
空冷も水冷も、単気筒も4気筒も、フルカウルもノンカウルんもみんなZです。
なんだこれはということでちょっと整理してみました。
あくまでもワタクシの個人的な考えですが。
ブランドのZと型式のZがある

どっちもZなのかって話です。
初期の型式にZがつく車種は車種名も型式も「Z」がつくのです。
ZとかKZという型式が。
Zという型式はZ1を始祖とした系列で始まったわけです。

Z1。900SuperFour。
すべてのZブランドはここから始まったわけです。
が。
最近はZX系とZR系と分かれていて、
というのが大まかな型式っぽい。
ただし。
ZR系には車種名にZがつかないものも結構あるのです。
バリオスとかER-5(マイナー♪)とか。
ゼファーもZEPHERだから一応はZがつくものの、型式はZRです。
ゼファーが登場したときにかつてのZ1系のようなスポーツモデルではないとカタログに記載があったので、
当初のKawasaki的にはZ系の直系ではない位置づけだったと思われます。
まあ途中からゼファーが盛り上がっちゃったので何となくZに寄せていった、ということなのでしょう。
※それでもZEPHERの存在価値はあるとワタクシは思うのです。
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参 考 【ゼファーはZなのか?】今だから言える「ZEPHYR」の存在価値
ゼファーよりちょと早い時期にKawasakiはZから脱却しようともがいておりました。
新しいブランドを作りたかったっぽい。
それがGPXシリーズです。
当時、GPXシリーズは250ccから750ccまでのラインアップでKawasakiはめちゃめちゃ力を入れて売ってましたな。
その時のカタログには「Zは終わり。これからはXだ。」みたいな文言があったように記憶しています。
※GPZ250Rから続くGPX250RのエンジンはZZR250を経てNinja250になったりして長寿エンジンですけどね。
GPXシリーズは結構売れて街中でも見かける機会は多かったのですがねえ。
ただし、
コアなZのファンには受け入れがたかったようで。
※この頃からすでにZ1系のマニアは結構いたのです。ワタクシはマニアではなかったけれど。
で。
GPXシリーズは1代で各排気量クラスから消えることに。
次いで出たのがZXシリーズ。
ZX-4とかZX-10とか。
※Zが復活してんじゃん、って感じでした。
これも結構売れたんですがその次の世代のZZRシリーズになると一旦車名からXは消えるのです。
で。
別路線としてZXRシリーズが250ccから750ccまで展開されたのです。

ZXRだけ初期型の画像が手に入る要りませんでした・・初期型はガチャピンと呼ばれていました
ZXRシリーズも今はほとんど見かけませんな。
ZXR750にちょっと乗ったことあるけど、速すぎて免許がヤバイと思った。
このあたりでKawasakiはZとかXとかのブランドはどうでもよくなってる気がしますな。
ちなみに・・
Kawasakiも何度かZの栄光にすがらないように頑張った気配はあるのです。
といろいろ努力が見て取れます。
が。
90年代後半にもなるともう適当になっていきます。
過去の栄光ブランドを自社のバイクに節操なくつけていきます。
例えば。
ストリートファイタースタイルのZ1000。
あれってもともとザンザス1000だったらしいね(笑)
そう言えば何となくそう見えなくもない。
不人気のザンザスをでかくしても売れねえってんで急遽Zブランドに。
例えば。
新生のW650。
あれってもともとエストレヤ650だったらしいね(笑)
それを当時英国車を駆逐して世界戦略機だったWブランドに。
もはや何が何やらなのですよ。
ところが。
ゼファーから数十年後にでたZ900RSは車種名にZがつくけど型式がZR系。

Z900RS。Z1と並べるとずんぐりしていますな。
確かにパッと見は似てる。
Z900RSはZか?
と言われると定義的には微妙なところではあるけれど、
Kawasaki的にはZであると言いたいのかもしれませんな。
もはやKawasaki自体も何がZなのかわかんなくなってる気もします。
※何言っても勝手に世論が盛り上がるので明言はしないのかもしれません。
最近のガンダムが全然ガンダムじゃなくてもガンダムって言っておけば売れるみたいな商法に似てるように思います。
※敵のモビルスーツが全然モビルスーツっぽくない。もはやガンダムって看板がないほうが自然だと思うし。
なんだかこの路線な気がします。
既に日本は新しいコンテンツが作れない国に成り下がったんですなぁ。
性能を求めた世界戦略機がZ?

