものしか残ってないのか・・。
ゆえに、
現存車両が少ないのも頷けるのです。
新品のタンクは欠品になって久しく、
中古のタンクはほとんどが錆だらけ。
タンクがお釈迦になればバイクは動きません。
そりゃどんどん廃車になりますわな。
中古車業界がスポンサーであるメディアが積極的にVTシリーズを取り上げようとしないのは、
からですな、きっと。
漫画「我が名はウルフ。」の犬神さんがのってたRZ350。
渋い。
荷物の積み方が80年代でワタクシにドストライク。
ライバルのRZ250シリーズが素直な整備性と素直な設計だったのと、
凝った作りでハイメカ搭載のVT250シリーズは対照的なのです。
まとめ
まさにコレですな。
まあHONDAにとってはVTシリーズは意欲作だったのはよくわかるし、意地で開発費投入しまくったエンジンを見捨てたくなかったのも分かる気がします。
でも凝った機構を搭載したバイクというのはその機構自体が仇になって大抵短命です。
10年後、20年後まで生き残ってるバイクは多くありません。
VTシリーズの3代目(細かく言うと5代目)ともなる当倶楽部のVT250FH。
この頃は、妥当RZ!を掲げてスーパースポーツとしてデビューした初代VTと比べるとマイルドになります。
当時のメディアははっきりと「初心者向け。」と表現することが多かったように思います。
※今思えば極低速のトルクは人気のあった250cc4st4気筒車より確実にあるし、軽量でバンク角が深いのでヘアピンが続くような狭い峠などでは有利に走れると思いますが。
それに、
同世代の同クラスの4気筒車より確実に安かったし。
ということは、
メディアの言う通りVTシリーズには女子供のライダーがこぞって乗ったわけです。
「ガソリン漏れたもんだから慌てて撮影したらピントがガソリンに合った。」という珍しい画像。
※撮影失敗ともいう。
そんなバイクの経験値が少なくメカに興味がないユーザーに、
「満タンにした直後にエンジン停止してはいけない。」
とか、設計思想がちゃんと伝わってるとは思えません。
それに、
冬季の保管方法も割と適当だったんじゃないかと思うんですよ。
※長野県は冬季はバイクを保管するのが当たり前の土地です。日本にはそういうところは少なくないのです。
だからこそ、
ちゃんとメーカーや販売店がオーナーの心得を伝えてあげるべきだと思うんですが。
今のバイクでもバイクの納車時のレクチャーやアフターケア的な対応をしているバイクショップって多くないような気がします。
※車と違ってバイクは売りっぱなしのお店が多いように思います。 バイクを店で買ったことはほとんどないけど。
初心者がガソリン漏れてる自分のバイクを見て慌てないハズはありません。
出先でガソリン吹きだしたらパニックになりますよ。
それに、
初心者がタンク内の錆などに気が付くとも思えません。
タンク内部の錆はいろんな不具合を起こすので怖いんですよねえ。
不具合が起こっても初心者ユーザーはまともな判断できないし、ノウハウのないショップなら修理に大金を請求をするでしょう。
そんな修理代がかかるなら廃車か手放すか・・。
こういうのが原因で、
当時の初心者の女子供ライダーたちがバイクが嫌になってなきゃいいんですがね。
というわけで、
新車時もそれほど売れなかったというのもあり 現存数が非常に少ないVT250FHなのです。
まあ、理屈で考えればVT250FHに限らず、
たまたま当倶楽部のバイクたちは満タン保管でもそうならなかっただけであって、
どんなバイクでもガソリンは熱で膨張するので満タンにした直後に保管体制に入る場合は気をつけねばならないのですな。
※ワタクシも長年バイク乗ってきたけど思い知りました。
そういえば、
DT200WRもKDX125SRもエアプレーンタイプのキャップではないけど、タンクキャップの真下は円筒状の隔壁があるわ・・。
バイクは奥が深いのです。
ちなみに・・
VT250EHって何度見てもどの角度から見ても他のどのバイクにも似てないよね。
35年前にレーサーレプリカの様な外装で、
「RVT250。」
という名で主力の4気筒勢と並ぶ選択肢の一つとして売られてたらもっと数は売れたかもしれません。
※それは歴史の「もしも。」です。
主役は牛の置物ではない。
誰にも認められないデザインですがオリジナルっぽくてワタクシは好きです。
バイクの選択肢なんてのは自分がいいと思えば誰が悪口言ってもいいと思うのですよ。
今では信じられないくらい人気があるZ1-Rだって30年前は「ダセえ。」と言われて不人気車でしたし。
時代とか価値観とか常識というのは結構変わるもんなのですよ。
とりあえず、
VT250FHで出かけると休憩時に「オヤジキラー。」となるのは確かなようで、
Z1-Rに乗ってる時よりはるかに「懐かしい。」と声をかけられる回数が多いです(;^_^A
「昔乗ってた。」
とかさ。
なんだ、皆懐かしいんじゃんか(笑)
いやだな、ちゃんと言ってよ。
できれば、
そういう場で「満タンにしちゃいけない。」みたいな実際オーナーだった人しか知らない情報を教えてくれると嬉しいのです。
35年前のバイクのそんな小ネタみたいな情報はネット上にほぼ無いのですよ。
いちいちワタクシが実体験して検証してるとか大変すぎるし。
※当然、ワタクシの近しい仲間でVT250FHに乗ってる(乗ってた)人なんか皆無ですし。
初期型のVT250FCに乗ってたHさんがいるけれど、
乗ってた当時は思いっきりギャルだったらしく、メカには完全に興味なしだから情報なんか持ってないし。
※初期型とはだいぶ設計思想が違う、というのもあるしねえ。
さて次はどんなビックリがあるのだろうか。
こういうそのバイク独特の小ネタ系を一個づつ攻略していくのは面白いんですが、もう少し効率よくノウハウを蓄積したい。
※当倶楽部の所属バイクはそういった小ネタをワタクシが実際に経験した上で時間をかけてノウハウにしているので長生きなのです。