乗り比べると前のZ1000とも後のZ1000Mk2とも全然違います。
そして、よくわからない装備の数々。
25年以上乗り続けたワタクシが出した答えは・・
「Z1-Rは実験機である」
です。
当記事の目次
Z1-Rが生まれた時代背景
デビュー時には圧倒的運動性能で世界を席巻したZ1もマイナーチェンジジでは追ってくる他社の戦略機に対応しきれなくなっていました。
メインの市場はもちろん米国です。
追従してくる他社の空冷4気筒世界戦略機がどんどんZ1シリーズを追撃してきます。
次々と新型攻勢を迎え撃つのに、KAWASAKIもZ1を細かくマイナーチェンジしていきます。
KAWASAKIとしても「そろそろ一発インパクトを与えてやろうかい!」という意気込みがあったに違いありません。
そんな中、
1978年にKAWASAKIは、ZシリーズのラインアップにZ1-Rを加えてきます。
Z1000のエンジン使いまわしています。
当時の北米向けKAWASAKIのバイクカタログの見開きには・・
そして、
が一緒くたに掲載されています。
色的にも形的にも派手なライトブルーメタリック(スターダストシルバー)でカタログを一見しただけでも目を引きます。
※ポジションも一番前だしね。
Z1で覇権を握ったKAWASAKIが再び世界の注目を取り戻す戦略として、
が必要だったのかもしれません。
※同じエンジン使ってデザインで勝負!だったのかねえ。馬力もちゃっかり向上していますが。
Z1-Rの「R」はレースのRではない
レーサーマシンを目指すのであれば、今も昔も「必要な装備以外は外して軽くする」のが常套手段です。
Z1-Rは、むしろ無駄な装備を追加して重くなっています。
その後の
には全く違う意味があるように思えます。
※KAWASAKIは「R」付きモデルでもZXRくらいまで純レーサーとは一線を画しているような気がしますが。
さらに、
各種装備についても、サーキットで速く走ることを想定しているとは思えません。
※カタログが高速道路だったりポルシェと一緒だったりするのは販売サイドがイメージを優先させたからではないかと。
今では許されない系のポルシェの使い方ですね。
全く個人的な思いですが、Z1-Rの「R」については、Refine(リファイン:洗練された)の意味と取るのがいいように思えます。
Z1-Rには他のZ1系にはない独自装備だらけ
それは実際に所有したことない人が書くインプレです。
実はZ1-Rはエンジン以外はほぼ新設計と言っても過言ではありません。
※厳密にはエンジン形式も違います。
Z1-Rは「デザイン重視」のバイクとよく言われます。
まったくそれを否定する気はありませんし、むしろその通りです。
ただ少なくとも、
Z1-Rはデザイン以外にも、思いっきり力入れて独自に設計された跡が散見されるんですよ。
※独自設計すぎてZ1系部品の流用可能度合いが高くありません。
というのも、
Z1-RにはKAWASAKIのバイクで最初に装備されたシステムがたくさんあります。
その装備は、
ワタクシ個人的に大きく分けて3パターンに分類できると考えています。
Z1-Rが最初と思われる装備
具体的にいうと以下の通りです。
※順番は思い付きのままです。
少なくとも、
Z1-Rは、それまでのZ系のバイクと比べてこれだけの新機構の採用がありました。
しかも、
そのほとんどはZ1-Rが初採用で独自性が高く汎用性は低く、手間もコストがかかってるものばかりです。
これは当時のKAWASAKIが「何かを意図して本気でZ1-Rを作った証拠」ではないかと推察します。
そして、
これら多くの独自装備は、Z1-R(1型)一代限りで途絶えています。
なぜか?
Z1-R(1型)がデザインや装備の「市場調査のための実験機」だとしたら・・納得できる点は多いです。
誰もその点に切り込まないので25年以上Z1-Rとともに生きてきたワタクシが切り込みます。
Z1-Rのベースと言われる丸Zの最終型「Z1000」は非常に良く出来たバイクで、これはこれで一つの完成系だと思います。
Z1000に比べるとZ1-Rの未完成さが目に付くんですよ。
実験機であれば、それも何となく納得できます。
Z1-Rは恐らくデザインや装備も含め、
なのであえて、未完成な状態でロールアウトさせたのでは?
