過去記事参照のこと。
ハンドリングの酷さ以外にもZ1系バイクではZ1-Rだけの特徴で乗りづらくなっているポイントがあるのです。
個人的にZ1-Rは「過渡期の実験機。」だったのでは?と思っています。
当記事の目次
Z1系エンジンは意外と低速トルクがない
生意気にも高回転型エンジンと言えます。
この当時は馬力を稼ぐにはこうするしかなかったのかもしれませんが。
Z1-Rの乗りづらさの理由は当ブログの
について書いた記事を参照のこと。
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Z2を二台乗り継ぎ、Z1-Rに30年近く乗ってるワタクシは確信をもって言うのです。
「Z1系エンジンは排気量のわりに低速トルクが意外と細い。」
のですよ、と。
とか言われることがあります。
そもそもZ1とZ2ではストローク量も違うので比較はむつかしいのですがワタクシに言わせりゃ
「両方とも排気量の割に低速トルクは薄い。」
バイクです。
最近のバイクの低回転からモリモリ湧き出すようなトルク感を知ると、
Z1-Rなんかただのしつけが悪く乗りづらいバイクという印象になるくらい低速トルクは薄いです。
停止からの0加速ではそれなりに意識してハンクラ使わないとエンストしそうになります。
このデカいエンジンがねえ。
Z1系エンジンの開発当時は
「何が何でも最大パワーをあげろ。」
という開発方針だったようで当時としては極めて大馬力の高性能を追求したらしいですな。
なので。
Z1と言えども排気量の割に低速トルクは薄いのです。
昔のエンジンだしね。
当時としてはそれなりのレベルの低速トルクだったのではないかと思いますが、
「今どきのバイクと比べると重さのわりに明らかに低速がなく乗りづらい部類。」
に分類されるはずです。
4気筒の特性
基本的に並列4気筒バイクは低回転域のトルクは薄いのです。
基本的に一般道では実は最大馬力より定速からトルクがしっかり出てるエンジンを搭載したバイクの方が乗りやすいのです。
街中ではハンクラもそこそこに低回転からドロドロと加速していくのはラクチンですし、
峠などのストレートが短く加減速を繰り返すような状況でも極低速から盛り上がる低速トルクというのは非常にありがたい。
長距離走ったり荷物を積んだりするならなおさらです。
新しいモデルほど低回転時のトルク感は調整されて乗りやすく進化するのですが、
高回転まで回してなんぼの並列4気筒エンジンです。
極低回転時のトルク感については意外と語られないし、そんなもんだと思ってるライダーは多いのです。
普段4気筒に乗ってる人が単気筒やツインの低回転時のトルク感を知るとビックリします。
※そして軽くて細くて乗りやすいのにもビックリするはず。
それでも、
ユーザーはデカくて重くて大きくてバンク角がない4気筒バイクが大好きなのですな。
実は4気筒は非常に贅沢なエンジンなのですが、
日本車は4気筒エンジンとともに進化してきたと言っても過言ではありません。
かつては並列4気筒エンジンがジャパニーズバイクのスタンダードだったのですがそれももう過去の話になりつつありますな。
ともあれ。
Z1の頃は4気筒ツインカムエンジンの黎明期。
当時としては画期的な高性能エンジンでも今のレベルから見ると相当ガサツなエンジンとも言えます。
※だからこそワタクシごときがバラシて組むことができるんですがね・・。
当倶楽部ではこれくらい普通にやります。
当時のZ1エンジンは最大馬力を求めた最新型で進化はこれからだったわけで、低回転域でのトルク迄は気が回ってない。
ここからまた進化していくのですが、Z1系エンジンは低速トルクが排気量の割に頼りないのです。
※50年前の設計のエンジンを搭載したバイクの多くが今でも動いていて、しかも普通に街中を走れるだけでもすごいことなのですがね。
ちなみに・・
回さなければ大馬力が出にくい並列4気筒エンジンのバイクは、
「高回転を使える場所と腕が無ければただの重たいエンジンを搭載したバイク。」
なのですよ。
瞬間的ならまだしも100馬力を超えるバイクのエンジン最大パワーを出して5分もキープできる場所なんて日本にはないのです。
