グリスアップしてますか?
どこにどんなグリスを使えばいいのかイマイチわかってない人が多いです。
今更聞けないグリスの種類と使い分けを記事にしてみました。
おお!そうか。
ポンと膝を打ってもらえるような記事になってればいいんですが。
・・頑張ります。
当記事の目次
機械を正しく作動させるためにはグリスアップは必須
バイクや車は機械の塊です。
作動部分がきちんと作動することが大前提です。
そのためには、各部のグリスアップは必須のメンテナンスです。
グリスアップすべき箇所にグリスを塗布するだけなんですが・・
これがまた結構ないがしろにされています。
※グリスアップせずに乗りっぱなしのバイクは大抵寿命が身近です。
というのも、グリスアップは
実は結構面倒くさい
んですよ。
言葉でいうと簡単ですがこの工程には分解・清掃という面倒くさいうえに汚れる作業が付いて回ります。
結構簡単なんだけどねえ・・
ただし、
面倒だからと言って動きが渋い箇所のグリスアップを怠ると
いいことは一つもありません。
各可動部が正しく動くだけでバイクや車は驚くほど軽快に動くようになります。
おススメのメンテナンスというか、年に一度程度は行うべき作業だと思っています。
※旧車だからと言って作動個所の動きが極端に重いわけないです。ほぼ確実にメンテ不足です。
ちなみに・・
最近の車やバイクはかなりメンテナンスフリー化が進んでいます。
素人ではグリスアップすらもできないような複雑な構造になってたりします。
※非常にツマンナイ作りです。
グリスアップをはじめとするメンテナンスって本当は
というとても楽しい作業なんですよ♪
用途によって使い分けるのがグリス
グリスアップする、といっても多種多様なグリスが存在します。
違う用途の箇所に使うと逆効果どころかかえってパーツを痛めることがあります。
グリスアップするにしても最低限の知識は必要です。
メンテナンスする人は普段から数種類のグリスの用意はしておくべきです。
※メンテナンスレベルが上がるとともにグリスの種類も増えがちです。
ケチらずガンガングリスを使います。
グリスは大きく分けて3種類に分類されます。
※バイクや車の素人レベルメンテではスプレー式と半固体式があれば十分です。
乗り物の整備にはモリブデングリスは必須
モリブデングリスは安くて多用途なので常時ガレージにはストックしてあります。
耐圧性能や耐熱性能に優れています。
大抵濃いグレーのグリスです。
モリブデングリスはサスペンションなど強い荷重がかかり摩擦、摩耗が起きやすい部分に使います。
比較的耐熱が高いのでドライブシャフトなど厳しい潤滑箇所におすすめです。
※バイクや車のメンテには必須のグリスです。
安くいのはグリスガンにセットして使われるため、蛇腹チューブに入っています。
※古い車やバイクには、グリスニップルと呼ばれるグリスアップ用の給油口が付いています。
別にグリスガンを使わなくてもチューブのまま普通のグリスとして使えます。
これで十分ですよ、高級なの買わなくても。
耐荷重、耐熱に優れるので具体的には荷重がかかるところに向いています。
バイクでいうと、
他にも、
粘度があり流れにくいので非常に多用途で使えます。
当倶楽部では、グリスといえばモリブデン♪というくらい多用しています。
※比較的安いので使いやすいです。
ちなみに・・
モリブデン化合物は自然の鉱石です。
この鉱物に荷重がかかりバラバラになると針状になる特徴があります。
針状になったモリブデンがシャフトや軸受けに入り込みます。
モリブデン自体が削れることで摺動部の金属の摩耗を防ぐという仕組みです。
※飲み屋で語っても全然ウケない系知識ですが、車やバイク乗りに設けません。なぜですかね?