という仮説をワタクシは昔から持っています。
見た目はそれほど違わないですが、
たった一年の差でZ1-RとZ1R2(2型)では別の乗り物かってくらい細かく設計変更されています。
ベース車もエンジンも変わったので当たり前っぽく言われていますがそれだけじゃないはずです。
乗り比べると結構違う乗り物です。
なによりも、
Z1-R(1型)でさんざんコストをかけて開発した専用設計部品を受け継ぐはずのZ1R2(2型)は生産台数が極めて少なく、販売期間も短くアッサリと製造終了してしまいます。
※ケーススタディが終わりデータ収集完了したと理解すると納得いきます。
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バイクに角ばったデザインを採用するための装備
柔らかい曲線で構成されたバイクとは全く違った意匠になっています。
新たなデザインアプローチとして主力のZ1000と全面入れ替えせずに小出しにしたのではないかと思います。
ワタクシが見たZ1-Rの第一印象は、アルミ材をぶった切ったまままだ磨いてません♪というものでした。
※悪く言うとエッジが効いてて、ガリガリに痩せた殺人鬼みたいなイメージでした。
それぐらい真っすぐな細い直線基調のデザインです。
この直線基調のデザインが市場に受け入れられるか?
という実験機だったのではないかと思っています。
実験の結果、Z1-Rは販売台数から見て世界的な大成功をおさめます。
そして、
以降のKAWASAKIのバイクデザインは一気に角型デザインに変わっていくことになります。
もちろん、
他社のバイクデザインにも思いっきり影響を与えています。
※バイク100年史とか見るとよくわかります。
ちなみに・・
米国人は丸っこいティアドロップタンクが大好きです。
900SuperFour(Z1)は、ティアドロップタンクでアップハンドルでほぼアメリカンじゃん♪と言い放ったワタクシの先輩もいるくらいです。
目新しかったZ1-Rは米国で上手く受け入れられたものの、
Z1-Rの後のZ1000Mk2の角ばったタンクはちょっと不評でセールス的に苦戦したようです。
※仕方なく丸いラインを入れてタンクを丸っこく見せたりして誤魔化します。
その後の一時的に丸っこいタンクのZ1000J丸となり、少し角ばらせつつも角が丸めのZ1000RのベースとなったZ1000J角へとつながっていきます。
他社もいろいろデザイン的に試行錯誤しているのが1980年代初頭のバイク業界です。
※この頃のデザインは各社特徴的で面白いよね。
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デザインの要、運動性の癌、ビキニカウル
ただし、
ド初期のカウル付きバイクなのでいろんな問題を無視した感があります。
※今こんなの出したらクレームの嵐になります。
当時はビキニカウル装備のバイク自体が珍しかったので見た目のインパクトは強烈だったハズです。
下手すればレーシングマシンですらフルカウルのバイクが珍しい時代です。
バイクがたくさん集まる場所で、ビキニカウル装着車は相当目立ったはずですよ。
※しかもあの色です。
ただし、
Z1-Rはビキニカウルを装備することで
となってしまったわけで・・
ハンドル周りの重さはベース車両のZ1000とは比べ物にならないくらい重くなっています。
※Z1-Rのビキニカウルは決して走行性能に寄与するものではありません。
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さらに、
ビキニカウルに干渉するのでほぼ純正以外のパイプハンドルを受け付けません。
ハンドルの幅も高さも変更すると何かしらが干渉しますので自分に合わせたポジションにできません。
結論を言うと、
Z1-Rのアイデンティティであるビキニカウルは「デザイン以外何もメリットはない」です。
よく言うZ1-Rのハンドリングの悪さは「ビキニカウルの重さ」が原因です。
ハンドリングは悪いなんてもんじゃなく、危険レベルです。
※Z1-Rのノーマルで峠で遊べる人は命知らずか、ネジが足りないか、米国人くらいです。
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ちなみに・・
Z1-R以降のKAWASAKIは豪華なビキニカウル装備車はありません。
Z1-R以降は、しばらくZ1000Rのような簡素で軽量な角目のメーターバイザーに代わります。
Z1-Rの豪華なビキニカウルはKAWASAKIでも思うところがあったはずです。
いくらデザイン優先でも扱いずらい代物なら・・ということです。
最近、Z900RS Cafeがビキニカウルを装備しています。
純正採用のビキニカウルは久しぶりではないでしょうか?