ライダーの腕もついてきませんし。
そういうバイクは最大馬力を一度も使われずに生涯を過ごすパターンてのは相当多いと思われます。
ところが。
普段使えない無駄な高回転での馬力も趣味の世界では許されるし、むしろ歓迎されたりもします。
バイクは趣味の世界なので、それでもいいのです。
一般道では最大馬力が大きい方が必ずしも速く走れるとは限らないとしても、
ユーザー側にも馬力至上主義者はしっかり存在しますし、
大馬力であるということはメーカー側も高性能と売り上げに直結する大切な要素でもあるのです。
ゆえに。
バイクの最大馬力のスペック合戦というのは大昔から連綿と続いているのです。
例え、
普段多用する極低回転、低速域で加速感が弱く乗りづらかったとしても、です。
Z1-Rは高速寄りのドリブンスプロケを採用
Z1はZ1000へと進化をして各所が確実に熟成されています。
Z1-Rはスタイリングや装備をスタンダードのZ1000からかなり変更した独特な作りです。
歴代Z1系でもZ1-Rにしか採用されなかった装備は数多いのです。
見た目でZ1-RとベースになったZ1000は全然違うのです。
一見、外装を変えただけの豪華バージョンにも見えますが普通の人ならZ1000の方が乗りやすく楽しく走れます。
ひとえにZ1-Rが乗りづらいからです。
Z1-RはZ1系の高回転型の低速トルクがないエンジンに加えて、
ドリブン(リア)スプロケットが小さく、高速寄りのセッティングです。
当倶楽部のZ1-Rは530チェーンにコンバートしています。
重たい車体に、ただでさえ低回転時にトルク感の少ないエンジン特性なのにさらに最高速重視のスプロケです。
低回転域、低速域を多用する街中で乗りやすいわけはないのです。
低速トルクのないエンジンに低速域を無視したドリブン(リア)スプロケですので当たり前なのです。
というわけで。
「Z1-Rは極低速、低回転域ではすんごく乗りづらい。」
です。
※実際乗ればわかりますがとても排気量が1000ccあるとは思えない低速トルクの薄さです。
今回はZ1-Rのスプロケについて書こうと思います。
※ようやく本題です。
Z1-Rの純正では33丁という小さいドリブンスプロケが採用されています。
※Z1000は35丁です。
これは単純に、
「低速走行を無視して高速走行に振ったスプロケのセッティング。」
と言っても過言ではありません。
ビキニカウルも高速走行を意識したものだったのでしょうねえ。
※その割にある速度域からフロント周りが浮いてくる原因はカウルの形状のせいだと思うんですが。
ヘンテコリンなハンドリングもまっすぐ走るだけなら 雑な外人には 気にならないのかもしれませんな。
※でも必ず曲がる必要があるんだからあの設計はおかしいと思う。
ともあれ、
33丁のスプロケ採用の背景にはいろんな理由があったんだろうと思います。
※たぶん最高速をアピールしたかったんじゃなかろうか。
純正の630という恐竜の様なゴツクて重くてフリクションの塊のような太いチェーンだからなおさら極低回転時はぎくしゃくしたはずです。
※サクリと530サイズのチェーンに変更することをおススメします。
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実験的要素の強いZ1-Rでしたがスタイリングの独特さから世界中で大ウケ。
Z1-Rは多分KAWASAKIも想定してなかっただろう数を売り上げます。
※当時のビッグバイクの基準的な位置付けになるほどです。
当時も余裕で負けたと思う。
高速でも峠でも。
が。
Z1-R以降のZ1系の車種で33丁という小さいスプロケを標準装備したバイクは存在しないのです。
いろんなクレームが来たことで有名なZ1-Rですので「乗りづらい。」というクレームも多かったのでしょうねえ。
その証拠に後継モデルのZ1000Mk2やZ1R2はZ1000やZ1と同じ35丁の加速型スプロケに戻っています。
※失敗だったってことですよ、たぶん。
経験上ですが低速トルクが薄いZ1系エンジンはドリブン(リア)スプロケがデカい方が乗りやすいです。