この系統が現代でいうところのZXに発展したものと思われます。
ZというブランドはKawasakiのものだから好きにやればいいんじゃないかと思いますが。
ZやWというのはその時代の最高性能を目指したフラッグシップモデルに与えられて、
そのブランドが確立した後でラインナップ展開をした経緯があります。
※Wは展開が少なかったですがZはたくさん展開しましたな(笑)
確かにZ1系は長らく世界最速を誇ってたし、
その後の水冷GPZ系エンジンも長く世界最速を誇ってたのでそれぞれの車種にファンがいる。
ゆえにZというのは高性能でいいものだ♪
というのが市場の評価であってユーザーの信頼のあかしなのかもしれません。

Z1-R。当時のカタログから。なんとイメージはポルシェ。
あんなに乗りにくいZ1-Rだって高速性能をうたったカタログだったしねえ。
が。
最近のZX系は独自の進化を遂げています。
ZX系のバイクはセールス的にはZ900RSに及ばないとしても、性能的には第一線のものばかりです。
ZX系のバイクは車種名にZがつくとはいえ、過去のZ路線とは違う新機能や新デザインを与えられていますね。
Kawasakiがやりたいのはこれなんじゃなかろうか?という気すらします。
これはこれで面白いけれどZXの名称を持つ最初のバイクであるZX-10はツーリングバイクだったんだよねえ。
※ワタクシの師匠も乗ってたし。大雨の高速道路でも超安定してたのが印象深い。
今のZXシリーズはスーパースポーツ系・・と思ったら、アルティメットツアラーのZX-14Rがあるね。
ZX-14RはZX-10の進化版なのかしら。
※それにしてもアルティメットツアラーとか言い出したやつ、呼んで来い。我々世代はバトルツアラーといったもんだ。
ZX-14Rも目指すところは最速ツアラーとして世界を取ろうとした意欲作です。
世界戦略機としてZX系に分類される資格はあるかもしれませんな。
ZRの不思議

型式にZは付きますがもうごちゃまぜ的です。
排気量もシリンダー数もまちまちです。
ZR系にはカウル付きもノンカウルもアップハンドルもセパレートハンドルも存在します。
性能重視というかパフォーマンス重視のZX系とは違って、ストリート系なら何でもありなのがZR系です。
面白いことにZR系のほうが昔の車種の模倣度が高いのですな(笑)
そのほうが売れるとはいえ、
ZR系のバイクは昔のZをイメージしたカラーリングとかデザインを強調させるような傾向が強いです。
ゼファーからZRX、Z900RS、Z650RSなんかの系統がそれです。
火の玉カラーとかイエローボールとかローソンカラーとかザッパーカラーとか。
※ZRXやZ900RSカフェにはZ1-Rっぽいカラー(スターダストシルバーメタリック)もある。

Z650RS。一瞬古いバイクに見えるのはさすが。
外装はZAPPERのZ650っぽいですがエンジンは水冷2気筒。
90年代ならまだしも、現在はこの辺りの車種を買うのは中高年ライダーが多いように思います。
※若者は新車の高いバイクは買えないのではなく買わないのですよ。
中高年のライダーは若いころからメディアによってカスタムバイクや旧車万歳記事を刷り込まれた世代です。
その頃に流行ったバイクのイメージが強いほうが売れるんでしょうねえ。
※当倶楽部のガレージにも当時の資料が山ほど保管してあります。
感受性が強い若い時代に刷り込まれたイメージは中高年になっても強烈に人生に影響するって話です。
人間は16歳から18歳くらいに聞いた音楽が一生頭に残ってるそうなので、それと同じっぽいです。
※この辺はマーケティングとか心理学とかそういう話になりそうですな。
とはいえ。
ZR系のバイクは性能的な第一線を目指したものではなく、街乗り&ツーリング志向が強い車種に見えるのです。
サーキットでの性能を追求すれば必然的にレプリカっぽくなるのですが、普段使いに重きを置いた設計に見える。
ゆえに。
当時世界戦略機だったZとかKZの性能はZX系に引き継ぎ、
見た目とかデザイン的なものはZR系に引き継いだといえばわかりやすいのかもしれません。
GPZ400RくらいまでKawasakiはレプリカとは一線を引いたメーカーだったので、
ZR系はその流れを踏襲しているのかもしれませんな。
ちなみに・・
ZR系は走行性能を追求するより街乗りで都合がいいようなポジションやスタイルのバイクが多いのです。
が。
ZX系に比べてZR系のバイクに乗ってるオーナーのほうが性能向上的な改造をする割合が高いように見えます。