※いろんな改善を経てとても軽くなっての採用なんでしょうねえ・・
小型車では、簡素化されたビキニカウルが、AR50/AR80に装備されたことがあります。
ARのビキニカウルのデザインはZ1-R風なんですが、アゴの部分で整流されるように改良されています。
※Z1-Rのビキニカウルは高速では上手く整流できずに浮き上がる感じがするのでその改良版だと思います。
燃料計はデザイン優先の証
純正のキャブとセッティングでは調子が良くても15km/l前後の燃費です。
※満タンで200km走れるかどうか微妙な線です。
Z1-Rは、ガス欠を考慮して「燃料計」を標準で装備しています。
タンクが小さいのでガソリンなくなりそうなら早めに入れてね♪
ということなのでしょうねえ。
恐らく、最初からタンク容量の少なさは市場である大陸では問題になると確信していたはずです。
小さいガソリンタンクはもちろんメイン市場である米国や欧州などの広大な土地でのツーリングには全く向きません。
それでも薄く小さ目なガソリンタンクのデザインを崩したくなかったので燃料系を付けたというわけです。
※KAWASAKIはいつの時代も攻めています。
タンク容量の容量については、Z1R2(2型)で大幅に改良されています。
※Z1-R(1型)でも、主に欧州向けで少なくとも3種類の純正大容量タンクが存在することが確認されています。
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Z1-R(1型)の販売期間は実に1年と短いんです。
KAWASAKIは凄い短期間でPDCAのサイクルを回しています。
※事前に数種類のタンクの用意があった?という気もしないでもないです。
燃料計は、市場で好評だったのかZ1-R以降もZ1000J系やGpzなどにも採用されていきます。
最初に装備したのがZ1-Rという装備の一つです。
バイクの燃料計は、タンクの形状とウキの問題から、ずーっと満タンで途中から突然減っていくのであんまりあてになりません。
※ガソリンが入ってるかくらいはわかります。
電流計はレギュレータの信頼性の低さの証
恐らく新車当時も世界中でレギュレータートラブルは発生してたはずです。
ワタクシも約30年の間にZ1系で都合4個のレギュレーターを壊しています。
レギュレーターが壊れると、
というシャレにならない状況になります。
※すごく焦げ臭いです。
当時のレギュレーターなんてメーカーを問わずに割とそんなもんだったのかもしれません。
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でも、
米国のRute66みたいな荒野のど真ん中で、レギュレーターが死ぬとそのまま自分も死んじゃう危険性が高まります。
そこで、
少しでも早めにレギュレーターのトラブルを察知できるように、電流計をつけたのではないかと推測します。
以降のKAWASAKIでも電流計装備モデルは・・すみません調査不足です。
ただし、
Z1000Mk2から、レギュレーターの設計が変更されているはずです。
※フィンが付いて放熱能力がアップしたレギュレータが付いています。
ちなみに・・
レギュレーターの信頼性が上がったので電流計は以降のバイクにはあんまり装備されないようです。
※電装の追加装備が多いツーリングモデルで稀にみることはありますが。
こんな感じで、Z1-Rで新たに装備は以降のKAWASAKI車に取捨選択されて採用されていっています。
いつの世も、前世代のモデルのいい点は次世代につないでいくものです。
ただ、
ワタクシは、これほど大量に一気に新装備を試したモデルはZ1-R以外知りません。
悪すぎるハンドリングを修正するための装備
ワタクシ個人の意見ですが、ハンドリングを少しでも何とかしようと付焼刃的に修正したと思われるポイントがあります。
付焼刃でもなにもやらないよりマシだろう!という努力は買います。
とはいえ、
何をやっても付焼刃なので根本的に直ってないんですが♪
※設計に無理があるのですよ。
Z1-Rのロールアウトに当たっては、
販売・営業側と設計・製造側での熱いやり取りがあったのではないか?