定速トルクがないので大きいスプロケで加速性能を補ってるというわけです。
当倶楽部でいうと、Z1-Rより排気量が小さいけれど加速型のスプロケを装備しているZ750D1は ハンドリングも含めてですが 低回転域では乗りやすいです。
ワタクシもZ1-Rのチェーンを交換する際、Z1くらいの減速比になるようなスプロケにすりゃいいんですがね・・。
チェーンを交換する際はなんとなくZ1-Rスタンダードの減速比の530チェーンをオーダーしてしまうんですよねえ・・。
※燃費とかZ1-Rらしさとかいろんな要素があるので思いきれないのでした。
ちなみに・・
初期型のZ1-Rは生産台数が凄く多いのですが日本国内では売られなかったモデルです。
当時は日本では逆輸入車なんて超珍しかったため、Z1-Rは日本製のバイクなのに日本人は見たことない人の方が多かったようです。
が。
当時の日本のバイク乗りにはZ2エンジンの強化バージョンというイメージだけが先行して擦りこまれていたようです。
この当時の雑誌の車種毎のインプレは 見たこともない 「Z1-Rと比べて・・。」みたいな表記が多いんですよ。
※ワタクシもバイク乗りには有名な某長野のペンションにおいてあった当時の雑誌を数冊読んで知ったのですが。
当時の日本のライダーは乗ったことはもちろん、見たこともないカウル付きの変った色のバイクの写真をみてどう思ったんでしょうねえ。
※逆輸入車として国内に流通し始めたのは販売後10年近く経ってからですし。
重たい車重&ママチャリハンドリング&低速なし
ワタクシはもう慣れましたが街中でも結構気を使います。
小さくUターンする時とか気を抜くとコケそうになります。
ワタクシはZ1-Rに乗る前、Z2でガンガンジムカーナ的な警察主催の「安全運転講習。」の参加していました。
排気量の小さいZ2はもちろんデカいスプロケなのですが割と新し目のバイクにも付いていけるレベルで走ることができていました。
が。
Z1-Rではジムカーナは全然走れないのですよ。
※当時は当倶楽部のZ1-Rは調子も良くなかったし、デカくて重くてハンドリングが変なのでなおさらです。
純正のビキニカウルは重い。
その中に納まる補器類もいちいち重い。
ハンドリング最悪の原因はZ1-Rの特徴であるビキニカウルとその周辺です。
実際、ジムカーナ的な安全運転講習会に参加したことはありますが、
もう怖いなんてもんじゃない(笑)
何度も足で倒れそうになるバイクを支えてコケることはなかったものの、二度とZ1-Rでジムカーナはやらないと決めたのでした。
※当時の部品ない状態でコケるとたぶん再起できなかったと思うのでこれはコレで正解。
毎月のように通ってた「安全運転講習。」からは次第に遠ざかっていくのでした。
※その後、免許取ったばかりの嫁のバイク特訓の際にZ750D1とCB400SFで何度か参加させていただきましたが。
よほど改造したりすれば別ですが
「 Z2やZ1000Mk2ではできますが Z1-Rはジムカーナ的な走りは出来ない。」
のですよ。
それは設計思想が高速寄りで低速を無視してるからです。
加えてハンドルマウントのカウルや装備が重く、ママチャリの籠に荷物を満載した状態と同じハンドリングです。
低速を多用する街中ではこんな乗りづらいバイクもないのでした。
※サーキットでも乗りづらいと思うけど。
恐らくZ1系エンジン搭載バイクで最も乗りづらいのはZ1-Rです。
乗り比べればわかりますよ。
今なんで人気があるのかわかりませんが ちょっと前までZ1系の不人気車だったのも頷けます。
基本設計から違うZ1R2はかなりマトモ
そして、
改良後のZ1000Mk2エンジンを乗せた二型のZ1R2は初期のZ1-Rとは別物だったりするのです。
日本で一番Z1-Rの悪口を書いている当ブログです。
※いろんなところからお叱りを受けますがワタクシ個人のリアルな感想なのでご了承いただきたい。
ですが。
Z1R2になるとかなりマトモになります。
※当ブログでは何度も書いていますが、初期型はZ1-R、二型はZ1R2と表記するんですよねえ、KAWASAKIも。