まさにこのZ1-R色がZRX1100のイメージカラーです
あれだけ売れたのにZRX1100も現存してる個体はすごく少ないよね。
ZR系に百万円突っ込んでもZX系の性能には届きませんよ。
断言しますが走行性能が欲しければ最初からZX系を買って純正で乗るほうがはるかにコスパもタイパもいいです。
それでも高価な 効果が有るか無いかわからないような パーツを買い集めてZR系のバイクの運動性能を高めようとする。
見た目が古臭いバイクに今どきの性能・・という理想形を追求するのもわかりますがね。
かつての第三京浜じゃあるまいし、目立つ目的のためにまだ動くパーツをわざわざ付け替えるのはもったいないですよ。
とはいえ。
こういう人たちにカスタムバイク市場は支えられているのですなぁ。
そもそも、
ZR系だって今どきのバイクですので普通のユーザーが公道で楽しむには十分すぎる性能ですので、
バイクの改造は乗りつぶす覚悟がなければ損ですよ。
いい大人が乗るバイクにうるさい社外マフラーをつけるのは論外です。
※そういうのは子供がやるからかわいいんですよ。
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2気筒Zの台頭

今型式にZが入るバイクは2気筒のほうが多いのでは?
コレも時代の流れなんですかねえ。
確かに昔もミドルクラスでZ750TとかGPZ400Sといった2気筒のZはありました。
それを否定するわけではないけれど、
それらは「明確にZっぽくなかった。」のよ、ワタクシ的に。
2気筒は走れば楽しいし軽くて楽なんだけれど、Zの持つ威風堂々とした迫力がイマイチ薄いのです。
※ゼファーのほうが迫力があるけどGPZ400Sよりたぶん遅い。

Z1-R。
シリーズ中最も華奢なイメージのZ1-Rでも4気筒なのでそれなりに堂々とはしていますな。
2気筒Zは実用的で安いので海外ではベストセラーだったりしたようだけど、日本国内では全然見かけませんでした。
※事実2気筒のZは日本では 存在を知らない人も多いくらい マイナーな存在でした。
日本人は極端なバイクとか見栄が張れるバイクが好きだからね。
昔から玄人好みの車種は受けないのよ。
それでも。
ワタクシ個人としては650ccクラス以上はやっぱり4気筒が欲しい気がします。
※Z650RSはやっぱりちょっと違和感がぬぐえない。近所のお寺の小坊主が買ったのを見せてもらったけど。
中間排気量の定義はむつかしいけれど、最近は750ccもミドルクラスらしいね(´;ω;`)
今となってはミドルクラス以下のバイクで4気筒は探すほうが大変。
一時期は250ccクラスでも4気筒以外を選ぶのが大変だったんだけれど、これも時代の流れなのかもしれません。
250ccクラスでは古くはZ250FTとかZ250FSとかGPZ250Rってのもあったんですがね。
※いずれもマイナーなので現存してまともに動く個体は数えるほどしか残ってないんだろうねえ。
ちなみに・・
HONDAのCBのデザインの迷走は見てて悲しくなるレベルですな。
今や何でもCBにしちゃう。
Kawasakiのように古臭いデザインでZブランドを引っ張り続けてるのとは違う感じはあるけど、
それならCBの名前は卒業してもいいんじゃないかと思っちゃいます。
KawasakiにはZやWというブランドがあるけど、HONDAはCB以外のブランドが薄いのかもしれませんな。
Kawasaki以上にCBの呪いから抜けられないように見えます。
※その割にはGB350は企画製造元のインドではCB350なのにわざわざGBにしたりして変なの!
そういえば、
昔のHONDAには50ccから1100ccまで全クラスにCBがあったしねえ。
シリンダー数も単気筒から6気筒までいろいろでした。