ゴム系の部品があるところにシリコングリスあり
ゴム製の部品のグリスアップと言えばシリコングリスです。
値段はかなり高額ですので買うのに勇気がいります。
※とはいえ数千円程度です。
安い5gとかだとあっという間に使い切っちゃいます。
バイクメンテでは大き目の方がコスパがいいです。
シリコングリスはとにかく、ブレーキ周りなどゴム製品を多用している場所に使える唯一のグリスだと思っていいです。
バイクや車以外だと
にもよく使われます。
※スプレー式のシリコンスプレーも超使い勝手がいいです♪
バイクや車のブレーキ関連のメンテナンスには必須です。
に多用します。
バイクを新車で購入すると、
フロントブレーキのマスターシリンダの摺動部のゴムカバーに白いグリスがたっぷり塗ってあります。
これがシリコングリスです。
※この場所のグリスがなくなってたら速やかに追加しておいた方がいいですよ。ゴムカバー破けるとフルードの傷みが早いです。
シリコングリスを使わないとゴム部品を痛めます。
他のグリスを使うとゴムがベロベロに伸びたようになります。
※特にブレーキ周りにシリコングリス以外を使うのは危険なのはこのためです。
万能っぽいですが、シリコングリスは金属同士の摺動部には向きません。
あくまでもシリコングリスはゴム部品の保守とゴム部品の劣化+摺動補助くらいの位置づけです。
シリコングリスも当倶楽部ガレージには常時ストックしてあります。
その他、シリコン系のアイテムは多目的に使えて超便利です♪
例えば、
バイクのタイヤ交換する際に、ビードが出ないときにスプレー式のシリコングリスを吹くと出やすくなります。
オフロードバイクの外装の光沢復活に一時的ですが効果があります。
※より長期間光沢を維持するのは実は別のアイテムがあります♪
チェーンルブはチェーンを潤滑するだけではない
チェーン用のスプレーグリスです。
粘度が極めて高いのでチェーンの回転で遠心力で飛び散りにくいです。
当倶楽部では毎年2本以上は絶対使います。
こんなもん、ネットで買わずに安いのでホームセンターで買いなさい。
粘度が高いとはいえ、しょせんスプレー式です。
実際は結構チェーン周りに飛び散ります。
チェーンガードレスのバイクは、チェーンの回転軌道の延長上にグリスとゴミの混合物が飛び散ってきたないです。
※チェーンガードレスのバイクは雨天だと、とんでもない汚れ方をしますよ。
そりゃチェーンのオイルもなくなるわ。
チェーンって「フリクションロス(稼働抵抗とでも訳しますか)」の宝庫です。
抵抗になります。
雨天走行後は全周にわたってチェーンルブ差しておきましょう。
チェーンの寿命が全然違います。
チェーンが痛むと
等いいことありません。
※こういうメンテできてないバイクはダサいです。
バイク用のチェーンって結構高価です。
大事に使えば、今どきのシールチェーンは5万キロくらいは余裕で持ちます。
※雨天で走行したり、林道走行したりしたら清掃後チェーンルブ吹いておくことは必須です。
ちなみに・・
バイク用のチェーンは、
に分けられます。
シールチェーンは、チェーンのローラー内部にグリスが封入されています。
ので、
駆動抵抗が大きいですが寿命が圧倒的に長いです。
※チェーンサイズにもよりますが結構高価です。
ノンシールチェーンは、駆動抵抗は少ないですがすぐ伸びます。
にはノンシールチェーンが使われています。
こちらはそれほど太いチェーンはありません。
多分大馬力のバイクに使ったら切れます。
そして、びっくりするほど安価です。
排気量にかかわらず、一般に公道で使うのであれば当然シールチェーンがおススメです。
というかシールチェーン一択です。
一家に一本!CRC-556などの潤滑スプレー
万能的なイメージがあるスプレー潤滑剤も広い意味ではグリスです。
可動部が渋くなってきた箇所にスプレーしておくだけでもだいぶ違います。
ただし、
のでもともとあるグリスを流しちゃうという欠点もあります。
※シールチェーンの内包グリスを流しちゃうんですよ。
ホームセンターなどでたまに安売りしてるので一家に一本あってもいいですね。
ちなみに・・
CRC-556をはじめとする潤滑油スプレーは各ワイヤーのメンテで最初にケーブル内のごみを洗い流すのに便利です。
ワイヤーインジェクターとCRC-556などの浸透性の高い潤滑スプレーを使って、ワイヤ内のゴミと古いグリスを洗い流します。
良くネットで、
「ワイヤーインジェクターはCRC-556などを指しても逆流して吹きだすので使えない」
という書き込みを見かけます。
ワイヤーインジェクターは逆流するものです。
そんなことでいちいち目くじら立てる方がおかしいんですよ。
逆流するなら、しないように工夫すればよろしいのです。
逆流する原因を突き止めれば逆流を最小限に抑えることが可能です。
これほど簡便かつ手軽にワイヤー内に注油できる機器はありませんよ。
ワイヤインジェクタ使えないのでワイヤーに注油しなくていい、という論理にはつながりません。