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同じデザインコンセプトのZ1-RとZ1R2。
見た目は似てますがたった1年でバイクとしてものすごい進化してます。
マルーン色の純正色もあるけど超レア。
Z1R2ではエンジンが1世代進んだのはもちろん、
ヘンテコセッティングだったZ1-Rの独自設計ポイントはかなりスタンダードのZ系に戻されています。
ドリブン(リア)スプロケも35丁とデカくなりますし、フロント19インチホイールなどでハンドリングもだいぶ良くなります。
ビキニカウル回りが重いのは変らないのですが Z1R2はZ1-Rと比べると至ってマトモなわけですよ。
とはいえ。
ジムカーナをするようなキャラクターのバイクでもないのです。
ビキニカウルが付いてデカいタンクの2型は長距離ライダーに受けたのかもしれませんが、
比較的乗りやすく完成度も上がったZ1R2は新車時から長らくZ1000Mk2のサブキャラ的な要素が強くマイナーな不人気Zだったのです。
※30年前はZ1-R自体が人気なかったの初期型も二型も同じような値段で買えたんですがね。
今、どっち買うかを問われたら迷わず2型買うね、ワタクシは。
※で、デカいタンクを初期型の小さい奴に変えて全塗装する。
Z1R2はベースとなるZ1000Mk2があったためか、Z1R2は生産台数がガクッと減り、現存数が少ないためほとんど流通しないのでした。
現在はレアさもプレミア価格に加算されてるようでZ1-Rよりも流通価格は高めですよねえ。
※それでも出てくりゃ良い方。
まとめ
頑張って入手しても後悔するだけだと思うんですよねえ・・。
Z1000Mk2になる前のZ1系エンジンは低速トルクが排気量から得られるイメージほど太くはありません。
当時はコレで良かったのかもしれませんが今どきのバイクと比べるとはるかに低速域が弱いです。
※エンジンがどこかおかしかったり、キャブの調整ができてなかったり、点火時期がずれてたり、火花が弱かったりするならなおさらです。
Z1-R以外のZ1系バイクはまだマシですが、夢見て高い金を払ってZ1系バイクを手にれる価値はそれほどないと思っています。
たくさんのZ1系を夢見ている方々からお問合せメッセージをいただくこともありますが、
ワタクシとしてはリアルな現実をお伝えするだけです。
※お問合せをくださった方から購入価格を聞くと驚きますな。
不具合があろうとなかろうとZ1-Rは乗りづらいですよ。
楽しく走ろうと思ったら選ぶべきではありません。
Z2から乗り換えたワタクシでもしばらくはおっかなかったのです。
極低速域のトルク感が薄く
Z2とは全然違うハンドリングで
その割に腰高で重い。
今理論理屈で振り返れば当たり前のことなのですがずっと、
「エンジンが調子悪いせい。自分がヘタなせい。」
だと妄信的に思っておりました。
入手してからずうっと本来の性能を取り戻すべく乗りながらレストア作業を続けました。
おかげで10年もすれば遠出はもちろん、2週間程度のキャンプツーリングにも耐える本来の姿に近い状態にできました。
ワタクシの手元に来た当初はなるべく純正に近い形で新車に近づけようと思っていたのですが、
Z1-Rの素性を知れば知るほど純正にこだわる意味が分からなくなるのでした。
※最終的には純正とはだいぶ違った形で着地、現在の仕様になったのですが。
純正のZ1-Rの素性もある程度分かった上で、
出来る限り乗りやすいように調整し続けて25年以上、10万キロは余裕で走っているワタクシが言うのだから間違いないです。
純正のZ1-Rは乗りづらいです。
※だからこそ、まともに調整し甲斐があって面白いんですが。
重くて取り回しが良くないうえ、Uターンもしにくいので長野の細い県道をめぐるにはちょっと不向きです。
50年近く前のバイクに何を期待してんですか。
お気楽に乗りたいなら旧車はやめたほうがいいですよ。
お金ばかりかかって走る時間より直してる時間の方が長くなりますよ。
メディアはスポンサーの都合があるので本当のことはあまり書きませんし。
ワタクシはZ1-RをはじめとするZ1系バイクのブームが去ってくれると助かるのですよ。
以前のように気楽に出かけられやしない。