と勘ぐってしまいます。
プロジェクトXで「Z1-Rの開発秘話」をぜひやって欲しいくらいです。
やってくれるなら会社休んでもみます。あと録画もします。
※NHKに受信料払ってるのでそれくらいの意見は言いたい。
フロント18インチホイール
個人的に、このホイールはビキニカウル装備で悪化したハンドリング対策で採用したように思います。
1978年当時のバイクは、アップハンドルが標準採用でフロントが19インチ、いわゆる後ろ乗りが基本です。
低いハンドルで前傾姿勢になると前輪に過重がかかり、内輪差による強い旋回力を引き出せません。
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Z1-RはZ1系エンジン搭載車の中で、初めて少し前輪荷重を意識したような低めのハンドルが採用されています。
※ちょっと近代的な装備ですがこれがまたビキニカウルを付けたためこうなっただけです。
ただし、
車体構成が旧車なので、前輪荷重で乗ろうとすると上手く曲がれません。
意識して後ろ乗りにしようとハンドルから力を抜くと・・
ビキニカウルの重さで、少しでも外乱があるとブルっとハンドルが振れます。
路面の悪い峠などでは本当に怖いです。
なので、
後ろ乗りにしなければ曲がらないのですが、ハンドルを押さえないと怖くて乗れません。
結局、
フロントホイールを18インチにしてもビキニカウルの重さはどうしようもなかったってことです。
その証拠に、
Z1R2やZ1000Mk2ではアップハンドル&19インチホイールに戻っています。
そんなわけで、
18インチのキャストホイールはZ1-R(1型)だけに採用された幻の装備となりました。
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リアサスの二段スプリング
これも、Z1系エンジン搭載車ではZ1-R(1型)だけに採用された装備です。
リアサスのダブルスプリング化もハンドリングの悪さ対策と思えます。
低いハンドルと外乱に弱いハンドリングで、ハンドルにしがみつくようなライディングスタイルになりがちです。
※ついでにブレーキも効かないし。
そうなると、
腕の力が抜けず、リア過重がかけられずにどんどん曲がれなくなるんですよ。
※リア荷重で日本中を回ったZ2からZ1-Rに乗り換えたワタクシが言うのだから間違いないです。
これを防止するために、
強制的にリア過重にさせたかったのではないかと思っています。
あらかじめ人が乗った状態でリアサスを多少沈ませておくために柔らかいスプリングを噛ませたのでは?というのがワタクシの見解です。
結果的に「焼け石に水」なんですが。
KAWASAKIは、販売開始時には既にZ1-Rのハンドリングの悪さを知ってたはずです。
絶対に確信犯です。
※前モデルのZ1000や後モデルのZ1000Mk2のハンドリングは素晴らしいです。
Z1-R以降では、
Z1100GPにはダブルスプリングが採用されていますね。
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以降のバイクの方向性の模索した豪華装備
昨今の車が採用している余計なおもてなし装備とかぶります。
※大体そういう装備は鳴り物入りで搭載されてもすぐ廃るので要らないんですよ。
それでも、豪華賢覧、満艦飾になっていくのは豊かな装備が大好きなアメリカが求めたからなのかもしれません。
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旧車ファン、Z1ファンは必見!白バイ野郎!ジョン&パンチが無料で見れる
実はこのドラマにZ1-Rが出ています(笑)
車もバイクも旧車に興味があるなら絶対見るべき!
特に車の世界でよく見ますが、
モデルの末期には余計なものをたくさんつけて、一見目新しくして売ってやろうというショボい売り方にちょっと似ています。
オートウィンカーキャンセラー
オートウィンカーキャンセラーと言っていますが、タイミングで電気信号を出して左ハンドルスイッチに内蔵されているソレノイド(電磁スイッチ)を動かしているだけです。
※コレも距離の測定に中継のある複雑なメーターワイヤとか使ってます。
電気信号は、カウルステーの右側についてるブラックボックスで時間や走行距離を計測して出しています。
この機構のおかげで、ウィンカースイッチがすこぶる固いんですよ(笑)
壊れるんじゃないかと思うくらい操作が固いです。
オートウィンカーキャンセラーは、バイクの世界ではイマイチメジャーになり切れませんね。
コストの割にはユーザーに喜ばれないし、壊れ易い、不要な装備なんでしょう。