「使えない」のであれば「代替案」を検討すればいいと思うんですがネット上ではそこまで言及してる人は皆無です。
話がそれました。
CRC-556とワイヤーインジェクターを使い、ワイヤーを洗浄したら、チェーンルブをワイヤインジェクタでケーブル内に塗布します。
※洗浄能力の高いCRC-556で洗浄後、粘度の高いチェーンルブで油膜保護という作戦です。
ワイヤメンテは雨天ツーリング後にやっておくと効果的です。
でも10年も使ったらワイヤーは新品に変えちゃった方が絶対的に軽くなります。
古い車によくあるワイヤーのケーブルが抜けるタイプならケーブルを引き抜いて清掃した後、モリブデングリスをインナーケーブルに塗りたくったりします。
※ロータスヨーロッパのスピードメーターケーブルの動きが変だったのはケーブル内のグリス切れでした♪
万能グリスと呼ばれるグリスはイマイチおススメしない
薄いクリアイエローの万能グリスは経年劣化で硬化します。
リチウムグリスと呼ばれることもあります。
安価なので大きいパックを購入しがちですが個人で使う場合は大抵使いきれずに経年劣化で硬化します。
そう。
グリスのくせにしばらく環境負荷の高いところに放置すると硬化するんですよ、コレが。
素人メンテで大量に使いきれるわけでもないし不要です。
※硬化してもボルトの錆止めくらいには使えますが。
個人的には
する厳しい環境にさらされる車やバイクでは使えないと思っています。
※屋内の椅子の回転部などに使うのは良いと思いますが。
万能とうたっていますがモリブデングリスでカバーできます。
わずかなお金をケチって大きな出費になる気がします。
ちなみに・・
バイクのスピードメーター検知用のギア部(フロントホイールについてるやつです)に万能グリスを塗りたくるというか詰めてる人がたまにいます。
すぐにでも止めた方がいいですよ。
この部分、結構熱的に苦しくそれ以外の環境的にも厳しいものがあります。
グリス自体が硬化して動きを妨げるというかかえって動きが悪くなります。
そのまま使い続けるとグリスが抵抗になって・・
などの弊害が起こります。
セロー225のレストアでも万能グリスがメーターギアに詰められていました。
メーターの動きがおかしかったのは古いグリスのせいでした。
みたらメーターギアの動きが見違えるほど軽くなりました♪
バイクや車ではあんまり使わないカッパーグリス
ブレーキの鳴き止めに効果があると言われています。
ワタクシはブレーキの鳴き止めに効果を実体験したことはありません。
コレも結構高いグリスです。
まあ、銅が含有されてるっぽいので高いのでしょう。
一般にはあんまり流通してませんな。
ブレーキの鳴き止め以外には、
などに使われています。
※ワタクシは面倒くさいので、全部モリブデングリスで代用しています。
エンジンを全部ばらすのであれば、シリンダー周りのスタッドボルトなどに塗る意味はあります。
とはいえ、
かなり重整備しない限り不要です。
グリスアップでやってはいけないこと
グリスには種類によって得意不得意があります。
それを理解したうえで使いわけしないとメンテナンスが裏目に出ます。
などなど、使い分けが必要です。
逆にこれだけ知ってりゃいいような気もします。
ちなみに・・
ブレーキディスクやブレーキパッドにグリス付けたりワックス掛けたりするとブレーキ効かなくなりますよ。
※当たり前ですが。
なので、
グリスアップ作業時には、
は用意しましょう。
よろけて蹴っ飛ばすと元も子もないですが。
グリスアップの際にはパーツクリーナーは必須です。
ブレーキなどに付いたグリスを洗い流してくれます。
パーツクリーナー(ブレーキクリーナー)は整備するにあたって何本あってもいいので、安売りしてる時に大量購入しています。
※当倶楽部には常時数本以上ストックしてあります。(箱買いしてます)
まとめ
素人レベルのバイクメンテナンスで必要なグリスはそれほど多くないです。
エンジンの分解などの大整備をしない限りそれほどの種類を常備する必要を感じません。
なので、
くらいあれば問題ありません。
あんまりたくさんの種類持っててもうまく使い分けられなければ意味ないですし。
最初から全部そろえなければメンテナンスできないなんてことはありません。
稼働個所を分解せずにスプレーを吹き付けるだけでもだいぶ違います。
できれば分解・清掃後にグリスアップすると各部の操作系が軽くなります。
特に古いバイクや車の分解清掃・グリスアップは超効果があります。
※旧miniは最低でも半年に一度は必ず足回りのグリスアップが必要です。
古い車やバイクが流行っています。
それらのメンテナンスでは分解・清掃、グリスアップは必ず通る道です。
マメさには自信があります。
グリスアップのメンテナンスはやり遂げた後の満足感が高く、費用対効果も高いです。
しかも簡単です。
こりゃ覚えるしかないですね♪
こうやって少しずつ、古いバイクや車にはまっていくんです♪
「人生は山あり谷あり沼もあり。」
名言です。
※長くなったのでリクエストがあればそれぞれのグリスについて別記事にします。