CB400T HAWK

CBX750F。

CBR400F。
これらは全部CBだよ。
CB-Fデザインが流行ったときはみんなそんな感じのデザインになったしねえ。
一時期はスポーツ系はV型に譲ってCB系はツアラーっぽく進化したり。
時代のニーズとともに変化してるのかもしれませんが。
HONDAのCBはKawasakiのZ以上に節操がないかもしれませんな。
世界一のバイクメーカーなんだから新しいブランドを模索すればいいのに。
※HONDAがあれだけこだわってたV型エンジンの市販車はほぼ絶滅してるしねえ。
まとめ

なんでもいいのよ、売れれば。
昔のブランドに頼っても。
昔のデザインを模しても。
最速を目指しても。
街乗りに振っても。
Zという名称や型式ならぜんぶZかもしれません。
Kawasakiも営利目的の企業なので売れて儲けなければいけません。
ZX-25RやZX-4Rの開発費も回収しなきゃならないし。
ユーザーやメディアがどう言おうとメーカーがZであると言えばそれでいいのです。
メーカー監修のZの歴史みたいな本は出さないほうがいいでしょう。
何もしなくてもファンの間で勝手にZ論争を繰り広げて盛り上げてくれるんだし、
雑誌でそういう特集やムック本が売れればまた盛り上がるしね。
「Zであるかどうか?」
なんて、
ユーザーがやいのやいのいうことではないのです。
Zの定義はガンダムと同じで
という中高年が大好きな趣味世界の王道パターンに見えます。
メーカー以外のメディアやファンが勝手に定義付けて一喜一憂してるだけでいいのです。
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そんなこんなでZブランドは50年近くKawasakiを支えてるんですなぁ。
最近はメグロブランドまで復活させてねえ。
やるな、Kawasaki。
売れなければ企業が立ち行かないので売れれば何でもいいのかもしれませんな。
こういう記事を書くと、
あくまでもワタクシの個人的な考えだって言ってるにもかかわらず 大抵文句のお問い合わせが来るのですが、
これもZとかそういうブランドの信者というか熱烈なファンがいまだに多いということですな。
ワタクシも長らくZ1-Rに乗ってる身なのでZは嫌いじゃないのですが、
休憩時に話しかけてくるZマニアによる最近のZ系に対する話になるとちょっと面倒くさかったりします。
※なので最近のツーリングでは誰もいない田舎の商店の前の自販機とかでひっそり休憩したりしています。
まあ何でもいいのよ、当人が満足して好きなバイクに乗ってれば。
どんなマイナーなバイクでも。
Zであろうがなかろうが自分だけが気に入ってれば。
※どんな不人気車でも30年乗れば名車になるし、レア車になるのですよ。
ちなみに・・
新しいKawasakiのブランドとして、
ザンザスやエストレヤを改めて確立しても良かったんじゃないかと思うのですよ。
※ザンザスやエストレヤがいいかどうかは別として。
あまりにZやWというブランドイメージが強いため、
Kawasakiの車種の方向性が決まっちゃった、みたいな感じすらします。
新しいものを出して新規に市場の評価を得るより、過去のブランドに頼ったほうが安全ですからね。
これは呪いに近いかもしれませんな。

Z1-R。
ワタクシも呪われてるのかもしれませんな。
普通の素人はここ迄やらんよ、とプロに言われました(笑)
Kawasakiはその呪いがある状態でもZX系とZR系という使い分けをしたのはすごい発明かもしれません。
メカニズム的にはZ900RSは全く以前のZっぽくないけれど、
見た目がZっぽいからこれはZで良し!というKawasakiの割り切りがすごい。
※Zの呪いの範疇を出てない気はしますが。
ブランドを背負ったまま、
極端にブランニューしてもSUZUKIの新型KATANAのように市場のウケがいまいちよくないこともあるしねえ。
現在でもGSX1100Sの原理主義者は怖いくらいたくさんいるので総スカン食らったのかもしれませんな。
※どうしてもデザインコンシャスのモデルのリニューアルというのはむつかしいのよ。 ワタクシはGSX750S3が好きですが。
ま、ワタクシの考えなんてどうでもいいんですがね。
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