それでも、
当時のKAWASAKIは技術力を見せつけたかったのか、方向性を模索していたのか・・
鳴かぬなら殺してしまえ、新システム。
ちなみに・・
当倶楽部のZ1-Rは米国から持ってきた際に既にオートウィンカーキャンセラーは動きませんでした。
※電気信号直接流してもソレノイドが動かなかったです。
結局、
一度も動かないままオートウィンカーキャンセラーシステムは丸ごと撤去しました。
25年前当時はこの手の部品の入手が超困難でしたので思い切って全部オミットしました。
いろいろ軽くなったので後悔はしていません♪
※純正にはハザード機構があるのですが、左ハンドルスイッチごとシンプルなZ1用に変えちゃったので丸ごとなくなりましたが後悔はしていません。
純正のオートウィンカーキャンセラーシステムは、今でも当倶楽部のガレージのどこかに眠ってるはずです。
ハンドルパイプ内を通すスイッチ配線
左右のスイッチの配線は、ハンドルパイプの中を通り、ハンドルパイプの中央に穴を経由して、ライト裏へ配線が導かれます。
確かに配線が隠れているので見た目はすっきりはします。
ただし、
ハンドルのパイプ内部に配線を通す以上、カプラーは使えないので配線のすべてがギボシ接続です。
※いちいちメンテナンスしずらいのですよ。
配線隠しハンドルは、とんでもなく手間とコストがかかってるハズですが「余計な事すんな」と言いたいです。
※手間を考えればコスト度外視の作りです。
それでも配線は見えないという気の使い方が変だ。
当倶楽部のZ1-Rはハンドルパイプから配線を全部引きずり出しています。
※ハンドルスイッチは左右とも交換しちゃいました。
そして、
この見た目スッキリ優先の弊害は、フロントブレーキにも及びます。
ワイヤー式フロントマスターシリンダー
ダイレクト感の全くないワイヤ作動式マスターシリンダーのフロントブレーキです。
デザイン優先で、ハンドル周りの見た目をすっきりさせたいのはわかります。
でも、
ただでさえ効きが良くないブレーキをさらに使いづらくしています。
※スポーツバイクなんだし、ブレーキタッチについてはちょっとだけでも考えてほしかった・・
一応、
油圧式のブレーキではあるんですが、油圧をかけるマスターシリンダーはハンドルにはついていません。
マスターシリンダーは、カウルステーの左側についています。
ブレーキレバーでワイヤーを引っ張ってマスターシリンダーを操作する信じられない仕様です。
ワイヤーの遊びの分、ブレーキ操作のダイレクト感は皆無です。
大抵、Z1-R乗りに合うとまず最初にマスターシリンダをチェックされますね(笑)
Z1-Rに乗る人の多くはフロントブレーキを改良しています。
※じゃないと危なくて乗れないです。
Z1-R以外には、このブレーキ方式は採用されていません。
※たぶんクレームが多かったのではないかと。
ちなみに・・
Z1-Rにはビキニカウルに干渉するので普通のバイクについているマスターシリンダーは付きません。
リザーバー別体式のマスターシリンダー(かつてはRC30マスターと呼ばれていました)を無理やりつけている人が多いです。
ただ、リザーバー部をうまく収めている人はあんまり多くありません。
ワタクシもマスターシリンダーの配置には試行錯誤した記憶があります。
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多孔式ドリルドブレーキディスク
ただし、この穴のデザインはZ1-R独自のもです。
コレも手間がかかっています。
ワタクシは、Z1-Rの前に乗ってた「Z2は雨天時はフロントブレーキが全く効かない」のを知っていました。
※雨天時の制動距離は普通に2倍くらい、感覚としては3倍くらいまで伸びます。
Z1-Rの実際乗ってみるまでは「雨天時の対策として多孔式ドリルドブレーキディスクが採用になった」と本気で思っていました。
でもそんなことは全くなく、雨天ではやはりブレーキは効きません。
※穴がないだけでキャリパーも同じZ750D1のブレーキと同じくらい効きません。
雨でも聞くと思ってしまったワタクシは愚か者でした。
放熱のため?とも思いましたが、
やはりこの点も「デザイン重視」なのではないかと思うに至りました。
Z1-R以降は、不等ピッチドリルドディスクの採用になっています。
※雨天時のブレーキの効きは・・よくわかりません。
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取り外し式キックアーム
※セルやバッテリーの信頼性があんまりなかったのかもしれません。
Z1-Rは、キックアームを外してシート裏に格納できるシステムを採用しています。
これも「デザイン優先の最たるもの」でしょう。
はっきりって意味があんまりないです。
取り外し式の純正キックアームは結構なくなっちゃってる個体も多いです。
当倶楽部のZ1-Rは、米国から来た際には既に無くなっていました。
純正品を探すのも面倒くさいし、どうせ使わないし。
結局、Z1の純正キックアームをつけっぱなしにしています。
Z1-R以外で取り外し式のキックアームなんて聞いたことないです。
※次第に、セルなどの電装系の信頼性が上がってキックアーム自体がなくなっていく過渡期ではありますが。
集合マフラー
ただし、
Z1-Rの純正の集合マフラーは排気効率的にも、バンク角的にもあんまり性能がいいとは言えません。
コレも「デザイン優先」ということなのでしょう。
純正の集合マフラーは見た目はスッキリしてカッコいいです。
デザイン的にも綺麗だと思うし消音性能もかなりいいです。
すみません、Z1-Rの純正マフラーの画像がないので画像検索しておいたので適当に見てください。
ただし、
カッコいいZ1-Rの排気システムは、
エンジン前部をまっすぐ降りてきた各気筒のエキマニを腹下のボックスに一度まとめて、右側に一本出している集合方式です。
センタースタンドも付ける必要があったわけで配置的には仕方ないのかもしれません。
当然、
排ガスの流れなんか無視した作りです。
排気効率的にどうかいえば、あんまりよくないのでは?と思います。
腹下のエキマニ集合部のボックス部分の左側には、一応バンクセンサー的なガードが付いています。
これが、バンクすると路面に接触するんですよ・・
純正の集合マフラー装備で峠で遊んでた際は「火花が散ってる」と言われたもんです。
※ワタクシはそんなにバンクさせるライディングスタイルではないんですけどね。
バンクセンサーがいい加減すり減ってきたので、完全に消失する前に一番排気音が静かな市販のマフラーに変更しました。
スモールバッフル仕様なので純正より静かです。
外してみて分かったのですが、Z1-Rの純正集合マフラーはとんでもなく重いです。
※現在、当倶楽部のガレージにぶら下がっています。
その後のZ1R2(2型)では、Z1000Mk2と同じ左右二本出しに変更になっています。
やはり、評判が悪かったのか?と勘ぐってしまいます。
ちなみに・・
意外なことにZ1-R以降集合マフラーを純正装備するKAWASAKI車はだいぶ後までありません。
※Z1000RのKERKER純正装備はレーサーのベースということで除外します。
80年代終盤のZXR750までずっと二本出しマフラーだったのではないかと思います。
※Z1-Rで集合マフラーにはトラウマになったのかと心配になっちゃいます。
逆に、
Z1-R(1型)でも、欧州仕様(ドイツ仕様?)では、Z1のような4本出しマフラー装備車両も販売されていたらしいです。
※実物は見たことないです。
何もかも良くわかりません。
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まとめ
たった1年限りのイヤーズモデルの割に17,000台以上が製造され、各国で現地改修仕様まであるくらいです。
Z2Rという記載もあるけど・・何やねん。
ただ、
Z1-Rは走行性能的にどうかと言われれば・・ダメな部類に属すでしょう。
現在も人気があって高額取引されているようですが、
Z1の一族でなければこんな乗りづらく悪く言えば欠陥ともいえるバイクが注目されることはない
でしょう。
※乗ってみての楽しさは、前モデルのZ1000や後モデルのZ1000Mk2に遠く及びません。
さらに言えば
Z1-R(1型)は、はっきり言えば未完成なバイクです。
相当乗り手を選ぶので万人に受けるバイクではありません。
※ライディングの腕で選ばれるわけではなく、泣きながら改善していく執念を持ってないとすぐ嫌になるという意味です。
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Z1-Rに25年も乗ってると、KAWASAKIの立場に立って「何がしたかったのか?」を考察出来るようになりました。
その結果、導き出した答えが
「もしかするとKAWASAKIの実験機だったのでは?」
というものです。
いろいろ意見はあると思いますが、ワタクシはこの考えに自信があります。
※不思議とすべてが納得いくんですよ。
ちなみに・・
KAWASAKIが出した万人受けしない「実験機」を改修しながら長く楽しむ・・
マニアックでいいじゃないですか♪
そういう状況に酔える「ある意味で所有満足の高いいいバイク」です。
※これでワタクシに操る腕があれば言うことないんですがねえ・・